【テニス】5組が熱戦を繰り広げ、堤・大川組が準決勝進出/関東学生テニストーナメント 準々決勝

庭球女子

5月1日より本選が行われている関東学生テニストーナメント。東京都高等学校テニス選手権大会も開催されていたため、学生の熱気と歓喜にあふれる有明が、そこにはあった。慶大勢はベスト8にシングルス2人、ダブルス3組が残った。準決勝進出を懸けて実力者相手に熱戦を繰り広げ、堤華蓮(環4・四日市商業)・大川美佐(環4・法政二)組が快勝で6日行われる準決勝に駒を進めた。

 

2023年関東学生テニストーナメント 本選5日目

5月5日(金)@有明テニスの森

 

♢試合結果♢

男子シングルス

●下村亮太朗(法3・慶應)

1{7-5、3-6、2-6}2

〇高悠亜(日大)

男子ダブルス

●有本響(総4・慶應)・菅谷優作(法4・慶應)

0{6(10)―7、4-6}2

〇高悠亜・小泉熙毅(日大)

女子シングルス

●大橋麗美華(総2・光明学園相模原)

0{0-6、3-6}2

〇吉本菜月(筑波大)

女子ダブルス

〇堤華蓮(環4・四日市商業)・大川美佐(環4・法政二)

2{7-6(6)、6-3}0

●星野遥香・石川和奏(東京国際大)

●大橋麗美華・中島玲亜(総2・岡山学芸館)

1{6-4、4-6、5―10}2

〇川出莉子・西尾萌々子(筑波大)

※ダブルスはセットカウント1-1になったら10ポイントのタイブレークを行う

 

♢男子シングルス

●下村亮太朗(法3・慶應)

1{7-5、3-6、2-6}2

〇高悠亜(日大)

昨年度、リーグ戦と王座で無敗の男・下村が4強の座をかけ日大の高悠亜と対戦した。インカレ出場こそ決めているものの、リーグ戦で対戦する可能性があり、また同級生対決ということで、両選手とも抜かりないプレーを繰り広げた。   

高のサーブで幕を開けた第1セット、下村はリターンを確実に返していく。ファーストサーブがなかなか入らず、バックスライスを多用しラリー戦に持ち込もうとする高に対し、それ以上のドライブをかけ応戦する。下村がアドバンテージを得ると、相手のフラットサーブを上手く弾き返し、粘った末ラリーを制し、いきなりブレイクに成功する。

2ゲーム目、デュースサイドからワイド、アドバンテージサイドからセンターへの高速サーブであっさり30―0とすると、その後はサーブアンドボレーを続けこのゲームをキープし、2ゲーム先取に成功する。

その後はキープ合戦が続き、4−3で迎えた8ゲーム目。先行したいところでサーブを相手のボディーに食い込ませ1ポイント目を取得するが、徐々にサーブを攻略し始められ、好リターンを決められる。テンポを狂わされた下村は、この日初のダブルフォルトでこのゲームをブレイクされる。このブレイクで勢いに乗った高は、直後の9ゲーム目、サーブを勢いよく放り込み、4連取でゲームをキープし、4−5とイーブンになる。

10ゲーム目、ここを落とせば第1セットを取られてしまう。確実にキープし、まくり返しへの弾みとしたい。相手のフォア側にサーブを集めるも、15−40とセットポイントを握られる。しかし、ここで気持ちを落とさなかった下村。一気にギアを上げ、強気に高速サーブを叩き込む。まずは相手のラケットを圧倒するサーブ、次にサービスエースを決め、一気に追いつく。コート横に一列に並んでいる部員たちも、割れんばかりの声援を送る。下村もそれに応えようと、さらにサーブのスピードは増していく。デュースとなり、下村はサーブで相手のチャンスボールを引き出し、バックストレートで圧倒。アドバンテージとなり、最後は頼みのサーブでここを押し切り、キープ成功。仲間たちに向かって「come on!」と吠えた。

ガッツポーズ見せる下村

その後下村はフォアサイドにサーブ、ストロークを高に集められるも、ショートクロスなどでラリーの主導権を握り、また高のサーブアンドボレーのボレーを懸命に拾い、スマッシュのミスを誘った。「でかすぎ!」と本人も言うほど、ここを凌いだのは大きかった。後の12ゲーム目もデュースとなるも、アドバンテージを迎えたところで水を飲みに行く。重要な局面で冷静になれた下村は、セカンドサーブを執念で高のバックサイドに放ち、リターンはアウト。下村は激闘の第1セットを制した。

第2セット以降、高が下村の高速サーブに対し、ブロックリターンで対応してくる。サーブが効かなくなり、4ゲーム目、ブレイクを許す。ブレイクし返したい下村は、相手のサーブに対し強いスイングをしかけるも、下村のそのパワーを使用して当て返す高の巧みな戦術もあり、ブレイクができない。3−5とされ9ゲーム目、立場が変わったかのように、今度はサーブで押し切られ、第2セットを落とす。下村は今大会、初めてセットを奪われることになった。

バックでも得点を重ねた

第3セット。このセットを制したほうが準決勝への切符をつかめるというところ。今回は相手のバック側にサーブを集め、サービスエースもこのゲームで2本生まれる。デュースとなり、再び強烈なサーブを繰り出そうとしたところ。ファーストサーブをネットする。ネットで跳ね返ったボールが下村の方に転がり、それを背後の壁に寄せようとラケットで転がす。サーブのモーションに入ろうとしたが、壁に寄せたはずのボールが壁で跳ね返ってきており、そのケアをしたがために集中力を乱してしまう。間を悪くしてしまい、下村はダブルフォルト。次のポイント、ラリーがアウトすると、ボールをネットに叩きつけ、怒りをあらわにする。

気を取り直したい下村だが、次のゲームを簡単に取られると、1−5と大きくリードされてしまう。2−5と挽回し、高のサーブを必死に返し、左右に振り回されても相手より一球多く返そうと縦横無尽に走り回ったが、反撃はここまで。第3セットを取られ、下村はセットカウント1−2で惜敗した。

 

♢男子ダブルス

●有本響(総2・慶應)・菅谷優作(法2・慶應)

0{6(10)―7、4-6}2

〇高悠亜・小泉熙毅(日大)

高がシングルスで下村に逆転勝利をし、歓喜が冷めやらぬ18番コート。高の連戦を考慮して、1時間半のレストを空け14時30分より試合が開始した。有本・菅谷は2021年の北信越インターハイで優勝し、昨春の早慶戦でD3として出場。ファイナルセットまで早大を追い詰めた実力派ペアである。しかし、対するは高・小泉煕毅。高は下村を倒した直後での試合、疲れはあるものの長時間の試合間休憩で体力が回復し、気持ちも高まっているところだろう。そして、有本・菅谷をインターハイ決勝で追い詰めた、その一人がこの小泉。この試合を見守ったのは慶大と日大のチームメイトだけではない。多くの高校生たちが全国ファイナリストのプレーを参考にしようと駆けつけ、80名ほどが戦況を見守った。

サーブ後に前に出ようとする菅谷

 有本・菅谷は2バックの体制をしき、ボールを返すとともに前に出て、並行陣で勝負する戦術を貫いた。試合開始後から目まぐるしい展開が続いた。風が強く、ボレーが難しい中、相手の強烈な突き球が並行陣を襲う。高のサーブから始まったこの試合、リターンダッシュで前に出ると、高に間を抜けられることがあれば菅谷もスマッシュを決め返し、小泉がロブで頭上を越すスーパーショットを決めれば有本も鋭角へのボレーをお見舞いする、という一進一退の攻防が続いた。一時2−5とされるも、菅谷が相手の強打を何度もブロックし、ミスを誘い得点を重ねていく。有本も相手の動きがよく見えており、ポーチに出てきた相手の裏をつき、リターンエースを決め4−5と挽回する。その後お互いにキープし、タイブレークを迎える。両者合わせて22ポイントにわたるタイブレークの激闘。ネットしてはいけない、浮いたら叩かれるという緊張感の元、足を止めることなく打点に入る。しかし、最後は相手のショットがネットに触れ大きく跳ね、このセットを落とした。第2ゲームも、3−3まではお互いもキープ合戦となった。しかし、7ゲーム目、小泉にスーパーロブが出ると、高にバックハンドの逆クロスを決められ、ブレイクされる。4−5となり、バックストレートを決めるなど必死に反撃するも、最後は小泉にサーブの力で圧倒された。このゲーム、セットを落とし、セットカウント0−2で敗退した。

 

♢女子シングルス

●大橋麗美華(総2・光明学園相模原)

0{0-6、3-6}2

〇吉本菜月(筑波大)

前日には亜大の吉川ひかるを圧倒して、5日の5回戦に臨んだ大橋は昨年の全日本大学対抗テニス王座決定戦決勝の慶大戦にも出場している実力者・吉本菜月と対戦。第1セットの第1ゲームから相手の速いサーブで崩され1点も取れずに1ゲームを失う展開で始まった。立て直したい大橋だが、第2ゲームをキープできず、主導権を握られる。第3ゲームではチャンスボールに対して力んでしまうなど、苦しい展開が続くと、相手のストロークに圧倒されてこのセットを0-6で落とす。

相手に負けずに応戦

第2セットも相手の勢いを止められない。相手の力強いサーブのリターンをネットにかけるシーンも何度か見られ、3ゲーム連続で失う。しかし第4ゲーム、相手ボールも強く弾き返しラリー戦で点を取れるようになるとこの日最初のゲームを奪うことに成功する。このまま一気に挽回したいところだったが、コースを突かれた鋭いショットに手が出ない。第7ゲームではブレイクに成功するも、次の第8ゲームでブレイクし返された。第9ゲームも落としてセットカウント0-2で敗北した。

 

♢女子ダブルス

〇堤華蓮(環4・四日市商業)・大川美佐(環4・法政二)

2{7-6(6)、6-3}0

●星野遥香・石川和奏(東京国際大)

4年生同士のペアは堤のストロークと大川のボレーが武器である。試合序盤第3ゲームまでは少しミスもあったものの両者キープする展開が続く。先にブレイクしたのは慶大。第4セットを取りリードを奪ったが続く第5セットでは逆にブレイクを許してしまう。お互い一歩も譲らず迎えた第9ゲームでは大川が得意のボレーを決めると続くプレーで今度は堤のショットが決まり、徐々に持ち味を発揮していく。しかし相手ペアもボレーなどで着実に得点を積み重ねゲームカウント6-6でタイブレークへ突入する。3-1の場面では相手が2人とも前に出てきたのを見て堤が冷静に後ろに落としてポイントを取ったり、4-2から大川のリターンエースが決まったりするなど、慶大有利の展開で進んだ。しかし、6-2とあと1点というところから4連続失点を喫しデュースに持ち込まれる。ただ、ここはもう一度立て直した慶大ペアに軍配が上がり、8-6でタイブレークを取り、激闘の第1セットを奪った。

大川のボレーで得点を加える

第2セットは持ち味を序盤から存分に発揮した。堤のラリーと大川のボレーに加えて、厳しいボールにも食らい付き得点に結びつけるなど気持ちの面でも負けずに相手を圧倒。5-2とリードを奪う。このゲームを取れば勝利という第8ゲームで相手のミスもありマッチポイントを握る。しかしここを取り切れずにデュースにされると堤のスマッシュを相手にボレーされて失点。そしてサーブミスでこのセットを落としてしまう。しかし、すぐに切り替えた堤・大川ペア。最後は大川のボレーで得点を決め、ゲームカウント6-3で第2セットを奪い、ストレートで勝利を収めた。6日に決勝進出を懸けて、川出莉子・西尾萌々子(筑波大)ペアと戦う。

 

●大橋麗美華・中島玲亜(総2・岡山学芸館)

1{6-4、4-6、5―10}2

〇川出莉子・西尾萌々子(筑波大)

シングルスからの連戦となった大橋と、同学年でペアを組む中島。第1セット序盤は大橋の疲れもあったのか、後方からのショットを相手前衛の選手に叩かれて連続失点が続く。相手ペースで試合が進み1-4と差を付けられてしまう。相手のコースを突いたボレーを何とか止めたい慶大。大橋の力強いストロークは、相手前衛の選手がネットにかけるミスを何度か誘い1ゲーム取り返す。続く第7ゲームも失点を恐れず攻めの姿勢を見せて奪うことに成功する。ここで勢いに乗った慶大は中島のボレーや前後に揺さぶる攻撃、ロブを使った長いラリー戦を制するなど自分たちのペースで試合を展開し、4連続ゲームを奪って5-4と逆転に成功する。第10セット、最後は中島がストレートに打ち込み逆転で第1セットを取った。

中島はコースを突いたショットも放った

第2セット、第1セットに続きラリー戦が展開される。その中でも甘いボールも前衛選手にボレーされるパターンで失点を喫し、ゲームカウント2-4と追いかける。このセットを取るにはどこかでブレイクし返さないといけなかったが、ここから4ゲームはお互いがしっかりとキープし合い4-6でこのセットを落とし、勝負はタイブレークへ。

10ポイント先取のタイブレーク、大橋・中島は3連続得点で幸先の良いスタートを切ったが、すぐに相手も3連続得点で3-3とする。ここから勝負を分けたのはボレー。4-3から相手のボレー、慶大のボレーミス、相手のボレーで大きく引き離されてしまう。最後も連続失点を喫し5-10でタイブレークを落とし、セットカウント1―2で接戦に敗れた。

 

(記事・写真:野上賢太郎、長沢美伸)

 

♢選手コメント♢

下村亮太朗選手

——試合を終えて

相手は一学年下で、リーグ戦でも番手的に当たる相手なので、慶大の選手として勝たなければならないと思って望んだのですが、負けてしまい悔しい気持ちです。

——良かった点

序盤は強い気持ちを持って、自分の得意なサーブを主体として上手く攻められたので、そこが良かったかなと思います。後半になるにつれて自分のサーブの確率が悪くなったりして、ラリーでも押し込まれたりしたので、後半になっても高いパフォーマンスを発揮する体力と、ストロークの強さが必要だなと思いました。

——早慶戦への意気込み

春の早慶戦では長らく慶應は勝っていないのですが、今年は戦力的にチャンスだと思っているので、絶対勝てるようにチーム一同頑張っていきます。

 

有本響選手・菅谷優作選手

——早慶戦に向けてどういう準備を

有本:ここから大きく何かを変えることは難しいので、自分たちの武器だったり、課題点を少しづつ丁寧に調整していきたいです。

菅谷:あと数ポイントとか、ちょっとの差で勝敗が大きく変わるので、早慶戦の間までにそこの数ポイントという自分たちの課題と向き合って突き詰めることが大事だとおみますし、突き詰めることでできることを徹底的にやっていきたいなと思います。

 

——早慶戦への意気込み

有本:近くに早慶戦が迫ってきているので、今日応援してくださった方々には望まない結果だったのですが、しっかり早慶戦では勝って良い結果を見せれるように頑張りたいです。

菅谷:春関とか早慶戦とかに向けて練習していく中で、サポートとか応援してくれるというのは、本当に恵まれていることだと思うので、そういった環境に感謝しつつ、最大の恩返しは勝つことだと思うので、自分たちは勝つことだけに集中して残り1週間調整していきたいと思います。

 

堤華蓮選手

最後の春関ということで、自分たちはシングルスは負けてしまったのでダブルスに一日一日魂込めてやっていけたらと思います。

 

大川美佐選手

今日がベスト8ということで、1,2回戦も大変でしたがより高いレベルでした。ダブルスなので2人で1本取るという気持ちでやっていったら結構ついてきたので、明日も2人で1本取る気持ちでやっていけたいいと思います。

 

大橋麗美華選手

序盤リードされていた時に私たちから自信を持って出ていけたところがあるのですが、セカンドセットの中盤は弱気な部分、逃げが見え、ファイナルセットも3-0から3-3になった時に迷いがでました。インカレにはもうつながっているので、インカレの本選、その前の早慶戦に向けて、練習と修正をして頑張っていきたいと思います。

 

中島玲亜選手

最初相手にリードされていて、そこから自分たちが攻撃していこうという強い気持ちを持ってセカンド(セット)の途中までできていたのですが、途中から相手が積極的に出始めた時に守りに入ってしまった部分がありました。次は早慶戦があるので、そこの部分を修正してやっていきたいです。

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