箱根駅伝予選会まであと4日!慶スポでは本番を直前に控えた選手方・スタッフにインタビューを行いました。特集6日目の本日は、関口功太郎(経4・宇都宮)、鈴木太陽(環4・宇都宮)の高校時代からの親友/ライバルである“宇高コンビ”!後編では、今シーズンの振り返りや予選会への意気込みをお聞きしました。これを読んで是非当日も声援を送りましょう!
――続いてはお二人の競技面について
鈴木:今シーズンは結果だけ見たらめっちゃ順調なのですが、入りは本当に悪くて、冬は全く走れない時期もありました。Bチームの練習も最初の数kmで息絶えてしまうくらいで。でも、「ラストイヤーこれでは終われないな」と気合入れ直したことで、結果的には関東インカレでは3位表彰台、日本インカレでは塾記録更新、日本選手権出場とおおむね調子良く繋いでこれました。自分はロングの成功体験が圧倒的に少なくて、それで夏合宿を通して自信がつきました。
彼(関口)の関東インカレの成功体験も糧にしつつ、自分も夏合宿にしっかり詰めているという気持ちも根底にはあるので、(予選会に)うまく合わせられるという自信もあり、調子もおおむね良いと思います。

「ラストイヤーこれでは終われないな」と」(鈴木)
関口:僕は今シーズン通して見ると、あまりうまくいかなかった苦しいシーズンだったと思います。そんな中でも、勝負どころの関東インカレでしっかり結果残せたのは自分にとって大きな財産になりましたし、誇りに感じています。
鈴木:自分は「彼はもっといける」と思っていますね。今回も弾丸調整なんですけど(笑)、功太郎ならもっと活躍できるし、最後それを見せてほしいですね。
関口:本当に今シーズンは「すごい」の一言に尽きるかなと思います。高校時代とは違って、大学では僕自身も関東インカレも含めてこれまでの成績に一定の誇りと充実感を抱いているので、そういう意味でも素直に太陽の活躍が嬉しかったし、「同郷で同じ高校のやつが活躍しているんだぜ!」と勝手に誇らしく感じていました。
鈴木:日本インカレのことは絶対、功太郎悔しがっている(笑)
関口:それはね。選手である以上そりゃもちろん悔しさはあるけど、太陽も頑張っていた姿を見ているし、マジで素直に嬉しいと思っています。自分の入学当初の目標が「関東インカレ出場」だったのに、実際まさかそこで12位、しかも出場選手中で自分だけがPBを出せて、それがあったからこそ太陽の活躍に対して嫉妬とかもなく、素直に喜べました。
関口:5000mが全力のうちの9割5分くらいの力で走っているとすると、ハーフでは若干落として9割や8割8分くらいの力で走っているのですが、その力で耐え続けることが意外に得意なんだなということに大学3年生以降に気が付いて、それが強みなんじゃないかなと思います。
鈴木:ちょっと、彼の強みにもう一つ加えていいですか(笑)彼のこの冷静さはもちろん強みなんですよ。加えて、めちゃくちゃナルシスト。
関口:(笑)
鈴木:自分の世界を作るのがうまいし、「俺イケるっしょ」みたいな根拠のない自信も冷静さに加えて併せ持っていることが彼の強みかなと感じてます。
関口:分析されてる(笑)。でも確かに自信家ではあると思いますね。

「耐え続けることが意外に得意なんだなと」(関口)
――予選会に向けて
鈴木:自分は、スピードは「才能」の面が大きくて、ロングは「努力」でどうにでもなると思っています。だったらスピードの部分は才能で補いつつ、後は夏合宿の努力でロングを重ねれば、噛み合って一気に伸びることが出来る、そういう自信はあったので、ロングの部分はひたすら地道に積み重ねることで自然と融合してくるのではないかと思います。
去年まではこんなに自信満々に言えなかったのですが、今年少しずつ成功体験を積めたというのと、日本選手権でコケたことで逆にスイッチが入りました。全く歯は立たなかったけれど、才能を生かすために努力している選手たちを見て、自分もハーフで才能を生かした努力の走りをしたいと思いながら練習を積み上げてきました。

「日本選手権でコケたことで逆にスイッチが入りました」(鈴木)
鈴木:昨年は怪我もあって非常に苦しかったですね。2か月前くらいに疲労骨折をして1か月以上走れていなくて、直前2週間で調節したのですが、去年の予選会とても暑くなってしまい、ろくに練習も積んでいない自分が耐えられるわけもなく、すごく苦しい予選会でしたね。
関口:自分は去年の予選会がはじめて練習も順調に積めて、直前の調整もしっかり行えた上で絶好調で臨めた試合だったのですが、結果だけ見たら“凡走”だったのかなと思います。期待を越える走りができなかったということが正直な感想です。初のハーフマラソンだったということも含めて事前の準備が今思えば足りていなかったと思います。

「結果だけ見たら凡走だったのかなと」(関口)
鈴木:ピーキングさえ合えば駐屯地と市街地はリズムよくいけるのではないかと思います。ただ、公園内は最初のフラットからのギャップも合わさったり湿度も高まってひたすらきついなという印象です。
関口:公園内はきついという印象しかないですね。その一言に尽きます。
鈴木:まずは気持ちで負けないように、応援もいてくれているので、「次の応援まで、次の応援まで」とチェックポイントにしつつ粘り続けるしかないのかなと思っています。

「ピーキングさえ合えば」(鈴木)
関口:僕も公園内のラスト5キロがポイントになってくるとは思っているんですけど、正直なところ当日のコンディションを含めての事前の走り方が今は大事な時期なので、当日のコンディションが読めない今は状況に応じた対策を練っていきたいと思います。
鈴木:でも公園内以外も、駐屯地は集団がぐちゃぐちゃして転びやすくて、自分は日本選手権でも1500でコケて、日本インカレでも3障(3000m障害)でコケているので、まずはコケないことが大事だと思います。
鈴木:自分ですかね(笑)。その上で自分が注目したい人は島田亘(法4・慶應志木)ですね。彼は普段そんなにパッションを表に出す方ではなく、結構低空飛行なので、周りには「もう少し島田頑張れるだろう」と思われることもあるんですが、着実に怪我無く 6、7、8月全部練習こなしているし、あと一歩彼に足りないのは本番でのパッションくらいかなと思っています。今まで積み上げてきた基礎があるので、最後の本番でパッションを爆発させてくれることに期待しています。

島田亘(4年生)
関口:僕と太陽を除いた人で言うと、二人いて芦野(清志郎=理3・高田)となべりょう(渡辺諒=法4・慶應)です。芦野はこの夏BチームからAチームに定着したメンバーで、どこまでいけるのだろうという楽しみがあります。なべりょうは僕ら世代の「予選会マシーン」だと思っています。去年も、前期も夏合宿でも全然よくなかったのですが、9月からしっかり状態上げてきて、予選会メンバーにも入って、現チームの中で2番手で走っているので期待できます。

芦野清志郎(3年生)

渡辺諒(4年生)
鈴木:いやでも一番期待しているのは鈴木太陽です。
関口:(笑)
関口:僕は支え合う存在かなと思っています。自分も苦しい時期にいろんな人に支えられてきましたし、逆に苦しんでいる人に声をかけることも意識していたので、そういう意味でも持ちつ持たれつの関係だと思っています。
鈴木:全体はちょっと広いので同期に焦点を当てると、全員どこかしら欠けている部分があるなと思っていて。人間性にしろ(笑)、陸上競技にしろ。もちろん今までの4年間で「彼ちょっとやる気ないな」と思う時期もありますし、自分にも欠けている部分は沢山あるし、そういう部分をうまく補って支え合っていけるのがこの同期の特徴かなと思っています。

「全員どこかしら欠けている部分があるなと」(鈴木)
関口:僕はもう保科(光作HC)さんですね。1、2年の時は全然走れなくて。他のチームだったら間違いなく退部かマネージャー転向をされていた状況の中で、指導してくださって。3年生になった時に自分の意見をぶつけたときも、自分が違うと思うところは上手く軌道修正してくださいました。
また、去年が「最強世代」と言われていて、その最強世代を擁しても良い結果ではなく、チーム状況もボロボロで、保科さんが描いていたビジョンを自分たちが潰してしまったのにもかかわらず、周りは監督を叩くわけで。そういった点で、保科さんは本当に苦しんでいたのではないかと思っているので、最後少しでもいいので恩返ししたいなと思っています。

「少しでもいいので恩返ししたい」(関口)
鈴木:難しい、絞れないな…。競走部に焦点を当てると印象に残るのは、トレーナーのヘス(羅ヘス=文4・盆唐大眞)さん。今年の関東インカレも日本インカレもずっとケアしてくれて、痛いところも不安なことも全部相談できましたし、関東インカレでは自分がメダルをかけた時に泣いて喜んでくれました。その時は「何泣いてるんですか!」と茶化してしまったんですけど、自分の走りって人の心を動かす可能性を持っているものなんだと、ヘスさんのおかげで思えました。もう一度泣かせたいと思っています。

「もう一度泣かせたいと思っています」(鈴木)
鈴木:ワクワクって言いきりたいのですが、やっぱり不安や弱い自分も出てくると思います。でもそれも全部含めて自分だし、陸上競技の面白さだし、全てを含んだワクワクが自分の中で感じられることが楽しみです。
関口:正直まだわからなくてこれからどう持っていくかで決まると思うのですが、とりあえず他の邪念は捨てて集中して臨めたらと思っています。
鈴木:う~ん(笑)
関口:でもまあ100%出し切って後悔ないレースしてほしいと思います(笑)。
鈴木:自分と一緒にめっちゃいいタイムで走れたら嬉しいですけど、ラストは願わくは僕の一秒後ろくらいでゴールしてくれたら嬉しいですかね(笑)。
鈴木:去年までハーフマラソンでいまいち自信を持てていなかったのですが、今年の1500mを通して最初のきっかけはできたし、夏合宿も経験してハーフマラソンいけるわという自信もついたので、色紙にも書いたのですが、最後「大器晩成」した姿をお見せできたらと思います。
関口:目標としては自分の力を100%すべて出し切ります。そして「これが俺の陸上人生の集大成だ」という走りを体現して、色紙にあった通り、夢を掴みます!
――鈴木選手、関口選手、ありがとうございました!
(取材:鈴木拓己、竹腰環 編集:河合亜采子、小林由奈)