【ソッカー(男子)】一度はゴールネットを揺らすもオフサイド判定… 2年ぶりの勝利とはならず/第74回早慶サッカー定期戦

ソッカー男子
 

2年ぶりの早慶戦勝利を狙った慶大。七夕決戦となった今年は、スタメンの配置を調整して試合に臨んだ。声出し応援解禁によって、味の素フィールド西が丘のピッチは両校のサポーターなど大勢の観客で活気に満ち溢れていた。いざ、逆襲へ向けて黄色の戦士たちがフィールドへ向かった。

2023/7/7(金)18:30キックオフ@味の素フィールド西が丘

 

【スコア】

慶應義塾大学0ー1早稲田大学

 

【得点者】

76分 平野右京(早大)

 

◇慶大出場選手

GK

12 村上健(政3・國學院久我山)

 

DF

2 内藤豪(法3・駒澤大)

5 山口絋生(商3・國學院久我山)

3 山本献(商4・國學院久我山)

 

MF

11 塩貝亮太(商4・暁星)→87分 26 熊谷柊(商1・仙台第三

/ ベガルタ仙台ユース

14 角田惠風(商2・慶應/ 横浜F・マリノスユース

20 田中雄大(商2・成城学園/三菱養和SCユース)→63分 8 菱川天風(総4・桐蔭学園)

16 井上雄介(経4・慶應)→81分 7 熊澤維吹(文4・國學院久我山)

 

FW

13 山崎健翔(法4・桐蔭学園)→81分 27 祖父江圭悟(総4・滝)

6 道家拓真(環4・鹿島学園)

10 塩貝健人(政1・國學院久我山)→77分 9 立石宗悟(法2・桐蔭学園)

 

前半は、塩貝健人(政3・國學院久我山)と塩貝亮太(商4・暁星)の塩貝兄弟を中心に前線からハイプレスを仕掛けるなど、高い位置でボールを奪いショートカウンターにつなげるための攻めの姿勢を徹底する。前半6分、慶大にチャンスが訪れる。田中雄大(商2・成城学園/三菱養和SCユース)から縦パスを受けた塩貝健人は、4人の選手に囲まれながらも果敢にゴール前へと1人でボールを運ぶ。右サイドから上がってきた山崎健翔(法4・桐蔭学園)がこぼれ球にシュートを合わせるも、GK正面。ゴールはならなかったが、試合最初のビッグチャンスを得て流れを手繰り寄せる。

正確なパスで攻撃を盛り立てる田中雄大

 

しかしその後は早大に流れが傾く。11分のフリーキック、15分のコーナーキックなど危ないシーンをGK村上健(政3・國學院久我山)を中心に防ぐ。18分には内藤豪(法3・駒澤大)が、体を張って左サイドからの攻撃をシャットアウト。DFとしても大役を担う内藤は21分、右サイドから上がり、角田惠風(商2・慶應/ 横浜F・マリノスユース)からロングパスを受けるなど攻撃でも存在感を見せつけた。だが早大も攻撃の手を緩めない。25分には、技術を誇る選手たちにパスをつながれ、左サイドから一気にゴールを狙ったロングシュートを放たれる。村上健が片手でなんとか上に弾き、会場が一気に沸いた。

攻撃に厚みを加える角田惠風

好セーブを連発して観客を魅了した村上健

30分、待望のビッグチャンスを得る。相手選手への警告から獲得したフリーキックを蹴るのは主将の山本。ボールを受けた塩貝健人が一度ターンして体勢を立て直しシュート。クロスバーに阻まれ跳ね返ってきたボールをヘディングで押し込み先制!スタジアム全体に「若き血」が響き渡り、慶大サポーターの歓声は最高潮に達した。選手含め慶大全体がお祝いムードに包まれる中、プレーがオフサイド判定を受け、スコアは取り消しに。0−0のまま最後の15分へ突入する。

ゴールに挑み続けた塩貝健人

オフサイド判定を受け、試合は振り出しに

 

塩貝健人はハイプレスをかけ続けるなど攻めの姿勢を続けるが、早大の冷静な守りに阻まれる。一方の早大は、コーナーキックのチャンスを前半終了間際まで獲得し続け、GK村上健が好セーブを量産。前半はそのまま終了し、両者無得点のまま試合を折り返す。

慶大の最大のサポーターたち

指示を出す主将・山本献

慶大ボールでキックオフした後半は、拮抗した展開が続く。村上健のキックからボールを一気に前線へ持ち込み、早稲田の激しいプレスをスピードのあるドリブルで剥がしにいくが、決定機を作ることはできない。50分、内藤豪からのロングパスを受けた塩貝健人と塩貝亮太がドリブルで仕掛けるも、シュートまで持ち込めず。

ハイプレスやフィジカルの強さで存在感を放った塩貝亮太

攻守において大活躍を見せた内藤豪

早稲田主導の流れを崩していきたい慶大。53分、左サイドから塩貝健人にパスが渡ると、続く角田惠風がボールを落ち着かせ、好機をうかがう。57分にもカウンター攻撃を仕掛けるが、早稲田の壁を前にボールは掻き出されてしまった。激しい攻防から早稲田にコーナーキックを許すと、慶大はここでもカウンターを仕掛ける。山崎健翔が抜け出し、持ち前のスピードで攻撃のチャンスを掴んだが、得点を動かすことはできない。69分、攻撃の勢いを増した早稲田にゴール前まで抜けられるも、ここは主将・山本献が体を入れてピンチを凌ぐ。自陣での守備が続く厳しい状況の中、山本が声を張ってチームを鼓舞する様子が見られた。

スピードを生かしたプレーが特徴の山崎健翔

74分、パスからボールを奪われ右サイドから切り込まれたところを、前に出たGK村上が冷静にセーブ。しかし76分、一瞬の隙を突いた左サイドからのクロスに頭で合わせられ、ボールはゴール枠内へ。早稲田に先制点を許してしまう。試合も残すところあとわずか。とにかく1点を決めて追いつきたい慶大は、何度も敵陣にボールを回すも、鉄壁に阻まれ跳ね返される展開が続く。慶大スタンドからピッチに送られる熱い声援に後押しされながら最後の最後まで果敢に挑んだが、実らず。0−1で無念の敗戦を喫した。

悔しがる塩貝健人

最後の早慶戦を終え、涙を流す主将・山本

2年前に掴んだ歴史的勝利の瞬間をもう一度もたらそうと臨んだ早慶戦。惜しくも敗れたが、西が丘に訪れた4000人を超える観客からは、全ての選手の健闘を称える感動の拍手が送られた。明日には再びリーグ戦が始まる。チーム目標「3部初代王者」を達成すべく、荒鷲軍団は進化を続ける。

(取材:長掛真依、重吉咲弥、愛宕百華、佐藤光)

 

以下、選手インタビュー

村上健(政3・國學院久我山)

 

 

 

 

 

――今日の試合を全体的に振り返って

チームとしては、この試合に向けて取り組んできたことを発揮できていたと思うんですけど、特に後半は早稲田の圧に押される時間が長くなってしまいました。その中で、自分をはじめとする守備陣が一瞬の隙をついてきた攻撃に対応できず、あの重要な時間帯に失点を喫し、難しいゲームになってしまったと感じています。

 

――ご自身のプレーを振り返って

この試合が今季初出場だったんですけども、それほど緊張もなくリラックスした状態で、後ろから熱い応援をしてくれる仲間たちに対して安心感を持ってプレーできていたので、前半の最初から自分のプレーを出せていたと思います。ただ先ほども言ったように、あの失点シーンは最後の砦として自分が絶対に止めなければいけなかったと思うので反省しています。

 

――1年次ぶりにこの大舞台に戻ってきて、ご自身のお気持ちはいかがですか

1年の時は4年生が3点取ってくれて逆転勝利を果たせたんですけれども、あの試合ではPKに直結するファウルをしてしまったこともあり、個人的によくないプレーをして4年生に救ってもらっていました。だからこそ今年の早慶戦は、1、2年生やチームを救うために自分にできる限りのプレーをしようと思っていました。やはり無失点で抑えないといけないポジションを務めさせてもらった立場としては、今日の試合の敗因は自分にあると思っています。

 

――リーグ戦に向けた意気込み

今シーズン前に掲げた「3部初代王者」というチーム目標をまだ目指せる立ち位置にいて、優勝に向けたチームの雰囲気は徐々にできてきていると思っています。前期けがで迷惑をかけた分、自分が結果で示して、チームを後押ししていけたらなと思います。

 

山本献(商4・國學院久我山)

 

 

 

 

 

ーー最後の早慶戦、どのような思いで臨まれましたか

色々な人の思いが乗っている試合なので、もちろん自分たちとしては、勝利というところを目指してやってきました。

 

ーー今日の試合を振り返って

前半は、自分たちの思うようなサッカーができたり、かなりチャンスを作れるところもあって、ちょっと不運なところはありましたけど、ゴールネットを揺らすことができたというのは、流れとしてはよかったと思います。後半が逆に課題で、選手交代したところで少し流れが変わってしまったりだとか、体力的に厳しくなってきて少し押し込まれてしまう時間帯があったりだとか、そういうところは全体として課題だと感じました。その流れで失点してしまったというのは、流れとして良くなかったところだと思います。

 

ーーこれまでMFでご活躍されてきた中で、DFとしての出場でしたが

DFとして試合に出るのは初めてだったのですが、結局自分に求められているタスク、監督に求められているところだったり、チームとして必要なところ、ポジションに求められているところというのは、やっぱりみんな理解していますし、自分も理解しているつもりだったので、それをやるだけかなと思っていました。自分としては自信を持ってできたので、全体としては良かったのかなと思います。

 

ーー7月15日から再開するリーグ戦に向けて

早慶戦に向けてということで、ずっと中断期間から力を入れてやってきたのですが、それだけの熱量をこの1試合に注いできたからこそ、これだけの良い試合ができたと思います。なので、これからそれを良い結果に転じていくために、やっぱりこれからの試合も1試合1試合しっかり全員で、本当に1試合のために全員が走って戦うことで結果もついてくると思うので、今回の早慶戦で学んだところはしっかり活かして、これからに繋げていきたいなと思います。

 

淺海友峰監督

――主将の山本選手をDFに置くなどリーグ戦の配置から大きく変えて臨まれましたが、どのような意図があったのでしょうか?

監督:今まで、僕がやりたいサッカーというよりは、今年の4年生がやりたいと言っていたのが、前線からどんどんプレッシャーをかけたいというところがあったので、そうなるとどうしても背後対応が課題になってくるとは思うんですけど、そこの背後対応のところがテコ入れしないと早稲田さんをはじめクオリティの高い相手にはやられてしまうなというところで、キャプテンの山本をコンバートしたりとか、背後対応の強い選手(=山口)を入れたりとかですかね。あとはワントップなのかツートップなのかで守備のやりやすさは大分変わってくるとは思うので、今の選手たちがやりやすい方を今日の試合は選んだという形ですね。

 

――早慶戦を踏まえて、リーグ戦への意気込みをお願いします

前半は良かったと思うので、後半は落ちてしまったというところで、自分たちでまずなんで落ちたのかを考えることと、後半の選手たちがこの緊張感の中で力を発揮できた選手と発揮できなかった選手と、相手との相対の中でやられてしまったということがあったと思うので、まずそこは逃げずに選手自身が受け止めなければいけないと思いますし、課題はある程度明確になったと思うので、リーグ戦に生かしていきたいなと思います。ただ時間はあまりないですから、何を優先すべきなのかを考えて、我々は中長期的な視点を持たないといけませんから、合宿とか含めて考えていきたいと思います。

 

次戦:関東大学サッカーリーグ戦3部 第9節 7月15日(土)vs東京学芸大 18:00キックオフ @慶應義塾大学下田グラウンド

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