【野球】菊地好投も投手戦を落とす 明大②

5月20日(日)東京六大学春季リーグ戦 明大2回戦

今季初の完封負けを喫した

前日は9回に2点差を追いつき延長でサヨナラという、この春のリーグ戦の勢いを象徴するような、劇的な勝利から一夜。一気に優勝を決めたかった慶大だったが、明大先発の伊勢が立ちはだかった。明大の好守にもはばまれ、3安打の完封負け。名門相手では、大久保監督も語る通りやはり連勝は難しい。強豪の意地を見せられ、勝負は1勝1敗のタイに持ち込まれた。

 

 

慶大

 

慶大バッテリー:菊地、髙橋佑、田中裕―郡司

明大バッテリー:伊勢―西野

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[]

小原和樹(環3・盛岡三)

[]

河合大樹(総4・関西学院)

[]

柳町達(商3・慶應)

[]

郡司裕也(環3・仙台育英)

[]

嶋田翔(環2・樹徳)

[]

内田蓮(総4・三重)

[]

中村健人(環3・中京大中京)

[6]

瀬戸西純(政2・慶應)

[]

菊地恭志郎(政4・慶應志木)

 

髙橋佑樹(環3・川越東)

 

杉本京平(理3・中央中等教育)

 

田中裕貴(環4・芝)

被安打2で試合を作った菊地

やかな五月晴れの下、プレイボールと同時に慶大応援席から流れた応援歌は「孔明」。慶明戦のみで使用される、力強い銅鑼の音と共に昨季王者の攻撃は始まった。しかし明大の先発・伊勢の前に上位打線はあえなく三者凡退。するとその裏、先発の菊地恭志郎(政4・慶應志木)は不運な立ち上がりとなる。先頭の佐野に死球を与えると、明大はすかさず送りバントで手堅くチャンスを演出。2死後、4番・越智のサードゴロを内田蓮(総4・三重)が弾いてしまいランナーが生還。ノーヒットで先制されてしまう。

得点は動いたものの、その後両投手は安打を許さず投手戦の様相を見せる。4回表、1アウトから河合大樹(総4・関西学院)が両チーム初ヒットで出塁し盗塁を決めた。まさに千載一遇、同点のチャンスだったが中軸の柳町達(商3・慶應)、郡司裕也(環3・仙台育英)が連続三振に倒れた。ここは明大先発の伊勢を捉えきれない。その裏、菊地が先頭の渡辺佳に四球を許し、越智の犠打でまたもノーヒットで得点圏に走者を進められてしまう。しかし変化球が冴える菊地は5番・森下智を空振り三振に打ち取ってみせた。続く逢澤のレフト方向への打球を河合がダイビングキャッチで捉え、ピンチを切り抜けた。

河合は攻守で存在感を発揮した

両軍の意地が見られたのが6回だった。表の慶大の攻撃。1死から小原和樹(環3・盛岡三)の打球をレフトがダイビングキャッチ。続く河合が二塁への内野安打で出塁し、またクリーンナップの前に走者が出た。客席の大きな期待を背負った柳町がセンターへ放った大飛球も、フェンスギリギリ高く跳んだセンターのグラブの中へ。マウンド上の伊勢だけでなく明大守備陣の気迫を見せつけられる。その裏、2死から菊地が渡辺佳についに初安打を許してしまう。しかし続く越智の打席で渡辺佳が盗塁を試みたところを、女房役の郡司が強肩で刺す。勝つためにはお互いもう1点もやれない。まさに首位攻防にふさわしい好プレーの応酬だった。

しびれる雰囲気のまま迎えたラッキーセブンの攻防。1死から5番・嶋田翔(環2・樹徳)が放った打球はレフトポールのかすかに左。ホームランとはならずそのあと三振となり、続く内田の打球も相手二塁手の攻守に阻まれてしまう。またも堅い守備が慶大打線にたちはだかった。その裏、マウンド上の菊地はこの回も先頭打者に四球を許し、続く打者の右翼前安打でピンチを迎えたところで援護のないまま御役御免。代わって登板したのは髙橋佑樹(環3・川越東)。しかし完璧な火消しとはならずタイムリーを許してしまう。重い重い追加点がのしかかった。

8回の攻撃も無安打に終わり、裏のマウンドに上がったのは田中裕貴(環4・芝)。2つの三振を奪うなどわずか8球でまとめ、1番から始まる最終回の攻撃へ希望を託した。9回の攻撃、小原、河合が簡単に打ち取られてしまうが、柳町がバットを振ることなく四球で出塁。打ち崩せなかった牙城・伊勢にも疲れが見えたか。そして一塁に柳町を置いて打席には郡司。昨日のサヨナラ勝ちの瞬間と同じシチュエーションだ。誰もが4番の打棒に期待をする中で、郡司は粘りを見せたが、最後はあえなくショートゴロに倒れ、試合終了。3塁を踏むことすら叶わず「完敗」を喫した。

ここまで無失点のリリーフを続ける田中裕

2位につけている明大との一戦、しかも勝てば優勝という大一番だったが、やはり連覇はそんなに甘くはなかった。しかし今月に入ってからの慶大を振り返ると、立大とのカード、初戦は落とすも9回に反撃で意地を見せ、2,3試合目は連続で逆転勝ちを決め勝ち点を奪取。昨日の明大戦も前述した劇的な逆転サヨナラ勝ちを飾った。今のチームには逆境を跳ね返す実力が確かにある。今季のスローガンの一節”I got family”のように、野球部全体がひとつになってこの向かい風を乗り切ってこそ、勝利の美酒に酔いしれることができるというものではないだろうか。

明日の試合は正真正銘の天王山となる。今こそ、陸の王者の誇りを見せる時だ。

(記事:竹内大志、写真:尾崎崚登)

 

◆打撃成績

 

 

[4]

小原

空三振

 

 

右飛

 

左飛

 

 

遊ゴロ

[7]

河合

中飛

 

 

中安

 

二安

 

 

二直

[8]

柳町

二ゴロ

 

 

空三振

 

中飛

 

 

四球

[2]

郡司

 

四球

 

逃三振

 

 

空三振

 

遊ゴロ

[3]

嶋田

 

中飛

 

 

三ゴロ

 

空三振

 

 

[5]

内田

 

二併

 

 

遊ゴロ

 

二ゴロ

 

 

[9]

中村

 

 

空三振

 

右2

 

 

投ゴロ

 

[6]

瀬戸西

 

 

一ゴロ

 

遊飛

 

 

遊ゴロ

 

[1]

菊地

 

 

空三振

 

 

右飛

 

 

 

髙橋佑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杉本

 

 

左飛

 

 

 

 

中飛

 

田中裕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆投手成績

 

投球回数

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

●菊地

6 1/3

24

84

髙橋佑

2/3

11

田中裕

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――勝てば優勝が決まる大事な試合でしたが

できることはやっていい準備はしたけど、それ以上に伊勢くんと明大の守備陣に意地を見せられていい流れに持ってこれなかったかなと思います。

 

――先発の菊地投手に関しては

初回にノーヒットでエラー絡みの失点はありましたが、それ以降はしっかり投げてくれたので、投手陣には言うことはないです。

 

――打線に関して

昨日の勢いのまま、と周りはそう思うかもしれないけど、やっぱり連勝は難しいです。もちろん勝つことを目指してやっていますが、野球は色んなことが起こりますからね。相手にも敬意を持って明日また1つ勝つだけです。

 

――今後に向けて

勝つだけでしょう。いい試合をして勝つ。例え今日負けようとも、次の試合に向けてしっかり準備をして、勝つ。それに尽きます。

 

河合大樹主将(総4・関西学院)

――今日の試合を振り返って

何もできなかったですね。完敗です。

 

――その敗因は

優勝を意識しすぎたということはないです。いつも通り淡々とやろうという話があったのですが、勝ちに行けなかったというか、自分たちから勝ちを掴みにいけなかったです。雰囲気の中でやってしまったかなという感じです。明治はいいプレーが出ていて、勝ちを掴みにきてたなという部分で負けたのではないかなと思います。

 

――自身のプレーはその姿勢が前面に出ていました

どんどん攻めていきたいなと思っていたので、そういうプレーはできたかなと思います。

 

――円陣の中心ではどんな言葉を

こういう展開は慣れているから、どんどん自分たちがやりたいように攻めていこうと話していました。

 

――伊勢投手への対策は

甘いボールは絶対来るので、ボールに手を出さずに甘いボールだけ打っていこうと思っていました。左バッターはよく捉えていましたが、いいプレーをされるとか、正面をついてしまったことが、今日は目立ってしまったと思います。

 

――試合後のチームの雰囲気は

優勝はそんな簡単にはできないと考えていたので、明日やるしかないという雰囲気になっています。

 

――明日に向けて

明日は向こうも向かって来ると思いますし、こっちも絶対勝ちをつかみとりたいと思っているので、こっちが少しでも上回れるように頑張りたいと思います。

 

菊地恭志郎(政4・慶應志木)

――今日の試合を振り返って

もう悔しいの一言ですね。僕が結局全部入れて2点で抑えましたけど、僕が0点で抑えれば負けなかった話なので、悔しいというだけです。

 

――1回の1失点は不運な要素も多かった

先頭の死球が悪かったかなと思います。自分があのような不注意で出したランナーは、アウトにはなってくれないなというのは痛感しました。

 

――そこから6回1死まで無失点。良かった点はどこですか

ずっと一緒ですけど、まっすぐとツーシームとフォークでを丁寧に低めに投げた結果かなと。今日はフォアボールが多かったですけど、その分結構際どいところを狙っていたので、ヒットは少なかったのかなと思います。

 

――逆に良くなかった点は

やはりフォアボールが多すぎる。7回も無駄な先頭のフォアボールから1点入ってしまいましたし、フォアボールが課題かなと思います。

 

――次回の登板に向けて一言お願いします

とにかく明日、全員で何人かわかりませんけど継投になると思いますので、僕の出番がまたあると思って準備していきたいと思います。

 

田中裕貴(環4・芝)

――今日の試合を振り返って

ずっと流れがあっちにあって、それを持ってこられなかったので、とても悔しいです。

 

――昨日と今日と好投が続いていますが

無失点で抑えられているというのは、とてもいいことだと思います。

 

――今日は三振を2つ奪いましたが

なんとか流れを引き寄せて次の攻撃に繋げたかったんですけど、何も起こらなかったので悔しいです。

 

――好投の要因はどう感じていますか

今年は継投継投で来てるので、少しでも次のピッチャーに楽にさせれるようにというのを考えて投げてます。

 

――今年は最終学年ですが、優勝にかける思いは

野手も投手も本当に一生懸命練習やっているのを見ているので、本当にこのチームで優勝したいなと思います。

 

――投手リーダーとして意識していることは

エースがいるわけでもないので、一人一人が繋いでいって、勝てればいいかなと思います。

 

――明日以降に向けて

明日勝たないとみんなが報われないと思うので、しっかりと準備して全力で臨みたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました