【女子テニス】着実な成長が見えた一戦に 早慶庭球対抗試合

ここ近年は白熱した戦いとなっている早慶庭球対抗試合。今年は昨年にも増してさらなる激戦となった。ダブルスでは池田(環3・富士見丘高)・西本(総3・岡山学芸館高)組がストレートで完勝を収めると、課題の下位シングルスで小林(環2・秀明八千代高)がフルセットの激闘を制して早慶戦初勝利をあげる。さらに西本がエース対決を制するなど、着実な成長をコート上で証明した一戦となった。

今後に期待がかかる藤岡主将(左)・村瀬組

今後に期待がかかる藤岡主将(左)・村瀬組

 

第92回早慶庭球対抗試合

2014年6月14日(土)、15日(日)@慶大蝮谷テニスコート

 

全試合結果

  慶大 スコア 早大
D1 ○池田玲・西本恵 7-5、6-1 ●間中早紀・吉富愛子
D2 ●藤岡莉子・村瀬早香 2-6、6-3、0-6 ○梶谷桜舞・林恵里奈
S1 ○西本恵 7-6(7)、6-2 ●吉富愛子
S2 ●坂元君佳 (3)6-7、1-6 ○細沼千紗
S3 ●安形玲 (3)6-7、0-6 ○宮地真知香
S4 ●江代純菜 3-6、2-6 ○辻恵子
S5 ○小林夏実 6-2、(5)6-7、6-4 ●林恵里奈
 

ダブルス:1-1

シングルス:2-3

計:4-5

 

 

安定の強さが光る池田(左)・西本組

安定の強さが光る池田(左)・西本組

初日に行われたダブルス。慶大は大学ナンバーワンペアの池田・西本組をD1、春関でノーシードからベスト4入りし勢いに乗る藤岡主将(総4・徳島市立高)・村瀬(環1・京都外大西高)組をD2に起用した。

両試合とも序盤は動きが硬く、苦しい立ち上がりとなる。池田・西本組は春関のリベンジに燃える間中・吉富組の積極的なダブルスに対して後手に回る展開。藤岡・村瀬組も同じく春関のリベンジに燃える梶谷・林組に対し、緊張からか特に村瀬のミスが相次ぐ。しかし、試合が進むにつれて慶大ペアにも勢いが出始める。なんとか粘り続けた池田・西本組は終盤でブレークに成功して第1セットを奪うと、第2セットは池田のネットプレーと西本のストロークでポイントを重ねるいつもの2人に戻っていた。第2セットを圧勝で奪い、慶大が先行する。藤岡・村瀬組も藤岡の粘り強さと村瀬の積極的なプレーでペースをつかみ、セットオールに持ち込む。最後は体力切れで差をつけられてしまったが、村瀬は特に初の団体戦だっただけに今後に向けて貴重な経験となったはずだ。

 

激闘を終え、安堵の表情を浮かべた小林

激闘を終え、安堵の表情を浮かべた小林

1-1で折り返し、迎えた2日目のシングルス。春関で実に5人がベスト16入りを果たしただけにどのようなオーダーでくるのかが注目された。団体戦を優位に進めていくためにも肝心なS5。ここで起用されたのは、春関ベスト4の小林だった。

昨季は春とリーグの早慶戦に出場するも、いずれもストレート負け。今季にかける思いは人一倍強かった。得意のフォアが、コートが高速のインドアだったこともあり普段にも増して相手コートに突き刺さっていく。第1セットを先取すると、第2セットも序盤のビハインドを巻き返して終盤を迎える。しかし、「悪くなったときに引いていてしまった」(小林)と、重要な局面でミスが相次ぎ嫌な形でセットを落とす。悪い流れを引きずり、一時は1-4と離されてしまう。小林を救ったのは、紛れもなくチームメイトだった。団体戦の醍醐味でもある仲間の応援。「周りからの声援で皆が一緒に楽しんでくれたり、周りのおかげで立ち直ることができた」と、小林を蘇らせた。徐々にゲーム差を詰めていくと、焦った早大・林が足を痙攣させる。ここを冷静に乗り越えた小林が5ゲーム連取で逆転勝利を収めた。

 

 

ここから波に乗りたかった慶大だったが、やはり王者の壁は高かった。S4の江代(総1・九州文化学園高)は春関ベスト8入りした期待の新星。小柄ながら必死にボールに食らいついて好機を見出そうとするも、ペースをつかめないままストレート負けとなった。S3、S2に登場した安形(環2・城南学園高)、坂元(政3・湘南工科大学付属高)はいずれも第1セットがタイブレークにもつれこむ接戦となるが、勝負どころでポイントを奪いきれずにセットを落とすと、第2セットは差をつけられて完敗。この時点で早大の勝利が決定してしまった。

 

エースの意地をみせた西本

エースの意地をみせた西本

残された試合は西本対吉富のS1エース対決。1か月前の春関決勝と同じカードであり、その時は西本が逆転負けを喫していた。それだけに「リベンジしたいという思いが強かった」(西本)。

春関の時同様、序盤から白熱のラリー戦が繰り広げられる。第1セットは一進一退の攻防のままタイブレークに突入する。ここで守りに入った吉富の隙を見逃さず、攻めを貫いた西本が僅差でセットをものにする。すると第2セットは勢いに乗る西本が圧倒する一方的な展開に。ストレートで西本がS1対決を制し、エースの意地を見せる形で幕を閉じた。

 

実力差のあった数年前から比べて、昨季の春・秋は2-5と少しずつ差が縮まってきた。そして今季は3-4と1ポイント差までさらに逼迫していった。それでもチームの中に、安堵の表情は見られない。「3-4という結果で終わって正直悔しいという気持ちが強い」(小林)。早大に近づいただけで、“勝利”の二文字はまだ得られていない。「今までと比べると早稲田に近づいたという自信はつきましたけど、もう1本リーグ戦までにどうやって巻き返すか」(西本)。夏関、インカレと続く個人戦で更なる成長を遂げれば、悲願の日本一はそう遠くない。

 

(記事・写真 飯田駿斗、太田悠貴)

 

 

※坂井利彰監督のコメントは男子の戦評内に掲載

 

 

西本恵(総3・岡山学芸館高)

―この2日間を振り返って

どちらも1で出て、とにかく任された2本は何としても取ってくると思っていたので、チームは負けてしまいましたが自分の2勝という結果はひとまず良かったかなと思います。

―単複ともに春関決勝の再戦で、特にシングルスはリベンジマッチとなったが

個人的なことを言えば春関で負けていたので、リベンジしたいという思いが強かったですけど、それは団体戦でチームの皆に応援してもらいながらリベンジできたのは良かったかなと思います。

―男女ともに1ポイント差で敗れたことについては

やはり悔しいですね。あと1ポイントだったというのを考えると。でも今までと比べると早稲田に近づいたという自信はつきましたけど、もう1本リーグ戦までにどうやって巻き返すかというのはこれからの努力が必要なのかなと思います。

―インカレ、リーグに向けて

今回の早慶戦でまた色々な経験をしてすごく自信になったことも多かったので、この反省点を生かして夏に向けてさらにレベルアップして、自分の役割を果たせるように頑張ります。

 

小林夏実(環2・秀明八千代高)

―この2日間を振り返って

3-4という結果で終わって正直悔しいという気持ちが強いですけど、皆が一歩成長できた早慶戦だったのではないかなと思っていて、幹事の方からもお話があったんですけど、早稲田もこれから危機感を持って練習してくると思うので、ここで満足せずもっと上を目指していかなければいけないと思います。色々な収穫の多かった2日でした。

―昨季の初出場時と比べて、二度目の今季は気持ちに余裕はあったか

昨年よりは少し成長したと思っていて、今年は試合に入ることができたので、昨年よりは気持ちの余裕があったと思います。

―春関の際に攻撃力がまだ足りないとのことだったが、今は

良い流れが来ているときにはしっかり攻撃できていましたが、悪くなったときに引いていてしまったことがあったので、悪くなったときこそ攻撃すればもう少し楽に勝てたと思います。

―最終セットは一時1-4までいったが、どのようなことを考えていたか

正直折れそうなときはありましたが、今日は試合を楽しむということを意識していて、周りからの声援で皆が一緒に楽しんでくれたり、周りのおかげで立ち直ることができたのでそこは大きかったです。

―春関の際に早慶戦で一本取ってくることを目標にされていたが、それが実現しました

昨年はS1とD1しか取れなかったので、その中で一本取れる存在になったことは嬉しいですが、今回は今回で終わりということで、王座で一本取れる存在になりたいです。

―1ポイントの差を埋めるための答えは見つかっているか

まだ見つかっていないですね。時間をかけてチームで見つけていきたいです。

―今後に向けて

まずは夏関とインカレがあってそこでしっかり結果を残すことがリーグ戦において他大学に恐れられると思うので、しっかりそこでは結果を残すことと、一部校相手には絶対負けないというのを意識して戦っていきたいと思います。

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