【ラグビー】少ない好機生かし、選手権初戦白星発進/大学選手権第一戦 立命大戦

児玉のトライに沸く慶大フィフティーン

児玉のトライに沸く慶大フィフティーン

 

早慶戦、帝京大戦とまさかの大敗を喫してしまった慶大。対抗戦3位とはいえ決して流れが良くない中でこの大学選手権に駒を進めた。慶大が入るプールCは立命大、明大、東海大とどの大学が勝ち抜けてもおかしくない激戦区。一つの敗戦も決して許されない緊張感あふれる試合が続くこととなる。そんな慶大の初戦の相手は関西リーグの覇者・立命大。「非常に規律が取れた」(和田監督)手ごわい相手だ。試合の方は前半数少ないチャンスを生かし14-10で折り返すと後半はFB児玉健太郎(環4)のランで2トライを奪い優位に試合を進める。その後は立命大の猛攻にあうもなんとか凌いで26-22でノーサイド。慶大が大きな一勝を掴むとともに、大学選手権ベスト4に向けて大きく前進することとなった。  

 

大学選手権セカンドステージプールC vs立命大

2013/12/8(日) 14:00  K.O.@長居陸上競技場  

得点
慶大 立命大
前半 後半 前半 後半
2 2 T 1 2
2 1 G 1 1
0 0 PG 1 0
0 0 DG 0 0
14 12 小計 10 12
26 合計 22
得点者(慶大のみ)

T=中尾、濱田、児玉2

G=慶田2、宮川

ポジション
1.PR 三谷俊介(総4・国学院久我山)
2.HO 中尾廣太朗(環4・長崎北) →17佐藤耀(総2・本郷)
3.PR 青木周大(商3・慶應) →18秋田智樹(総4・川越)
4.LO 小山田潤平(経3・慶應)
5.LO 白子雄太郎(商3・慶應) →19松野裕大(経4・慶應)
6.FL 濱田大輝(総4・桐蔭学園)
7.FL 木原健裕(総3・本郷) →20徳永将(商2・慶應)
8.No8 森川翼(環3・桐蔭学園)
9.SH 渡辺諒介(経4・慶應) →21猪狩有智(経4・慶應志木)
10.SO 慶田兼紹(商4・慶應NY) →22宮川尚之(環4・成蹊) →23中村敬介(経2・慶應)
11.WTB 服部祐一郎(総3・國學院久我山)
12.CTB 石橋拓也(環3・小倉)
13.CTB 大石陽介(環4・修猷館)
14.WTB 下川桂嗣(商3・修猷館)
15.FB 児玉健太郎(環4・小倉)
 

優れた身体能力を生かし石橋がゲインする

優れた身体能力を生かし石橋がゲインする

試合開始早々、2回にわたりターンオーバーを許した慶大は自陣に押し込まれると絶好の位置でペナルティーを犯しPGを献上。先に点を奪われる苦しい展開になるかと思われたが、相手がこれを外し慶大としては助かった形となった。その後、立命大の反則から児玉健太郎(環4)の持ち味であるロングキックで一気に22メートル以内に侵入する。そしてゴール前での攻防に持ち込むと立命大も必死のディフェンスを見せるが9分、中尾廣太郎(環4)が相手のラインを突き破ってトライ。慶大が待望の先制点をあげる。このまま流れに乗るかと思われたが、相手の組織的なアタックや自分たちの反則により自陣で防戦一方となってしまう。ゴール前での防戦で必死に粘る慶大であったが19分、Bksに展開されるとインサイドブレイクを許しインゴールを割られ同点に追いつかれてしまう。その後も流れを引き寄せることが出来ずにいたが27分、石橋拓也(環3)・大石陽介(環4)の両CTBの連続ゲインで一気にチャンスを作ると濱田大輝(総4)がトライを決め再び勝ち越しに成功する。その後はロングキックのエリアマネジメントで劣勢に立たされる場面も目立ち、再び自陣での戦いを強いられ3点を返されるも14-10とリードして前半を折り返した。特に相手のペナルティーから児玉のロングキックで敵陣に侵入するも、ラインアウトでノットストレートを取られ数少ないチャンスを生かせない場面が目立った。

児玉が久々に大暴れした試合だった

児玉が久々に大暴れした試合だった

 

何とかして勝利が欲しい慶大は後半開始から宮川尚之主将(環4)を投入。すると、立命大のキックオフのボールをキャッチし左サイドにボールを回すと宮川の機転の効いたパスで相手のディフェンスラインを翻弄。左サイドの服部祐一郎(総3)へとボールがまわり一気に敵陣に侵入する。最後は服部のフォローに回った児玉がランスキルを生かして走りきりトライ。立命大の出鼻を挫く。その後敵陣でラインアウトをスチールしゴール前でのFwd勝負に持ち込んだ場面もあったが、ほとんどの時間で立命大が試合のペースを握る展開となり、慶大は劣勢を強いられる。早慶戦や帝京大戦の時の慶大であれば、ここで相手の猛攻に耐えられずトライを奪われていたが、今日は「我慢をテーマにディフェンスした」(和田監督)と慶大らしいディフェンスで相手のアタックを食い止める。順目に攻めてくる立命大に対し、慶大は「人数を合わせ一枚岩になって」(三谷俊介・総4)必死のディフェンスをみせる。幾度となくゴール前まで持ち込まれるが、なんとかインゴールを割らせない慶大。すると30分、三谷が自陣深くでターンオーバーすると児玉がカウンター攻撃で左サイドを一気に走り抜け独走トライ。試合の大勢を一気に決めるトライとなった。その後激戦の疲労からか立て続けにトライを2つ奪われて4点差まで追い上げられるが、なんとか少ないリードを守りきって26-22でノーサイド。慶大が大きな勝利を手にした。

 

早慶戦、帝京大戦と大敗を喫し決してチーム状況が良くない中迎えた大学選手権。さらに相手は関西王者・立命大とあって非常に苦しい戦いになることも予想された。しかし、蓋を開けてみれば我慢を重ねての粘りのディフェンス・数少ないチャンスを確実に生かしたアタックと攻守にわたり慶大らしさがでた勝利となった。特に勝利を大きく引き寄せたのはディフェンスでの粘り。早慶戦、帝京大戦では1次アタック、2次アタックで簡単に大きくゲインを切られトライを奪われる場面がみられた。しかし、この試合では、我慢を重ねて規律のあるディフェンスを見せてくれた。最後に立て続けにトライを2つ取られたこと、ラインアウトの不安定さは課題であるが、「勝って反省できることはとても幸せなこと」(服部)。次の試合までに修正してくるだろう。

 

次の相手は明大。対抗戦では勝利をあげているが、「個々の力では明大には勝てない」(和田監督)。格上の相手であることを意識した上で、いかに慶大らしいラグビーが出来るかが鍵となる。この明大戦に勝利すれば目標である大学選手権ベスト4が大きく近づく。対抗戦の明大戦も大学選手権出場に向けた大一番であったが、次の明大戦も国立のピッチにたつための大一番だ。4年ぶりの国立の舞台のために―。もうこれから一つも負けられない。  

 

【ケイスポ的MOM】最前線の司令塔・三谷

Fwdの中核となっている三谷

Fwdの中核となっている三谷

 

 

ディフェンスで粘れたからこそ得ることができた今回の勝利。その中で一番体を張ってディフェンスをしていたのが三谷俊介だ。Fwdリーダーとして、献身的に相手のアタックを食い止め、ボール奪取を目論んでいた。この試合では後半に児玉のトライの起点となるターンオーバーを決めた。「今日はFwdのおかげで勝ったといっても過言ではない」。Fwdが最後まで規律を守ったからこそ相手のアタックを食い止めることができた。そして、そのお手本となったのが三谷なのだ。

(記事・住田 孝介)

 

 

 

 

和田康二監督

(今日の試合を振り返って)早慶戦、帝京大戦と非常に残念かつ応援してくださる方にも申し訳ない試合をした後だったので、なんとか今日は勝つことで悪い流れを断ち切りたかったです。そして、勝てて本当によかったです。(選手たちのメンタル面でのケアで意識したこと)過去は変えられないので、引きずらないことです。未来は今頑張ることで変えることができるので、前向きみ持っていくことです。(立命大について)非常に規律が取れたたチームです。ディフェンスは前に出て、アタックは組織的になっていますね。HB団は帝京大戦と同じだったが)帝京大戦で、ディフェンス面でやれた部分があったので、前半は少ないチャンスを生かしてリードした状態で宮川を投入することをイメージしていました。(ディフェンスの時間が長かったが)「我慢」をテーマにしました。我慢してタックルして起き上がって15人が立った状態で規律を守って組織的に守ることを意識させました。(セットプレーを振り返って)スクラムは問題なかったです。ラインアウトはそんなに悪くなかったとは思っているので悲観するところではないですね。(明大戦に向けて)個々の強さで明大に勝てないので、対抗戦のことは忘れ、チャレンジャーの精神を持って一戦必勝の精神で挑むだけです。

 

FL濱田大輝副将(総4

(今日を振り返って)我慢の続く試合だと分かっていたので、どれくらい我慢できるかが勝利の鍵だったのですが、ディフェンスが良い守りをしてくれました。そしてバックスが少ないチャンスを点につなげてくれたので良かったです。後半に2トライ決められてしまったことは課題となりましたが、とりあえず、勝てたので良かったです。(ゲームキャプテンとして意識していたこと)宮川を自分が支えてあげなければいけないというのはあったのですが、背負いすぎず自分のプレーに集中して、皆にも頼ってやっていこうと思いました。(大学選手権初戦の意気込みは)この試合で負けてしまうと、今後厳しくなってしまうので、重要な試合だと意識して臨みました。(対抗戦での課題は活かせたか)早大戦と帝京戦でのディフェンスは課題になっていたが、逆にあの2戦があったからこそ今日の善戦につながったのだと思っています。(トライシーンを振り返って)緊張の高まる、点の動かない試合だったので少しでも多く点を取りたいと思っていたのですが、大石、石橋が良いブレイクしてくれたので、自分はそれをサポートしただけです。みんなのトライという感じですね。(明大戦に向けて)一回対抗戦で勝ってしまっているので、みんなの気持ちが緩まないように締めていかなければならないと思っていますし、明大の強いディフェンスにどう対抗するかが鍵となるので、今日のように粘り強いディフェンスが出来るように意識していこうと思っています。  

 

PR三谷俊介(総4

(今日の試合を振り返って)後半危ない場面もありましたが、勝てて良かったです。2つの大敗を経て準備してきたこと)ディフェンス面で簡単にトライを取られすぎたので、「我慢」をテーマに何度攻められてもインゴールを割らせなかったことがあの試合を経て成長したことかなと思います。(立命大について)関西1位ということもあり、アタックの威力はありましたが、対抗戦の方が激しさがあります。(自身のプレーを振り返って)アタックの面で目立ちたかったのですが、ディフェンスの時間が長くそこでは目立てたので良かったです。(ディフェンスの時間が長い中で意識したこと)立命大は順目に攻めてくるので、人数を合わせることと、一枚岩で守ることを意識しました。(ラインアウトでは不安定な場面もあったが)審判とのコミュニケーション不足だったなと思います。Fwd全体を見て)今日はFwdのおかげで勝てたといっても過言ではないくらいオフェンスでもディフェンスでもよく頑張れました。(明大戦に向けて)対抗戦で勝ったとこは忘れて、力で劣っていることを忘れないで慶大らしくひたむきにやっていきたいです。

 

HO中尾廣太郎(環4

(どのような気持ちでこの試合に臨んだか)現実問題、あとがないっていうか負けたら終わりだったのでなんとしても勝ちたいという気持ちで試合に臨みました。(今日の試合を振り返って)環境の違いを感じました。今日の試合はセットプレーに尽きると思うんですけど、正直レフェリーの違い、関西ということで自分の思ったようにいかなかったんですけどそこも1つ勉強になったと思います。(今日感じた課題は)スローイングというかスローイングのレフェリングに対する対応ができなかったことです。(次節は大事な試合になるが)いつも通り自分らしく頑張りたいです。

 

WTB服部祐一郎(総3

(この試合にどのような気持ちで臨んだか)大学選手権ということで負けたらほぼ終わりということで緊張したんですが、自信を持って臨もうということでそれが普段通り実行できて良かったです。(今日の試合を振り返って)本当に勝てたことがすべてで次に繋げることができて良かったんですけど最後にトライを奪われた局面が反省点だと思うので、勝って反省できることはとても幸せなことであると思うので、次の試合までにそこを修正したいです。(後半開始早々に奪ったトライを振り返って)あそこは本来だったら自分で取りきりたかったんですけど、児玉さんがいいサポートをしてくれてチームにとって大きなトライになりました。(次節明治大戦に向けて)明治は1回勝っていますが、向こうをリベンジということでしっかり準備してくると思うので、それ以上にいい準備をして試合に臨みたいなと思います。

 

CTB石橋拓也(環3

(大学選手権ということで何か気持ちの違いなあったか)試合に挑むという気持ちに変わりはないのでそんなにいつもと違う気持ちではなかったです。(今日の試合を振り返って)ボールスキルの場面で何度か相手に奪われてしまうところがあったので、次の試合までに直していきたいです。(今日の収穫と課題は)今日は全体的にタックルがすごい激しくて、相手を仰向けに倒す場面が多かったんですけど、最後のほうの時間で簡単にとられてしまったので集中力を切らさずいきたかったです。(次節に向けて)明治には1回勝っていますがおごらず挑戦者の気持ちで臨みたいです。    

 

CTB大石陽介(環4

(今日を振り返って)勝利できてほっとしているのと同時に、最後相手に追い詰められたのを反省しないといけないなと思っています。(大学選手権初戦の意気込みは)宮川も復帰して、チームとして万全な状態で挑めたので良かったです。関西一のチームとあって、ここを勝利できればいい流れになると思っていました。(対抗戦での課題は活かせたか)対抗戦では早大戦、帝京大戦と守りに入ってしまっていたところがあったので、今回はアタックで前に出ることを意識しました。今日の試合は、前半から後半の最後まではそれを活かせたのですが、苦しい時間帯ではそれが出来なかったため、反省しなければと思っています。(濱田のトライをアシストするブレイクをしたが)ボールを良い状況でもらえたわけではなかったのですが、とにかく前に出たら抜けることが出来たので、うまくつながってよかったです。(明大戦に向けて)ハーフに新しい選手が入って、前回戦った時と全く違うチームになっていると思うので、前回勝利したことは忘れて基本に戻ってしっかりやっていきたいと思います。  

 

FB児玉健太郎(環4

(今日の試合を振り返って)もう負けられない試合だったので、とりあえず勝てて良かったです。2つの大敗を経て準備してきたこと)強いチームとやって苦い思いをしてきたのが立命大にはない慶大の強みであると思ったので、いい経験になりました。(立命大について)主将を中心によくまとまっておりいいチームであると感じました。(自身のプレーを振り返って)今日はキックもランもいい出来でした。(トライシーンを振り返って)走りきれてよかったです。(試合間隔が短くなるが)今日は全然疲れてないので、問題ないです。(明大戦に向けて)キャプテンが厳しいので、自分がリーダーだと思ってチームを国立に導いて行きたいです

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