【テニス】池田・西本組が2連覇!ルーキーたちの活躍も光った大会に  関東学生テニストーナメント大会

 

この2人の進化は、一体どこまで続くのだろうか―。8月に行われるインカレの予選となる関東学生テニストーナメント大会(通称:春関)。例年に比べ各種目で波乱が続いた今大会で、昨年の大会覇者であり第1シードとして登場した池田玲(環3・富士見丘高)・西本恵(総3・岡山学芸館高)組が女子ダブルス2連覇を達成。西本は女子シングルスでも決勝に進出し、惜しくも単複二冠とはならなかったがシングルスでは初の準優勝を飾った。また、新1年生の上杉海斗(環1・清風高)、江代純菜(総1・九州文化学園高)、村瀬早香(環1・京都外大西高)がインカレ本選出場権を獲得し、ルーキーの活躍も光った大会となった。

トロフィーと表彰状を手に笑顔の池田(左)・西本(右)組

トロフィーと表彰状を手に笑顔の池田(左)・西本(右)組

 

 

◆関東学生テニストーナメント大会

2014/5/5-5/13

有明テニスの森公園・亜細亜大学

 

○池田玲・西本恵組 ―優勝までの軌跡―

1R シードのため免除

2R 6-0、6-1        水沼・江見(法大)

3R 6-2、6-4        山口・梶川(駒大)

QF 6-0、6-1        菅村・古川(筑波大)

SF (6)6-7、6-2、10-3本郷・寺見(山学大)

F  2-6、6-3、11-9   吉富・間中(早大)

※ダブルスのみ第3セットはスーパータイブレーク(10点先取)

 

 

ダブルスでは既に数多くの栄冠を手にしてきた西本も、シングルスのタイトルには縁がなかった。それでも昨季の春関、インカレではベスト8、冬のインカレインドアでは準優勝と徐々にステップアップを果たし、「(タイトルを)獲るだけの能力」(坂井利彰監督)を持つ選手へと成長してきた。そして迎えた今大会、パワーの増したストロークで相手を圧倒していく。失セット数0とこれ以上ない状態で決勝戦に臨んだ。

パワーの増した西本のフォアハンド

パワーの増した西本のフォアハンド

高校時代からのライバルでもある吉富(早大)との決勝戦。攻撃力が持ち味な2人だけに、試合は白熱のラリー戦が繰り広げられた。第1セットは序盤で吉富の些細な隙を見逃さなかった西本がブレークに成功し6-3でセットを奪う。しかし第2セットに入ると、後のない吉富がギアを上げて西本に襲い掛かる。これに西本が引いてしまい、コートの後ろに下げられる展開が続く。ミスも目立って大差でセットを落とすと、第3セットもゲームポイントやブレークポイントがありながら大事なポイントを取りきれない。終盤のブレークも時すでに遅く、3-6で試合終了。3時間近くに及んだ熱戦を制せず、あと一歩のところでタイトルをつかむことができなかった。

 

屈辱の敗戦から約1時間半後、2連覇をかけた女子ダブルス決勝戦に挑んだ。相手は西本がシングルスで敗れた吉富と間中の早大ペア。リベンジを果たすには絶好の機会だが、シングルスの激闘の疲労からか西本の動きが重い。池田も本調子とはいかない中で早大ペアの攻めに対応しきれず、2-6でセットダウン。スコア以上に内容では差のついた幕開けとなった。

「自分たちのやるべきことをしっかり決めて」(西本)臨んだ第2セット。池田のネットプレーを軸にリズムを取り戻し始める。一方で第1セットは完璧なプレーをみせた早大ペアにミスが増え始める。序盤で奪ったリードを守りきり、勝負の行方は最終セットに委ねられた。

勝負所で強さをみせた

勝負所で強さをみせた

運命の第3セットは、互いにリードを奪いたい中、ポイントを取っては取られての繰り返しで進んでいく。同点で迎えた最終盤、ここで池田が前衛で完璧なポーチを、後衛では相手の裏をかく絶妙なストロークを決めていく。一番緊張する大事な場面で池田のスーパーショットでポイントを重ねる。迎えたチャンピオンシップポイント。最後も池田のボレーがサイドラインをかすめていった。この瞬間、昨季に続く春関ダブルスの栄冠が池田・西本組にもたらされたのだった。

 

試合終了直後、西本の目には涙が

試合終了直後、西本の目には涙が

試合を終えた王者の目は、真っ赤に染まっていた。昨季の優勝ペアとして、第1シードとして、「色々なプレッシャーや不安を抱えて」(池田)三度目の春関に臨んだ二人。過去の2年と比べれば、スコア以上に苦しく険しい戦いの続いた大会だったといえるだろう。それでも、重圧を、逆境をはねのけてチャンピオンの称号を守り抜けることが、大学ナンバー1ペアたる所以か。

 

 

闘志あふれるプレーが近藤の持ち味だ

闘志あふれるプレーが近藤の持ち味だ

また今大会全体を振り返ると、ルーキーの活躍が光った。男子では上杉がシングルスでシードを相次いで撃破しベスト16入り。女子では江代が昨季まで2年連続決勝進出していた宮地(早大)を下し、村瀬は藤岡莉子主将(総4・徳島市立高)と組んだダブルスで早大のナンバー1ペアを倒して、ノーシードからベスト4へ勝ち進んだ。さらに新進大会で安形玲耶(環2・城南学園高)との同期対決に敗れた小林夏実(環2・秀明八千代高)が安形に雪辱を果たせば、今までシングルスでは思うような結果を残せなかった近藤大基(環4・湘南工科大学付属高)は上位シードを下してベスト4入りするなど、個々の成長も要所で垣間見えた。

 

約1ヶ月後には早慶対抗庭球試合を迎える。ここ近年は勝利こそないものの、試合内容やスコアをみれば早大との実力差は少しずつ縮まってきている。さらに早大は男子シングルスでベスト4進出者が0人とやや調子を落とし気味だ。「早大に勝つ、そしてチャンピオンになる階段を一歩ずつ駆け上がっている」「夏に向けて課題もある一方でタイトルも十分に狙える位置にいると思う」(坂井監督)と、チーム全体が“打倒早大”を現実的なビジョンとして見据えている。今季の早慶戦は、一波乱ありそうだ。

 

(記事・写真 飯田駿斗、河合佳祐)

 

 

○慶大選手結果(本戦での上位進出者のみ)

(※はインカレ本戦出場決定者)

 

[男子シングルス]

ベスト4 …※近藤大基

ベスト16…※高田航輝、※上杉海斗、※権大亮

ベスト32…谷本真人

ベスト64…渡邊将司、井上善文、矢野隆志

 

[男子ダブルス]

ベスト8 …※井上善文・近藤大基組

ベスト16…渡邊将司・谷本真人組、高田航輝・上杉海斗組

ベスト32…権大亮・桐生光之介組

 

[女子シングルス]

準優勝  …※西本恵

ベスト4 …※小林夏実

ベスト8 …※江代純菜、

ベスト16…※安形玲耶、※藤岡莉子

ベスト32…池田玲、坂元君佳

ベスト64…秋元玲乃

 

[女子ダブルス]

優勝   …※池田玲・西本恵組

ベスト4 …※藤岡莉子・村瀬早香組

ベスト16…坂元君佳・今橋真優組

ベスト32…篠田美里・小林夏実組、安形玲耶・首藤みさき組

 

(上記に加え、5月17日から行われるコンソレーションを経てインカレ本戦出場者が決定する)

 

 

○チャンピオンスピーチ(一部抜粋)

 

池田玲

 

「今大会はダブルスで第1シードがついたり、冬場に練習できない時期があったりと色々なプレッシャーや不安を抱えて臨んだ今大会でしたが、こうやって西本と組んで昨年に引き続き優勝という結果で終わることができて、素直に嬉しい気持ちです。毎日朝早くから夜遅くまで応援やサポートをしてくださった部員の皆さん、本当に感謝しています。今大会ではまた色々な課題が出たので、それをこれからの練習で取り組んでいって、インカレ・リーグ・王座と続くのでチーム全員でもう一回頑張っていきます。今日は本当にありがとうございました。」

 

西本恵

 

「会場に毎日足を運んで下さった監督やコーチ、OBOGの皆様、一緒に戦ってくれた部員の皆様、ありがとうございました。プレーが思うようにいかないときもあったんですけど、その中で多くの人に支えられてここまで来ることができました。この大会でも本当に多くの人に支えられていると感じることができました。シーズンはこれからなので、皆ともっともっと強くなっていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。」

 

 

○監督・選手インタビュー

 

坂井利彰監督

 

―今大会を振り返って

 

「この春関はインカレにつながっていて、ここが最終目標ではないんですけど、冬場からやってきたことがどれぐらい成果として出せるかというところでこの大会に臨みましたが、新1年生の活躍もありながら狙っていたところで(タイトルが)獲れなかったですね。夏に向けて課題もある一方でタイトルも十分に狙える位置にいると思うので、学生がどう強化していくかというところに注目したいです。」

 

―狙っていて獲れなかったというのは

 

「男子の2種目ですね。全部の種目のタイトルを狙っていたので、結果としては女子の方が単複決勝進出ということで、ただ獲れるだけの力があるということは確信したので、あとはどうやってそこを埋めていくかはこれから次第ですね。」

 

―男子シングルスでは早大勢がベスト4に残れなかったりと、今大会は波乱も多かったが他大学のレベルが上がったと感じているか

 

「新進の前のインタビューでもお話させていただきましたが、戦力差がなくなってきているんですね。だから我々も戦力的な差があるという言い訳はできないですし、改めてリーグ戦や王座が混戦となるということが分かったと思います。」

 

―女子では西本選手がシングルス準優勝、ダブルスは2連覇を達成したが

 

「西本はあと一歩でシングルスのチャンピオンになれなかったということで、チャンピオンを獲るべきだったし獲るだけの能力を持っているので、今夏のインカレのタイトルは絶対獲らなくてはいけないと思うし、それだけの力を持っているということを理解してほしいですね。ファーストセットを取って、セカンドを少し引いたことで相手に隙を与えてしまったということで、そういう引いてしまった部分を夏までにどう克服するかだと思います。克服できたらチャンピオンになれると思います。」

 

―池田・西本組は常に安定した成績を収めているが、監督からみて2人の強さの秘訣は

 

「池田の前での動きや勝負勘と西本のパワーが上手くミックスされていると思うんですよね。今日の試合に関して言えば池田が1人で本当に引っ張ってくれましたね。西本はあまり内容が良くなかったですし。池田がよく引っ張ってくれたと思います。」

 

―劣勢をはねのける原動力はこの1、2年の経験なのか

 

「そうですね。でもファーストセットを落としてから逆転で勝つという展開が昨年から続いているんですよ。その原因がスタートダッシュなんですよ。スタートダッシュのところで課題がある。それで結果的には勝つ。それはそれで良いんだけれど、2セットで勝つ力をつけていかないとチームとしても団体戦はダブルスから入っていくので、そこはチャンピオンになるためにファーストセットからエンジン全開でいくという気持ちがないとだめですね。チャンピオンといえどもそこは課題だと思います。今日は負けてもおかしくない試合だったと思います。」

 

―今大会は新1年生の活躍も光ったが

 

「選手の層が厚くなって競争力が増すということが大事なことですし、ナンバー1の西本が早大のナンバー1に負けているということは、チームの中で“西本を越そう”という競争力がないと団体戦では勝てないと思うので、ナンバー2以下の選手たちがどうやって競争力を出していくか、その一部に1年生がいることは非常に頼もしいですし、楽しみです。」

 

―特に印象に残った1年生は

 

「やはり江代ですね。無敵だった宮地(早大)に勝ったということは1年生としてすごく大きなことだと思います。」

 

―1ヶ月後の早慶戦に向けて

 

「早大に勝つ、そしてチャンピオンになる階段を一歩ずつ駆け上がっているということは間違いないと思うので、いつその結果が出るのかははっきりしていないですけど、そこをこれからしっかり整理して本当にチャンピオンになるために何が必要なのか、そこをチーム皆が理解していくことが大事だと考えています。」

 

ネットプレーで巧さが光った池田

ネットプレーで巧さが光った池田

 

池田玲・西本恵

 

―決勝戦を振り返って

 

池田「相手は勢いがあるペアで、最初はそれに対して冷静さを失っている部分があって、相手の思うようにやられてしまったんですけど、セカンドセットから自分たちのプレーをやり切れたのがこういう結果につながったのかなと思います。」

西本「序盤は相手がすごい攻めてきて慌てた部分があったんですけど、セットが変わって自分たちのやるべきことをしっかり決めて、それをしっかりやり通せたことが勝ちにつながったと思います。」

 

―西本選手はシングルス決勝戦の直後で非常に気持ちを切り替えるのが難しかったと思うが

 

西本「シングルスで負けてしまったのは残念だったんですけど、ダブルスは大会前から相方の池田とこの大会で絶対タイトルを獲ると話してきたので、そこは違う種目だと切り替えてやりました。」

 

―準決勝、決勝と先にセットを奪われた中で、そこから巻き返すことのできる原動力は

 

池田「何だろ…」

二人「(笑)」

池田「私たちは自分たちのプレーができればしっかり勝てるというのは分かっているので、それを序盤からいかにできるかというのを昨年から2人で話してきたんですけど…」

 

―逆にそこが課題であると

 

池田「そうですね。後半良くなるというのは、やることをしっかり決めたときに一番調子が上がって、それだけをやるって決めているのでそこが一番大事だと思います。」

 

―監督も今日の池田選手のプレーを評価していたが、相方から見て

 

西本「なかなか自分が良いプレーができていないときにすごい踏ん張ってくれたし、勝負所での強さが今日も相変わらずあったなと。」

池田「(笑)」

 

―第3セットのスーパータイブレークは非常に緊迫した展開だったが、互いにどのような言葉をかけていたのか

 

池田「とにかく全体のポイントは考えずに、1ポイント1ポイントだけを考えて…って言ったよね?」

二人「(笑)」

西本「強気とか、自分を信じて…ですね。」

 

―すぐに控える早慶戦に向けて

 

池田「やはりスタートの部分で最初からいかに自分たちのプレーができるかというのを二人で見つめ直して、そこを課題としてやっていきたいです。」

西本「この大会で出た課題がたくさんありましたし、夏に向けて直さなくてはいけないところがたくさんあるので、その課題を1つ1つクリアしていけば早慶戦でも勝てると思うので、毎日の練習をあと一ヶ月間しっかりやっていきたいです。」

 

 

同期の安形に新進のリベンジを果たした小林

同期の安形に新進のリベンジを果たした小林

小林夏実

 

―準決勝を振り返って

 

「(西本選手に)差を見せつけられたというか、自分がまだまだだと痛感した試合でした。」

 

―互角の展開が続いたが、結果を分けた部分は

 

「簡単なミスが大事なところで出てしまったり、15-40でブレークチャンスを握るゲームもあったんですけど、恵さんは良いところにサーブを入れてきてそういうところで勝負強さに差があったと思いました。」

 

―それは経験の差か

 

「そうだと思います。」

 

―シングルスでベスト4という結果については

 

「まずはインカレ本選出場をしっかり決められたということが嬉しいことなんですけど、結果としては優勝を狙っていたので悔しい結果ではありますが、良い試合や悪い試合があったのでそこはしっかり振り返っていきたいと思います。」

 

―新進大会では攻撃力や展開力に課題があるということだったが、今大会では

 

「新進が終わってから、自分のパターンにもっていったりしっかり前で決め切るとかそういうことを練習してきたので、今大会ではそれがしっかりできていたかなと。でも、まだまだ自分からの攻撃はできると思うのでまた練習していきたいと思います。」

 

―早慶戦に向けて

 

「昨年は出させてもらったんですけど一本落としてしまったので、今年は一本を取ってくる存在になれるように絶対勝ちたいと思います。」

 

ノーシードからベスト4入りを果たした藤岡(右)・村瀬(左)組

ノーシードからベスト4入りを果たした藤岡(右)・村瀬(左)組

慶大のダブルス1候補である井上(善)

慶大のダブルス1候補である井上(善)

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