【野球】息詰まる接戦を制し先勝！３連覇へまた一歩近づく大きな勝利　法大①　

１０月１日（月）東京六大学秋季リーグ戦　法大１回戦

中村の好守が流れを呼び込んだ

首位キープへ、大事な一戦を勝ち切った。相手は昨季慶大が２勝０敗と完勝を収めた法大。

だが法大はここまで４勝１敗１分と好調で、勝ち点２で慶大と同率首位に立っている。３連覇へ向け大事な、このカードでの勝ち点の獲得。その一戦目に先発した髙橋佑樹（環３・川越東）は初回に先制を許すもその後は法大打線を封じ、７回１失点の好投を見せる。打線は序盤、法大先発・三浦に苦戦するものの５回に小原和樹（環３・盛岡三）が逆転２ランを放つ。その後は髙橋佑の後を受けた髙橋亮吾（総３・慶應湘南藤沢）が無失点で抑え、そのまま逃げ切った慶大。接戦をものにし、勝ち点獲得へ王手をかけた。

法大バッテリー：●三浦、石川、朝山―中村浩

慶大バッテリー：○髙橋佑、髙橋亮―郡司

慶大本塁打：小原１号２ラン（５回）

◆慶大出場選手

レーザービームで２点目を阻止した柳町

台風一過という言葉がよく似合う、うだるような暑さの神宮で試合は始まった。初回、慶大先発の高橋佑は先頭の宇草に二塁打を打たれると、２死から二者連続で四球を与え２死満塁のピンチを作ってしまう。続く６番・川口凌は初球を叩き、打球はレフト前へ。三塁走者が還るも二人目の生還は許すまいとする柳町達（商３・慶應）の必死の送球は郡司裕也（環３・仙台育英）のミットへ一直線。見事に二塁走者を刺し、立ち上がりのピンチを最少失点で凌いだ。これで「精神的に吹っ切れた」と高橋佑。２回以降は立ち直り、３回・４回と先頭打者を出しながらも粘りのピッチングで無失点に抑える。

一方の打線は法大先発・三浦にコンスタントに１４０㌔中盤を計測するノビのあるストレートを投げ分けられ苦戦。ヒットは出るものの後続が続かず、４回まで二塁さえ踏むことができないまま一点ビハインドで試合は中盤へ向かう。

今季３度目の先発で３勝目を挙げた髙橋佑

５回、髙橋佑は先頭を出すもこの日２打席連続安打を許している１番・宇草を変化球で三振に仕留め、１死一塁に。続く２番・小林が放った打球は風にも乗りフェンス際へ。抜けたかと思われたが、ライト・中村健人（環３・中京大中京）がフェンスに激しく身体をぶつけながらのジャンピングキャッチを見せる。抜ければ追加点という場面での超ファインプレーに慶大応援席は盛り上がりを見せる。するとその裏、慶大は１死から６番・嶋田翔（環２・樹徳）が浮いた変化球を捉えレフト前へクリーンヒットを放つ。続く７番小原の放った打球は乾いた打撃音を残しレフトへの大飛球に。法大の左翼手が追うのを諦めたその刹那、レフトスタンドにボールは弾んだ。小原の値千金の２ランで慶大はこの回逆転に成功した。

援護をもらった高橋佑は、センター・渡部遼人（環１・桐光学園）のダイビングキャッチにも助けられ、６・７回を三者凡退に抑えスコアボードに０を刻んだ。打線は６回、先頭の中村が気迫のヘッドスライディングで内野安打をもぎ取りその後２死ながら満塁のチャンスを作る。法大はこの場面で三浦から左腕・石川にスイッチする。ここは嶋田が空三振に倒れ、一点差の緊迫した展開のまま試合は終盤へ向かう。

今日は２回を無安打で締めた髙橋亮

慶大は８回から髙橋亮をマウンドへ送る。先頭打者に対して１４０㌔後半の速球を連発し、変化球で三振に取る理想的なピッチングを見せる。その後もエンジン全開の投球で４番・中山を空三振に仕留めるなどこの回を０点に抑える。回を跨いで９回のマウンドに立った髙橋亮は１４９㌔を記録するなどこの回も力のこもった投球を見せた。最後の打者を左飛に打ち取り、危なげなく三者凡退に抑え試合終了。接戦を見事に勝ち切った。

勝ち点２で首位に並ぶ法大との大事な一戦目を制した慶大。「よく勝ちましたね」と第一声で大久保監督が語ったように、今季好調を維持している髙橋佑、髙橋亮の両投手の好守もさることながら、内外野問わずいくつもの好守が飛び出したまさに「守り切った」勝利だった。一方で打撃陣は、今日は好投手三浦の前に小原の本塁打による２点に終わった。好投手を多く擁する法大戦において決して楽な試合は無いだろう。勝って兜の緒を締め、明日は打撃陣の爆発に期待したいところだ。

（記事・染谷優真、写真・小林歩）

◆打撃成績

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――今日の試合を振り返って

よく勝ちましたね。立ち上がり苦しくて、前半は毎回のように先頭が出てそれが苦しかったですけど、そこで郡司と髙橋佑が粘って一点で凌いだのが大きかったかなと思います。打つ方はやはり今シーズン法政のエースになっている三浦君が、低めも丁寧に投げ分けしてくるのでなかなか突破口が無くて苦しかったです。でも、２回り目くらいから徐々に攻略の糸口が見え始めたときに小原が最高の形で打ってくれたなと思いますね。

――守備でも良いプレーが連発しました

ライトとセンターのキャッチもプレーもそうですし柳町のバックホーム、（小原）和樹のセカンドの守備、瀬戸西の惜しいプレーもあったしそういう意味では守りの方ではしっかりと良いプレーができたかなと思いますね。

――首位で並ぶ法大との大事な一戦目を勝利しました

一番ダメなのは連敗ですし、先勝というのは優位なのは間違いないですが、勝ち点制なのでまだまだです。連勝できたら最高ですし、あくまでも良い準備をして明日勝つつもりで戦います。

河合大樹主将（総４・関西学院）

――今日の試合を振り返って

守り勝ったという感じです。外野守備を頑張ったことが形になってよかったなと思います。

――首位決戦で選手の思いも強かったと思います

首位決戦ではありますけど、法政の調子が良くて、法政に勝たないと優勝できないとみんなわかっている中で練習してきました。それが今日の試合に出たかなと思います。

――今日は二人の髙橋投手が良く抑えました

本当に頼もしいです。二人が力を出してくれてこういうゲームになっていると思うので、頼もしいなと思ってみていました。

――ここまで６試合連続でホームランが出ています

強く振っていかに打球を飛ばすか、速くするかという取り組みをやっています。速い打球を練習中から打っている選手がホームランを打っていますし、いい取り組みができているなと思います。

――守備でも好プレーが良く出ました

逆にこういう試合をしていかないと勝てないです。明日も外野に打球は良く飛ぶと思いますし、内野手も難しいゴロをさばかないといけないという場面がたくさん出てくると思います。そこをしっかり明日もやらなければいけないですね。

内田蓮（総４・三重）

――今日の試合を振り返って

法政戦で、このカードをものにした方が優勝に流れを持ってこれるというところだったので、なんとかこの試合をものにしたいと思っていました。厳しい試合になりましたけど、とりあえず先勝でき、今はちょっと良かったなという気持ちでいます。

――同率首位同士の戦いということで、思うところは

やっぱり今シーズンの法政を見ていると、粘りもあって、ピッチャーもしっかりしていて、非常に怖いなと思っていました。法政戦がこのリーグ戦の１つの山になるかなと思っていました。

――２回にはヒット、５回には四球で出塁しましたが

やっぱり三浦投手は好投手なので、１試合に何本もヒットが出るわけではないと思っていました。なんとか１試合に１本打って、フォアボールとかデッドボールで出塁して、打線として繋げたいなと思っていたので、そういう点では今日の役割としては果たせたかなと思います。

――明日に向けて

法政は今日よりももっと、結束してやって来ると思います。それに負けないように、僕たちも今日もう一度、勝った時ほど課題をしっかり見直して、明日またいい試合ができるようにしっかり頑張って準備していきたいです。

髙橋佑樹（環３・川越東）

――今日の試合を振り返って

序盤に僕がヒヤヒヤするようなピッチングをしてしまいましたが、そんな中で野手がいいプレーをして助けてくれました。あれだけいいプレーをされて負けるわけにはいかないという気持ちにもなりましたし、野手に勝たせてもらった試合だなと思います。

――ピッチングの調子はいかがでしたか

最初は良くなくて今日は厳しいかなと思っていたのですが、野手が諦めるなというプレーをしてくれたのでしっかり投げなきゃなと思いました。途中からはあまり考えずに、思い切り投げることを意識していました。

――途中から立ち直りました

精神的にふっ切れたと言いますか、試合前から粘ろう粘ろうとしていたのですが、途中からは割り切って投げれるようになりました。

――雨で二日流れてのマウンドでしたが

法政が先週空き週で、僕らは明治とやっていてということを考えると、どう考えても僕らにとってプラスだったので、ポジティブに捉えてこの２日は過ごしました。

――小原選手のホームランは見ていていかがでしたか

レフトフライかと思いました（笑）和樹（小原）がホームラン打って帰ってきたときくらいまでは、ホームラン打ったとは信じられなかったです。

――好投が続いていますが、その要因はご自身でどう捉えていますか

野手のファインプレーですね。今日だけではなくて、特に外野手がいいプレーをしてくれて、それに乗せてもらって投げているという感じです。

――好調と捉えてはいないのでしょうか

迷わず思い切り投げられてはいるし、球もいい時はいいので、ボチボチという感じですかね。（春と比べて）球は速くなっていると思うので、その分変化球とかが生きてきているかなとは思います。

――明日以降に向けて

今日勝っただけで勝ち点を取ったわけではないので、明日もう一個勝てるようにしっかりと準備していきたいと思います。

髙橋亮吾（総３・慶應湘南藤沢）

――今日の試合を振り返って

相手もいいピッチャーであまり得点が期待できない中で、どうにかピッチャーが抑えて勝とうとしていたので、結果としては良かったです。

――試合の終盤での登板が多いです。心構えとして何かありますか

もともと後ろだったので、苦手意識はないですね。先発はある程度試合を作らなければいけないですが、抑えは自分の自信のある球種を思い切って投げるられるので、今はそれを意識してます。

――中山選手を三振にも取りました

たまたまです。三振が取れて胸を撫で下ろせたという感じですね。

――明日に向けて意気込みを

本当に法政はいい打者陣、投手陣なのでまた今日みたいに苦しい展開になると思いますが、ピッチャーが少ない点に抑えてチャンスをものにしていきたいと思います。