早慶戦がアミノバイタル杯2回戦で実現した。定期戦1週間前にまさかの激突。今回の試合で勝利すればベスト8に進出且つ総理大臣杯への出場権を獲得することができる。2014年から2年出場できていない両者はいつも以上に気合が入っていた。1回戦では大幅なメンバー変更を行った慶大だったが、今回はリーグ戦での起用が多かった選手で宿敵との一戦に挑んだ。しかし慶大は課題としているセットプレーで全く同じ形で失点を重ね、零封負けを喫してしまった。定期戦を前に苦い敗戦となった。
アミノバイタルカップ2016 第5回関東大学サッカートーナメント大会兼総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選 2回戦
2016/6/27(月)14:30KO@時之栖スポーツセンター裾野E2グラウンド
慶応義塾大学0-2早稲田大学
【得点者(アシスト者)】
[早] 16分 熊本雄太(相馬勇紀)、38分 熊本雄太(相馬勇紀)
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース) |
DF溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高) |
DF望月大知(環4・静岡学園高) |
DF豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18) |
DF井上大(総4・國學院久我山高) |
MF落合祥也(商1・横浜FCユース)→61分 MF加瀬澤力(総4・清水東高) |
MF宮地元貴 (総4・東京ヴェルディユース) |
MF渡辺夏彦(総3・國學院久我山高) |
MF小谷春日(環2・藤枝東高)→61分 MF松木駿之介(総2・青森山田高) |
FW山本哲平(政4・國學院久我山高) |
FW田中健太(法3・横浜F・マリノスユース) |
同じグラウンドで行われていた第一試合がPKまでもつれ込んだため、試合開始時刻が30分遅れた2回戦。時より涼しい風が吹くも、暑い日差しが降り注ぐなか試合が行われた。総理大臣杯が行われるのが大阪ということもあり、「行こうぜ大阪」とチームメイトたちがスタンドから声援を送った。試合は早大ボールで開始。序盤は早大にシュートを打たれるが危ない場面は少なく、慶大は溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高)のクロスや田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)の前線突破などで攻撃の中で流れを作り出そうと試みる。
しかし試合開始から16分で流れを作るどころか崩されてしまう。早大の相馬のCKを熊本に頭で合わせられ先制を許してしまう。早大はこの1点以降守備を厚くし始める。慶大は焦りを隠せないのか、プレーが雑になる上に明らかに押される展開となった。そして再び悪夢に襲われる。38分、またもCKから先ほどと同じ形で失点。慶大は苦手としてきたセットプレーで2点を失い、無得点のまま前半が終了。須田監督は「こんなゲームで納得してるのかよ」と怒りをあらわにした。
後半開始早々、慶大のゴールは脅かされる。50分、右サイドからのCKでゴールを狙われたがここは溝渕がクリアして凌いだ。その後左サイドにいた宮地元貴 (総4・東京ヴェルディユース)が右サイドを駆け上がっていた溝渕にロングパス。溝渕から田中がパスを受けてシュートをするが相手GKが触れ、クロスバー上へと逸れた。これがこの日一番いい攻撃シーンだった。
ゲームキャプテンの井上大(総4・國學院久我山高)もピッチから声を出し、このまま試合の流れを慶大にしようと選手たちを奮起させた。61分、慶大はMFの落合祥也(商1・横浜FCユース)を加瀬澤力(総4・清水東高)、小谷春日(環2・藤枝東高)を松木駿之介(総2・青森山田高)に変えて攻撃に勢いをつける。途中出場の2選手が攻撃を仕掛け躍動し、流れは慶大になるが早大はチームで守備を固めてきたため1点が遠かった。最後まで早大のゴールネットを揺らすことはできず、慶大は痛い零封負け。3年連続総理大臣杯への切符をつかむことはできなかった。
総理大臣杯出場をかけた一戦で宿敵との戦いに敗れた慶大。しかし落ち込んでいる暇もない。来週には早慶定期戦が控えている。敗戦したことで選手はそれぞれ課題が見えたはずだ。あと1週間、「休んでいる時間はない」(須田監督)。悔しさをバネにして「一生懸命練習に打ち込む」(井上)だけだ。選手たちは挑戦者として準備をして戦うほかない。気持ちを新たに早慶戦に挑む。選手たちが躍動し、リベンジを果たして、勝利の若き血を響かせてくれることに期待したい。
(記事 椙本彩愛)
試合後コメント
須田芳正監督
(今年も総理大臣杯出場権を獲得出来ませんでしたが、今のお気持ちは)残念でしょうがない。今日のゲームは気持ちで負けた。あっち(早大)は本当に出たい、というのが強くて、最初から勢いもあってその気持ちが前面に出た。こっち(慶大)は格好つけているのか知らないけれども、受け身になってやっていて。そりゃ負けるよね。メンタル面があまりにも良くなかった。せっかくこのメンバーでこの試合に懸けてやってきたのに、話にならない。形など全てにおいてもう1回鍛え直さなきゃいけないんじゃないか、と。甘すぎます。(失点シーンがどちらも右コーナーからのCKでしたが)セットプレーにするというか、簡単にさせてしまう。今日はコーナーキックだったけれども、無駄なファールとかそういうのが多すぎる。相手のセットプレーの数を減らす、ということが大事。あとは責任感でしょ。責任感がプレーに感じられない今日だってやっぱりフリーだった。特にそれが今日のゲームに出ていて。そこが象徴的なプレーだよね。(早慶定期戦まであと1週間ほどとなりましたが、メンバーや練習メニューなど変更するところは)やらないとしょうがないよね。休んでいる時間はないので。我々のサッカーっていうのは、ボールを大事にしながらゴールを目指していく。ボールをしっかり大事にすることであるけれど、ただゴールを目指すというところは今日の前半はなかったよね。そこは変えないけれども、アクションの多さだったり運動量の多さだったり、本当に点を取ってやろうというスプリントであったり、ゴール前の入り方であったり、そういうところが足りないんですよ。そこを追求して、トレーニングしてやっていきたいと思います。(早慶定期戦に向けて)早慶戦は勝つしかないので。勝利に向けて頑張ります。
井上大副将(総4・國學院久我山高)(ゲームキャプテン)
(今日の試合を振り返って)今まで1回戦を戦ったり、応援してくれたみなさんが繋いでくれたタスキをつなげなかった11人の責任が全てだと思います。(リーグ戦での早稲田戦と今日の試合との違い)相手のプレッシャーの場所がサイドバックではなくボランチにかけてきているということを薄々分かっていたものの、うちのセンターバック2枚がどんどん縦パスを出してしまって、それを取られてショートカウンターという形で押し込まれてしまいました。(CKから2失点ということについて)責任感の一言で片づけてしまえばそれまでなんですけど、ビデオで分析してみないとなんとも言えないです。(早慶定期戦に向けてどのように気持ちを切り替えるか)今までやってきたことを継続するだけでは勝てないということがこの試合で分かったので、今すぐには何ができるのか分からないんですけど、何かを変えて一生懸命練習に打ち込むことが必要だと思います。
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