【What is ○○部?】フレッシュさは過去一番!美しさと強さを追究する拳士たち/File.15 少林寺拳法部①

少林寺拳法

慶大の体育会を深掘りしていく連載企画、「What is 〇〇部?」。15個目の体育会は少林寺拳法部!礼儀と実力を兼ね備えた部員たちの経歴は様々。そんな彼らは普段どのように練習しているのか?彼らの思いをつなぐ少林寺拳法の力とは?今回ケイスポは日吉・蝮谷にある道場を取材し、彼らの練習の様子からその魅力に迫った。

 

初春の日差しの差し込むある日の朝、日吉の蝮谷にある一つの道場の中から学生たちの声が聞こえる。道場の看板には「慶應義塾體育會少林寺拳法部」と記名されている。

 

少林寺拳法部は礼儀を重んじる武道としての精神と、競技者としての実力向上を両立する体育会。部員はみな全国大会や早慶戦での活躍を目標に日々鍛錬を重ねているが、その練習は体育会の中でも特に温かい雰囲気が特徴的だ。

 

そもそも、少林寺拳法には「演武」と「立合評価法」という2つの競技形式がある。演武は、空手の型のように決められた動作の美しさや正確さを競う。一方、立合評価法では、防具を着用し、実際に突きや蹴りを交えた攻防の中で技の効果や力強さを評価する。どちらも単なる力比べではなく、礼儀作法や防具の正しい着用方法まで含めて採点される。

同部には大学から少林寺拳法を始めた部員が多い。実際、現役部員の約9割が初心者で、空手や拳法の経験がない状態で入部している。しかし、経験者だけでなく未経験者にも門戸が開かれていることが、この部活の大きな魅力の一つだ。昨年入部した女子部員の一人は「先輩方が技術を丁寧に教えてくれたことで、これまで競技を頑張ることができた」と語る。

彼女の言葉の通り、同部の練習では丁寧な指導と自主性が重んじられている。上級生が技術指導を行うのはもちろん、後輩が先輩にアドバイスを聞きに行くことも多い。練習の目的を明確にし、ただ動くだけではなく意識的に技を磨く姿勢が根付いているのだ。

特に「立合評価法」では、実戦を想定した攻防が重要なため、個々の技の改善点をその場で修正しながら練習するスタイルが採られている。

 

また、体育会の厳しい上下関係のイメージとは異なり、部員それぞれの事情を考慮しながら柔軟に運営が行われているのも特徴だ。この春新たに主将となった小杉海斗(新商4・慶應)は、「体育会は厳しく融通が利かないと思われがちですが、うちの部は個々の事情を尊重しながら活動を続けています」と語る。

 

同部は近年着実に結果を残してきた。昨年2024年は、関東大会総合3位、全国大会男子総合3位、早慶戦では男女ともに総合優勝を果たした。中でも早慶戦は特別だ。小杉は「例年、早慶戦が近づくと部員の目の色が変わる。打倒早稲田のため、全員が一丸となる」と話す。

今年もその士気は変わらない。昨年達成できなかった「全日本学生大会総合優勝」を今年こそ成し遂げるべく、部員たちは日々努力を重ねている。「早慶戦完全勝利」と並ぶ大きな目標として、部全体で意識を共有しながら練習に励む。

少林寺拳法部の魅力は、礼儀や技術だけでなく、初心者でも挑戦しやすい環境と、温かい人間関係にある。経験の有無に関係なく、一人ひとりが自分の成長を感じられる部活動を目指し、日々努力を重ねている。伝統を大切にしながらも、新たな挑戦を続ける彼らの戦いに注目!

 

(取材:竹腰環、山口和紀、岡里佳)

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