【ソッカー男子】早慶戦企画第7弾!田中健太選手インタビュー

昨年の早慶戦はスタンドから観戦していた田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)。そんな彼が今年はリーグ戦での対早大戦で、2ゴールを挙げチームを勝利に導いた。定期戦でも得点が期待される彼だが、自身は今回のインタビューで課題を多く口にした。彼が今思うこと、そして早慶戦にかける思いについて聞いた。DSC_1807

 

「もっともっとできた」前半戦を振り返る

 

――まずチームについて伺います。リーグ前半戦は5位という結果に終わりましたが、ここまでの戦いを振り返っていかがですか

開幕戦が自分にとって結構印象的ですね。本当に何も出来ず、シュートも1本も打てずに負けてしまって。そこからもう1回チームを立て直そうということで、いろいろ考えながらみんなでやってきたつもりだったのですが、なかなかうまくいかなかったです。波に乗れたのは多分順天堂大学戦だと思うのですが、ラスト5節で自分たちのサッカーというかやりたいことがはっきり体現できたので、それを開幕からできていれば、もっといい結果が残せたかもしれないというのが悔しいですね。そういう前半戦でした。

 

――チームでも上級生という立場になってこれまでと変わったなと感じることは

2年生の時とかは必死に食らいついて自分のプレーだけを考えて、もがいていた感じだったのですが、3年生になってから「お前ら、上級生としての自覚がない」と監督や4年生から多々言われて確かにそうだな、と思いましたし、3、4年生が上級生という扱いで引っ張らなきゃいけない立場で、チームを盛り上げるなど、上級生としての責任というのがようやく芽生えてきたかなという感じです。

 

――ここまで3得点ですがご自身の出来について

全然満足はしていないです。もっともっとできたと思います。自分はシーズンを通して10点取るという目標があって、単純計算で5点は絶対に取らなきゃいけない前半戦だったのですがプレーに波がありましたね。良いときと悪いときがあって、そういうのを改善していかなくちゃ2桁取れないし、チームに貢献できないなというのを感じたのでメンタル的なケアだったり、肉体的なケアだったり、ちょっと詰めが甘かったなというのが正直な感想です。

 

――その中でも成長したな、と感じる部分はありますか

ゴールへの意識ですかね。去年は全く点が取れなかったので、今季はゴールへの意識を強く持とうというのを常に心がけていたので、思い切りのいいシュートが打てるようになって、そのシュートを打った時に順天大戦、早稲田戦でゴールできているので、ちょっと改善されたのかなと思います。

 

――今年もFWの山本哲平選手(政4・國學院久我山高)と2トップでプレーする機会が多かったですが、どう思いますか

2トップを組むときに役割があるのですが、哲平くんと組むときは両方とも裏に抜けられて、足元で(パスを)もらえるタイプなのですごくやりやすいです。また自分のゴールは哲平くんからのアシストがすごく多くて、哲平くんが相手を背負ったときに自分が前向きでかかれるというのがやりやすいですし、良いパスも出してくれるので、すごくやりやすいです。

 

――須田監督もFWの調子が控えの選手も含めて今は良いとおっしゃっていましたが、どう感じますか

前の選手はすごく入れ替わりが激しいし、後輩とかも多い中で、練習中の紅白戦といったスタメンとサブで分かれてやっているときでも常にサブの選手のモチベーションが高く調子が良い状況なので、競争が生まれるというか自分もまだまだもっともっとやっていかなきゃいけないなと思っています。少しでも調子が落ちたらリーグでもスタメンを外されるという状況の中でこうやってプレーできているので、すごく刺激になるしチームにとってもプラスになるんじゃないかなと思います。

 

――前半戦はフル出場することがあまり出来ず苦しい時期が続いたと思いますが

上手くいかないときというのは、何かが上手くいってなくて壁に当たって課題が多く出ていると思うので、逆にチャンスかなと思っています。それを積極的に練習とかで取り組める時期だと思うので、フル出場というと試合に出て且つチームのために貢献するというところに意識が行っちゃうと思うのですが、上手くいっていないときは自分にフォーカスして課題とかが見つけやすいので、結構チャンスというふうに捉えて練習はしていました。

 

――横浜F・マリノスユースの後輩でもあるGKの上田朝都(総1)がソッカー部に入部し、同じピッチで戦っていますが印象は

上田朝都は…楽しい(笑)。彼独特の自分の世界を持っていて結構面白いやつです。キーパーというポジションで、なかなか練習中なども関わりが少ないかもしれないですけど、かわいい後輩、って感じですね。悪ガキですね(笑)。

 

「足元や相手の背後で勝負」そして、確実に点を決める選手へ

 

――次にプレースタイルについてお伺いします。両足どちらも違和感なく打てる自信があるとインタビューで仰っていましたが

結構どっちにボールがあっても、迷いなく振り切れます。違和感ないですし。でも自分の試合などを振り返っていると、左のコースが空いているのに右に切りかえているシーンとか、ちょっと最近気になっていて。左で打つというよりかは、もっと左のコースにドリブルが出来たら、相手もどっちに来るかわからないですし、やっぱりそこは右利きだけあって、右のコースにドリブルしがちになってしまっています。そういったところの改善とか最近では自分の中の課題に挙げています。でもシュートに関しては本当にどっちも違和感なく自信もって打てます。

 

――田中選手がピッチに上がると、一気に攻撃の流れが慶應になるように見えますが、試合に出場する上で意識していることは

常にアグレッシブなプレー。自分の最大の役割はゴールをとるということですけど、相手の裏を狙ったり、ドリブルを仕掛けたり、シュートを打つというところも自分に求められるところだと思うので、前の選手がネガティブなプレーばかりだと攻められないし、相手の流れの中でも自分が良いドリブル、良いシュート、良い動きが出来たら、すごいチームも盛り上がるし、尚更点が入ったら完全にこっちの流れになると思うので、そういう意味では常にアグレッシブな動きというのが求められているし、それをするのが自分の役割だと思っています。

 

――前へ前へという姿勢はこれからも変わらずに

そうですね。その前へ前へという中でも、落ち着くこと、タメを作るところというのも自分の課題だと思っているので、全部が全部行く、というよりかは状況判断や、流れを見た上でのアグレッシブプレーをするというイメージです。

 

――プレースタイルを参考にしている選手はいますか

ある意味身近な選手ですけど、武藤選手(慶大卒・現FSVマインツ05)のプレーは自分の先輩でもありますし、部に映像とかもちょっと残っていて、そのゴール集みたいなのを焼いてもらって、パソコンに入れて参考にさせてもらっています。全然レベルは違いますが、自分と少し重なる部分があって、そういうのは見て試合前に見てモチベーションを上げています。結構ドリブラーとか、そういう選手の映像を見ます。その中でもやっぱり武藤選手は特別に意識して見させてもらっています。

 

DSC_0033――相手DFとの対決で負けないように常に心掛けていることなどはありますか

関東大学サッカーに限らずプロの世界でもセンターバックの選手は体格がしっかりしていて、背が自分より大きい中で、競り合いなどは相手にやられる場面が多いのですが、その中でも体を当てて嫌がられること、ですね。それで相手のヘディングがちょっとずれて仲間がボールを取ってくれればそれでいいですし。DFは走られることというか、後ろのボールを追っかけるのが嫌だと思うので、それらの動きを意識しています。そんな中でも背が大きい選手は足元でもらって仕掛ける動きとかやられたら嫌だと思うので、上で勝負するというよりかは足元や相手の背後で勝負するというのは、常に意識していますね。

 

――逆にリーグ前半戦で当たって嫌だな、と感じた選手は

自分が何にもできなかったのと風下でなかなか裏を返せなかったというのがあるのですが、流経のキャプテンは前の当たりがすごく強くて、自分の仕事をさせてもらえなかったです。あと去年の話になっちゃうんですけど、マリノスユースの先輩でもある金澤拓真選手(早大卒・元早大主将)と奥山選手(早大卒・現レノファ山口FC)の2センターバック。身長は自分とほぼ変わらなかったのですが、前の当たりというかアプローチや裏への対応などが優れていていました。自分がそこをつこうと思っていたところに対応されてしまったりして、その2枚は今まで大学サッカーやってきた中で1番やりづらかったです。

 

目標は「日本一」そして「プロ」へ

 

――次にご自身についてなのですが、サッカーを始めたきっかけは

元々運動するのが好きで、幼稚園の時にサッカーをして楽しかったということだと思います。うちの親はサッカーをやれ、という感じではなくF1をやらせようとしていたみたいで(笑)。結局その幼稚園でのサッカーが楽しくて、小学校でもチームに入りました。

 

――なぜ大学でもサッカーを続けようと思ったのでしょうか

自分の目標でもあり夢でもあるプロに行きたいというのが一番強くて、高校からだとプロに行けるほどの実力はないと思っていたので、しっかり4年間やって、追いつきたい、プロになりたいということと、その上で自分も成長できる環境だと思って大学でも続けています。

 

――大学に進学して、勉強等で大変だなと思ったことは

塾高だったのですが、高校時代のほうが正直きつくて。大学はある程度テスト前になると休みを考慮してもらえるのですが、高校時代マリノスユースの時はみんな別々の高校に行っていたので、まとまった休みというのがなかなか設けることができなかったので、その中で勉強するのはすごく大変でした。逆にそこで苦しんだ分、大学ではそこまできついというイメージはないですね。

 

――延世に行って刺激を受けたことなどは

自分が延世に行って1番思ったことは、“主張”ですかね。慶應の選手とかはたとえばボール回しをしていて、パスがずれたら「ごめん」と言うのですが、向こうの人たちはみんな絶対に謝らずに一例に過ぎないですけど「なんでお前そこで足を伸ばさないんだ」とか「お前の守備が遅いんだろ」とか。あとゴールの貪欲さとか日本にないものがあって、日本人はやっぱりそういうところが消極的なんじゃないかな、というのを肌で感じました。そういうのがたとえば試合の中だったら、シュートの意識とか球際でも強かったり、自分の思っていることをしっかり言ったりということにつながってきているのだなと思いました。あと体格もいいですね。ご飯は日本人のほうが食べると思いますけどね(笑)。僕たちがめっちゃ食べると「あんな食うのかよ!」みたいな感じで見られていました。ただ、筋トレとか体を鍛えるという面では韓国のほうが意識は高いのかなと思いました。日本にはないところを感じられて、行ってよかったなと思います。

 

DSC_2673――大学在学中にチームとしても個人としても目指しているところ

ありきたりになってしまうのですが、日本一になるというのを常に掲げています。自分が所属しているこの4年間で日本一になりたいなという思いが強くなっています。

 

――試合前のゲン担ぎなどは

右足から入るとかそういうルーティーンはないですが、なんかやっているかと言われたら誰かサッカー選手の動画を見ています。武藤さんや、最近見ているのがルイス・スアレス選手のリバプール時代の82ゴールなのですが、それとかも本当にすべてのゴールに迷いがないというか、見ていてすごい参考になって、ここで点取れる人が取っていくんだな、という印象をすごく受けています。モチベーションが上がるというか、いいイメージを作って試合に臨めるので、自分が参考にしている選手の動画を少し見ています。

 

1年に1回の特別な試合で勝ちに行く

 

――最後に早慶戦についてお伺いします。早慶戦の雰囲気をどう捉えていますか

独特な雰囲気と言ったらそれまでなのですが、思うのは学生主体で作り上げているということであって、自分たちもチケット売ったりして、友達とかも多く観に来てくれるというのは、普段支えてもらっていたり協力してもらっているクラスメートや友達に自分の頑張っている姿を唯一見せられる機会になるので、そういう意味でも独特ですし、あれだけいいスタジアムで1万人を超える中でやっているというのは中々ないというか1年に1回だけなので、特別な試合ですね。

 

――早稲田の印象は

(早稲田は)早慶戦になると目の色を変えて、足が伸びるとことは普段の1.5倍長く伸びて、ボールにアプローチしてきたりするというのがよく言われるのですが、確かにそうだと思います。自分たちも早慶戦にかける思いは強いと思うのですが、早稲田ももちろん自分たちと同じくらいの気持ちでぶつかってくると思うので、少しでも気を抜いたり、周りを気にしたり、かっこいいプレーをしようとか、そういう気持ちが出ちゃうと相手に全部入れられてしまうと思うので、本当にいい相手ですし、プレーしていてすごくプレッシャーになりますが、力まず尊敬もしつつ、早稲田に勝ちたいと思います。

 

――リーグ戦の早大戦では2発を決め、チームを勝利に導いてかなり周囲からの期待も大きいと思いますが

いいイメージで臨めるというのは自分にとってもプラスになりますし、相手も少しは警戒してくると思うのですが、その中でも常に変わらない、ベースのところの1対1で合わせられるかというところも考えてプレーしていきたいです。あの2ゴールはたまたま最後にシュートを打ったのが自分というだけで、いいリズムの中で生まれたので、そのリズムを作ることのほうが大事かなと思うので、(チーム)全体でフットボールしていくという意識で戦いたいです。

 

――応援に来てくださるみなさんに自分のプレーで見てほしいところは

前で(ボールを)持った時のプレーです。仕掛ける場面、シュートやドリブルなどそういう前に行ってボールを持った時のプレーを見てもらいたいです。

 

――意気込みをお願いします

勝つしかない。5連敗はたまったもんじゃないので、本当に勝つしかないです。DSC_0059

 

(取材 椙本彩愛)

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