【テニス(女子)】ダブルスがすべて……明確となった日本一への課題/第96回早慶対抗庭球試合

DSC_0004昨秋の歴史的勝利から8か月、慶大が王者・早大をホーム蝮谷に迎えた今回の早慶戦。連覇を狙った一戦であったが、昨季慶大が十八番としていたダブルスで早大に2敗。シングルスでは互角の戦いを見せたものの2-5で敗戦となった。インカレを挟み、秋の関東大学テニスリーグで早大にリベンジを誓う。

第96回早慶対抗庭球試合

2016/5/14、15 @慶大蝮谷テニスコート

 

慶大

 

早大

D1

村瀬早香・押野紗穂

0{2-6、5-7}2

林・上

D2

安形玲耶・向井マリア

0{4-6、2-6}2

細沼・大矢

S1

村瀬早香

1{2-6、6-1、3-6}2

細沼

S2

安形玲耶

0{2-6、2-6}2

S3

江代純菜

0{4-6、2-6}2

S4

押野紗穂

2{6-0、6-2}0

S5

向井マリア

2{6-4、2-6、7-5}1

金井

合計

 

DSC_0137

1週間で形を示した村瀬・押野組

先の関東学生テニストーナメント(以後・春関)から不安の残るダブルス。結果的にダブルスが勝敗を分けてしまった。D1は、村瀬早香(環3・京都外大西高)・押野紗穂(環2・つくば国際大学東風高)組が務めた。春関では、村瀬が江代純菜(環3・九州文化学園高)、押野が小林夏実(環4・秀明八千代高)と組んでおり、「火曜日から練習した」(村瀬)ペアで臨んだ。ファーストセットは序盤にブレークを許すも第4ゲームでブレークバックに成功する。しかし、ここから4ゲーム連取を許し2-6で落としてしまう。しかし、セカンドセット、キープを続け4-3で迎えた第8ゲーム。15-40とダブルのブレークチャンスにつけると、1本目は村瀬のリターンがアウトで30-40。2本目で、押野のリターンを相手がボレーをする。これがアウトとなりブレークに成功した。しかし、次のゲームでブレークバックされると流れを与え5-7でセカンドセットも奪われ、勝利はならなかった。しかし、セカンドセットでは組んで1週間とは思えない息のあったプレーも見せ、「伸びしろはあるなと感じた」と村瀬が言うように早大のエースペアにここまでできたのは収穫であろう。今後に期待したい。

安形・向井組は勝利することはできなかった

安形・向井組は勝利することはできなかった

一方、D2の安形玲耶(環4・城南学園高)・向井マリア(環1・城南学園高)組は早大の春関優勝ペアとの戦いとなった。ファーストセット、第1ゲームでブレークを許し出だしにつまずくとそのまま0-4とされる。しかし、第5ゲーム。デュースから4度相手にアドバンテージを握られたが、なんとかキープする。すると、流れは変わり1つブレークバックに成功する。しかし、4-5から第10ゲームをしっかりとキープされファーストセットを4-6で落としてしまう。セカンドセットでも相手に先行され、そのまま2-6で奪われストレート負けとなった。

成長の止まらない押野。インカレでの上位進出にも期待だ

成長の止まらない押野。インカレでの上位進出にも期待だ

ダブルスで連敗スタートとなり迎えた2日目。押野を「流れを取り戻すために下位で起用した」(坂井利彰監督)。S4として出場した押野は、ファーストセットから格の違いを見せる。サービスゲーム、リターンゲーム問わず、ほぼすべてのラリーを自分の流れに持ち込み6-0でファーストセットをものにする。セカンドセット、最初のゲームをブレーク。しかし、相手選手が作戦を代え、ひたすら押野に対してロブをあげてきた。これを攻めあぐねた押野は、2ゲーム連続でブレークを取り合う展開に。しかし、2-2からはしっかりと対応をし、6-2でこのセットも奪い、余裕のストレート勝ち。

江代にはダブルスでも期待したい

江代にはダブルスでも期待したい

S3は江代。早大の2年生・上と対峙した。ファーストセット、中盤にブレークを許す展開となる。4-5で迎えた第10ゲームでブレークのチャンスにつけるも、それを逃した江代は4-6でファーストセットを先取される。セカンドセット、1-0からロブでうまく相手のミスを誘い簡単にブレーク、2-0とする。しかし、直後のゲームでブレークバックを許すと、その後は相手にペースを握られ2-6で落とし、ストレート負けとなった。この時点で1-3となり慶大はあとがなくなった。

素晴らしい粘りで勝利を収めたルーキー・向井

素晴らしい粘りで勝利を収めたルーキー・向井

S5は隣のコートが2試合終わってもまだ終わらないほどの大接戦となった。慶大のS5は向井。ファーストセット、最初のリターンゲームで早速ブレークするも、第5ゲームでバックされる。そのままキープが続き、5-4の第10ゲームで向井がブレークに成功し6-4でファーストセットをものにする。続くセカンドセットでは、第4ゲームのブレークチャンスを生かせず、相手に流れを握られ2-6で落とし、試合はフルセットに。迎えたファイナルセット、先に向井がブレーク。しっかりとキープを続け4-1となる。しかし、相手は、ラリーでの強打を持ち味とする4年生。ここから巻き返してくる。第8ゲームで15-40とされると、なんとか2本しのぎデュースとしたが、ブレークを許し4-3。続くサービスゲームでもブレークを許し、ブレークするしかなくなった第10ゲーム。相手がマッチポイントを握った場面から攻めのプレーを貫き、デュースからバックのクロスと、ネットプレーでそれぞれポイントを奪いブレークに成功した。次のゲームでは15-40のピンチから脅威の粘り。ここにきてさらに力強いフォアとネットプレーでピンチを抜け出しキープする。そして第12ゲーム。ピンチからキープした勢いそのままにブレークし、7-5でファイナルセットを制し、3-2とした。

単複2勝の期待がかかる主将の安形

単複2勝の期待がかかる主将の安形

S2の安形は両校の主将対決となった。安形は、春関チャンピオンの実力者に互角の戦いを見せる。第4ゲームをラブゲームでキープし流れに乗ると第5ゲームで30-40のブレークチャンス。しかし、このチャンスを生かせず、2-3。続くサービスゲームで30-30からブレークを許すとそのまま2-6でファーストセットを奪われた。セカンドセットでも相手からブレークを奪えず、2-6で落としストレート負け。先にブレークできていれば違った展開に持ち込めそうだっただけに悔しい敗戦となった。

春関準優勝の村瀬。慶大の新エースへの道を歩む

春関準優勝の村瀬。慶大の新エースへの道を歩む

S1には村瀬が出場。春関では準優勝と結果を残し、早慶戦に挑んだ。ファーストセット、調子の上がらない相手に対し、それにうまく漬け込みきれない村瀬。お互いに2つずつブレークをし、2-2から相手が4ゲーム連取して2-6で落としてしまう。しかし、セカンドセットでは出だしから村瀬が本来のプレーを見せ2つのブレークで4-0。1つキープを挟んで、6-1でものにする。ファイナルセット、「あと一歩突き詰められなかった」と村瀬。最初のゲームでブレークされると、そのリードを守られ、3-6で落とし敗戦となった。この結果、今回の早慶戦は2-5で早大の勝利。

今回の早慶戦の敗因は、やはりダブルスに尽きるだろう。昨季の慶大と同じレベルで今季の早大のダブルス2本は盤石だ。しかし、覚えているだろうか。昨季の慶大は春秋それぞれの早慶戦でダブルス2勝をしたが、王座では2敗した。今季の慶大にはこの逆を期待する外ない。慶大のダブルスの軸は確実に安形、村瀬だ。この2人が誰と組み、どんなプレーを見せてくれるのか、リーグ戦まであと3か月ある。彼女たちの成長が楽しみだ。

(記事:太田悠貴)

 

【試合後監督・選手コメント】

坂井利彰監督

(初日のダブルスでは男女通して全敗となってしまいましたが)そうですね、この団体戦の性質上どんなにシングルスに良い選手がいても、ダブルスの流れというものがあるので、1つも取れなかったことによって、先手を取られてしまいました。例えば押野は本来ならシングルス上位で出る選手なんですけど、下位で起用しなくてはいけなくなった、男子だとシングルス下位で新1年生が出るしかなかったんですけど、相手に流れがある中で甲斐、福田にバトンを渡すことになってしまったということですね。関東学生テニストーナメントでもシングルスではよかった部分もあったんですけど、ダブルスは結果が出なくてそれを引きずってしまった部分はあったんじゃないかと思います。そこを立て直していけば、シングルスの内容を見ても、男子だとファイナルまでもつれた試合もあったし、まぁ結果ほど悲観しなくていいのかと思います。(秋にリベンジするために重要なポイントは)やっぱりダブルスですよね。今回改めてダブルスでリードしていくことの重要性を感じましたね。もう1回ダブルスに取り組んでいくことと、今回見つかった課題がいくつかあるので、なんとなくではなく明確にして取り組みたいと思います。

安形玲耶主将(環4・城南学園高)

(主将として今回の結果は)チームとして早慶戦で勝つことを目標にしていた分、負けたことはすごく悔しいです。しかし、今回の結果を結果だけでみるのではなく、試合の中身を冷静に振り返る必要があると思っています。その中で、今回初めて早慶戦に出たメンバーが多くいたり、接戦を勝ちきった選手もいるので、貴重な経験が得られたことは確かです。なので、そこはポジティブに捉えています。ただ、結果は真摯に受け止めて、今回の負けがあったから強くなったと言えるように、また夏や秋に向けて個もチームも強くしていきたいと思います。(改めてダブルスの重要性を感じさせられる結果だと感じるが)本当にそう思います。夏に結果をひっくり返すためには強いダブルスを作らなくてはならないと強く感じました。(個人としても春関と今回の早慶戦は結果が出なかったと思うが)どちらの大会も懸けていた気持ちはすごく強かったので悔しいです。でもまだこれで終わりではないので、最後の最後まで信じて、結果に一喜一憂せず上を見てやり続けます。(その中では2日目のシングルスは要所で自分のペースに持ち込めていたと感じたが)ここぞという欲しいところで取りきれないところがたくさんあり、そこで取りきれる選手になれば結果は変わってくると思いました。(インカレや秋のシーズンに向けて意気込みを)まだまだこれからが本当の勝負だと思うので、テニスという競技を追究し続けて結果を変えるシーズンにします。

村瀬早香(環3・京都外大西高)

(昨日のダブルス、春関とは違うペアになったが準備の部分は)春関が終わって火曜日から練習が始まって、そのときに村瀬・押野っていう組み合わせになって、最初は2人とも不安はあったんですけど、日に日にやるしかないという気持ちが芽生えて、負けてしまったんですけど、伸びしろはあるなと感じました。(単複それぞれ振り返って)やることをしっかりと決めて、自分の武器を出して行けた試合だったと感じているんですけど、それの出し所であったり、ダブルスでいうと猪突猛進のような感じ、攻めようとしすぎた感、もうちょっと頭を使ってプレーできたらよかったと感じています。シングルスではほしいところでサイドアウトとかネットのジャストアウトとか、あとちょっとこうすればよかったという部分、そこが突き詰められなかったことが、ファイナルセットでブレークできそうでできなかったところとかにつながってしまったと思います。(ダブルスの重要性を感じさせられる結果になったが、秋への意気込みを)秋の団体戦では、ダブルス2-0。そのために、ペアは誰とになるかはわからないんですけど、私の経験を生かして引っ張っていかなくてはと思います。当然のように2-0をつけられるチームにします。

向井マリア(環1・城南学園高)

(初の早慶戦に単複出られましたが、自身のプレーを振り返って)ダブルスは最初に緊張してしまって、自分のプレー、思い切ったプレーというのができなくて負けてしまいました。監督やコーチからもミーティングなどで、1年生らしく思い切りと言われていて、それができなかった、守りに入っていたと感じていて、初日の試合後に監督に、も『失うものはなにもないから向かって行け』と言われて、シングルスでは1球目から自分の攻めるテニスで相手を崩していけたと思います。途中であいてに流れが行く場面もあったんですけど、やっぱり応援が力になってそこで踏ん張れたなと、試合を振り返って攻める姿勢を崩さなかったから勝てたと感じています。(インカレやリーグ戦への意気込みと大学での目標を)今日の試合で団体戦でのダブルスの重要性を感じさせられたのでダブルスでもチームに貢献できるように練習していきます。大学での目標は、高校では全国優勝したことがないので、個人でも団体でも全国制覇をすることです。

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