【野球】"チーム外丸"最終章 ワセダ撃破で神宮に熱狂を/2025秋季リーグ戦 早大戦展望

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ここまでの慶大は、開幕カード・法大、第3週・明大と連続で勝ち点を落とし、第4週・東大には勝ち点を獲得したが、初戦を落とすという苦しいシーズンとなっている。それでも第6週・立大からも勝ち点を奪い、2カード連続で勝ち点を手にするなどチーム状態は上向きだ。早慶戦で勝ち点を獲得すれば、2024春季以来3季ぶりのAクラスが確定する。2023年秋季リーグ優勝・日本一に大きく貢献した外丸東眞(環4・前橋育英)率いる"チーム外丸"も残すところあと1カード。 慶大史上に残るエース"外丸東眞"をはじめ、ラストイヤーを迎えた4年生を送り出す最後の花道を、早慶戦の勝利で飾りたい。

早大はここまで東大、立大と順調に勝ち点を重ねるも、法大戦では壮絶な乱打戦の末に勝ち点を落とす。すると今季優勝の明大にも2連敗。投手陣は、2025年プロ野球ドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスにドラフト2位指名を受けた伊藤樹(スポ4・仙台育英)と、宮城誇南(スポ3・浦和学院)の二本柱と行きたかったものの、宮城は防御率9点台と絶不調。伊藤も防御率3点台後半と、決して本調子とはいえない。そんな中現れた髙橋煌稀(スポ2・仙台育英)はここまでの4カードの第2試合全てで先発登板しており、防御率2点台で2勝と安定している。チーム防御率は3.68と、慶大のチーム防御率と3.68と同じであり、投手陣は互角であろう。一方打線はリーグ2位の打率.282を誇り、ここまで開幕カードの東大戦で「6番・三塁」に田村康介(商4・早大学院)に代わって髙橋海翔(スポ2・山梨学院)が入ったのを除き、不動のオーダーを組む。とりわけ7番に座りながらリーグトップの.467と5割近い高打率を誇る石郷岡大成(社4・早稲田実業)を筆頭に、5番・前田健伸(商4・大阪桐蔭)、8番・吉田瑞樹(スポ4・浦和学院)は3割超の打率を残し、下位打線に強打者が揃う。一方、1番の尾瀬雄大(スポ4・帝京)、2番で主将の小澤周平(スポ4・健大高崎)、4番の寺尾拳聖(人3・佐久長聖)は2割台前半と不調。上位打線に復調のきっかけを掴ませず、いかに下位打線を抑えるかが早慶戦勝利の鍵になるであろう。

1回戦の先発が予想される、現役投手最多21勝を誇る伊藤樹

現時点で.467をマークする首位打者・石郷岡

対する慶大打線は、チームトップの打率を誇る常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)を4番に据える。打線自体はリーグトップの本塁打数を誇った昨季に比較すると劣るも、1年生ながらチーム2位の打率を誇る竹田一遥(環1・聖光学院)、開幕マスクを射止め、ここまでほとんどの試合でスタメンマスクを被る吉開鉄朗(商3・慶應)を中心に、野手陣では新進気鋭の選手たちが躍動する。そして早慶戦前最後のオープン戦(10月26日・上武大戦)では、法大4回戦以降戦線を離脱していた小原大和(環3・花巻東)が「9番・指名打者」で復帰し、打線に厚みが増すだろう。中塚遥翔(環2・智辯和歌山)をはじめ、昨季までのスタメン選手たちに不調が相次ぐ中で、今季不調の切り込み隊長・今津慶介(総3・旭川東)は立大3回戦に代打で起死回生の逆転3ランを放つなど、復調の兆しを見せている。慶大が誇る熱き1番バッターの復活は、慶大の勝利に不可欠だ。

立大3回戦では代打で出場し逆転弾を放った今津

早慶戦では1回戦で渡辺和大(商3・高松商業)、2回戦で外丸の先発が予想されるも、両投手ともに今季は不調。ここ2季、2024年秋の早慶戦には竹内丈(環3・桐蔭学園)、2025年春の早慶戦には沖村要(商3・慶應)が先発するなど、堀井采配は奇襲を仕掛けているが、はたして今季は奇襲があるだろうか。特に立大2回戦で先発した竹内は、2024年秋季の早慶2回戦の先発以来となるリーグ戦登板も、3回途中3失点と打ち込まれ、結果を残せなかった。それでも早慶戦は通算4登板し、13回2/3を防御率1.98で抑え込む"ワセダキラー"竹内の復活に期待がかかる。

「ワセダキラー」竹内

そして慶大が誇るエース二人の不調を支えるのは、なんと言っても中継ぎ陣である。ここまで12試合中9登板を数える水野敬太(経2・札幌南)は21イニング1/3を投げ、防御率1.69。球数は359を数え、イニング数では劣るも、外丸の球数355を上回るほど。そして8登板の小川琳太郎(経4・小松)も12イニング2/3を投げ、防御率2.13。今季リーグ戦初登板を経験したばかりの坂中大貴(商4・高松商業)も、5登板で無失点を継続するなど、中継ぎ陣の活躍が今季の慶大を大きく支えている。

チーム最多9試合に登板し、防御率1.69の水野

今季すでに自己最多の8試合に登板する小川琳

登板5試合で無失点投球を継続している坂中

今季の慶大は、昨季まで成績を残していた選手の不調が多い。そんな中で花開いたフレッシュな下級生たちの躍動も光る。昨季までのスタメン選手の"意地"と、フレッシュな下級生たちが魅せる"躍動"こそ、慶大の勝利に必要である。明大は無敗での"完全優勝"を成し遂げ、2位から5位は最終カードまで順位が定まらず、6位の東大も2勝を上げる健闘を見せた。慶大はワセダから勝ち点を奪えば2位、落とせば3季連続5位でのフィニッシュ。まさしく100年目の東京六大学にふさわしい熱戦が繰り広げられてきた今季。そして迎える「伝統の一戦」。"チーム外丸"が最後に見る景色は何か。

チーム外丸の集大成を見逃すな!

(記事:神戸佑貴)

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