全日本インカレ2日目、急造チームの綻びがでた。勝てば早大戦を翌日に控え、気合も十分に臨んだこの試合だったが、終始圧倒される試合展開に力を発揮しきれなかった慶大。「悪い部分が出てしまった」試合で悔しさを残しつつ、4年生は引退することとなった。
11月29日(水)第70回秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会第2戦 慶大×大阪商業大@大田区総合体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 大阪商大 |
15 | 1 | 25 |
17 | 2 | 25 |
19 | 3 | 25 |
第1セット。序盤から慶大は苦しんだ。相手のサービスエースで先取点を許すと、そのままずるずると試合は進み、2-8となるとたまらずタイムアウトを要求。しかし、立て直せない慶大は2回目のタイムアウトを終えて3-12と早くも追い詰められてしまう。そこから徐々に息を吹き返してきた慶大だったがサイドからの攻撃が得点につながらず苦しい試合展開は続く。終盤、相手のミスに助けられ点差を詰めかけたが、及ばず15-25でこのセットを落とした。
第2セット。切り替えたい慶大だったが、大阪商大がそれを許さず、リードを許してしまう。ここで慶大は樫村大仁(環1)に代えて清水柊吾(総1)を投入。巻き返しを図るが、タイムアウト2回を要求して4-12と試合は進む。ここで、佐藤康平(環4)が奮起した。これまでも得点源となっていた彼のクイックだったが、一層気合の入ったスパイクで流れを呼び込むと、互角の点の取り合いを演じる。終盤、3連続得点で大阪商大にタイムアウトを要求させ、流れに乗ったかに見えた慶大だったが、最後は押し切られ、このセットも惜しくも落とした。
第3セット。佐藤のクイックでこの試合初めて先取点を取ったこのセット。続けて尾木将(政4)がサービスエースを決め、さらにこのセットからコートに戻った樫村もクイックを決めると、リードを保ち試合を進めていく。しかし、中盤、強烈なスパイクを前にリードを奪われると、一進一退の攻防を繰り広げる。しかし、最後は焦りが出たのか4連続失点でこのセットも落とし、全日本バレーボール大学男子選手権大会敗退が決まった。
全カレ早大戦を前にしての敗退、「予想もしていなかった」(増田)。秋のリーグ戦を終えてからのシステムの変更、その不安定さが生んだ結果だった。
この1年、春に1部昇格を果たし、秋には1部上位を目指す中で苦しんだ。しかしそれは、「苦しかったですが、その分今年はいい思い出があった」(尾木)と、充実した1年だった。4年生はこれで引退となる。この共に過ごした後輩も多くの想いを抱いたはずだ。「さらなる高みを目指して」(佐藤)「1部上位を目指してほしい」(黒田彪斗・環4)という4年生の想いはきっと届いている。来季の慶大バレー部がどんな飛躍を見せてくれるのか、今から期待したい。
(記事・岩本弘之、写真・藤澤薫)
増田拓人主将(環4)
(まずは今日の試合を振り返って)
終始圧倒された感じで、予想もしていなかったというか、こっちの力が出せなかった。今年のチームはなんか波があるチームだったので、それを象徴するような試合だったかな、その悪い部分が出ちゃったのかなという印象です。
(今の率直な気持ち)
走馬燈みたいに思い出して…正直悔しいとかいう気持ちよりも、チームとして良いチームだなって。ほんとになんか激動の1年間だったなと感じます。
(主将としてチームを引っ張られてきたこの1年を振り返って)
いや本当に、同期と後輩に支えられて1年間やってきて、1部にも上がったし、プラスのことが多かったかなって、1年間で。ほんとになんか…人生振り返ったときも楽しかったなっていえるような時間だったかな。
(後輩に向けて)
あとは俺たちが達成できなかった夢は後輩たちに託していきたいと思います。あとは、これからのチームだと思うから、若いし。もっともっと磨いて、悔しい思いも忘れないでやってほしいかなと思います。
(ファンの方々へメッセージ)
来年も成長してメンバーたちがもっともっと魅せてくれると思うので、これからも慶應っていうチームを愛してくれたらな、と思います。
尾木将副将(政4)
(今日の試合を振り返って)
残念の一言に尽きると思います。
(今年終盤はセッターとして出場したが)
今年はずっと祝太郎(吉田・政1)がトスを上げていて、富澤(太凱・経2)がオポジットに入る形でやっていましたが、富澤がけがをしてしまいました。ポジションは違いますが、自分が富澤の代わりで入りました。リーグでいい結果が出ていた分、プレッシャーを感じながらやっていました。結果的にこういう風になってしまい、みんなに申し訳ないなと思っています。
(4年間を振り返って)
入ってきたときは、1部の舞台で戦っているチームで、先輩たちについて行くのが精一杯でやっていました。2年生からは試合に出場する機会が増えていきましたが、2部に落ちてしまい4シーズン戦って、とても苦しかったです。今年最上級生になって、もう一回頑張ろうと1部昇格の目標を達成できました。苦しかったですが、その分今年はいい思い出があって、頑張ってきてよかったなと思います。
(これからの進路は)
バレーを続けます。いろいろな巡り合わせとか運が良かったとも思いますが、続けられることに感謝しながら、慶應4年間で学んだことを生かして、自分ができるところまで挑戦してやっていければいいなと思います。
(後輩へのメッセージ)
みんな素直でいい子たちばかりです。ポテンシャルが高いチームとずっと言われてきて、それを生かすも殺すも自分たち次第だと思います。これからもOBとして応援したいなと思っているので、目標に向けてしっかり頑張って欲しいと思います。
(ファンの方々へ一言)
4年間慶應で試合に出場させてもらうことも多くて、そのなかで応援してきてくださる方には力をもらって、それで頑張れた部分があると思うので、本当に感謝しています。4年間ありがとうございました。
黒田彪斗(環4)
(今日の試合を振り返って)
今までやってきたことが出せなかった。引退試合でしたけど、不甲斐ないです。自分が全然仕事をさせてもらえなかったです。
(今年1年は)
最後、監督にはよく頑張ったみたいなことを言われたんですけど、自分たちは1部に上がるという目標は達成できたんですけど、詰めが甘いところが多くあったので、そういうところは来年詰めてもらって1部上位を目指してほしいですね。
(1年でよかったところ)
プレー面では高さを生かせたこと、後は慶應バレー部の雰囲気が自分は好きでした。増田を中心にした明るい雰囲気が好きだったなと思います。
(逆に反省点は)
1本の大切さ。スパイク1本のミスの重さとかサーブミスの重さっていうのを伝えていければよかったかなと思います。切羽詰まったときにそういうところが大事になってくるので、技術面でもメンタル面でも詰めることができたかなと思います。
(後輩に向けて)
やっぱり1本の大切さですね。あの1本を決めてれば早稲田に勝てたのにという1本の練習をもっとした方がいいと伝えたいです。
佐藤康平(環4)
(今日の試合を振り返って)
完敗というか、悪い時のウチが出てしまったという感じです。
(悔いが残る結果か)
急造のチームで、どこまでいけるか、早稲田とどういう勝負をするかというところを目標にやってきました。なので、早稲田しか見れていなかったというか、それまでの道のりでどう戦っていくかという部分が甘かったのです。気の緩みで足元をすくわれたのかなと思います。
(バレーをやってきてよかったと思うことは)
バレーボールを通じて1番よかったなと思うことは、素晴らしい同期や後輩やOB先輩方と知り合えたこと、指導してもらったことです。その中でチームスポーツの素晴らしさだったり、悔しさだったりと1人じゃ何もできないスポーツなので、みんなで支えあって1つのチームを作って勝負に勝つというのは素晴らしいと思います。チームワークを学べたと思います。
(後輩にコメント)
僕たちの代はあまり結果を残せませんでした。後輩個人に思うことが今年1年あったと思うので、いいところはいいところで、悪かったところは直して、さらなる高みを目指してストイックに頑張って欲しいです。
(最後にファンの方々へ一言)
会場が遠かったり、2部に落ちてどん底の時でも応援してくださったことで、全員支えられてきました。4年は特に苦しい時、嬉しい時も共にファンの方々と一緒にいれたので感謝しています。これからバレー部は強くなっていくので、いつか一緒に笑える日がくると思います。応援よろしくお願いします。
サイド | マルキ ナシム(環2・川越東高) |
セッター | 尾木将(政4・修道高) |
センター | 佐藤康平(環4・桐蔭学園高) |
オポジット | 黒田彪斗(環4・富山第一高) |
サイド | 吉田祝太郎(政1・慶應義塾高) |
センター | 樫村大仁(環1・茨城高専) |
リベロ | 長澤翔吾(環4・盛岡第一高) |
松岡海(文4・慶應義塾高) | |
途中出場 | 岩本龍之介(商3・仙台二高) |
清水柊吾(総1・広島城北高) | |
浦部連太朗(総2・高松一高) |