【競走】特集 世界と戦う男 廣瀬英行

来年はオリンピックでの活躍も期待される廣瀬選手

競走部特集第4弾は、日本のみならず世界を相手に戦う廣瀬英行選手(環4)。今年の夏は、大学生ながら韓国テグで行われた世界陸上に男子4×400メートルリレーで出場し、日本代表として堂々とした走りを見せるなど、更に注目が集まっている。慶大競走部の一時代を築いたといえる廣瀬選手に、ここでしか聞けない世界の大舞台でのお話や、来年のロンドンオリンピックへの想い、慶大競走部でのことなどを語って頂いた。

――7月7日から中国で行われたアジア選手権について。男子400メートル決勝では、金丸選手を破る2位だったが
日本のトップである金丸選手の調子が悪いことは知っていたので、勝つチャンスだなとは思っていましたし、優勝を狙っていました。でも、大きな大会で初めて僕が300メートルのところでコーナートップを取ったので、ラスト100メートルは強いはずなのですが、やはり勝てるのではないかと思って焦ってしまって走りが硬くなって最後で抜かれてしまいました。でも、そこで金丸選手に勝てたことで凄く自分の自信になった良い大会でした。
――9月に熊本で行われた日本学生陸上競技対抗選手権(全日本インカレ)について。男子400メートル決勝を棄権しているが
身体の調子が色々と良くなくて。鼻血だったり疲労だったり筋肉の調子などから、これはどうも危ないなと思って決勝は棄権しました。実際にリレーは走ったのですが、その後身体を痛めてしまったので、本当は400メートルには予選から出ないでおくべきだったかなと少し後悔しています。疲労が凄くくる競技なので、来年ロンドンオリンピックに出るためにも自分の身体と相談して怪我だけは気をつけなければいけないと思い、それを見越して棄権しました。
――マイルリレーでは怒涛の追い上げを見せていたが
そうですね、その2週間くらい前に世界陸上があって、それで良いイメージができていたので、良い走りができて割とタイムも出たのかなと思います。
――ユニバーシアード、世界陸上、全日本インカレと連戦だったが体調面は
ユニバーシアードはアジア選手権からのスピードが戻っていなかったです。直前で戻ってきたかなと思ったのですが、やはりスピード練習ばかりしていたせいか、ユニバーシアードではホームもあまり良くなかったこともあり、上手くいかなかったです。全体的に言うならば、レースをこなす度にだんだん上がっていった気がします。自分の良いイメージができていって、寧ろ連戦で調子は上がっていきましたね。
――世界陸上に照準を合わせていたのか
そうですね、世界陸上のリレーで自分の一番良いレースができるようにイメージを作っていました。
――世界陸上出場が決まったときの気持ちは
前大会は個人の400メートルでも出場したのですが、今回はそれに出られなかったので、それが凄く残念でした。でも、リレーでは日本代表としてあまり結果を出していなくて、それで今回はリレーに集中できるということで、今回こそはリレー日本代表選手として良い走りをしたいと考えていました。そういう意味で個人での出場がなかったのもリレーに集中できるという意味で良かったと思っていますし、もちろん日本代表として出られることが凄く嬉しかったです。
――全大会との意識の違いはあったか
経験があるので、前回どうして駄目だったのかを反省していたので、今回はちゃんと自分が思った通りに、自分が思ったフォームで走れたかなと思います。
――レースを振り返って
練習で、大きなフォームになったときに良い感じになるなあと思ったので、最初から前にさばく大きなフォームで走りました。すぐ前に自分より1秒半くらい速い選手がいて、その選手が速いことを知っていたので、それに上手くついていければと考えていました。その選手が上手く引っ張ってくれたような形で、自分のベストラップの走りができました。
――満足のいくレースだった
そうですね。あのとき出せる力は出せたかなと思っています。
――大会に向けてどのようなトレーニングをしていたか

マイルリレー最後の直線で追い上げを見せる廣瀬

今年はウェイトトレーニングが多かったです。その他には、ミニハードルを置いたホッピングであったり、だんだんペースを上げていって100メートルを10本走ったり、上手くフォームを作っていく練習をしていました。

――フォーム自体を変えたのか
変えるというよりは、楽に速く走れるような、自然に良いイメージになっていくという感じです。
――世界の大舞台の雰囲気は
凄く緊張しました。でも前回ほど飲まれはしなかったですね。ユニバーシアードもあったので、世界の舞台での緊張には少し慣れがあったかなと思います。
――この大会を通して学んだこと
大きな大会に出たときは周りの選手が速いので、今までは固くなってしまって自分のレースができていない傾向があったのですが、今回はその中でも自分の走りをするというのを意識していました。それが今回のある程度の成功につながっていると思うので、その部分の反省として得たかなと思います。
――色々な世界大会を経験して、食事など困ったことは
中国でちょっと食事が合わなくて、体重が1kgくらい減ってしまいました。でも実は2年前のユニバーシアードでは、体重が5kgくらい減って絶不調に入ってしまうという経験があったので、体重を激減だけはさせないように気をつけていました。韓国では、むしろいっぱい食べる状態でした。日本でよりも食べるくらい。いっぱい食べていた分、やっぱり韓国では結果が出せたのかなと思います。
――慶大競走部について。4年間を振り返って
僕に一番合っていた環境だったのかなと思っています。
――印象に残っているレースは
一番印象に残っているのは、やっぱりアジア選手権で金丸さんに勝ったことですね。それ以外だと、2年前の世界陸上に出場するきっかけになった日本選手権のレースですね。
――どうして慶大を選んだのか
一応AO入試ですが、来てくれないかという話は早稲田と慶應から来ていました。僕は勉強もしっかりしたいと考えていて、どちらがちゃんと勉強できるかを考えました。早稲田はスポーツだったり人間環境だったり、自分がやりたいような科目ではなくて、就活もありますしやっぱり慶應のほうが自分のやりたいことができるかなと思い、慶應にしました。
――将来のことも見越して慶大に
そうですね。僕は元々、ある程度は強い選手だったかもしれませんが、世界大会に出るようなレベルではありませんでした。陸上だけでなく、勉強もがんばるつもりで慶應にきました。

昨年の全カレにて。今年は体調不良もあって3連覇は成らなかった

――大学に入って伸びた


400メートルは2秒以上伸びていますし、それは他の大学生から見たら凄く伸びている方なのではないでしょうか。
――慶大競走部の雰囲気は
よく言われていることなのですが、自由なんです。コーチがいないので、練習メニューや休養の取り方とかは自分で組めるので、その自由さが慶應の良さなのかなと思います。
――廣瀬選手にはそれが合っていた
そうですね。自分のことが一番よく分かるのは自分だと思うので、自分に合った練習をして必要なタイミングで休むことができていたので、記録を伸ばしていけたかなと考えています。
――慶大競走部とは廣瀬選手にとってどのような場所だったか
慶應の競走部として、僕はグラウンド以外の場所をよく利用していました。記念館内のウェイトルームであったり、坂であったり。グラウンド以外でも、実は陸上をやるのに良い環境であったと思います。そういう意味で慶應は凄く良い場所でした。
――今後の競走部に望むことや後輩へのメッセージ
望むことはやっぱり、今年はマイルが優勝しましたが、関東インカレでこのまま勝っていって、400メートル大国になってくれれば、と思います。
――卒業後の進路について
卒業後は富士通さんから内定を頂いていて、そこで実業団の選手として活動させて頂く予定です。
――今後どのような選手になりたいか
今年本当は、調子的にもっとタイムが出ても良かったんです。なので、今年は45秒5だとして、来年は44秒台に入っていって、そうすれば日本記録が見えてくるので、その日本記録を出せる選手になりたいなと考えています。
――今目標にしているレース、大会は
直近だと1ヶ月後に一応あるのですが、最近の国体であまり良い走りができなかったので、その悪いイメージをなくすために良い走りをして終わろうかなと思っています。でもやっぱり、来年の日本選手権と、標準記録を切るためのシード国際と、ロンドンオリンピックを目指して練習をしています。
――ロンドンオリンピックにかける想いは
僕、名前が「英行」っていうんです。これちょっと、ロンドンに、イギリスに行きたいなあと思っています(笑)勝手に思い入れているんですけど。でも、オリンピックというのはスポーツ選手の一番の憧れだと思うので、その最高峰に出場して、更に結果を出せたら良いなと考えています。
――今後の陸上選手としての意気込み
毎年しっかりできることを増やしていって、できることが増えるってことはタイムにつながってくると思うので、ウェイトであったりホッピングであったりをしっかりやって、タイムを伸ばしていきたいです。
――最後に廣瀬選手を応援している人たちにメッセージを
僕は大学に入ってから伸びた選手ですし、まだまだこれからも伸びると思っているので、これからも期待して応援してください。
――お忙しい中、ありがとうございました!!

By Nao Hara

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