12月19日から22日にかけて行われたレスリング天皇杯全日本選手権。3日目となる21日には女子フリースタイル59㌔級に淺野稔理(法2・慶應女子)が出場。また慶應義塾高校からは瀧澤勇仁(3年・世田谷区立瀬田中)と岡澤ナツラ(3年・水戸第四中)が出場した。淺野は準決勝まで勝ち進むも好機を生み出すことが出来ず。その後の3位決定戦でも敗退し、惜しくもメダル獲得とはならなかった。
2024年12月21日(土)@代々木競技場第二体育館
【試合結果】
〈女子フリースタイル59㌔級〉
1回戦
○淺野稔理(慶大)[VPO 6:00=11-3]岡田純奈(日体大)●
準々決勝
○淺野稔理(慶大)[VPO 6:00=4-2]山内奏美(神大)●
準決勝
●淺野稔理(慶大)[VSU 1:33=0-10]永本聖奈(アイシン)○
3位決定戦
●淺野稔理(慶大)[VSU 1:41=0-10]坂野結衣(警視庁第六機動隊)○
〈男子フリースタイル74㌔級〉
1回戦
●瀧澤勇仁(慶應高)[VPO 6:00=1-10]小柴伊織(日体大)○
敗者復活戦1回戦
●瀧澤勇仁(慶應高)[VFA 5:42=6-8]内山椋太(国士館大)○
〈男子フリースタイル79㌔級〉
1回戦
○岡澤ナツラ(慶應高)[VFO 0:00=0-0]ガレダギ敬一(早大)●
準々決勝
●岡澤ナツラ(慶應高)[VPO 6:00=4-8]神谷龍之介(日体大)○
敗者復活戦1回戦
○岡澤ナツラ(慶應高)[VSU 4:25=11-0]茂野颯良(大体大)●
3位決定戦
●岡澤ナツラ(慶應高)[VPO 6:00=5-8]木下貴輪(クリナップ)○
〈スコア見方〉
(例)[VSU、4:30=11-1]
・VSU→勝利方法、詳しくは下の図を参照
・4:30→試合終了時間(この場合は試合開始から4分30秒後に試合終了)
・11-1→試合終了時の点数(フォールによる勝利は点数を問わない)
VFA | victory by fall フォールによる勝利 |
VIN | victory by injury 負傷棄権による勝利 |
VCA | victory by 3 caution 警告3回による勝利 |
VSU | victory by technical superiority テクニカルフォール(10点差) |
VPO | victory by points ポイント判定勝ち |
VFO | victory by forfeit 不戦勝 危険試合による勝利 |
DSQ | disqualification 罰則による失格 |
2DSQ | double disqualification 両者失格 |
女子フリースタイル59㌔級に出場した淺野稔理(法2・慶應女子)。直前に行ったインタビューでは「(天皇杯に)まさか出られるとは思っていなかった」と語った。日体大の尾西桜(1年・埼玉栄)が優勝候補とされるなかで「1勝できるように頑張りたい」と意気込んだ。
1回戦ではお互いに拮抗した試合展開が続き、前半を0-1で折り返す。試合時間残り2分となったところで2点を奪い逆転するも、2点を奪い返され2-3とされる。しかし、終盤で相手を押し倒し7-3とするとその後も淺野が試合の主導権を握り、11-3で1回戦を勝ち切った。
準々決勝も両者譲らない展開で、試合時間残り1分を切ったところで0-2と苦しい状況に。しかし、後半から攻めの姿勢を崩さなかった淺野は残り15秒で相手の背中をとり、2-2の同点とする。さらに2点を奪い4-2となったところで試合終了。ギリギリの勝負を制した。
ついに迎えた準決勝。序盤から相手のペースで試合が進んでいき、開始1分で0-4とされる。その後も粘りの姿勢を見せるも最後は背後を取られ、回転技でポイントを奪われると、最終的に0―10で敗れた。
メダルをかけて争った3位決定戦。回転技をかけられると、相手の攻撃を食い止めることが出来ず、0-10で敗戦。初めての天皇杯はメダルまであと一歩のところまで勝ち進むも、あと一勝が及ばなかった。
男子フリースタイル74㌔級に出場した瀧澤勇仁(慶應高=3年・世田谷区立瀬田中)。序盤から相手のペースに押され、第1ピリオド終了時点で0-6と苦しい展開に。その後もなかなか攻撃の糸口を掴めなかった瀧澤。1回戦は1-10で敗戦した。
敗者復活戦1回戦に臨んだ瀧澤。試合序盤に4点を奪うなど自分のペースで試合を作り、前半を4-2で折り返す。しかし、後半は徐々に相手のペースに押されていき、試合終了1分前に6-8とされると、そのままフォールを決められ敗戦。悔しい結果となった。
男子フリースタイル79㌔級に出場した岡澤ナツラ(慶應高=3年・水戸第四中)。初戦は相手の棄権により不戦勝。試合勘のつかめない中で迎えた相手は前回王者の神谷龍之介(日体大=2年・いなべ総合学園)。
前回王者相手に全く屈しない姿勢を見せた岡澤。前半を2-1と岡澤のリードで折り返す。第2ピリオド開始直後に2-5とされるも、攻めの姿勢を崩すことなく、試合終了間際に4-6にまで迫る。しかし、最後に前回王者の意地を見せられ4-8で敗戦。岡澤も悔しさを滲ませた。
敗者復活戦1回戦は岡澤ペースで試合が進む。第1ピリオド終了間際に背中を取り、3―0とすると、さらに2点を奪い5-0で第2ピリオドを迎える。その後も回転技などで攻め続け、11-0でテクニカルフォール勝ちをおさめた。
3位決定戦では社会人の木下貴輪(クリナップ)と対戦。対格差もあるなか相手のペースで試合が進むも、全く臆することなく前半を1-4で折り返す。試合時間残り1分半となったところで相手の背中を取り、3-6とする。さらに残り30秒で相手を押し出し、スコアは5-6に。メダルまであと2点。何が何でも得点を奪いたい岡澤だったが、最後の最後、残り時間5秒のところで背中を取られ、5-8で敗戦。惜しくも銅メダルには届かなかった。
淺野は2年生ながら、そして瀧澤や岡澤は高校生ながら天皇杯に出場し、メダル獲得には及ばなかったものの十分すぎる成績をおさめた。来年は最上級生として部を引っ張っていく存在になる淺野。来年、再来年での天皇杯に期待したい。
(記事:塩田隆貴 取材:塩田隆貴、野村康介)
【選手インタビュー】
◇淺野稔理(法2・慶應女子)
――1試合目を振り返って
最初はコーション(警告)取られてて点数的には負けたんですけど、最後のタックルが入ったのが個人的にはすごい良かったなと思います。しかも目標とする一勝をすることができたので嬉しかったです。
――準決勝や3位決定戦を振り返って
3位決定戦も準決勝も相手がめちゃくちゃ強いっていうのは知ってたので。できる限り頑張ろうっていう気持ちで臨んだんですけど、情けなく負けちゃったので、グラウンドとかをもうちょっと守れるようになったらいいのかなと思いました。
――2025年以降の活動の意気込み
体力的にも筋肉的にも技術でもだいぶ劣っている面が多かったので、もし次(天皇杯に)出るとなったら、もうちょっと練習頑張って(笑)今よりも自分の中のレベル上げられたらいいなと思っています。
◇瀧澤勇仁(慶應高=3年・世田谷区立瀬田中)
――今日の試合を振り返って
自分は高校3年生で学年が一番下で、挑戦者としての大会で、楽しめたって事が一番大きい事なんですけど、体力が無かったり、力の差を感じたので、次からの練習に励んでいきたいです。
――大学生になってからの意気込み
まずは慶應を一部リーグ昇格させることに貢献する事と、またこの天皇杯の舞台に再び帰ってきて、3位以上目指すという事を目標に頑張りたいと思います。
◇岡澤ナツラ(慶應高=3年・水戸第四中)
――今日の試合を振り返って
一言で言うなら、楽しかったです。3試合もさせていただいて、去年のチャンピオンの方などと戦って、色々気づいた事だったり、学べた事だったりとか、自分の自信になった事が沢山あったので、本当に楽しかったですし、勉強になりました。
――来年大学生になってからの意気込み
大学は、チームとしては、今年監督が変わって来年は1部昇格が目標なのでその昇格を支えられる存在になるっていうのと、個人としては全日本でまた試合があれば、今日負けた相手にリベンジして自分が表彰台のテッペンに立てるように頑張ります。