【アイスホッケー】やっと掴んだ白星!大逆転でDivisionⅠグループA残留を決めるvs大東大

平成28年度 関東大学アイスホッケーリーグ戦 Division 順位決定戦

20161211日(日)1730F.O. @DyDoドリンコアイスアリーナ

慶應義塾大学32 大東文化大学

 本年度の慶大は関東大学アイスホッケーリーグ戦のトップリーグで強豪としのぎを削ってきた。しかし全14節の結果は0勝5分9敗。思うように結果がついてこないシーズンとなった。この大会ではトップリーグ8位のチームと、1つ下のリーグ1位のチームが直接対決し、勝者が来年度トップリーグでプレーする権利を獲得することになっている。慶大はトップリーグで8位だったため、来年1年間のシーズンを決める大切な大一番、通称「入替戦」に臨んだ。

試合は慶大が相手を終始圧倒した。しかし相手に先にゴールネットを揺らさられた慶大は、その後滝智弥(政2)のゴールで一旦は追いついたものの、再び第3ピリオドに失点を許してしまった。試合の均衡は破られ1-2となったが、ここで諦める慶大ではなかった。第2ピリオドまでの疲れを見せず、積極的な攻めを見せた慶大は長谷川真之介(政1)による同点弾、滝による勝ち越しゴールによって見事逆転に成功。入替戦という舞台で、ずっと欲しかった白星をようやく手に入れた。奇しくも昨年度の入替戦と同じカードでの対決となったこの試合は、慶大が1点のビハインドから逆転劇を演じ、3-2で勝利するという昨年度と全く同じ展開となった。

残留を決め歓喜の輪を作る慶大

残留を決め歓喜の輪を作る慶大

 

Period

1

2

3

Score

慶大

1(14)

0(15)

2(19)

3(48)

大東大

1(8)

0(7)

1(9)

2(24)

()内はシュート数

 第1ピリオドはまさかの形で幕を開ける。1分、相手に勢いをつけてパックをゴール前まで運ばれてしまった慶大は、いきなり失点を許してしまう。すぐにでも点を取り返したい慶大は、怒涛の反撃に出る。長谷川が巧みなハンドリングでゴール前からシュートを放ったり、相手をかわすことを得意とする田中陸(政1)が相手GKと1対1になるチャンスを作るなど相手ゴールを脅かし続けた。昨年の入替戦で怪我をしてから、1年ぶりの公式戦復帰となる安藤直哉(政3)も本調子ではないながら攻撃の起点となるパスでチャンスメイクをし、自らもシュートを打って1年ぶりとは思えないプレーを見せた。失点後は守りも堅く、史習成リック(総2)のシュートブロックや長谷川のバックチェック、GK河合智哉(環1)の好セーブなどこれ以上失点しないという意識が随所に見られた。第1ピリオド終了間際の19分、ブルーライン近くの永田雅宗(総2)がシュートに見せかけた速いパスをゴール前の在家秀虎(環2)に繋ぎ、在家のシュートのこぼれ球を滝が押し込んで、1-1と試合を振り出しに戻すことに成功した。

こぼれ球を確実に押し込んだ滝

こぼれ球を確実に押し込んだ滝

第2ピリオドは、アイスホッケーの別名が氷上の格闘技というだけあって両チームともに激しくぶつかり合い、選手の転倒が多く見られるピリオドとなった。そんな中6分には、復帰直後の安藤に対する相手の危険なプレーに大きなブーイングが飛んだ。相手の2分間の退場でパワープレーを得た慶大であったが、滝、長谷川らがゴールに襲い掛かるも決めきれない。試合を通して相手の反則は多かったが、なかなかそのチャンスで決めきれなかった。上位セットの選手たちが決めきれない中、3セット目の選手が奮起した。下村悠介(法4)と十文字開紀(商1)が巧みなパス回しで相手の守りを崩し、シュートを放つ場面や、十文字のハンドリングからのシュートのリバウンドを、富田康太(政2)がきっちり詰める場面が見られ、何回もチャンスを作った。「僕がもっと決められていれば楽になったなというシーンはたくさんありました。」と長谷川が語るように、チーム全体として惜しいシーンは多く見られたものの、得点には結びつかなかった。両チームともに得点はなく、1-1のまま試合は第3ピリオドへと突入した。

パックをキャリーする十文字

パックをキャリーする十文字

シュートを放つ下村

シュートを放つ下村

体を投げ出してリバウンドにつめる富田

体を投げ出してリバウンドを詰める富田

勝負の行方を託された第3ピリオド。ピリオド序盤、慶大の選手が後ろに取り残され、1対2のピンチを作られた。それでも河合の危なげないセービングでピンチをしのぎ、守りは盤石かに見えた。しかし8分、慶大の反則によるキルプレーをきっかけに相手に流れを奪われ失点、1-2と試合終盤で再び相手を追う側に回ることになった。しかし慶大は昨年の入替戦で1-2から逆転して大東大に勝利している。勝利を諦める選手は一人もいなかった。13分相手の反則によってパワープレーを得る。このチャンスを逃さず、史からパスを受けた長谷川がワンタイムで相手GKの股下を通し2-2に追いつく。同点になり、再び勢いづいた慶大。17分に自らパックを奪った在家はシュートを放った。このシュートはゴールポストを越えたが、ゴール裏のボードに跳ね返ってゴール前にパックがこぼれたのを滝は見逃さなかった。「セットのメンバーがチャンス作ってくれて、決めることができて良かった」と滝が語るように、滝がチームの力で勝ち越しゴールをあげた。3-2となって残り3分間、この大切なリードを守り抜きたい慶大。得点後、慶大はすぐさまタイムアウトを取って、山中コーチの喝によって気持ちを引き締め直した。ベンチ、客席が一体となって残りの3分間を戦い抜いた慶大が、見事3-2で大東大を下した。

 

この大会初の白星をあげることができたということで、選手たちの努力がついに結果という形で実を結んだといえるだろう。絶対に負けられない大東大戦に勝利し、選手たちからも思わず笑みがこぼれた。来年度もトップリーグで強豪に肩を並べる慶大の姿が今から楽しみである。本大会では、例年ならば大差で負けていた早大や東洋大に今年は引き分けており、その上順位決定戦で逆転勝利をやってのけている。慶大の1年間が意味のあるものであったことは明白だ。本年度の慶大のプレーが見られるのもあと1か月ほどである。しかし長谷川が「発展途上のチーム」と語るように、慶大は1か月という短い期間でも大きく成長することのできるチームだ。FWの大黒柱である安藤もこの試合で復帰した。日本学生氷上競技選手権大会(通称インカレ)、早慶戦とまだまだ大事な試合をいくつも控えている。「インカレや早慶戦に向けてもう一度気持ちを引き締め直さないといけないきっかけになった。」と主将小池が語るように今一度気持ちを引き締め直し、更なる慶大の快進撃を期待したい。

 (記事 鈴木 啓仁)

 

 

(以下コメント)

主将小池玲央(環4)

チームを背中で引っ張る小池主将

チームを背中で引っ張る小池主将

 

(今の率直な気持ちをお聞かせください)本当に一安心といいますか、安堵感でいっぱいです。(久々の公式戦での勝利でしたが、勝利の味はいかがですか)本当に長い道のりだったのですけれども、決して今日の試合内容が良かったわけではなかったです。中途半端な試合をしてしまいました。もう一回自分たちの気持ちを引き締めなおせという神のお告げではないですけれども、ここからのインカレや早慶戦に向けてもう一度気持ちを引き締め直さないといけないきっかけになったのかなと思います。こういうきっかけがあるからこそチームは一つになれるので、この試合はいい意味でも悪い意味でもいいきっかけになったなと思います。(今日はどのような点にフォーカスしましたか)ずっと押していたことからもわかるように力の差はあったと思うのですが、何が起こるかわからないということで、いつも提示されるゲームプランを遂行することに集中しました。そして結果を意識するのではなくて、目の前の一つ一つの戦いに集中しようということの2点にフォーカスしました。(先制点を許してしまいました)今年の慶大は先制点を取ったらいい試合ができるという傾向があるのですけれども、不運な失点をしてしまいました。しかしポジティブな声掛けでチームが立て直せたのは良かったと思います。それでも先制点を与えてはいけないなという課題が残ったと思います。(第3ピリオドに逆転しました、その時のお気持ちは)4年であり主将である僕が、固くなってしまいパワープレーで上から強いシュートを打てなかったときに、滝、安藤、長谷川といったキーとなる下級生が活躍してくれて、本当に頼もしかったです。(公式戦復帰となった安藤選手については)練習試合をここ2週間で2試合ほどしたのですけれども、彼が戻ってきて得点力がかなり上がっているので効果は絶大です。(小池主将から見て最も勝利に貢献した選手は誰でしたか)GK河合とFW滝の2名です。入替戦は平常心でプレーできないというのが特徴なので、その中でも一番GKにプレッシャーが掛かると思うのですけれども、河合は1年生ながら一番冷静でしっかりゴールを守ってくれました。滝は2年生ながら人間性も優れていてここぞというときに強いです。この2名は精神面でもチームの支柱になりつつあるなと感じました。(2年連続で、入れ替え戦で大東大に対して第3ピリオドで逆転するという形になりました)大東大とは宿敵になりつつあります。来年は安藤が復帰していい状態でチームがスタートでき、今年より強くなると思うので、来年こそは入替戦に回ってほしくないです。(最後にインカレ・早慶戦への意気込みを) インカレまで一ヶ月もないのですけれども、この試合で掴んだきっかけをポジティブに捉えてもう一回チームを作り直して、一つでも上を目指したいです。

 

安藤直哉(政3)

復帰を果たした安藤

復帰を果たした安藤

 (入替戦に勝利した今の率直な気持ちを教えてください)リーグ戦で結果が残らず皆苦しかったと思いますが、すごくいいチームだったので、自分が戻って、来年絶対に下のリーグでやらせるわけにはいかないと思っていました。また、4年生の代で降格したと言わせたくなかったので本当にホッとしました。(怪我からの復帰戦でしたが)去年の入替戦で怪我をして夏のサマーカップですぐ怪我をしてしまい、本当に1年ぶりの同じ時間、同じ相手、同じ12月の第1週でした。試合前から去年と同じ雰囲気がして少し怖い部分もありましたが、今年は去年以上に圧倒して勝ちたいという強い気持ちで挑んだので結果がついてきて本当によかったです。(久々の公式戦となりましたが)8月に体力を戻しましたがまた怪我をしてしまい、手術してから今日まで3ヶ月の間で1ヶ月半は全く動けない状態だったので、準備期間もあまりないままリーグ戦が終わってから入れ替え戦までの期間で準備をしました。体力面や動きの面でまだ60~70%しか動けていないので、そこの面では今日の全力は出せたと思いますが、やはり今後に向けてさらに上げていかないとチームを引っ張っていける立場にはなれないと思いました。(チームを外から見て、秋リーグを振り返っていかがでしたか)FW陣がほぼ上級生がいないという中で得点力不足と言われる部分もありましたが、本当に皆一生懸命戦っていたし、結果的に上の7チーム中5チームから勝ち点をとって、すごく良いチームだったのでこれでリーグを落とすわけにはいかないと思いました。今年色々な取り組みをやってきてそれを無駄にしたくないと思っていたので今日本当勝つことができてよかったです。(今後に向けての意気込みは)インカレはベスト8という目標があり、行ける可能性はかなり高いと思うし早慶戦では全員揃ってやっと試合ができるので、簡単なことではありませんが、ベストな力を出せるようにしっかり準備して最後に最高の形で4年生を送り出したいと思います。

 

滝智弥(政2)

逆転弾を決め喜びを全身で表現する滝

逆転弾を決め喜びを全身で表現する滝

 

(チームとして、そして個人として試合を振り返ってください)チームとしては、良いゲームプラン通りでやっていたのですがチャンスで点が取れず、逆に入れられてしまって苦しかったです。でも勝てたので言うことはないです。個人としては、1点目も2点目も味方のシュートのこぼれ球なので、セットのメンバーがチャンス作ってくれて、決めることができて良かったです。(ゴールの感触は)1点目は、こぼれてきたパックを隅に狙って打ちました。2点目に関しては、リバウンドをゴールに寄せようと思って打ったら入ったので、狙ってはいなかったです。(終わって見ると2ゴール1アシストという成績ですが、今日の出来について自分で点数をつけるとするのなら何点ですか)点をとれた、ということでは良かったのですが、それ以外の面ではちょっと足動いていなかったというのが何回かありました。あとはまだ入替戦に勝っただけなので、今後というのを含めて80点です。(去年の入替戦と同じ相手に同じ様に決勝点を決めることが出来ましたが)運命があるのかどうかわからないですけど、そういう意味ではついている相手と場所だとは思います。ただ入替戦ではなくて普段の試合でできるようにしていきたいです。(秋リーグを振り返って)僕は高校時代から安藤さんと結構組ませてもらっているのですが、その安藤さんがリーグ戦前にまた怪我をしてしまって、結局出られなかった試合もあったりしました。自分はセットのみんな、トレーナーの方だったり、マネージャーの方だったりが支えてくれている中、FWとして全然結果が出せず、チームを勝利へ導くことができませんでした。今回のリーグ戦に関しては反省点しか見つからなかったので、これでまた成長して来年のリーグ戦ではもっと活躍できるように頑張りたいと思います。(次戦のインカレに向けて)まずは目標であるベスト8まで進むことですね。そしてベスト8に行くと中大と試合なので、中大相手にどれだけできるかということが試されると思います。本当に入替戦はただの通過点にしかならないし、合宿もあるので全員でまた一つになってもっと上がっていって、1回戦と2回戦に勝って、3回戦中大といい試合をして勝てるように頑張りたいと思います。

 

長谷川真之介(政1)

同点弾を決めた長谷川

同点弾を決めた長谷川

 

(今日の試合を振り返って)始まる前から少し緊張していて、去年僕が高校3年生のとき観客席から見ていて、ああいう試合(先制され、終盤に逆転する試合。昨年の順位決定戦でも大東大と似通った展開の試合をした。)はしたくないなと思っていたのですがやっぱり固くなってしまいました。今日2点目を入れたのですが、その前に僕がもっと決められていれば楽になったなというシーンはたくさんありました。1点は入れられましたが、この試合を通してもっと決めなきゃいけなかったなという反省があります。(自身のゴールを振り返って)練習であそこから打つのは結構何回も練習していて、あのシュートそんなにうまくミートしなかったのですが、練習通り狙い澄ましたところに打てました。なんとかチームを救えた1点だったので練習の成果が出せて良かったと思います。(一勝もしていない状況での入替戦でしたがどのような気持ちで臨まれましたか)一勝もしないまま入ることに対して色々な人から「一勝もしていないが大丈夫か。」とか言われました。でもチームのプレー内容が悪かったわけではなく、ただちょっと結果が出なかっただけだったので、そんなに不安を持って臨んだ試合ではなかったです。(秋季リーグを振り返って)山中コーチの戦略がハマっていい試合ができた時もあったのですが、結果がついてこなければ意味がないのがスポーツなので、一勝もできなかったことは悔いが残ります。でも慶應はやはり発展途上のチームなのでこれを来シーズンに繋げていけたらなと思います。(インカレに向けて)まだ1年生で出たことはないのですが、早慶戦がある自分たちとは違って他の大学は引退がかかっていて、1試合1試合向こうも命懸けで来ると思います。「インカレベスト8」が目標なので、こちらも全力で準備して良いところまで行きたいなと思っています。

 

次戦予定

日本学生氷上競技選手権大会vs名古屋大学201715()0900 F.O. @早来せいこドーム

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