【バレーボール】涙の2部降格…上半期に出た課題に向き合い、再出発誓う/春季関東大学男子バレーボールリーグ戦 1部・2部入替戦vs国際武道大

バレー戦評

勝てば1部残留、負ければ2部降格——。故に、どうしても結果を求めてしまうのが入替戦。両者ともに攻めのサーブでミスが出るなど序盤からその強い思いが表れていた。第1セット、調子を出し切れずに落とした慶大は、切り替えて第2セットを総力戦で奪取。しかし、第3セット以降はミスが目立ち、セットを取ることは出来なかった。開いた点差は相手を勢いづけ、より果敢に攻撃する契機を与えてしまった。こちらに決しておごりがあったわけではない。しかし、1部昇格のために一枚岩となった国際武道大に慶大は力及ばず。無念の2部降格が決まった。

 

2022年7月9日(土)

春季関東大学男子バレーボールリーグ戦

1部・2部入替戦 慶大×国際武道大

 

得点

慶大

セット

国際武道大

21

25

25

20

22

25

20

25

 

 

出場選手(サーブ順)

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

   
   

OH

島田航希(経3・慶應)

MB

芳賀祐介(環2・札幌北)

OP

松本喜輝(環3・九州産業)

OH

18

安達龍一(環4・洲本)

MB

降小雨(商4・慶應)

S

高倉真古都(商4・慶應)

L

山元康生(法1・慶應)

途中出場

 

 

OH

12

内田克弥(環2・松江工業)

S

10

大槻晟己(総3・清風)

MB

27

下田悠生(経4・慶應湘南藤沢)

OH

渡邊大昭(商2・慶應)

 

 

ブロックポイントをあげ喜ぶ芳賀(写真右)

大事な第1セット。序盤から両校ともサーブで果敢に攻めるなど、1部の座を死守したい慶大と1部昇格を果たしたい国際武道大のお互いの意地が火花を散らす。芳賀祐介(環2・札幌北)が2連続でブロックで得点し12-11と流れをつかみかけるも、サーブレシーブの乱れからトスが合わず14-18と差が開いてきたところで慶大はタイムアウトを要求。ここで悪い流れを断ち切りたいところであったが、その後もいまいち乗り切れずサイドアウトを切ることが出来ない。17-22の場面で、セッター交代。大槻晟己(総3・清風)が投入されるも反撃には遅く、最後はサーブがネットにかかり21-25でこのセットを落とした。

 

 

 

安達のスパイクでサイドアウトを切る

取り返して試合を振り出しに戻したい第2セット。序盤、国際武道大に2連続サービスエースが飛び出すも、慶大は流れを渡すまいと先のセットから途中出場の大槻が司令塔として落ち着いて攻撃を組み立てていく。安達龍一(環4・洲本)の高い打点からのスパイクでサイドアウトを切ると、松本喜輝(環3・九州産業)のサービスエース、降小雨(商4・慶應)のブロックで連続ブレイクを奪い、10-8で国際武道大がタイムアウト。その後も集中力を切らさなかった松本がサービスエースを決め、11-8と慶大が差を広げていく。このまま突き放したいところであったが、相手も粘り強さを見せ、長いラリーを制したのは国際武道大。15-14とあっという間に1点差まで詰められ、そこからはサイドアウトの応酬に。終盤になり、ブレイクして流れを引き寄せたい両校。その競り合いに勝ったのは慶大で、安達、芳賀、松本、島田航希(経3・慶應)のスパイクが連続で決まり、25-20で第2セットを総力戦で制した。

 

 

 

島田にサービスエースが飛び出す

第3セットはまさかの3連続失点からのスタート。序盤は国際武道大の背中を追いかける展開となるが、島田のサーブがエースになるなど9-10と着実に確実に相手に詰め寄っていく。松本の強打で連続得点し11-11と追いつくと、以降サイドアウトを取り合う激しい戦いが繰り広げられる。18-18と両者ともブレイクしたい重要な場面で、島田からの二段トスに安達が合わせブロックアウトを取ったのは大きな1点だった。ここで慶大に傾いた流れを変えようと国際武道大がタイムアウトを要求。直後の大事な1本を安達が力強いスパイクで得点し、20-18と慶大が先に20点の大台に乗せた。このまま取り切れるかと思われた第3セットであったが、緊張や焦りからか生じたミスも合わさり、最後はサーブで崩されたところにダイレクトアタックを打ち込まれ、22-25でこのセットを落としてしまう。

 

 

 

大槻のサーブでブレイクを奪う

窮地に立たされた第4セット。大槻のワンハンドトスに降がうまくクイック攻撃を合わせて先制点を奪うも、相手も負けじとセンター線を使った攻撃で反撃。安達にノータッチサービスエースが飛び出し6-3とリードを奪う場面もあったが、少しのミスやほころびから8-11とあっという間に差を広げられ、慶大はここでタイムアウト。立て直したいところであったが、トスが合わず9-13とミスの連鎖を止めることがない。10-16と大きくリードされたところから、大槻のサービスエースや芳賀のクイック攻撃が決まり、相手のミスにも助けられたこともあり連続ブレイク。14-16と相手に迫るも、勢いに乗った国際武道大は果敢に攻める一方、慶大は動きが固くなり本来の調子を出すことが出来ない状態。サーブも思うように入らなくなり16-22と、終盤においても開いた点差を縮めることはできず、最終的に20-25で第4セットも取ることは出来なかった。セットカウント1-3で国際武道大に敗れ、慶大の2部降格が決まった。

 

初心に立ち返り、再出発を誓う

意地と意地のぶつかり合いを制したのは国際武道大だった。自分のあの時の1点が、あそこでミスをしなければ、拾っていれば、決めていれば…。ひとりひとり思い起こす場面はあるだろう。選手たちの悔しさは計り知れない。また、自分たちの思うようなバレーボールが出来ずに歯がゆさも感じたかもしれない。

慶大は昨秋の2部リーグ戦で全勝優勝を果たし、悲願の1部昇格を決めたばかり。一季で逆戻りするかたちになってしまった。しかし、この結果が慶大の現在地であることも事実。「負け」「2部降格」という結果ばかりに目が向きがちではあるが、そこだけに目を向けていても成長は見込めない。この入替戦はチームの課題を再確認できた試合だったのではないだろうか。以前からの課題であった“調子の波” “終盤の弱さ”をこれからどう乗り越えるか。乗り越えた先では、また違う景色が見えるはずである。

今日の敗戦は慶大がより強くなれる試練。初心に立ち返りチームを立て直していく必要がある。再び1部の舞台で戦うために下を向いている暇などない。目指す場所に近道も裏道もなく、一戦一戦の着実な積み重ねの先にこそある。秋季リーグ戦で全勝優勝・1部復帰を果たす彼らの姿を見届けたい――。

 

 

(記事・写真:田中瑠莉佳)

 

 

以下、コメント

 

高倉真古都主将(商4・慶應)

——率直なお気持ちを

悔しいですし、情けないです。

 

——途中でコート外から見守ることになりましたが、どういう心境でしたか

コートに4年生がすくなくなり、下級生に大事な試合を背負わせてしまったことが情けないです。

 

——試合後のミーティングではどういう話をされましたか

自分が主将で良いのか、ということについて話をしました。

 

——チームを立て直すために必要なことは

あげたらキリがないのですが、確かなこととして、今のままのチームでは勝てないということは痛感しました。

 

——最後の1年、半分が終わりましたが、主将として個人としてどう振り返りますか

主将として、優れたリーダーシップを発揮できたかというとそうではないと思います。そのような意見が、試合後のミーティングでもありました。情けないです。最後の結果が良くないので、ポジティブな振り返りはできないですし、個人としても反省点しかありません。チームスポーツなので、特定の誰かが悪いということはないですが、主将として半年チームを率いてきた自分には責任があると思います。結果は変えられないので、現時点から一部復帰に向けてやらなければいけないことを考え、実行していきます。

 

 

 

降小雨副将(商4・慶應)

——率直なお気持ちを

悔しいし、負けるべくして負けたと思っています。

 

——この入替戦はどのような気持ちで望まれましたか

絶対に負けたくない。そんな気持ちで望みました。

 

——コート上の最上級生から見て、チームの雰囲気はどうでしたか

相手の内容の良いバレー、そして気迫に圧倒され萎縮する雰囲気だったと感じています。

 

——試合で出し切れなかった点はどういうところだと思いますか

選手一人一人の常日頃持っている実力を、拮抗した場面で発揮する点だと思います。

 

——最後の1年、半分が終わりましたが、副将として個人としてどう振り返りますか

危惧していた事がそのまま起きてしまった。予想できていた事態に対して、徹底して策を打ちきれなかったこと。素直に全てに対して甘いなと、甘かったなと感じます。

 

——今後に向けた決意を教えてください

ひたむきに、ただただひたむきに尽力します。

 

 

 

大槻晟己副将(総3・清風)

——率直なお気持ちを

春リーグ、東海大学との試合以来の出場ということで、少し不安な気持ちはありましたが、自分の中で心身の準備はできていました。試合中はバレーボールに対して純粋に向き合うことができましたが、試合後の現在は、一部残留という結果を勝ち取れなかったことに、強い悔しさを感じています。

 

——安達選手を積極的に使っている印象を受けましたが、セッターとしてどのように攻撃を組み立てようとしましたか

慶應はOPである松本を序盤から多用してしまい、最終局面で苦しくなる傾向があるので、OP以外の選手の打数をいつもより増やすことを意識しました。相手は慶應のMBに対して強めにマークをしていたため、多用することはリスクがありました。そのため高さと爆発力のある安達さんで流れをつかみたいと思い、トスを集めました。

 

——大槻選手のサーブのローテーションで連続ブレイクもありました。ご自身のプレーの手応えはいかがですか

一試合を通して戦うことの難しさを感じました。ブレイクしたときもありましたが、一本でミスしてしまうときもあり、長い試合をどう戦うかという点において未熟さを感じました。ただ、一つ一つのプレーを見ると、以前より良くなっているところもあったので、そうした部分は自信にしていこうと思います。

 

——副将として今後どのようにチームを立て直していきますか

二部降格という結果を招いた根本的な問題として、個人の表現力の不足があったと考えています。意思、情報、思考などを発信する際に必要なのが表現力だと思うのですが、十分な表現力が無いために誤解や勝手な解釈が生まれ、チーム内の一体感が損なわれていました。今後、私は部員の表現力の向上を一つの目標として、全員が言うべきことを言える人、伝えるべきことを伝えられる人である組織を目指していきたいと思います。そのためにも、先陣を切って自分自身が想いや考えを発信するようにしていきます。

 

——今後に向けた決意を教えてください

現チームが発足するときに日本一を目標に立てました。前半期で積み残したものを、残りの半期で死ぬ気で取り返していきます。

 

 

 

松本喜輝選手(環3・九州産業)

——率直なお気持ちを

悔しいという気持ちもありますが、部活の仲間や去年1部にあげてくださった先輩、OBなど様々な方々に恥ずかしい気持ちや申し訳ない気持ちが大きかったです。

 

——この入替戦はどのような気持ちで望まれましたか

自分たちの中では勝たなければいけない試合で結果を求めすぎて固くなってしまっていました。

 

——試合で出し切れなかった点はどういうところだと思いますか

いつもより自分たちのプレーができていなかった。自分たちのやるべき事を見失ってプレーをしていた感じがしました。

 

——春季リーグ、東日本インカレとずっとコートに立たれていましたが、ご自身のプレーをどう振り返りますか

自分としてはまだ50、60点くらいかなと思います。1部の選手はオポジットというポジションでもレシーブを拾う選手が多く、その上得点をしてくる中で自分は守備面に関してはまだまだだなと感じました。

 

——チーム再出発のために、個人としてチームとして必要なことはどういうところでしょうか

個人としては得点を取る選手からチームを勝たせることの出来る選手になりたいと思います。スパイクなどのバレースキルだけでなく、メンタル面などでもチームを支えることができるようになりたいと思います。チームとしては全員がもう一度チャレンジャーとして秋リーグに向けて、ひとつになりたいと思います。

 

——今後に向けた決意を教えてください

自分たちの課題が多く見つかった春リーグと東日本インカレだったので、もう一度初心にもどって、一つ一つの課題に取り組んでいきたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました