甲子園ボウル(大学全国大会)出場校を決める、関東TOP8が幕を開けた。先攻の慶大は、1プレー目からRB・橋口塁(経3・慶應湘南藤沢)がランプレーで敵陣43ヤードに侵入。QB・山岡葵竜(政4・佼成学園)は、佐藤勇太(総2・慶應)や副将・久保宙(経4・慶應)らWR陣をうまく使い分け、20ヤード、19ヤードのロングゲインで一気に陣地を稼いでいく。さらに敵陣3ヤードに迫ると、RB・石井和希(商3・慶應)がタッチダウン。トライフォーポイント(以下、TFP)のキックも成功させ、7点を先制する。第2Qには、QB・山岡からWR・若月伶士郎(商3・慶應)へのロングパスで27ヤードを稼ぐと、敵陣13ヤードからフィールドゴールで3点を追加。守備では、LB・赤木龍士朗(政4・鎌倉学園)やLB・倉田直(理4・南山)を中心に、素早く力強いディフェンスで明大オフェンスを抑えにかかる。しかし、自陣でのファンブルを明大にリカバーされターンオーバーを許すなど、第2Q以降タッチダウン6本と、キック1本を許し、明大に10-45。悔しい敗戦となった。
8月31日(日)@アミノバイタルフィールド
| 慶應義塾大学 UNICORNS | 明治大学 GRIFFINS |
第1Q | 7 | 0 |
第2Q | 3 | 14 |
第3Q | 0 | 10 |
第4Q | 0 | 21 |
計 | 10 | 45 |
先攻の慶大は、タッチバックにより自陣25ヤードより最初のシリーズを開始する。司令塔のQBを務めるのは、山岡葵竜。1プレー目からRB・橋口塁がランプレーを成功させ、敵陣43ヤードに侵入する。その後も、WR・佐藤勇太が20ヤード、副将/WR・久保宙が19ヤードのロングケインで魅せ、一気に敵陣4ヤードへと迫る。さらに1ヤード押し込み、迎えた敵陣3ヤードからの攻撃。ゴールライン付近での混戦から、RB・石井和希が抜け出しタッチダウン。北村朔也(商2・宇都宮短大附属)がTFPのキックも成功させ、最初のシリーズで7点を先制する。守備では、LB・赤木龍士朗やDB・小島陽生(経4・慶應)の素早い守りで明大をゴールラインに寄せ付けず、7ー0で第1Qを終える。

TDを決めたRB・石井
続く第2Qは、明大の3&18から試合再開。パスに失敗した明大はパントを選択し、攻撃権は慶大へと入れ替わる。自陣5ヤードから攻撃を開始した慶大だが、ファンブルを明大にリカバーされ、すぐさまターンオーバー。直後に7点を返され、7ー7の同点に。苦しい中でもQB・山岡はWR・若月伶士郎へ、慶大にとってはこの試合最長となる27ヤードのロングパスを成功させる。敵陣40ヤードから13ヤードまで攻め込み、フレッシュを獲得。その後はタッチダウンこそならないが、フィールドゴールで3点を追加する。しかし、直後にタッチダウンから7点を献上。勝ち越しを許して、10−14で試合を折り返す。

ロングパスをキャッチするWR・若月
第3Qは、慶大のディフェンスからスタート。LB・渡辺晴(経3・慶應)の好タックルで明大のパス失敗を誘い、相手を大きく後退させる。このシリーズでは渡辺をはじめとした慶大ディフェンス陣が明大を抑えこみ、3分経たずして攻撃権を奪取。このまま流れに乗りたい慶大は、1、2Qに続きランプレーを展開。RB・山内啓耀(経4・慶應)やRB・橋口塁を中心に前進していくが、敵陣深くには至らず。両チームに決定打が出ないまま、3Qの折り返しを迎える。先に流れを掴みたい慶大だったが、明大にディフェンスのギャップを突かれ、40ヤード超えのロングゲインを許してしまう。さらに、自陣10ヤード付近まで侵入されると堅実にFGを決められ、スコアは10ー17に。第3Q終了間近には、またも相手のロングゲインから、得意のランプレーで痛恨のタッチダウン。10ー24の2ポゼッション差(=得点がタッチダウン2本文の差)で最終第4Qへ。

何度もチャンスメイクしたRB・橋口塁
第4Qはタッチバックにより、自陣25ヤードからの1&10。慶大はホールディングの反則を取られ、10ヤードの罰退。さらに、インターセプトで攻撃権は明大へ移動する。慶大オフェンスがベンチに戻ると、息つく間もなくランプレーで明大のタッチダウン。TFPでも1点を追加され、10-31とビハインドを広げられてしまう。点差を縮めたい慶大は、敵陣28ヤード付近で迎えた4&10。QB・山岡葵竜がロングパスで起死回生のタッチダウンを試みるも、ゴールライン付近でボールをキャッチしたのは明大。インターセプトにより、攻撃権は明大へ。これ以上の失点は避けたい慶大は、主将/DB・横手謙太郎(医4・慶應)を筆頭に明大オフェンスを抑えこみ、2分で明大の攻撃を封じる。続く慶大攻撃が無得点に終わり、迎えた明大攻撃。DB・横手、LB・倉田直の素早いタックルで明大を6ヤードを後退させるが、ここで明大に73ヤードの超ロングゲイン。タッチダウンとTFPで10-38と突き放される。直後の慶大攻撃では、再びファンブルリカバーからランプレーでタッチダウン。試合時間は残り2分41秒。なんとか得点を奪いたい慶大だったが、最後はインターセプトされ明大に攻撃権が移ったところで、試合終了。TOP8開幕戦は、10ー45で悔しい黒星発進となった。

ビッグプレーを決めたLB・倉田直
(記事・取材:長掛真依、鈴木拓己、取材:中原亜季帆、梅岡鈴、佐藤萌桃)
▽以下、選手インタビュー(QB・山岡、LB・倉田、LB・赤木)
ーー今日の試合を振り返って
点差ほど実力差は感じていなくて、流れによっては勝つことができた。非常に悔しい結果にはなりましたけれど、次に繋がるような、自分たちの課題が顕著に見えた試合だったので、前向きに捉えて次節に向かっていこうと思います。
ーーどんな試合を想定されていましたか
点取合戦になるのかなとは思っていて、実際に前半はほぼ同点で折り返してということだったんですけど、後半は向こうに流れを持っていかれて、そこから状況的に自分たちがやりたい戦術ができなくなったことで、そこから焦ってしまってどんどん点差が広がってしまったかなと思います。
ーー序盤はパスの選択が多かったように感じました
ランを出すためにパスを出す、パスを出すためにランを出すというのが、うちのオフェンスのこだわりなので結果的にパスが増えたのかなと思います。
ーー今回見えた“課題”とは
勝負所、決めきれなきゃいけないところで決めきれなかった場面があったので、そこが後々響いてしまったり、その弱さというのは改善しなければいけないかなと思います。
ーー次戦への意気込みをお願いします!
個人的に、東大というのは結構思い入れがあるチームです。去年の東大戦は自分のミスのせいで敗北してしまって、かつ2年前の東大戦は自分のデビュー戦でタッチダウンとか得点を取ることができたりという思い出があるので、ラストイヤーは勝利で終わりたいなと思っています。
ーー今日の試合全体を振り返って
先制点を取って良い流れが来たなという感じで、前半までは10ー14。そこまでは正直勝てるな、ここから全然逆転可能だなという感じで、4Qに入っても2ポゼッション差の時まではチームの雰囲気として勝てるかなというのがあったんですけど、そこからズルズルと点を取られていき、オフェンスも通らなかった中で、チームとして流れを掴めず、そのまま流されて負けちゃったのかなというのが正直なところです。
ーーチーム全体でどのような声掛けや作戦などありましたか
厳しい中での声掛けというのは、ポジティブな声かけをしようというのがチームとして流れとしてあるので、それに関しては割と4Q入るまではできていた気もします。ただ、それ以降はポジティブな声掛けができなくなっちゃったというのがあります。作戦的なところは特にいつもと変わらず、相手のメインのプレーに対して、とどめを刺しにいくようなプレーというのがあったので、そこは大きく変わっていないです。
ーーその上でご自身のプレーを振り返って
前半は久々に本当に何もできなかったというのがあって、少し自分でも焦りがあったんですけど、後半2個くらい良いプレーができて、チームの雰囲気としても持っていけるようなビッグプレーができたんですけど、それがチームとしての流れにならなかったというのが割とまずかったかなという感じです。プレーとしては前半は良くなかったですけど、後半は頑張りました。
ーー次戦に向けての意気込み
東大は去年あんな負け方をしてしまって、自分としては1番苦しかった試合で、終わった後も立ち直れないくらいのショックを受けて。でも、去年1番チームとして変われたのが東大戦の後で、雰囲気も良くなって、そこから結局3位まで行けたっていうので、東大戦は良い区切りになる試合なのかなっていうふうに思っています。今日の負けをいかに今日で捨てれるか、悔しさを今日で捨てて、できなかった部分だけを吸収して、そこの反省を活かして次挑めば、十分に勝てる相手だと思いますし、次から全勝すれば全然甲子園(=甲子園ボウル)も途絶えてないので、ここからは勝つのみって感じです。
ーー今日の試合を振り返って
前半まで良い勝負ができていたので、個人の問題ではなくチームとして団結しきれなかったところが、最後に点差が開いた原因かなと思います。
ーー前半には好プレーもあったが、今日の試合はどのような気持ちで臨んだか
自分の大切にしていることでもあるんですけれど、「何があっても最後は結局自分たちが勝つ」というマインド、「自分のチームを勝たせてやる」という気持ちで今日の試合に臨んでいました。いつかどこかで自分にチャンスが回ってくると思っていたところで良いプレーができたので良かったなと思います。
ーーチームは後半に点差を大きく開かれたが、明大相手にどのようなところが戦いにくかったか
明大の得意なランプレーを、慶大のディフェンスの弱点にうまくあてはめられてしまい、慶大がそこにアジャストできず同じようなプレーをされて点差が開いてしまったというところが、ディフェンスの改善力の無さという課題につながると思います。
ーー次戦・東大戦への意気込み
昨年度自分たちが3位だったことは忘れて、東大戦に限らず全ての試合、チャレンジャーという意識をもって、昨シーズンのリベンジを東大相手にできるかなと思います。