「実力通りの結果が出たなと思います」――3勝7敗で迎えた最終戦。勝てば1部残留が確定する正念場だったが、相手のサーブ・スパイクに対応できずストレートで敗戦。その直後、11位の順天堂大が敗北したことで1部残留となったが、これからの1部での戦いへ課題が色濃く見える試合となった。
10月15日(日)秋季関東大学男子1部バレーボール第11戦 慶大×駒澤大@専修大学総合体育館
得点 |
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慶大 | セット | 駒澤大 |
16 | 1 | 25 |
24 | 2 | 26 |
21 | 3 | 25 |
前日の敗戦で入れ替え戦回避へ後がなくなった。最終戦の相手はともに今季1部に昇格した駒大。春の対戦では2セットがデュースにもつれ込む激闘の末に敗戦している。4年生にとっては最後のリーグ戦。なによりも笑ってリーグ戦を終えるためにチーム一丸で挑んだ。
第1セットは富澤太凱(経2)がライトから強烈なスパイクを決めて幸先よく先制。しかし、直後に連携ミスが出てしまうと4連続失点でリードを許してしまう。すかさずタイムアウトを取ったが、なかなか自分たちの形で得点できない。黒田彪斗(環4)がレフトから強打を打ち込むなど少しずつ攻撃のリズムが出てきたところで再び4連続失点を喫してしまった。途中センターに樫村大仁(環1)を投入するもクイックを止められ、ブロックポイントを取られてしまうなど流れを完全に止められてしまう。大量ビハインドから盛り返せず、大差でこのセットを落とした。
一進一退の均衡状態で試合が推移した第2セット。5―6の状況からマルキナシム(総2)がサービスエースを決めるなど、3連続得点。ここでリードを奪うも少しずつ差が詰まり、再び接戦に。先に20点に到達され2点のリードを許すが、この状況からブロックが冴え渡る。佐藤康平(環4)を中心に3枚ブロックを形成して連続得点するなど3度のブロックポイントと、好調だったマルキのサーブがエースとなり一気にセットポイントに到達した。ところがサイドアウトを取られると、続く相手の鋭いサーブに手も足も出ず逆転でセットを落とした。
第3セットこそ見え始めた自分たちのバレーを貫きたい。富澤がサービスエースを披露するとマルキもブロックで得点。レシーブが乱れた状況でセッターである吉田祝太郎(政1)自らスパイクを放つなどついに主導権を得たかに見えた。ところが相手の力強いサーブには対応しきれずブレイクを許して中盤に逆転を許してしまう。この場面でも吉田がなおも積極的に攻める姿勢を見せて勢いづけると、封じられてきたクイックをついに佐藤が沈める。だがこの日は最後まで相手のサーブを捉えきれなかった。エースを含め4連続得点を許すと、追い込まれた状況で反則を取られて万事休す。1部という新たなステージで戦い抜いた1か月半の秋季リーグが幕を閉じた。
続いて行われた順天堂大と日本大の対戦で順天堂大が敗れた。これにより慶大は専修大と順天堂大を勝利数で上回り10位でフィニッシュ。なんとか1部残留に成功した。
この試合もこのリーグ戦を通しても相手のスパイク・サーブの強さやブロックの高さが際立ち、それになかなか対応できずに流れを渡してしまった。4年生が口を揃えて話したように守備力の強化が、来る全日本インカレへの課題になってくるだろう。
劇的な入れ替え戦勝利により意気揚々と昇格し、東海大をフルセットで破る金星を挙げた開幕戦。その直後から突きつけられた1部上位という高い壁。弾き返されながらも着実に力をつけ、第3週では見事に連勝を飾った。そこから下位校との戦いでは最後まで勝利をつかめず再び1部の実力差を思い知る結果となった。そんな激動の1年を過ごしたこのチームにも、もうフィナーレが近い。最後は悔いなく戦い抜くために、今一度1つになることが求められる。
(記事・尾崎崚登、写真・太田彩恵、藤澤薫)
男子1部最終結果
順位 | 大学名 | 勝敗 |
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1 | 早稲田大学 | 11勝0敗 |
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2 | 筑波大学 | 8勝3敗 |
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3 | 日本体育大学 | 7勝4敗 | セット率1.556 |
4 | 中央大学 | 7勝4敗 | セット率1.389 |
5 | 日本大学 | 6勝5敗 | セット率1.048 |
6 | 明治大学 | 6勝5敗 | セット率0.913 |
7 | 東海大学 | 5勝6敗 | セット率1.048 |
8 | 駒澤大学 | 5勝6敗 | セット率0.955 |
9 | 東京学芸大学 | 5勝6敗 | セット率0.773 |
10 | 慶應義塾大学 | 3勝8敗 |
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11 | 順天堂大学 | 2勝9敗 |
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12 | 専修大学 | 1勝10敗 |
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宗雲監督
(今日の試合を振り返って)負けるといつも残念な気持ちになります。非常に残念でした。
(試合前に話したことは)最終戦だからといって特別なことはしていないです。コンディションの悪い選手がいたので、その選手とのやりとりくらいです。スタッフと出すか出さないかを含めての話し合いでした。
(試合内容はどうだったか)力負けです。駒澤大はエースを軸にいいサイドが3枚いました。抜けるとレシーブができないパンチ力があって上手い子たちなので、翻ろうされていました。なかなか崩れなかったですし、しょうがないです。
(クイックが決まらなかったが)よく研究されていました。ジャンプした方向などから打つコースを読まれていました。やられるべくしてやられたブロックでした。
(リーグ戦を振り返って)基礎のパスや細かい繋ぎが一番劣っているので苦戦するのはわかっていました。自分たちの方が自滅するゲームがあるだろうなというのは十分計算済みでした。でも、大崩れして負けたというセットは2部の時よりはだいぶ減ったので少し成長したのかなと思います。ただ1部は自責点がないので、うちみたいなチームだと厳しいですね。
(1部で戦って見えた良い点悪い点とは)ブロックとかサーブとかはある程度機能するんでしょうけど、レシーブと繋ぎが全然違います。1部は本当に自責点がないです。通用する部分と、しない部分の差が大きいという力関係でしたね。
(今後の修正点は)選手にも言いましたが、試合に負けた直後はわかっているんですけど、日吉記念館に戻ったらいつも緩くなってしまいます。いかにパスと繋ぎの守備をちゃんとできるか、次の試合までにちゃんと積み上げられるかというのがすごく大事なところです。そこさえ他のチームと変わらないところまで伸びれば十分戦っていけると思います。
(次の試合に向けて)若い選手も多いので、若い選手の守備力が上がるようなチームを目指して、次のチームに向けてもやりたいと思います。
増田拓人主将(環4)
(試合を振り返って)地力の差ですかね。
(今日に向けて)チーム全体としてはみんな入れ替え戦に行きたくないとい気持ちだったと思うんですけど、個人的にはリーグ全体を通して上位入賞が目標で、最終週まで分からなかったので、そこに向けてとりあえず頑張ろうという気持ちでした。今日は各々違う気持ちだったんじゃないですかね。4年生は4年生で最後だからやりきりたい。下級生は入れ替え戦に行きたくないみたいな色んな気持ちがあったと思います。
(そこでまとまれなかった)勝つという気持ちは一緒だと思うんですけど、一人一人の意味合いが違ったかなと思います。
(秋季リーグを振り返って)手応えが結構ありました。上位入賞を掲げていて、最初に3勝できて後半戦で3つか4つ勝てば上位入賞というところで、そこから勝ち切れなかったのが痛いですね。
(勝ち切れなかった要因)上位に行くチームってレシーブもできて攻撃力もあるんですけど、下位のチームってレシーブができないか、攻撃が通じないかのどっちかだと思うんですけど、うちは攻撃が通じるのでレシーブだと思います。駒澤に関してはバランスの良いチームで、レシーブ負けですかね。今後詰めないといけないですね。
(春秋リーグを終えて)今までそんなわけあるかというぐらい、トントン拍子にことが進んでたので、これから自分たちの力を見極めて、実体のあるチームになることが重要だと感じた秋リーグでした。
(これからに向けて)つなぎとかの部分をもう一回見つめ直して臨みたいと思います。
尾木将副将(政4)
(今日の試合を振り返って)負けが続いていて、チームとしてもこの試合勝たないと入れ替え戦の可能性が残るということで、最後一試合、4年生としては最後のリーグ戦だったので、しっかりやっていこうということだったんですけど、力負けという感じで残念だなと思います。
(ピンチサーバーとしてのご自身のプレーを振り返って)セッターとしても出たかったんですけど1年生の吉田がいて、自分はピンチサーバーとしての役割を与えられていて、出場機会は少ないですけど、自分の役割を果たせればいいなと思ってプレーしました。
(ベンチからどのような思いで試合を見ていたか)しっかりコートの中の選手が力を出してくれれば1部でも戦えると思っていたので、それを信じて応援していました。
(入れ替え戦も視野に入れた試合、チームの雰囲気は)負けが続くと、やっぱり雰囲気はどんどん落ちていくんですけど、4年生としてもそれを立て直すのが仕事だと思っていたので、日々の練習から士気を高めていけるような努力はしていました。
(4年生、副将という立場で迎えた最後のリーグ戦を振り返って)自分としては試合に出られなくて悔しい思いもありましたけれども、チームとして久しぶりに1部に帰ってきて、上位チームからも勝ち星を取れて、全体的に振り返ると今年はなかなかいいチームとして戦えたのではないかなと思います。
(全日本インカレにむけて)全日本インカレは自分たちも最後の試合ということで、集大成ということで、しっかり目標を達成できるように残り1ヶ月半頑張っていきたいと思います。
長澤翔吾(環4)
(今日の試合を振り返って)結構頑張ったと思うんですけど、力負けというか総合力で負けちゃったかなという気がします。
(サーブレシーブについて)戦術的なところも対策はしていたんですけど、自分自身が最後のリーグということもあって後悔しないようにというのが一番だと思ったので、とにかく周りに声をかけてどんどん自分が取って、サポートしていくっていうのを全面的にできたかなと思います。
(入れ替え戦を視野に入れた試合、チームの雰囲気は)個人個人を見ると、コンディションが上がっていない選手が何人かはいて、そこでやっぱり不安はあったんですけど、だからといって入れ替え戦というのを意識するのではなくて、下級生にとっても今年のリーグ最後で、4年生にとってもリーグ最後なので、最後っていうところはしっかり頑張ろうとチーム内で団結はしていたと思うので、入れ替え戦ということはあまり頭になかったです。
(最後のリーグ戦を振り返って)出られない4年生もいるなかで、僕を選んで最後まで出してくれたということはすごく感謝していますし、残り2ヶ月ないですけど、最後まで責任を全うしていければなと思います。
(全日本インカレにむけて)僕に求められているのはサーブレシーブというところなので、そこをどんどん強化していって、チームをもっと支えられるようにしていきたいと思います。
佐藤康平(環4)
(今日の試合を振り返って)ただ悔しいですね。
(入れ替え戦がかかった試合だったが、どのような思いで臨んだか)今日負けたら入れ替え戦の可能性が非常に高くなるということで、とりあえず自分たちのスタイルを通して、今まで積み重ねてきたことを出せればいい結果が出せると思っていたので、普段通り行こうと思いました。
(ご自身のプレーはどうだったか)相手のブロックが1対1で来ていたので、あまりトスが上がってこなかったんですけど、それ以上にサーブレシーブがあまり返らなかったので、返った時に僕以外のミドルも張られてしまいました。もうちょっとサーブレシーブを安定して返せれば、幅広い攻撃ができたかな、と思います。
(チーム全体で改善すべきだった点は)自分もブロックに関して寄りが遅かったり、あと1歩というところでした。うちのチームはスタイルとして”サーブアンドブロック”を掲げていて、1部のチームとかはパスとか守備も含めて”サーブアンドブロック”が完成しているのですが、うちのチームはそれがふんわりしたものになってしまっているので、守備と連動した”サーブアンドブロック”が出来ればもっと上に行けたのかなと思います。
(今後取り組みたい練習は)“サーブアンドブロック”をするにあたって、その前提となっていたはずの特にレシーブとかが疎かになっていたり、崩れたりしてしまって、自分たちの”サーブアンドブロック”に持っていけないことが多くあったので、その辺を重点的に練習したいと思います。
黒田彪斗(環4)
(今日の試合を振り返って)完全に今の状態での僕たちと駒澤では駒澤の方が圧倒的に力を持っていたので、実力通りの結果が出たなと思います。
(試合前に話したことは)自分たちの対策として、特徴がある選手がたくさんいるので、相手の特徴を捉えて対応していこうと、そういう話をしていました。リーグ戦も最後なのでやり切るしかないと言いました。
(今日の試合内容は)駒澤のセンターのブロックがすごい上手くて、自分の得意なクロスのスパイクが通らなかったです。もっと改善すべきことがいっぱいあるかなと思います。
(今シーズンを振り返って)リーグ戦は毎週試合があって、そこでの気持ちの切り替えというところでは各々の選手がやってくれたと思います。でも試合の流れの中での気持ちの切り替えとかが上手くできなかった試合がいくつかあったので、そこを改善できればなと思います。
(1部で戦って成長したと思う点は)各選手の技術ももちろんですけど、1部でやることによって自分たちより上手い選手がたくさんいるので、ミスの少なさを学びました。
(次の試合に向けて)とにかく目の前の試合を勝つことしかできないので、それに向けてしっかり調整できればいいかなと思います。
松岡海 (文4)
(今日の試合を振り返って)(駒澤大とは)春も2部リーグで対戦していて、今日も厳しい戦いになるってわかってたんですけど、あっちの方が春から強くなっていて、こっちが全く対応できなくて、結構力の差が出たかな、と思います。自分も全く仕事できなかったです。ボールに触れることすらあんまりできていなかったので、もうちょっと試合中に対策できればなと思います。
(チームの雰囲気は)先週からずっと負けてて、決して明るくはなかったんですけど、入れ替え戦がかかってる上に最後の試合だったので、みんなでやろうっていう雰囲気はあったんですけど、あんまり結果に出なかったです。
(繋ぐ場面も多かったが)うちもよかったんですけど、やっぱり駒澤さんに比べたら全然上がっていなかったので、1部上位を目指していくならやっぱりディフェンスが課題だな、という話にはなっていました。もうちょっとしっかり、強打レシーブとかも全部とりたいです。ディフェンスはまだまだだな、という感じですかね。
(秋季リーグ全体を振り返って)僕は2週目ぐらいから出たんですけど、中盤くらいまでに3勝できて、せっかく上位に行けるチャンスがあったのに、最後のところでちょっと取りこぼしたりして勝てなくて、ちょっと残念だったかな、と思います。でも夏からずっとやってきたことがちょっとずつ形になっているので、全カレに向けてもうちょっと修正していければな、と思います。
(次戦に向けて修正・強化していきたい点は)僕たちはずっと、サーブで相手を崩してそれをブロックで仕留めようというスタイルでやってきたので、それをもうちょっと精度を上げてやっていければな、と思います。あと1ヶ月くらいしかないですけど、全カレに向けてそれを強化できればな、と思っています。
サイド | マルキ ナシム(総2・川越東高) |
セッター | 吉田祝太郎(政1・慶應義塾高) |
センター | 佐藤康平(環4・桐蔭学園高) |
オポジット | 富澤太凱(経2・慶應義塾高) |
サイド | 黒田彪斗(環4・富山一高) |
センター | 清水柊吾(総1・広島城北高) |
リベロ | 長澤翔吾(環4・盛岡一高) |
松岡海(文4・慶應義塾高) | |
途中出場 | 樫村大仁(環1・茨城高専) |
尾木将(政4・修道高) | |
岩本龍之介(商3・仙台二高) |