【ソッカ―(男子)】第16節 4失点完敗で遠のく優勝、今こそ必要な意思統一。 駒大戦

豪雨の中行われた前節の専大戦で辛くも勝ち点1を拾った慶大。優勝に向け、望みをつなぐためにも勝ち点3が欲しい今節は7位の駒大との戦いに臨んだ。しかし22分、右サイドから入れられたクロスボールが誰にも触られずにゴールに吸い込まれ先制を許してしまうと、後半に入っても流れを引き戻すことができない。47分、49分と立て続けに失点を喫すると64分にも得点を奪われ、あっという間に0-4。いいところがないまま終盤を迎えるとセットプレーから2点を返し、意地を見せる。だが、反撃及ばず。痛い敗戦を喫した。

慶大先発メンバー

慶大先発メンバー

 

関東大学サッカーリーグ 第16節

2016/10/02(日)11:30KO@千葉県総合スポーツセンター東総運動場

慶應義塾大学2-4駒澤大学

 

【得点者(アシスト者)】

 

[慶]81分 豊川功治(近藤貫太)、90+2分 望月大知(渡辺夏彦)

 

[駒]22分 中原輝、47分 吉岡雅和(大村英哉)、49分 吉岡雅和、64分 吉岡雅和

 

◇慶大出場選手

 

GK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)

DF佐藤海徳(政1・桐光学園高)

DF望月大知(環4・静岡学園高)

DF豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)

DF井上大(総4・國學院久我山高)→50分 手塚朋克(環3・静岡学園高)

MF近藤貫太(総1・愛媛FC)

MF宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース)

MF溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高)

MF松木駿之介(総2・青森山田高)

FW山本哲平(政4・國學院久我山高)→73分 田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)

FW池田豊史貴(総3・浅野高)→56分 渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)

 

前節、ピッチの状態が悪く、さらに先行される展開ながら引き分けに持ち込んだ慶大。優勝に一縷の望みをかけるため、駒大戦に臨んだ。スタメンは右サイドハーフに溝渕雄志(環4・流通経済大学柏高)を起用。彼の突破力に大きな期待が懸かった。また、FWには山本哲平(政4・國學院久我山高)もスタメンに復帰させ、先制点を狙った。

 

この試合最初の決定機は慶大に訪れる。18分、溝渕が一気に2人を抜き去り、GKとDFの間に鋭いクロスボールを入れる。中央にいた山本が反応するも、触ることができず先制点を奪うことはできない。このシーンをきっかけにゲームが動き始める。19分、駒大の吉岡にクロスバー直撃の鋭いシュートを放たれ、肝を冷やした慶大。しかし、22分に均衡を破られてしまう。右サイドから駒大の中原にクロスボールを入れられると、それが直接ゴールに吸い込まれ先制を許す。このゴールが駒大に勢いを与えることとなり、前半は押し込まれる展開が続いた。それでも上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)の好セーブもあり、追加点を与えずに前半を折り返す。

溝渕はサイドハーフでの出場となった

溝渕はサイドハーフでの出場となった

 

なんとか流れを引き戻し逆転したい慶大だったが、後半の立ち上がりが悪かった。47分、左サイドをドリブルで一気に破られると中央にいた駒大の吉岡に流し込まれ0-2。さらにその2分後にも吉岡のクロスボールがそのままゴールに入り、3点差とされる。苦境に立たされた慶大は攻撃のカードを切る。井上大(総4・國學院久我山高)に代えて手塚朋克(環3・静岡学園高)を、池田豊史貴(総3・浅野高)に代えて渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)を投入し、状況の打開を図った。

途中出場の手塚が惜しいシーンを作った

途中出場の手塚が惜しいシーンを作った

だが、次のゴールを奪ったのは駒大だった。64分、裏に抜け出した吉岡に左足を振り抜かれ、失点。圧巻のハットトリックを決められその差を4点に広げられる。一矢報いたい慶大は65分、手塚が強烈なミドルシュートを放つも左ポストに弾かれ、ゴールならず。73分には須田芳正監督は山本に代えて田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)を投入し、交代枠3枚を全て攻撃的な選手に使った。すると81分、左サイドでFKを得ると近藤貫太(総1・愛媛FC)が正確なキックでゴール前のスペースへボールを送ると走りこんだ豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)が頭で反らし、1点を返す。

セットプレーから豊川がゴールを奪う

セットプレーから豊川がゴールを奪う

攻勢を強める慶大は90+2分にも近藤のCKから渡辺がPA内にシュート性のパスを送ると望月大知(環4・静岡学園高)がコースを変えて2-4。しかし、反撃もここまで。駒大の個人技に苦しみ、痛い敗戦を喫した。

 

今節を終えて、首位明大との勝ち点差は17に広がった。「関東リーグ優勝」――。今、この目標は遠いものとなってしまった。それでも、戦いは続く。「目標をはっきりさせることでサッカーもはっきりする」と須田芳正監督が話すようにチーム全体で目標の修正及び意識の統一が必要となるが、大切なのは1試合1試合戦い抜くこと。残り6試合、真価が問われるのはここからだ。

 

(記事 森本凜太郎)

 

試合後コメント

 

須田芳正監督

(今日の試合を振り返って)久しぶりに0-4までいってしまいました。今年はチームとして関東優勝を目指していて、明大が独走しているなかでまだ数字的に可能性はあるのですが、無理じゃないかという人もいるし、まだあきらめていない人もいるし、見えないところと戦ってしまっていますね。こっちとしてはまだ優勝を目指していたので勝ち点3を取りに行くため貫太(近藤貫太)をボランチにして、攻撃的にしました。けれども、攻撃のところのコンビネーションは少し練習したから出来るというわけではないと思います。そういう意味では失点の多さはそういうところから来ていて、ある意味割り切ってインカレを目標にしてやることでサッカーも変わってくるのかなと。勝ち点3を取りに行かなくてもいい日もあるし、負けないサッカーをベースにやるともう少し戦術的には分かりやすいし、夏も守備はトレーニングしてきたので、もう一度取り戻せると思います。今まで積み重ねてきた勝ち点もあります。インカレ圏内を目指すとすると、これから6試合が勝負。目標をはっきりさせることでサッカーもはっきりするし、分かりやすい戦い方で、誰をどのポジションに置くかも分かりやすくして戦いたいと思います。(戦術面に関して)ポイントはセカンドボールと相手の10番でした。ただ、セカンドボールは半分以上拾われてしまって、10番には3点入れられてしまいました。ということは我々がやろうとしているサッカーが出来なかった。それがこういう結果になるのは仕方ないですね。あとはフレッシュ感も足りないような気もするし、それはおそらく目標が見えないというのと、サッカー的な理解が共有出来ていないというところから来ているのかなと思います。3年前は断トツでビリでしたが、今はそういう状況ではない。半分以上上にいるわけだからそこは気持ちを切り替えて、ラスト6試合やり切ってもらいたいと思います。(次節に向けて)国士舘も上がってきたので、まずはチームが一つになって戦えるような戦術を彼らに提供して、彼らがそれをやり切れるような状況を作り出してあげたいなと思います。

 

宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)

(今日の試合を振り返って)絶対勝とうと意気込んで臨んだ試合だったんですけど、こういう結果になって悔しいですし、情けないです。(相手の両サイドに手を焼いた印象だが)両サイドの攻撃も9番の選手にまず(ボールを)当ててからだったので、そこをつぶすのは自分の役割でした。ただ、そこを抑えきれなかったから全体的に駒澤を勢いづかせてしまったのかなと思っています。(後半の立ち上がりに2失点して試合が難しくなってしまったのでは)気持ちとは裏腹に失点してしまいました。こういう展開が初めてでした。ただ、失点はしてしまいましたが、そこからみんなで2点返したことはプラスの材料にしたいと思います。(今後の抱負)関東リーグ優勝というシーズン前に立てた目標は現実的に達成することが難しくなってしまいましたが、1試合1試合を大切に戦うことがその先につながると思います。自分たちは土俵際に立っているし、危機的な状況なので目標はまた全員で決めるんですけど、まず次の国士舘戦に勝ちたいと思います。

 

溝渕雄志(環4・流通経済大学柏高)

(今日の試合を振り返って)前半から立ち上がりがどう見ても相手の方が良かったです。その中で0-1という状況になった時に、意識を統一できなかったというところが1番で、0-1でもあの点差であれば後半1点、2点取って逆転するっていう可能性は、僕は今のチームは絶対高いと思っています。ただ後半に入っても立ち上がりでまた連続で失点して、最後の方に返しましたけど、前半と後半の立ち上がりっていうところの失点が全部試合を決めてしまったかなという印象です。(右SHとしての起用について)練習でやっていて僕の役割としてシンプルに縦への突破っていうのとゴール前に力強く入って、とにかく点に絡むっていうことを要求されているという風に感じていました。今週ずっとプレーしてきたので、そんなにいつもに比べてやりにくいなという感覚も全然なかったですし、今日を迎えるにあたってすごい自信を持って入りました。でも結果は出てなかったのでそういう意味で前線の選手としてはまだまだ足りないかなと思います。(3失点後に2点を押し込むこと形になったが、最初に点を決められなかった原因について)特に前半でどうしても攻撃のパターンとしては個人技のところしかなかったというのがあって、どうやってボールを落ち着かせれば良いかとか、取ったボールをどういう風にひとつ剥がして自分たちで回せる時間帯を作れるのかっていうところがまだまだだったので、そういうところができていないとああいう風に蹴り合ったサッカーになって結局ゴール前に人数もかけられないし良い攻撃というのが全然できませんでした。それが得点を最後まで取れなかった原因かなと思います。(右SBの佐藤選手について)1年生なりに頑張っていると思うし、まだまだ出始めたばかりでも自分ができることを精一杯やっているなという印象はあります。(次節へ向けて)明確に「優勝」と言う目標にチャレンジして、現実的にそこは遠い存在になってしまいました。しかし目標を切り替えて、インカレという舞台もまだ残っているし、現状であれば2位が最も現実的な良い順位だと思うし、そういうところに向かわないといけないと思います。今日良くない試合をしたから次の試合もという考え方ではもうダメなので、必ず残り6試合、本当にひとつでも多く勝ってひとつでも多く良い試合ができるように、また明日からみんなで切り替えて取り組んでいければと思います。

 

豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)

(今日の試合を振り返って)個人としてもチームとしても非常に不甲斐ない試合になったなと思います。(試合内容が悪かった理由は)チームとしてどう戦うのかということが1試合を通して統一できませんでした。もっとチームとして明確にしていかないと、これから先優勝という目標は現実的に厳しいので、インカレを目標にするのかなどもチームとして徹底して決めないと厳しいのかなと感じています。(相手のFWに空中戦に強い選手がいたが)プレースキック時は宮地が寄せ、それ以外は自分と望月が対応しようと決めていて、その場面で自分が勝てない場面が前半特に多かったのでそこは自分の実力不足だと感じています。(次節に向けて改善点など)今日の試合の反省点としては蹴り合いになってしまって、相手がマンマーク気味に来るので繋いでいこうとイメージはしていたのですが実際にできなかったので、そこを改善したいです。守備のところでは、セカンドボールを拾われていましたし、コンパクトなサッカーが出来ていなかったので、もう1回1週間で突き詰めていきたいです。

 

山本哲平(政4・國學院久我山高)

(今日の試合を振り返って)駒大というはっきりと蹴ってくるサッカーの相手に対して蹴り合いをしたら負けるという話になっていたんですけど、初め繋ぐ意識はあったんですがそれを奪われる場面が多くて、みんながボールを受けるのを怖がった結果結局蹴り合いになってしまいました。そしてセカンドボールを拾えず相手の思うつぼにはまって失点してしまったのが今日の敗因です。それと、走ることだったり球際だったりのベースの部分で相手に劣っていたなというのが率直な感想です。(久しぶりの先発だったが)出ている以上は点を取ることが僕の仕事だと思います。今日は駒大相手に池田と2トップだったので、間に顔を出しながらタイミング良く裏にも抜けることを意識しながらやりました。(シュートチャンスが非常に少なかったが、攻撃が上手くいかなかった原因は)蹴り合いという自分たちの意図しなかったサッカーをやってしまったのが原因です。ロングボールを多用すると相手のCBはすごく競り合いの強い選手で、セカンドボールもすごく頑張るチームだとわかっていたんですけど、繋げば一人剥がせてシュートチャンスが生まれたシーンも何回かあったので、そういう意図していたサッカーができなかったのがシュートチャンスが少なかった原因だと思います。(後期に入って色々な2トップの組み合わせが使われているが、個人的に相性がいい、やりやすい選手はいるか)各々特徴がはっきりしているので、誰と組んだ時もその選手の特徴、 得意なプレーを理解してそういうプレーをさせたり、こちらからも欲しいボールなど常日頃から要求をしているので、特にやりやすい選手とかはいないです。(次節に向けて)優勝という目標を掲げましたけど、正直このサッカーやっていたら優勝どころかインカレや残留も厳しい内容だと思うので、修正を重ねていきます。ここからの6試合は何としてもいい試合をしないとインカレに出たところで上には行けないと思うので、成長します。

 

池田豊史貴(総3・浅野高)

(試合を振り返って)自分がやるべき戦うところや競り合いのところで相手の勢いが強くて、全然通用しなかったというのが率直な感想で、悔しいです。(相手のCBとのマッチアップについて)大きくて強いというのはわかっていたんですけど、CBだったりボランチだったりという選手が勢いを持って来るのですごくやりづらかったし、自分のプレーが全然できなかったという印象です。(山本との2トップの関係について)あまり攻撃で2人でやるシーンがなかったんですけど、その中でももっと練習中では良かったシーンもあったんですけど、今日の試合では全然そういうプレーができなかったです。(次節に向けて)ほんとにこれからインカレにしても1個上の順位を目指すにしても勝つしかなくて、最後にどういう順位にいたとしても1個1個勝つという気持ちでやるしかないと思うので、もう一度見つめ直して、チームとしても個人としても目の前の1戦、プレーにこだわってやっていけるように頑張っていきたいと思います。

 

 松木駿之介(総2・青森山田高)

(今日の試合を振り返って)優勝争いに踏みとどまれるかっていう大事なゲームで前半から相手に先手を取られてゲームをリードできず失点してしまって、後半前がかりになったところを連続で点を失って、これが今の慶應の実力が出たゲームだったかなと思います。(後半の3失点は少し集中が切れてしまったように見えたが)自分もそうですし、点を取りに行きたいっていうところで自陣のディフェンスラインに攻め込まれた時に戻りが遅くなって、そういうところで枚数をかけられず最後あっけなく失点というのが多かったので、少しゲーム運びは難しいところがありました。(流れの中でチャンスを作れなかったが前線の選手としてやっていてどう感じていたのか)最後シュートまで流れの中でいけたシーンというのは本当に無かったので課題ですし、こういうゲームをしてしまったからこそまた競争が激しくなって入れ替えもあると思うので、チームとしても個人としても前線は危機感を持ってやっていきたいです。(次の試合に向けて)現実的に自分たちの目標としていた優勝というのは本当に厳しくなって、インカレ争いというところに目標をシフトしてやっていくと思うんですけど、下位も詰まっていますし1つも落とせないゲームが続くので、次の国士大戦で今の流れを断ち切れるようにやっていきたいです。

 

近藤貫太(総1・愛媛FC)

(今日の試合を振り返って)先にああいう形で失点してしまったので、難しいゲームになりました。(相手の戦い方はやりづらかったか)試合前からそれは分かっていたのですが、そこに対応できませんでした。(対応できなかった要因は)相手が大きく蹴ってくるサッカーをするということで、同じサッカーをしたら相手に分があることは分かっていたのですが、なかなかゲームが落ち着かないなかで同じようなサッカーをしてしまって、リズムがつかめなかったですね。(前節同様、ボランチでの出場でした)自分のところが攻撃のスタートの部分だと思っていますし、自分がボールを触って落ち着けるシーンを増やすべきだと思っているのですが、出来た時間帯もあれば出来なかった時間帯もあるという感じですね。(後半はDFラインまで下がってボールを受けるシーンもありましたが)あまりにも中盤の位置にボールが入ってこなかったので、自分から触って一つ前に運んでまた一回自分が作ろうとしました。少し仕事は増えますが、そういうことは意識しました。(感情を表に出すシーンもありましたが、歯がゆさを感じていましたか)そうですね。ただそれは自分がイライラしているからというわけではなくて、もっと出来る選手たちなのに少し自信なさそうにやっているところの歯がゆさであって、上手くいかないことへの歯がゆさではないですね。そこの意識や自信を失いかけていたので、そんなことは気にしなくていいんだよというメッセージを込めました。(次節に向けて)リーグ戦は1週間ずつやっていくものなので、こういうゲームをしてしまった1週間後というのは逆にラッキーだと思います。修正出来る部分はたくさんあるので準備してやっていきたいです。

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