【ラグビー】大学王者に完敗 大学選手権へ課題を残す/関東大学対抗戦 帝京大戦

最終戦を勝利で飾ることはできなかった

最終戦を勝利で飾ることはできなかった

早慶戦での大敗から一週間。慶大は王者帝京大との対抗戦最終戦に臨んだ。ディフェンスに回る時間が長い中で慶大らしい粘り強さを見せたいところだったが、序盤から相手の圧力の前にペナルティが多くなってしまい、そこから次々とトライを奪われる。終盤、何度かチャンスをつくったものの得点を奪うことはできず、0‐75の完敗。最終戦を白星で飾ることはできなかった。

 

 

関東大学対抗戦 VS帝京大

2013/12/1(日)12:00 K.O.@秩父宮ラグビー場

得点
慶大 帝京大
前半 後半 前半 後半
0 0 T 4 7
0 0 G 3 4
0 0 PG 2 0
0 0 DG 0 0
0 0 小計 32 43
0 合計 75
 
慶大出場メンバー
ポジション
1.PR 青木周大(商3・慶應) →16眞鍋泰明(経3・慶應)
2.HO 中尾廣太朗(環4・長崎北) →17佐藤耀(総2・本郷)
3.PR 秋田智樹(総4・川越) →18吉田貴宏(総3・本郷)
4.LO 小山田潤平(経3・慶應)
5.LO 川原健太朗(環3・小倉)
6.FL 濱田大輝(総4.桐蔭学園) →21徳永将(商2・慶應)
7.FL 古岡是道(法3・慶應) →19大塚健太(環2・国学院久我山)

→20白子雄太郎(商3・慶應)

8.No8 森川翼(環3・桐蔭学園)
9.SH 渡辺諒介(経4・慶應) →22猪狩有智(経4・慶應志木)
10.SO 慶田兼紹(商4・慶應NY)
11.WTB 中村敬介(2・慶應)
12.CTB 石橋拓也(環3・小倉)
13.CTB 大石陽介(環4・修猷館) →23佐藤龍羽(環4・茗溪学園)
14.WTB 関東申峻(総3・宮古)
15.FB 下川桂嗣(商3・修猷館)
 

積極的な攻めを見せる石橋

積極的な攻めを見せる石橋

試合開始早々、慶大は敵陣でボールを奪うとそこから展開しCTB大石が左隅へキックパス。しかしFB下川には合わず、先制には至らない。この試合、キックを多用しエリアを取るというゲームプランで臨んだ慶大。4分、自陣での相手ボールラインアウトでプレッシャーをかけマイボールとすると、ここでSO慶田はキックを使うがダイレクトタッチに。再び自陣でラインアウトの権利を与えてしまうと、これを起点に帝京大が先制トライを決める。この後は互いにミスやペナルティもありチャンスをつかめずにいたが15分、ゴール前中央で慶大がペナルティを犯してしまいPGを決められ0-10。ここから王者が完全に流れをつかんでいく。立て続けにトライやPGで加点され29分の時点で0-32。大石らがタックルで応戦したものの、ミスなく前進を続けた王者はディフェンスの隙を突き着実に得点に結びつけた。その後は慶田のハイパントやスクラムからのNO8森川のゲインなどで反撃を試みるも、帝京大の鉄壁のディフェンスを打ち破ることはできない。0-32のまま前半を終えた。

 

スクラムでは帝京大と互角にやりあった

スクラムでは帝京大と互角にやりあった

後半、慶大はFWを大幅に入れ替え挑むが流れは変わらない。1分、早々に得点を許すと、4分、9分にもトライを奪われ0-51。それでもプラン通りキックを使い敵陣でプレーしようとするものの、ペナルティも響きチャンスにはつながらない。すると17分、自陣ゴール前5m地点でペナルティを犯してしまい、クイックスタートから一気にインゴールに持ち込まれる。その後さらに2トライを許し0-70となるが、ここから慶大がゴール前に迫るシーンが続く。まずは慶田が蹴ったキックオフのボールを帝京大がノックオン。敵陣でマイボールスクラムを得る。ここでボールを出した森川が素早く途中出場のSH猪狩につなぎ、猪狩が左サイドを駆けゴールライン直前まで進むが相手ディフェンスに追いつかれてしまう。ラックから右に展開するが、ここも相手に阻まれ慶大はペナルティを犯してしまう。さらにこの後、慶大がボールをつなぐ中でPR吉田からのパスを受けたWTB中村がゲイン。しかしゴール前で相手FBをかわそうと蹴ったボールはタッチラインを割ってしまう。こうして終盤に作ったチャンスを生かすことができなかった慶大は、終了間際にもトライを奪われ0-75でノーサイド。大学王者相手にまさに完敗という試合であった。

 

「大学選手権に向けても非常に大切な試合」(和田監督)であったこの一戦。帝京大のアタックに対し慶大らしいディフェンスで対抗したいところだったが、早慶戦と同じく11トライを奪われる結果に。「相手FWの圧力に押され、そうしたところから相手の余ったBKでゲインをされる繰り返し」(森川)で、慶大はペナルティが増えるばかりであった。また、キックでのミスがあり、自陣でのプレーを強いられてしまったことがさらに状況を厳しくさせた。それでも「スクラム、ラインアウトともに良かった」(LO川原)と、セットプレーは安定。手応えもつかんだ。早大、帝京大に大敗し流れがよくない慶大。しかし、ここからの大学選手権では負けられない戦いが続く。しっかりと課題を修正し、慶大の真の強さを見せてくれることを期待したい。

 

【ケイスポ的MOM】途中出場でチャンスを演出 SH猪狩有智

後半、猪狩が好ゲインでエリアを広げた

後半、猪狩が好ゲインでエリアを広げた

今季、慶大のBKリーダーを務める猪狩。対抗戦ではリザーブに入ることが多くなっているが、途中出場で試合の流れを変えている。この日も後半途中から出場し、終盤のチャンスを演出。自らゴールに迫ったシーンもあり、「あれは取りきらなきゃいけない場面」と悔しがった。ポジション争いの激しいSHの中でどれだけ持ち味を発揮できるかが注目される。

 

(記事 吉山祐未)

 

コメント

和田監督

今日の試合は、先週の早大に大敗したあと、大学王者の帝京大との一戦ということで次の大学選手権に向けても非常に大切な試合であると位置づけ臨みました。ただ、早慶戦と同じく11トライを取られての完敗でして、わたし自身の甘さ、チームとしての甘さがありました。

 

FL濱田大輝副将

今日は帝京大との対戦ということで、ディフェンスの時間が長くなるとは思っていました。その中で慶大の要であるディフェンスをどれだけ生かせるかどうかでしたが、帝京大の素晴らしいアタックの前にトライを取られてしまいました。しかし、これから大学選手権もあるのでそれに向けて頑張って行きたいです。

 

PR青木周大

(今日の試合を振り返って)やっぱり強いのはわかっていたし、強いのもわかっていたんですけど、結果として点差が開いてしまって、自分たちらしくない試合をしてしまったかなと思います。(どういったことを意識して1週間やってきたか)自分たちはタックルからつくっていくチームだし、その中で3年生が多く試合に出させてもらっている中で、3年生一人一人がリーダーになるという意識で1週間やってきたんですが、結果に結びつかなかったことがなにより残念です。(敗因としてはどういったことがあるか)セットプレーは正直勝っていたと思うし、チャンスをものにする力だとか、一人一人が前に出る意識だとか、根本的に差が開いたのは基礎的な部分だと思うので、出ている選手みんなが責任をもってそれを全うしなければいけないなと思います。(ペナルティが多かったが)チャンピオンチームに対して自分たちが100%以上のものを出さないと勝てないと思うし、相手より反則が多いということは反則をせざるをえない状況に自分たちが持って行っているという結果だからそこをもっと改善しないと、チャンピオンチームに挑戦するチーム状況にはなっていかないのかなと思います。(選手権に向けて)対抗戦は負けてもそれをいい教訓に次の試合に生かしていけるんですが、選手権は一試合一試合絶対勝たなければならない試合だし、どんなに泥くさくても結果だけを求めてやっていきたいと思います。

 

PR吉田貴宏

(今日の試合を振り返って)終始FWのところでゲインをきられてずっと向こうのペースだったなという感じですね。(対抗戦を振り返って)僕は明治大学戦から3試合メンバー入りして、試合に出たのは早稲田・帝京だったのですが、けが人も多く出てしまって流れが止まっている気がするので、筑波戦のようないい流れを大学選手権の最初から持ってこれたらいいなと思います。(後半からの途中出場でしたが、どんな気持ちで入ったか)ちょっと前にJr選手権で帝京とあたっていて、その時もやられてしまったので、リベンジできればという気持ちでした。(大学選手権に向けて)まず自分自身レギュラーとれるようにここから練習頑張って、レギュラーだろうとリザーブだろうと出たら絶対負けられない試合が続くので、勝ちに貢献できるようにプレーでチームを引っ張っていきたいです。

 

LO川原健太朗

(試合を振り返って)FWがじりじりいかれたところをBKでちょっとずつ前に出られて最後はBKで仕留められて、いわゆる完敗という試合でした。(意識したこと)とにかくチャレンジャーなのでディフェンスでもオフェンスでもひたすら前に前にということを意識したんですけど、ブレイクダウンなどの部分で受けてしまって太刀打ちできませんでした。(帝京大FW陣と対戦してみて)僕としては最後の方は来年もあるのでどうやったら帝京と互角にできるのかということを考えていて、来年もやる機会があると思うのでしっかり頑張っていきたいと思います。(セットプレーについては)早稲田戦はスクラムで結構押されてしまったんですけど、今日はスクラム、ラインアウトともに良かったと思います。(対抗戦全試合を終えて)これから大学選手権もあります。4年生とできるのもあとちょっとなので少しでも4年生を勝たせるためにも僕らはしっかり頑張って、ベスト4という今年掲げた目標を絶対達成できるように頑張っていきたいと思います。

 

NO8森川翼

(試合を終えて)監督の話にもありましたが、今年はベスト4を目指しているけれど、帝京と早稲田には負けてもいいという気持ちが少しでも部員全員にあったのかもしれません。入りから負けていましたが、FWのセットプレーではラインアウトも取れましたし、スクラムも割りと安定してボールを出せました。その点ではよかったですが、相手FWの圧力に押され、そうしたところから相手の余ったBKでゲインをされる繰り返しで、為す術がなかったという感じです。(ブレイクダウンでの感想は)後半の最後の方に少しファイトできたというのはありました。ペナルティをとられてしまったので後手後手に回ってしまいましたが、最後の方で少し手応えを感じられたのは収穫かもしれません。もちろん悪いことの方が多いですが、その中でも手応えを感じられたメンバーは多くいたと思います。(チャンスを演出したが、自身のプレーについて)ラインアウトで相手のボールを奪えた場面もありました。奥羽さん(学生コーチ)や小山田がラインアウトを徹底的に分析してくれた結果で、僕はそれを実行しただけなので、彼らには感謝しています。ラインブレイクに関してはほとんど隙がなかったですが、少しの隙が出たときに、ちょうどタイミングよく僕がそこにいたので、少ない相手の隙を突いてチャンスを作れたぐらいです。(大学選手権に向けて)あと3戦勝てば、もう一度早稲田、帝京に挑めるチャンスが残されています。そこで点差を縮めるだけでなく、逆転できるように、これから何をしなきゃいけないのか全員で考えて練習して、個々もチームも高めていきたいと思います。

 

SH渡辺諒介

(対抗戦を振り返って)僕の出た試合が早稲田と帝京の2試合で、自分の出た試合を振り返るならば、2つの試合とも大量得点されているので、ディフェンス面で強化していく必要があるのではないかと思う。(今日の試合を振り返って)最初エリアをとっていくゲームメイクをしようとしていたが、結果としては陣に釘付けになってしまったり、エリアをとるにあたってミスが重なってしまったので、BKの部分で足を引っ張ってしまった部分があったと思う。(今日はどんなことを意識してプレーしたか)エリアをとっていくこととFWが厳しい戦いになるので、アタックをする際にはテンポ良く真っ向勝負をしないようにゲーム作りを心がけた。(帝京のプレーはどうでしたか)フィジカルが強いということです。(大学選手権に向けて)自分がまずメンバーに入るよう頑張って行くのと、ディフェンスの部分でこの2試合あまりいい結果を残せなかったので、ディフェンスを強化していきたいと思う。

 

SH猪狩有智

(今日の試合を振り返って)ディフェンスを強化して臨んだのですがそれが出来なくて悔しいです。(苦しい時間帯の出場でしたが)少しでも流れを変えられればと思って出てトライチャンスもあったんですがそこをトライに結びつけられなかったのが後悔しています。(スクラムから89でゴールに迫るシーンもあったが)あれは取りきらなきゃいけない場面で僕が捕まった後もBKが取りきれなかったり全部だめでした。(見えた課題は)ディフェンスに尽きると思います。しっかりもう一回ビデオでチェックして少しでも改善していきたいです。(対抗戦を振り返って)最後早稲田帝京に大敗してチームとして雰囲気も流れもよくないと思うので4年生が少しでも変えていけるようにしたいです。(次に向けて)ここからひとつも落とせない試合が続くので死ぬ気で頑張りたいと思います。

 

SO慶田兼紹

(今日の試合を振り返って)最初から予想してたようにディフェンスでずっと苦しい時間が続いて、それにどれだけ交戦できるか、ディフェンスが続けられるかという試合だったのですが、重いFWと展開の速いBKに完敗した感じで、実力不足だったと思います。(今日のゲームプランは)今まで通りの攻め方ではなくて、10番の自分からキックを多めに使って、ハイパントとか、奥に蹴り込むキックを要所要所で使って、陣地を取って行く。そこでいつもと違った攻め方をしようと、皆でやろうと話していました。(キックの調子はどうでしたか)流れを切るダイレクトタッチ二本と、自陣の出さなきゃいけないところ一本、三本ミスしてしまったので、自分としてはそこが一番心残りで、悔しいところです。(対抗戦初スタメンの感触は)少し緊張はあったのですが、割とのびのびやれたと思います。(改善していきたい点は)BK皆で話しあったのですが、体を当てる練習とかまだまだで、慶應は重い相手に対して全体的に小さいので、基礎からやり直すことは、チームとして確認しました。自分としても、キックをミスしてしまうということは自分の持ち味が出せてないというとこなので、また基礎からやり直したいと思います。(今後に向けて)大学選手権、辛いグループで、どの大学も強いので、気を抜かずにこの三週間まずやり切って、立命館から、またチャンスがもらえたら、今日の課題を克服して精一杯勝ちに行きたいと思います。

 

WTB中村敬介

(対抗戦初スタメンだったが、どのような意気込みで臨んだか)帝京大は大学チャンピオンなので、僕としては、強い相手に対して、最初にスタメンに入れたということは本当に嬉しくて、出られない人の分もやってやろうという気持ちで臨みました。(今日は完敗だったが、振り返って)帝京対策としては、キックを多用する攻め方をするというのを決めてやってきていたんですけど、やっぱりBKのキックがダイレクトタッチになってしまったり、そういうミスによって、自陣でのプレーを強いられてしまって、自陣で帝京相手にプレーし続けるというのは、フィジカルも強いですし厳しくて、そこからどんどん点を取られていってしまって、結果として完敗してしまいました。(後半何度かトライのチャンスがあったが、どのような狙いでプレーしていたか)トライとられた後とかに、みんなでワンスコア、1回どんな形でもいいからワントライとろうっていう気持ちを入れて、最後のほうは継続して(攻撃しに)いったんですけど、正直キックするよりも、継続していって、感触としては自分たちのアタックは少しは通用していたと思っていて、それで攻めたことによってトライチャンスまでは行けたんですけど、そこはちょっとBKの詰めが甘くて、帝京のディフェンスにつかまってしまったと思います。(対抗戦全体を振り返って、大学選手権へ向けての収穫と課題は)個人的には、まだディフェンスの部分でチームに貢献できていないと思っていて、今までは後半負けているシーンなどで、出場する場面が多かったんですけど、ケガ人も出てきたりしていて、連戦なので、徐々に出場時間が増えてくるかもしれないので、そこでチームにまずはディフェンスで貢献して、チャンスがあればどんどん自分から行ければと思います。チームとしては、ここ2試合流れが悪く終わってしまっているので、大学選手権に向けて切り替えて、慶應らしい試合をしていければと思います。

 

FB下川桂嗣

(今日を振り返って)帝京とは力の差を結構感じました。FWががんばってくれてたのでもっとオフェンスでもディフェンスでもBKが前に出ていければよかったんですけどそこができなかったのでFWには申し訳なかったです。(相手から学ぶことはあったか)やっぱり1人1人のブレイクダウンの強さであったり、僕たちも目標にしなきゃいけない強さというものがわかったので、そこをもっと練習から求めていかなくてはと感じました。(全試合フル出場した対抗戦を振り返って)勝っている試合はいい雰囲気でいけているのでいいんですけど、1回負けて悪い雰囲気のときに誰が流れを変えるのかというところでそこがまだできていないのかなと感じます。3年もいっぱい出ているし、3年も含めて元気な選手がそういうことやっていかなきゃと思います。まぁ筑波、明治に勝てて、そこは自信になりますし、去年より順位も上がりましたし、一定の成果は得られたと思います。そしてそれに自信を持って前を向いて大学選手権に臨みたいです。(来週から始まる大学選手権に向けて)もう負けられないので、1日でも長く4年生とラグビーできるように全力で戦いたいです。

 

 

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