【バレーボール】因縁の相手にフルセット勝ち!初戦白星を飾る/第75回全日本バレーボール大学男子選手権大会1回戦vs国際武道大

バレー戦評

「日本一」を目指す戦いがついに開幕した。初戦の相手は、春秋と入替戦で2度も対戦した国際武道大。因縁の相手とも言える相手に慶大は常に攻めの姿勢を崩さず、1点1点集中して臨んだ。先の入替戦でもフルセットとなったが、今試合もフルセットに及ぶ接戦。選手のケガもありメンバーを入れ替えながらも、各々が自分の役割を果たし、チーム全員で見事勝利を手にした。

 

2022年11月29日(火)

第75回全日本バレーボール大学男子選手権大会1回戦

慶大×国際武道大 @駒沢屋内球技場

 

得点

慶大

セット

国際武道大

28

26

19

25

25

16

20

25

15

12

 

 

出場選手(サーブ順)

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

   
   

OH

島田航希(経3・慶應)

MB

芳賀祐介(環2・札幌北)

OP

松本喜輝(環3・九州産業)

OH

11

入来晃徳(環1・佐世保南)

MB

降小雨(商4・慶應)

S

高倉真古都(商4・慶應)

L

12

内田克弥(環2・松江高専)

途中出場

 

 

MB

27

下田悠生(経4・慶應湘南藤沢)

OH

渡邊大昭(商2・慶應)

S

10

大槻晟己(総3・清風)

 

(左から)入来・降・松本のブロック

第1セット、慶大は守備面・攻撃面で多彩なプレーを展開する。高倉真古都(商4・慶應)・降小雨(商4・慶應)・入来晃徳(環1・佐世保南)の3枚ブロックや松本喜輝(環3・九州産業)のブロックが相手のスパイクを止め続け、5-2と序盤からリードをつくる。攻撃面では上がったトスに芳賀が素早く入りクイック攻撃、松本がレフトから放ったスパイクも決まり10-7としてリードを保つ。その後相手はブロックをかわしたサイドラインいっぱいのスパイクで応戦するも点差はセット後半に入っても維持されたまま。しかし終盤、松本のスパイクが拾われる場面が続き、ついには相手ブロックに阻止されて19-20と逆転を許してしまう。1点ビハインドで迎えた相手のマッチポイント、緊張の1点だがここは高倉・降の主将・副将コンビがブロックを決めて欲しい1点をもたらした。相手サーブがネットに掛かり慶大にマッチポイントが回ってきたタイミングで松本が鋭く力強いスパイクを叩きつける。チャンスを逃さなかった慶大が見事に第1セットを手に入れた。

 

スパイクを打つ島田

セット連取で勢いづきたい慶大だが、第2セットは相手の粘り強いプレーに苦戦する。冒頭、入来や降のスパイクが拾われ続けて第1セットのようには主導権を握れない。島田航希(経3・慶應)の巧みなスパイクなどで1点抜き出る場面が複数見られるも、サーブミスもありこの機会を生かせない。また、スパイクが浮いてしまう場面も増えて8-9、10-13と相手に点差を広げられる。セット後半、慶大が3連続得点で並び逆転の機会を得ると、その後島田が一撃で決める。しかし、その後にブロックアウトを取られて16-20まで点差をつけられると、入来に代わり渡邊大昭(商2・慶應)がコートに入るもその点差を縮めるには至らず19-25でこのセットを落としてしまった。

 

サービスエースを決めた大槻

再び流れを呼び寄せたい第3セット。第2セット同様、拮抗(きっこう)しながらもわずかに相手がリードする展開が続くが、ここで初めて相手セッターとスパイカーの連携にミスが見られる。そうした中で慶大は得意のサーブ&ブロックで確実に得点を重ね、気付くと13-8と5点ものリードを奪いセット前半を終える。後半、ピンチサーバーとして入った大槻晟己(総3・清風)がサービスエースを決めるとチームはさらに勢い付く。芳賀の「冷静にいこう」という声掛けのもと目の前の1点を大事にするプレーでそのまま逃げ切り、25-16と大差をつけて勝利。試合の主導権を握ったかのように思われた。

 

渡邉のスパイク

第4セット、「良くない立ち上がりだった」と選手が振り返るように慶大は相手スパイクを上げられず1-5と早々に引き離されてしまう。焦りからかサーブ時の反則も取られてしまう。それでも渡邊を筆頭に1点ずつ得点を奪い7-8に、国際武道大のタイムアウト後にさらに1点を追加して両者は8点で並んだ。渡邊はその後も多様な攻撃でチームに多大に貢献し、セット後半でも競り合いが続く。15-14とこのセットで初めての逆転に成功するも相手は追随、相手が再び1点リードを奪うと、このチャンスを相手は見逃さなかった。ボールを左右に大きく振りこれをスパイカーが得点につなげると、ここから相手は2連続ポイントを重ね、そのまま25-20で逃げ切られる形となってしまった。

 

降(手前)と高倉のブロックで仕留める

運命の第5セット、セット前には「スタートの5点を大事に」という選手の声も聞こえる。相手サーブがネットに掛かり先制点を奪うと、その後は粘り強いレシーブで相手のアウトを引き出す。松本のサービスエースも見られ、宣言通りチームは最初の5点で3点ものリードをつくる。その後相手が緩急をつけた攻撃で5-5と並び慶大のタイムアウト後も拮抗(きっこう)するが、8-7のタイミングで一歩リードした慶大がこの機会を逃さなかった。内田克弥(環2・松江工業高専)がディグで好守備を見せるとこれを渡邊がスパイクで得点につなげる。さらには島田がサーブで相手を崩し、エース松本がスパイクを打ち込む。チーム一丸となって得点を重ねて14-12とマッチポイントを迎えると、最後は高倉・降がブロックでボールを相手コートに落とす。2時間越えの熱戦となった全日本インカレ初戦。最後まで攻める姿勢を見せた慶大が見事に勝利を収めた。

(記事・写真:五関優太、田中瑠莉佳)

 

以下、コメント

星谷健太朗監督

――今日の試合を振り返って

全カレを有観客でやらせてもらえたことが本当にありがたいなと思いましたし、スタッフ・選手含めて全員がしっかりやることをやって素晴らしい試合を展開できたことが良かったと思います。

――全カレに向けてチームはどう動いていましたか

安達(安達龍一、環4・洲本)のケガがあって新しくチームとしてどういう風な戦い方をしなきゃいけないかっていうことを、決して1からではないですがもう一度模索している中で、フォーメーションや組み合わせをやってきてそれがやっと少し実になってきたかなという感じです。

――特に第3セットは理想的な形のプレーに思えました

そうですね、バレーボールはいいサーブが入って向こうが崩れてスパイクが決まらないってなれば当然いい展開になるし、逆にそれを相手にやられてしまえばいい展開ではなくなるので、そのいい展開を次のセットも続けられるかはまた別の話で、調子に左右されることなく、その時のベストをやりきるのが大事だと思います。

――このチームの集大成となる今大会ですが、選手たちにメッセージをお願いします

事実として最後の大会ではありますが、最後というのは関係なく毎日が最後という風にやってきたはずなのでそこは変わらず冷静に、熱くなりすぎて冷静さを欠いて思考の範囲が狭まって単調なプレーになってしまって、向こうがやりやすい展開になってしまうこよはよくあるので、熱くなるところは熱くなるんだけれども、冷静さも忘れずにやっていきたらいいなと思っているので、そこは選手も十分分かっていると思うので引き続きやってほしいなと思います。

――次戦への意気込み

今日フルセットやっているので体力的に心配なところはありますが、明日は明日のベストを作れるように準備はしたいと思いますし、しっかりそれぞれが役割を果たして今日のようにやりきれるようベストを尽くしたいと思います。

 

降小雨副将(商4・慶應)

――今日の試合を振り返って

今日も生き延びたなという感じです。

――引退が頭をよぎりましたか?

あーめちゃくちゃよぎりましたね。4セット目の入りが悪かったんできついな、5セット目までいくかもなって思いました。でも地力はうちの方があったんで、そこをしっかり出せば大丈夫だろうと思っていました。

――因縁の相手に意識する部分はありましたか?

抽選が決まったときに国際武道大学さんとあたるのは厳しい試合になるだろうなというのは思っていたので、そういう部分では意識はしていました。ただ、対戦相手に関わらず目の前の試合に1点1点取ることは変わらないので、意識しつつも意識していないみたいな。

――ブロックもクイックも素晴らしかったです。ご自身の出来はいかがですか?

まあ65点くらいかなと思います。クイックはけっこう通ったんですけど、ブロックに関しては最後相手の攻撃を絞り切れなくて、もっと大胆にレフトにリードブロックにいけば失点が少なかったなと思う場面が5点くらいあります。しかもそれもただの1点じゃなくて、局面局面で大事なところだったのでそこは反省ですかね。満遍なくリードブロックしすぎたなと思っています。なので65点です。

――今日はいつにも増して気合が入っているなと思いました

そうですかね!?龍一がいなかったんで、さすがに同期をスタンドで引退させるわけにもいかなくて、サイドアウト苦しい時はクイックで切ろうよっていう話をしてたので、その攻撃自体が決まったのは良かったと思います。

――次戦への意気込み

明日も頑張って生き延びます!負けたら終わりなので!

 

松本喜輝選手(環3・九州産業)

――今日の試合を振り返って

まずは一安心というところが一番大きいです。

――ライト以外からの攻撃も決めていましたが、その点については

どうしても将来的にやらなければいけないプレーになってくると思うので、今のうちからこういった舞台で自分の力が発揮できるようにできたらなと思います。

――サーブで意識したことはありますか

今日はミスをしないように消極的なプレーになってしまって、5セット目は自分の中でいけると思ったところで結構攻めて良いサーブが入ったので、この感触を忘れずにまた明日からの試合につなげていけたらなと思います。

――次戦への意気込み

今日こういったフルセットの試合を勝ち切ったということでそこはやっぱり自分たちの自信にしてこれからのバレー人生につなげていくとともに、明日の試合は今日のこういった試合の後なので慢心することもなく全員でチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。

 

渡邊大昭選手(商2・慶應)

――今日の試合を振り返って

途中出場ということで相手に押されている場面で自分が入って役目てなったときに、チームの笑顔だったり初心に戻ってバレーボールを楽しむという意味でも盛り上げないといけないのかなと思ってプレーしていました。

――最終セット、終わった今の率直な感想は

やっぱり負けるわけにはいかなかったので、春の入替戦で負けて秋の入替戦では勝って、それで今日という日を迎えたので、僕としてはやっぱり4年生とまだ戦いたかったし勝利という結果で終われたのはすごく良かったのかなと思います。

――サーブで意識したことはありますか

とりあえずひたすら攻める、ミスも正直相手も出ていたので、そしたら攻めるしかないなと思っていました。

――次戦への意気込み

まずはバレーボールを楽しんで、それで4年生と結果的に長くバレーボールをできたらいいなと思います。

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