【野球】苦しみながらつかんだ価値ある一勝  東大②

9月30日 ()    慶大―東大  2回戦

 

7回に福富が勝ち越しタイムリーを放った

7回に福富が勝ち越しタイムリーを放った

 1回戦が引き分けに終わり、迎えた慶東2回戦。絶対に落とせない一戦であったが、東大に前日の勢いそのままに初回からヒット3本を浴び、1点を奪われる。その後は慶大先発・白村(商3)と東大先発・香取の投手戦となるものの、7回に打者7人の猛攻で3点を奪い、逆転に成功。最後は守護神・福谷(理4)がきっちりと締め、ゲームセット。5安打と苦しみながらも、前日の悪い流れを断ち切る価値ある一勝であった。

 

 

   
東大
慶大 ×
 

東大:●香取、関―岩瀬

慶大:○白村、福谷―阿加多

 

慶大出場選手

 

  ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[7] 佐藤旭(商2・慶應)
[6] 福富(商4・慶應)
[4]5 山﨑錬(商4・慶應)
[2] 阿加多(法4・慶應)
[9] 藤本(環2・慶應)
  福谷(理4・横須賀)
[5] 横尾(総1・日大三)
  大川武(環4・済々黌)
[3] 植田(商3・慶應)
  H 谷田(商1・慶應)
  鈴木裕(商4・慶應)
[1] 白村(商3・慶應)
  H 影山(総4・鎌倉学園)
  松本大(環3・桐光学園)
[8] 辰巳(文4・郡山)
 

 

立ち上がりに失点し厳しい表情の白村

立ち上がりに失点し厳しい表情の白村

 前日、最大4点差をつけながら一時は逆転され、なんとかドローに持ち込んだ慶大。その悪い流れは台風接近による怪しい雲行きに象徴されるが如く続いていった。

 初回、東大の2番笠原に鮮やかなライト前ヒットを浴びると続く舘にはショートへの内野安打を打たれ、盗塁も挟んでいきなり1死一・三塁のピンチを背負う。4番成瀬を三振に切って取り、ピンチを凌いだかに見えたが続く山本にライト前タイムリーヒットを浴びあっさりと1点を献上してしまう。

 一方慶大はその裏、佐藤旭(商2)がレフト線を破る二塁打を放ち、福富(商4)が初球で送りバントをきっちりと決め、1死三塁のチャンスを作る。しかし、後が続かない。主将・山﨑錬(商4)は、自らも「(打撃は)まだまだダメ」と語るように3球目をショートゴロ、春季リーグ首位打者の4番阿加多もサードゴロに倒れ、この回を無得点で終えてしまう。序盤から球場がため息に包まれた。          

 しかし、2回からは試合は少し違った展開を見せる。慶大先発・白村(商3)は初回以降立ち直り、2、3回にヒットを1本ずつ許すものの中盤の東大打線を無失点に抑える。ただ、この試合白村以上に波に乗っていたのは東大先発・香取であった。香取は初回に1安打を許した以外は、四球を挟んだものの6回までをほぼ完璧に抑える快投を見せる。神宮球場は早くも東大の完封勝ちムードが流れ始めていた。そのすべてを変えたのが7回の慶大の攻撃であった。

 

代打でヒットを放った影山が流れを変えた

代打でヒットを放った影山が流れを変えた

先頭打者の白村に代わって代打で登場したのが、副将の影山(総4)。その影山は白村の粘投に応えるが如く、見事ライト前へのヒットを放つ。続く辰巳はサードへのセーフティーバント。この処理を焦った東大のサード成瀬の送球が逸れ、思わぬ形で無死二・三塁の大チャンスが生まれる。トップに還って1番佐藤旭はフルカウントからの6球目をライトへと打ち上げ、犠牲フライには十分。ここで、ようやく慶大は東大に追いついた。

 尚もチャンスは続く。1死三塁で迎えるバッターは福富。「絶対決めようと思いました」との言葉通りに、見事なセンター前へのタイムリーヒットを放ち、遂に慶大が2-1と逆転に成功する。山﨑錬のライトフライでランナーを2塁に進めると、4番阿加多がダメ押しとも言える貴重なセンター前タイムリーを放って東大に反撃の意欲を削がせた。

 

最後は福谷がきっちりと締めた

最後は福谷がきっちりと締めた

 8回、好投を見せた白村に代わってマウンドに上がったのが守護神・福谷(理4)。150kmを超える剛速球を武器に、緩急の効いたピッチングで東大打線を三者凡退に抑えた。

 一方その裏、前日のビッグイニングもあり、まだまだ諦めない東大は香取に代わって、関を送り込む。1死から守備のミスもからんだ三塁打を途中出場の鈴木裕(商4)に打たれるもその後をしっかりと耐え、味方のラストイニングの攻撃に希望をつなぐ。

 最終回、引き続きマウンドにあがった福谷はその希望を打ち砕くが如く、昨日の鬱憤をすべてぶつけるかのような素晴らしい投球を見せ、最後のバッター山本をショートフライに打ち取りゲームセット。慶大は勝ち点に王手をかけた。

 しかし、総合的にみれば慶大のヒット数は東大と同じ5本。打撃陣の不振は明らかである。連日「負けちゃいけない試合」(阿加多)が続く。念願のリーグ優勝を果たすためにも、投打の噛み合った試合が期待される。

                                                                                                                                 (記事 米田 亘)

 

 

選手のコメント

 

山﨑 錬主将(商4)

(今日は先制点を奪われる展開だったが)本当に苦しい展開でしたね。(チームとして昨日の引き分けから切り替えて試合に臨めたか)切り替えたつもりでしたね。でもなかなか野球はそんなに甘くないですね。これも勉強です。(初回のヒット以降中盤はヒットが1本も出ない状況だったがどのようにチームに声をかけたか)チームとして2ストライク追い込まれてもいいから、高めを狙えと言う指示が出ていて、それだけを徹底してやっていこうということです。(7回に3点を奪った攻撃は代打の影山選手のヒットが流れを変えたと思うが)フミ(影山選手)も頑張ってくれたので、ああやって副将のフミがチャンスメークしてくれたのは大きかったです。(自身の打撃について)もう全然ですね。まだまだダメです。(明日に向けて)明日しっかり勝って明治戦につなげていきたいです。

阿加多 直樹(法4)

(今日の試合を振り返って)バッターが打てなかったので、ピッチャーが頑張っていたんですけど。バッターの責任かなって感じですね。(白村投手をリードするにあたって意識した点は)今日結構真っ直ぐが良かったんで、どんどん押していこうと思っていたんですけど。初回は真っ直ぐを狙われていたんですけどそれ以降は落ち着いてピッチングできてて良かったと思います。(今日もリードされる展開で焦りはあったか)いやー焦りありました、かなり焦りました。それでもしょうがないんで落ち着いて、かなり焦っていたんですけどなんとかやりました。(自身の打撃内容については)全然ダメですね。4番打たせてもらっているんですけど、4番らしいバッティングできてないんで、もうちょっとしっかりしたスイングができないと。結果というか内容があまり良くないんで、そこを修正していければなと思います。(明日にむけて)明日も負けられないというか、負けちゃいけない試合だと思うんで、しっかり勝って明治戦につなげたいと思います。

影山 史貴(総4)

 (代打でヒットを放ったが)いつもと気持ちは変わらなかったんですが、チームが悪い流れだったので、打ててよかったです。(心境は)いつも通りでしたが、悪い流れだったので、流れを変えようと思っていました。(最近、代打での出場が多いが、心がけていることは)スタメンの時みたいに、前の打席をいかせるということができないので、初球から振っていこうと思っています。(最近チームが苦しい状況が続いているが、どのようにとらえているか)今苦しんでいても、また状態が上がってくると思うので、きっとチームにとっていい経験になると思います。(3回戦に向けて一言を)絶対に勝ちます。

鈴木 裕司(商4)

(今日の試合を振り返って)苦しかったですね、全体的に。でも我慢して我慢して我慢して、最後粘って勝てたので、そこは良かったと思います。(打席に立った時の気持ち)チャンスというか、与えられた出場機会が少ないので、その中でどうにか自分の力を発揮できるようにいつも集中して打席に入っています。(自身の8回裏の3塁打について)打席に入る前に昨日対戦していた福富と佐藤旭が相手ピッチャーの情報というか、球の癖とかを教えてくれていて、それを素直に聞いていたら打てました。(明日に向けて)明日はしっかり勝って、出来ればスカッとした勝ち方をして、気負わずにチームとして全員で戦って、いい形で勝って、優勝の前にある明治、早稲田と戦っていきたいと思います。

辰巳 智大(文4)

 (逆転勝利となったが)本当に危なかったので、勝てて良かったです。(勝ち越しのホームを踏んだときの心境は)ホッとしました。嬉しかったです。(昨日に続き、守備面での貢献も大きいと思うが)自分の持ち味は守備と走塁だと思っているので、そういうところからリズムを作っていけたらと思います。(今季は逆転勝利が多いシーズンとなっているが)どういう相手であれ、精神的にも難しいことだと思うので、いい傾向だと思います。(明日への意気込みは)明日しっかり勝って、先のことを言うのも難ですけど、明治、早稲田といい形でつないでいきたいと思います。

福富 裕(商4)

(今日の試合を振り返って)球場全体の雰囲気があんまり良くなかったんですけど、とりあえず勝てたんで良かったかなと思います。(追う展開になったが)1回に点取られるとあんまり思ってなかったんで焦っちゃって低めのボール球にずっと手を出して打たされて取られて・・・。追う展開でしたけど雨天コールドにならなければ追い付けるかなというのはありました。(7回の勝ち越しタイムリーについて)その前もチャンスあったんで、そこで打てなかったんで、もう2回目はここは絶対に決めようと思いました。(明日への抱負は)序盤にしっかり打ち崩して勝ちます。

白村 明弘 (商3)

 (試合を振り返って)勝てて良かったです。7回に勝ち越してくれて、勝ち投手がついてラッキーでした。調子も良かったです。(援護が無い中の粘投だったが心境は)失点した初回も良い当たりは無かったので、別に普通に投げていればいいかな、と思って投げました。(途中からストレートが多かったが)真っ直ぐを投げておけば打たれないなと感じていましたし、阿加多さんのリードもそういう意図だったと思います。(東大打線の印象は)特に無かったです。相手云々というより自分次第だと思っていました。普通に投げておけば良いんじゃないですか。(次の試合に向けて)明日は投げるかわからないですが一応準備しておいて、投げることになったらしっかり抑えていきたいです。

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