3連勝で迎えた第4戦の相手は早大。昨年の王座優勝校であり、春の早慶戦では1−8と完敗しているだけに厳しい戦いが予想された。ダブルスを2−1で折り返すと、シングルスではS5今村昌倫(環1・清風高)と上杉海斗(環4・清風高)が勝利を挙げたものの、一歩及ばず4−5で敗戦。宿敵打倒は惜しくもかなわなかったが、春に比べて大きな成長を見せた。
関東学生テニスリーグ 早大戦
2017年9月13日@中大多摩キャンパステニスコート
慶大 |
| 早大 |
D1 ○福田・今村 | 2{6-4,3-6,6-3}1 | 河野・島袋 |
D2 ●逸﨑・畠山 | 0{3-6,6(7)-7}2 | 坂井・田中 |
D3 ○上杉・山﨑 | 2{6-4,6-4}0 | 齋藤・高村 |
S1 ○上杉海斗 | 2{7-6(3),6-(4)7,6-3}1 | 島袋 |
S2 ●逸﨑凱人 | 2{6-3,4-6,2-6}0 | 坂井 |
S3 ●甲斐直登 | 0{1-6,1-6}2 | 三好 |
S4 ●畠山成冴 | 0{4-6,1-6}2 | 小林 |
S5 ●韓成民 | 0{1-6,2-6}2 | 千頭 |
S6 ○今村昌倫 | 2{6-1,6-1}0 | 田中 |
合計 4 | − | 5 |
格上のチーム相手に、チャレンジャーの立場で臨んだこの試合。
D3の上杉・山﨑組が慶大の初勝利をもたらした。上杉・山﨑組のサービスエースと鋭いショットに加えボレーでのネットやショットがアウトなるなど相手のミスも絡み、ファーストセットを5-1で優位に進める。相手のショットに安定感が増すようになり5-4と追い上げられるが、第10ゲームをラブゲームで制し、上杉・山崎ペアはこのセットを6-4で奪取する。セカンドセットに入ると、序盤から競った展開が続き、5-4で第10ゲームを迎える。上杉・山﨑にサービス権があったこのゲームをキープし、ストレート勝ちを収めた。
D2を務める逸﨑凱人(環3・大阪産業大付属高)・畠山成冴(環3・湘南工科大付属高)組は、苦戦を強いられた。ファーストセット、第2ゲームは逸﨑のサーブで相手を圧倒。第3ゲームは長いデュースを制してブレークし、2ゲームを連続で獲得する。しかし、直後のゲームでブレークバックを許すと、徐々に流れは相手の方へ。ラリーの主導権を握られると、3—6でセットを落としてしまった。セカンドセットに入ると再び調子を上げ、互いにキープが続く。第8ゲームでブレークし5—3とリードしたが、その後すぐにブレークバックされるとそのままタイブレークに持ち込まれる。両者がポイントを取り合い手に汗握る展開となったが、最後は相手の力強いショットに押され7—9で敗北を喫した。
D1の福田真大(商2・慶應湘南藤沢高)・今村組は、第1ゲームから長いデュース戦を展開する。相手に幾度もアドバンテージを取られながらも必死に食らいつき、最後は強めのラリーで相手のミスを誘発、見事ブレークを成功させた。その後はネット前でのプレーが光り、第1セットを6-4で取る。しかし、第2セットでは一転してミスが目立ち始める。調子を上げてくる相手に流れを奪われ、3-6でこのセットを落とす。迎えたファイナルセット。序盤から今村がサービスで相手を圧倒し、主導権を取り返す。怒涛の3ゲーム連取で勢いづいた2人は的確なボレーでポイントを重ね6-3でファイナルセットをつかみとった。
ダブルスを2−1とリードしシングルスの試合を迎えたが、早大はシングルスでインカレベスト4を独占している実力あるチーム。厳しい戦いが予想される中、慶大が意地を見せた。
S3の甲斐直登(環1・日出高)は序盤から自らのミスが多く、相手に3ゲームを取られる。チェンジコート後の第4ゲームでは、落ち着いてラリーを続けていき、何とか1ゲームを取ることに成功した。しかしここで波に乗り切れず、第1セットは1-6で落とす。続く第2セットでも、ストロークのミスが相手よりも目立ち、自分のテニスを出し切れないままに試合終了。残念ながら0-2で惨敗した。
S4を務めた畠山の相手は、ユニバーシアード日本代表に選出された小林選手。ファーストセット、畠山は第1ゲームをしっかりとキープ。そこから互いにゲームの取り合いが続く。デュースでもつれた第8ゲームを畠山がブレークしたが、直後のゲームでは緩急を使い分けた相手にラリーで負けブレークバックされる。第10ゲームをキープされ、4−6でセットを落とした。セカンドセット、ダブルフォルトも絡み第1ゲームでブレークを許すと、勢いに乗った相手が3ゲームを連取。第4ゲームでブレークしたものの、すぐにブレークバックされそのまま1−6で敗戦した。
S5の韓成民(環4・つくば国際大学東風高)は、相手の粘り強いラリー、主にバックハンドでの自分のミスに苦しみ、ストレート負けを喫してしまった。ファーストセットを1-6で落とし、セカンドセットで相手にサーブ権があった第1ゲームとデュ―スまで競った第6ゲームを獲った。だが、2-6でこのセットを落とした。
S6の今村の相手は、「高校時代負けていた」と話す選手。今村は「挑戦者」としてこの試合に臨んだが、第1ゲームからこの日好調のサービスで相手を圧倒すると、怯まないストロークで相手を打ち負かし、ゲームを連取。第1セットを余裕の6-1で取ってしまう。チャレンジャーだからこその思い切りの良さが功を制したのか、第2セットでもストロークやスマッシュでエースを連発する。デュースが多い展開となったが、4ゲームあったうちの3ゲームを取るという圧倒的な強さをもってして、第2セットも6-1で取った。よって挑戦者ながらこの試合2-0という大勝利を収めた。
ここまでの結果は3−4。勝負の行方はS1とS2次第、という緊迫した状況の中試合が行われた。
S2の逸崎はダブルスでの逸崎との対戦に勝った坂井と対戦した。ファーストセット、序盤からサービスエースを武器にポイントを重ね、試合の流れを寄せ付ける。このセットを6-3で奪取する。セカンドセットになると、相手のフォアハンドを中心とするショットの調子が上がり、一進一退の攻防が続く。4-5と迎えた第10ゲーム、デュ―スまでもつれ込み、両選手ともゲームを決める場面で決定打を決めることができない。しかし、最後に逸崎のフォア―ハンドのショットがアウトになり、4-6でセカンドセットを落としてしまう。ファイナルセット、逸崎はいくつかのゲームでデュースまでに持ち込んだものの、相手の鋭いショットに加え威力が増したサーブにより苦しい試合展開を強いられる。2-5で迎えた第8ゲーム、逸崎にサービス権があったが、ラブゲームでブレークされ、2-6でこのセットを落とした。これで逸崎の敗戦が決まり、早大の勝利が確定した。
S1上杉の試合は逸﨑の試合と同時進行で行われ、途中でチームの敗戦が決定。エースとしてのプライドを懸けた最後の一戦となった。互いに体が万全ではない状態で臨んだが、両者一歩も譲らぬ熱戦を展開。ファーストセット・セカンドセットセットともにタイブレークにもつれ込んだ末、1セットオールに。迎えたファイナルセット、2—2から第5ゲームでブレークを奪うと、サービスゲームでは鋭いサーブで確実にキープし5—3とリードする。第9ゲーム、相手のショットへの対応力でラリーを有利に進め、ブレーク。6—3で上杉が勝利を収めた。
あと一歩のところで宿敵打倒を逃した慶大。しかし、第2戦、第3戦と相手をロースコアで抑え、5月には1−8で完敗した早大には4—5まで詰め寄った。この結果はチームとしての慶大の成長がいかに大きなものであるかを証明している。最終戦は、王座出場を懸けた中大との一戦。ここまでの成長を自信に変え、強気の姿勢で勝利をもぎ取ってほしい。
記事 堀口綾乃 萬代理人 鈴木優子
◆試合後コメント
上杉海斗(環4・清風高)
(今日の団体戦を振り返って)惜しかったといえども負けは負けなので悔しい気持ちがあります。それが一番です。でも、春の早慶戦から比べると、全員が成長した日だったと感じています。リーグ戦がまだ終わっているわけでなく、王座も確定されているわけでもなく、この試合に一喜一憂せずにもう一度引き締めてやっていきたいと思います。(春の早慶戦と比べてチームとしてどういうところで成長したか)ダブルスの入り、選手、応援、サポート、チームの雰囲気作りというところです。また、選手自身はシングルスで特に勝ってなかった選手が今日はロースコアでしっかり勝てたというところです。(ご自身のダブルスの試合とシングルスの試合を振り返って)ダブルスに関しては、自分がD3なので確実に獲るという役割を果たし、一番早く終わることができました。そういった意味でD1にいい影響を与えることができたと思います。シングルスは相手が今まで対戦してきたなかでより強くて、インカレも優勝している2年生の選手で勢いがあるので難しい試合になると思っていました。今日は、しっかり自分のテニスをしっかりできるように落ち着いてやりきれたと思います。体にいろいろ不安があったのですがその中で勝ちきれたことが自信になりました。次の中大戦でも相手はたぶん2年生かわかりませんけど、強いと思うのでナンバー1として背中で見せられるようにこれからもしっかりやっていきたいと思います。(ダブルスの試合とシングルスの試合の勝因)ダブルスに関して、最初の試合の入りの方でファーストセット、セカンドセットも勢いよくブレークしたことです。終始自分たちが強気で攻めることができていたので今日は自分たちの勢いというのがありました。また、自分とペアもかみ合った日になり、そこが一番良かったです。シングルスに関して相手の状態が万全ではなく、前の試合で棄権をしていたのでどこか不安を抱えていると思っていました。お互いが万全ではない状態のなかでどれくらい我慢できるか、どれだけ落ち着いてできるか、劣勢になった場面で攻められるか我慢できるかというのを今日はメリハリをつけることができたのが一番よかったと思います。(中大戦に向けて)去年は初戦で中大に負けていますし、中大も早大以外に全勝して王座がかかった試合になると思うので全員が思い切ったプレーするのが難しくなると思いますが、一人一人が一球一球に慶應の団体戦の力を100%出せるようにもう一度気を引き締めていきたいです。
今村昌倫(環1・清風高)
(今日の試合を振り返って)僕は思い切ってできるように強すぎるところにオーダーを回してくれて、あまり勝ち負け気にせずできました。最近調子も良くて、結構自分のテニスができて、成長できるような試合だったので良かったです。(今日は立場としては挑戦者だったということですか)そうですね。ダブルスの相手も強いわけですし、シングルスの相手も高校時代負けていて、リベンジという感じでチャレンジャーの気持ちで頑張れたところが良かったです。(福田選手(商2・湘南藤沢高)とのダブルスでは第2セット取られたあとどのように気持ちを切り替えましたか)2セット目とられても、2人で「絶対次行けるな」という話をしていて、全然固くならずに、今までの自分たちのプレーをしたら絶対できると思っていたので何も考えずにやっていました。(シングルスではかなり長いデュースもされていましたが)もうバケモノ苦しかったんですけど笑そことったら苦しい相手も折れてくると思ったのでそこだけほんまに頑張って踏ん張って、しっかりものにしたんでよかったです。(今日はサービスの調子がよかったように思われますが)今腹筋を怪我していて、あまりサーブが打てないんですけど、逆に力が抜けていい感じにいっていたんでよかったです。(次戦に向けてひとこと)次は王座懸けですけど、そんなに固くならずに今まで通りのプレーをしたら簡単に勝てると思うのでそれだけ集中して頑張っていきたいと思います。