【バスケ】四連勝で見せた慶大の意地!伝統の慶関定期戦 vs関大

 

要所のハッスルプレーでチームを救った伊藤主将。最後の慶関戦でも遺憾なくその能力を発揮した。

要所のハッスルプレーでチームを救った伊藤主将。最後の慶関戦でも遺憾なくその能力を発揮した。

今年で82回目を迎える、慶関バスケットボール定期戦。一年ぶりの関西大学との伝統の一戦で、昨年につづき完全勝利を目指す慶大。今年は慶大を会場とし、関西大学を迎えて戦う試合となった。先に見据える京王電鉄杯や早慶戦への指標となる重要な大会であったが、第一試合・第二試合ともに、手を焼きつつも手堅い勝利を奪取。ホームでの優勝という結果は、今後への自信や成長に必ず結びつくはずだ。   一日目(4月12日)  

2014/4/12(土)@慶應義塾日吉キャンパス 日吉会堂
第82回慶関バスケットボール定期戦 第一試合
  1 2 3 4 合計
慶大 12 15 21 25 73
関大 11 10 13 28 62
◆慶大スターティングメンバー
  選手名(♯背番号・学部・学年・出身校)
PG ♯4 伊藤良太主将(環4・洛南高)
SG ♯5 吉川治瑛(環4・世田谷学園高)
SF ♯9 中村滉平(理4・慶應高)
PF ♯6 権田隆人(政4・慶應高)
♯7 黒木亮(環3・延岡学園高)
第1Q。伊藤主将が「イージーミスがすごく目立ってしまった」と振り返った序盤、パスのミスやレイアップなどのイージーシュートを連続で外すなど、重い立ち上がりとなる。開始1分半、伊藤の3ポイントシュートでようやく得点を決めるが、その後も得点までつなげることができず、よくない流れが続く。ロースコアの展開の中、後半にメンバーを総入れ替えすると、途中出場の真木達(環3・國學院久我山高)がアシスト、スティールから速攻を決めるなどリズムを作る。しかし、1Qを通して勢いに乗ることができなかった慶大は、関大に対して点差をつけることができず、12-11で1Qを終えた。 1Qの重い流れを断ち切りたい2Q。序盤から伊藤、吉川、権田が3ポイントを狙うなど、積極的な攻撃を見せる。一進一退の展開が続くが、「ディフェンスとリバウンドから声を出す」(黒木)ことから一気に引き離したい慶大。後半からディフェンスリバウンドを連続で奪い取ると、徐々に流れを引き寄せる。終盤には、西戸良(総2・洛南高)がバックシュートを決め、会場を盛り上げた。ディフェンスが機能し始めた2Q、27-21で前半を折り返した。

副将としての責任感を背負って慶関戦に臨んだ吉川。いかなる窮地も切り抜けるドライブは必見だ。

副将としての責任感を背負って慶関戦に臨んだ吉川。いかなる窮地も切り抜けるドライブは必見だ。

序盤になかなか得点を奪うことができなかった前半。早くからオフェンスを機能させたい3Qは、権田のアシストから吉川がゴール下を沈めると、黒木はオフェンスリバウンドからゴール下を決め、幸先の良い出だしとなった。その後も黒木が着実にレイアップを決めると、権田のミドルシュート、伊藤のこのQ2本目となる3ポイント、と主力選手の安定した活躍で連続得点を奪い取り、リードを広げる。5分を過ぎメンバーを入れ替えても、ミドルシュートがリズムよく決まり、良い流れのまま14点リードの48-34で最終Qへ。 最終Qが始まると、ファウルやミスが目立ち、相手にシュートを決められてしまう。伊藤がファウルを奪いフリースローを手堅く決めるも、じわじわと点差を詰められる。しかし、中盤に差し掛かり、伊藤と吉川が連携の取れたパス回しからシュートを沈めると、「少ないチャンスで決められた」(権田)というように、権田がチャンスをものにして得点を重ねた。終盤は中村がディフェンスリバウンドを奪うなどディフェンス面で活躍すると、吉川は連続でシュートを決め積極的なオフェンスも展開する。相手のファウルから得たフリースローのチャンスも確実に得点にし、73-62で勝利した。   ベンチメンバーも出場した総力戦で、一年に一度の定期戦の初戦を勝ちとった慶大。主将の伊藤が「確率は本当に悪かった」と振り返ったように、まだまだシュートの精度など反省材料も多く、理想とするプレーには届いていないだろう。しかし、メンバーを総入れ替えした際も流れを渡さずにリードを保ったこの試合は、新チームの層の厚みを感じられるものでもあった。翌日の試合は「もっと離せる」(権田)ように、そして「全員が全力でプレーして圧勝できるように」(伊藤)、完全勝利に向け一丸となって戦ってほしい。

(記事・近藤 侑未)

二日目(4月13日)

2014/4/13(日)@慶應義塾日吉キャンパス 日吉会堂
第82回慶関バスケットボール定期戦 第二試合
  1 2 3 4 合計
慶大 25 19 14 22 80
関大 10 21 15 23 69
◆慶大スターティングメンバー
  選手名(♯背番号・学部・学年・出身校)
PG ♯4 伊藤良太主将(環4・洛南高)
SG ♯5 吉川治瑛(環4・世田谷学園高)
SF ♯9 中村滉平(理4・慶應高)
PF ♯6 権田隆人(政4・慶應高)
♯7 黒木亮(環3・延岡学園高)

権田は堅実かつ安定感のあるプレーでチームを牽引。速攻を走り、スリーも打てるユーティリティプレイヤーだ。

権田は堅実かつ安定感のあるプレーでチームを牽引。速攻を走り、スリーも打てるユーティリティプレイヤーだ。

慶大ボールで幕を開けた慶関戦二日目。試合開始一分、黒木のゴール下得点に続き伊藤が冷静に3ポイントを沈めて会場を湧かせる。一日目とはうってかわって幸先の良い立ち上がりのように思われたが、関大の恵まれた体格を前に、思い通りのプレーをすることが出来ない。上背のある相手インサイドに手を焼き、無理な攻撃が目立つ中、この日も吉川の積極性が光る。巧みなドライブでペイントエリア内へ飛び込み、鮮やかなレイアップシュートを決め、副将の意地を見せた。1Q後半にさしかかると途中出場の真木達(環3・國學院久我山高)や西戸良(総2・洛南高)、後藤宏太(環2・藤枝明誠高)らが奮闘。相手のミス全てを慶大のチャンスとするには至らなかったが、堅実なプレーで点差を離し、15点のリードで第一ピリオドを終えた。続く2Qの開始早々、「外の得点を意識して獲る」(伊藤)と述べた通りに、またもや伊藤の正確無比な3ポイントがネットを揺らした。1Q終盤の良い流れを引き継ぐべく、伊藤を中心にひたすらパスを縦に繋ぎ展開の速いバスケットで関大を翻弄する。お馴染みのインサイド陣である権田・黒木がペイントエリア内で苦戦する一方で、抜群の存在感を示したのは中村だった。「泥臭いプレーをするといのが自分の役目」(中村)の言葉に違わず、強靭なフィジカルを生かしたフックシュートでチームに貢献した。上級生の活躍によりゲームの主導権は保持しているものの、あと一歩のところで真骨頂を発揮できずにいる慶大。そんな中で、上級生に負けじとキレのあるプレーを見せ付けたのが西戸と後藤の新二年生コンビだ。粘り強いディフェンスと高精度のミドルを武器に攻守で奮闘。下級生ながら頼もしいプレーを披露した。ゲーム展開に大きな動きは無く、前半終了。勝負の3Qへと臨む。

ルーズボールやリバウンドなど、「みんながやりたがらないことをやりたい」と語る中村。増えゆく出場機会の中で着実に結果を出している。

ルーズボールやリバウンドなど、「みんながやりたがらないことをやりたい」と語る中村。増えゆく出場機会の中で着実に結果を出している。

この試合で大きな課題を残したのは第3Q。伊藤・吉川が要所で得点を重ねる一方で、イージーシュートの取りこぼしが目立った。シュートの決定率が下がり、徐々に焦り出した慶大を尻目に、関大のオフェンスは更に勢いを増す。巻き返す糸口とするべく、黒木が自らのスティールをレイアップシュートにつなげるも、なかなか流れに乗ることが出来ない。最終的にこの試合を通して最もロースコアの14点を何とか稼ぎ、いくつかの改善点を得て最終ピリオドへと突入することに。悪い流れを断ち切り、相手を圧倒して勝利を飾りたい慶大。4Qが始まるや否や、一人ひとりが積極的にリングを狙い、慶大の流れに持ち込もうと試みる。試合開始後2分が経過し、伊藤の強気なカットインが会場を湧かせたことを皮切りに、次第にチームの士気が高まり始めた。初戦の後に「もっと打ってよかった」と口にした権田の連続得点や、真木のトリッキーなレイアップが続けざまに決まり、慶大のボルテージは最高潮に。ファールの多さやリバウンドに関して不安要素は散見されるも、選手一人ひとりが見せ場を作り、このQでは22得点をマーク。完璧な試合運びとは言えないまでも、充実した内容で関大を下し、今年の慶関定期戦を終えた。

苦しい場面も多く見られたが、結果として慶関定期戦を優勝という形で締めくくった慶大。この経験を糧に、強豪揃いの京王電鉄杯や今年度の戦績を占う早慶戦へと更なる飛躍をすることに期待がかかる。リバウンドやイージーシュートのミスなど、「練習でやったことが発揮できなかった部分がたくさんあった」(権田)部分を改善し、昨年のリーグ戦のように堅実な勝利を積み重ねていくことが鍵となるはずだ。新体制発足から約二ヶ月。試行錯誤しつつチームの成長を続ける慶大から目が離せない。

(記事・埜村 亮太)

◆試合後コメント◆

阪口裕昭HC

(試合を振り返って)いけそうでいけない難しい試合でしたね。(後半から流れがよくなったがハーフタイムの指示は)ない。選手たちに任せていますね。今日は4年生が中心となってまとめてくれました。スターティングの5人中4人が4年生で、最終Qは5人とも4年で、ちょうど今チーム作りをやっているところだから、まず同期でくっつけることを頑張っています。今は勝ち負けよりもチームのベースや根幹を作るようにしています。(六大学の時に意識されていた選手とのコミュニケーションは)就職活動で歯抜け状態だから、なかなか難しいのだけれど、就職をまずは大事にしてもらって、ただ、早慶戦も近づいているので、早慶戦に絶対勝てるように頑張ります。

[G] 伊藤良太主将(環4・洛南高)

(試合を振り返って)良くなかった面の方が多くあって、まず出だしの部分でイージーミスがすごく目立ってしまったのと、自分達の持ち味であるディフェンスからの速攻がほとんど出なかったこともあり、スタメンの5人もベンチから出てくるメンバーも不完全燃焼で終わってしまったのがやっていてすごいもったいない試合になってしまいました。いかに1人1人が心身ともに充実して明日の試合に向けられるかが今の一番の課題だと思いました。(序盤からアウトサイドのシュートを積極的に狙っていましたが、意識していたことは)今年一年、特に意識している外の得点を獲る面を、阪口先生からも求められていると思うので、ガードは福元だったり真木であったり権田に任せて、自分は外のシュートはフリーだったらいつでも打つってことを決めています。まぁそこは、確率は本当に悪かったので、もっと練習しなければいけないんですけれども、そういった外のシュートって部分は練習中からすごい意識して取り組んでます。(相手チームの気になる選手は)今日は出てなかったんですけど、洛南高校の同期が1人いまして、その選手は明日B戦か分からないですが出ると思うので、その選手はけっこう気になる選手です。あと実際今日マッチアップしてた10番の福澤くんはすごく上手いプレーヤーで、ガードとしてすごいしっかりしているので、彼を明日どこまで僕がおさえられるかが、また点差を離して勝てるかのキーになると思います。(明日の試合に向けて)まず今日の試合はすごく不甲斐ない試合だと思っているので、主将としてチームの雰囲気をここからまた変えていって、B戦A戦と共に全員が全力でプレーして圧勝できるように頑張りたいと思います。

[G] 吉川治瑛(環3・世田谷学園高)

(試合を振り返って)今日はチーム的にも個人的にも本当に良くない試合だったと思います。ミスも多かったですし、外のシュートも入りませんでした。そういう時にはドライブや中のシュートの得点が大切になってきますが、その切り替えを試合中にすることができませんでした。(関西大学への対策は)関大に対しての対策は特にしていませんが、六大学を経て、自分たちで反省し改善した点をしっかりこの試合で試そうと思い臨みました。(指示を多く出していたように見えたが)自分自身4年生として、副将として、しっかりしなければいけないという立場でもありますし、自分はプレイ中に冷静に全体を見ることができる方だと思っているので、皆に次は何をやらなければいけないかを的確に指示していこうと思いました。今日の試合では流れが悪い時や、自分たちが今までやってきたことが出来ていない時に、自分が流れを変えることはできなかったので、まだまだだなと感じました。(後半に多くゴールを決めていたが)自分は得点を取ることが得意なのですが、前半は得点にも絡めませんでしたし、ミスも多かったので、後半は意識的に自分からゴールを狙っていきました。指示を出すことも得点を狙うこともどちらもやらなければならないことなので、それらを両立させることが今後の目標です。(明日の試合に向けて)今日は実力的にはもっと点差を開くことが出来る試合でした。本当に反省する点が多かったので、個人的にもチーム的にもしっかり修正をして、Aチーム戦もBチーム戦も勝てるようにチーム全員で戦いたいと思います。

[F] 権田隆人(法4・慶應高)

(試合を振り返って)もっと離せる相手だと僕自身は思っているので、今年から1部で僕たちはやりますし、練習してきたことであったりやってきたことの積み上げであったりとか、もっと実力を発揮できれば離せた試合かなとも思います。ただ勝つことが最低条件という中で勝利できたのはよかったと思うんですけど、まあもう少しかなと思います。(自身のシュートについて)あんまり打ってないので、少ないチャンスで決められたというのはいいと思うんですけど、もうちょっと得点の部分でも出せる部分はあると思いますし、今日はたまたま入ったんですけど、もっともっと得点が入るように自信をもっていつもやっているので、もっと打ってもよかったかなと思います。(1年ぶりの関大との試合だったが)1年ぶりに会った友達というか、僕ももう4年目なので4回目になる友達も何人かいて、試合前なんかも仲良くお話とかもさせていただいて。気心の知れたとまでは言わないですけど、やはり仲良いということで面白い部分もありますし、こういう繋がりというのはこれから先も大切にしていかないといけない繋がりだと思うので、試合という一つの手段を通じてこういう風に仲良くなれているのも大切だと思います。今日の夜もレセプションがありますし、明日も試合があるので、もっと仲良くなっていきたいなと思っています。(明日の試合に向けて)修正点がたくさんある試合で、ディフェンス、オフェンス、といったいろんな面で、練習でやったことが発揮できなかった部分がたくさんあったと思います。実際に必要なことはたぶん今までやってきたことをしっかり確認することで、そういうことができれば点差ももうちょっと開くと思いますし、しっかりと慶應のバスケットをできると思うので、一晩しっかり考えて反省して、明日につなげていきたいと思います。

[F] 中村滉平(理4・慶應高)

(2日間にわたる慶関を振り返って)僕たちがシーズン入りしてから去年と同様にリバウンドとディフェンス・ルーズボールを頑張ろうといってきたんですが、2試合通して相手にリバウンドを取られてしまいました。いくら相手が少し大きかったにしてもルーズボールも負けていたので、その分相手にオフェンスのチャンスを多く与えてしまうので点差が離れず、本来なら20点差つくところが10点差ぐらいになってしまいました。絶対勝てるチームに接戦してしまったというのが、今後の早慶戦、リーグ戦に向けて改善しないといけない点だと慶関を終えて思いました。(スタメンとして試合に出ることについて)スタメンは体育会に入って初めてだったんですが、僕がやることは何も変わらないと思っています。点が取れるのは伊藤・吉川・権田とかなんで、僕ができることはやっぱりリバウンドであったりディフェンスで、僕がボールを取ればあとは残りの仲間がなんとかしてくれるので、泥臭いプレーをするというのが僕の役目だと思っています。ですのでスタメンであってもいたすもとやることは変わりません。(フィジカルを使ったプレーに関して)僕は黒木みたいに190㎝あるわけでもなく、かといって伊藤・吉川みたくボール持って一対一ができるわけでもないので、何ができるのかと考えたときに、中学高校のときから横幅があったので筋トレをはじめて、みんながやらないことをやろうと思いました。リバウンドとかやっぱり体がぶつかり合うのでみんなやりたがらないので、僕がそれをやってみんなが楽してシュートを打ってほしいと思いながらプレーしています。(今後の抱負)監督がどういった選手起用をするかわからないですけど、もし出してもらえるんだったら僕がやることはただ一つだけ、リバウンドです。泥臭くプレーして、出なくても4年生として外から声掛けをして、ピンチの場面を声で救っていけたらいいなと思います。

[C] 黒木亮(環3・延岡学園高)

(試合を振り返って)関大とやる機会というのは年に1回しかなくて、その中で六大学から見えてきた課題というのを修正していこうということでこれまで練習をやってきたんですけど、みんな硬い感じで入っちゃっててうちらしさを出せてなかった部分が多かったと思います。(入りがかたい部分をそのように修正しようとしたか)まずは声を出して、ディフェンスとリバウンドから声を出すのがうちだと思っているので自分自身も下から声出してディフェンスハッスルしてリバウンドを取ったらそこからリズムを作っていこうという感じで意識してやってました。(相手チームへの対策)チームとしてはあまりないですが、個人としてはインサイドにやられないように試合に臨んだんですけど、やられる場面も多々あったし、もっと詰めてやれるなというディフェンスも多くあったのでそこは反省点だなと思います。(明日への意気込み)明日勝てば完全優勝なんですが、今日出た反省点を生かせるようにしないとこれから先も勝っていけないと思うので、もちろん完全優勝してこの慶関というシリーズを終えることを目標に頑張っていきたいと思います。

※この度は掲載が試合後大幅に遅れてしまい大変申し訳ありません。

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