未だ白星なしの慶大が挑む開幕4戦目。前日の試合は早大相手にストレート負けを喫したこともあり、ここで勢いをつけたいところであった。対戦相手は、昨季接戦の末に慶大が敗戦した明大。途中、自分たちが練習してきたチームスタイルも随所に見られたが、1部リーグらしいミスの少なさで慶大は圧倒されてしまい、セットカウント1−3で敗戦となった。
4月15日(日)春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦第4戦 慶大×明大
@小田原アリーナ
得点 |
|
|
慶大 | セット | 明大 |
18 | 1 | 25 |
23 | 2 | 25 |
25 | 3 | 23 |
23 | 4 | 25 |
今季ここまで一度も取れていない第1セット。慶大はタッチネットで先制点を許すという苦いスタートを切った。さらには、慶大チームのポイントゲッター、マルキナシム(総3・川越東)のバックアタックがブロックで抑えられる場面がいくつかあり、チームの調子は上がらない。しかし、小出捺暉(環1・駿台学園)が相手の力強いスパイクに押されつつも返し得点にすると、思わず歓声が上がった。6−6となったこの場面から慶大チームの雰囲気は安定し、富澤太凱(経3・慶應)のスパイクが冴える。しかし慶大のサーブミスが目立ち、依然シーソーゲームを続ける両校。最後は慶大側のミスが連続し、18−25でこのセットを献上した。
立て直したい第2セット。双方がミスを繰り返し、試合展開に動きが見られなかった。しかし8−9の場面で相手にスパイクを2本決められ、たまらず慶大はタイムアウトを取る。明けて、またも相手に放たれたスパイクを今度は永田将吾(総1・高松)が拾うが続かず、その後もレシーブミスで失点し、このセット2度目のタイムアウトを取った。ここから少しずつミスが減り、途中出場の岩本龍之介副将(商4・仙台第二)や樫村大仁(環2・茨城高専)のブロックが効いてくる。18—22の場面から富澤の猛攻が始まる。スパイク2本、ブロックの押し込み、サービスエースなどで加点に貢献し、1点差まで詰め寄るも、最後はレシーブミスが響き、23−25でこのセットも落とした。
追い込まれた第3セット。序盤から富澤のサーブが冴え、3連続得点と弾みをつける慶大。岩本のスパイクなどで順調に得点を重ねていくも、中盤は両校ミスが連なり一進一退の展開を続ける。互いに一歩も譲らず迎えた終盤、富澤のスパイクがライン際に決まったのを皮切りに3連続得点とここで慶大が一気に相手を引き離す。「自分たちのプレーが出せた(樫村)」というように、高い集中力でこのシーソーゲームを制し、第4セットへと繋いだ。
第2、3セットと徐々に調子の出てきた慶大。このまま最終セットに繋げたいところだが、タッチネットなどの細かなミスを連発してしまい、第4セットは始まりから相手に4連続ポイントを受け渡す。もう後のないチーム。ここで片波見和輝(文3・成田)や富澤のスパイクが相手ブロックを崩し、5点ビハインドから20-20のタイまで追い上げる粘り強さを見せた。そして勝負の20点台。サイドアウトを続ける両者だが、ここにきて慶大が自責のミスから痛恨の2連続失点を許す。直後のブロックでの反撃も虚しく、最後は相手攻撃に屈し、試合終了。勝負所を掴み切れず、この日も連敗記録を止めることはできなかった。
「勝負所は相手の方が一枚上手だった」と伊藤祥樹主将(総4・清風)が述べるように、今日の敗因は言うまでもなく攻撃の決定力の低さだろう。しかしブロックポイントが多かった点からは、新チームが取り組んできたブロックシステム強化の成果を感じさせた。次戦は昨年の秋季リーグでは慶大が勝利した、日大との対戦。今日の試合はほぼクイックを使っておらず、チームスタイルの1つである「For the Quick」を体現できなかった。次こそは、ディフェンスだけでなくクイック攻撃を巧みに操り、勝利を奪うときだ。焦ることなく冷静に、心を切り替えて勝負に臨みたい。
(記事:津田侑奈、堀口綾乃 写真:藤澤薫)
以下、コメント
伊藤祥樹主将(総4・清風)
――今日の試合を振り返って
2、3セット目は自分たちのやりたいことができていたのでよかったです。でも勝負所は相手の方が一枚上手だったという感じですね。
――今日の反省点を挙げるとすれば
1セット目に関しては自分たちのプレーができていなくて、2、3セット目、特に3セット目に関しては勝負所の展開をもうちょっと改善できるところがあったんじゃないかなと思います。
――その第3セットはなんとか取りきったが
相手の方がミスを出してくれたのでそれが良かったのかなと思います。あと、相手に先行されたとしても落ち着いてできたところも良かったと思います。
――昨日の試合後、チーム内ではどのような話が
チームではずっとリードブロック(トスを見てから跳ぶブロック)をやってきたんですけど、それを少し変えていこう、コートの中でもっと変えていこうという話をしていました。
――今日のチームの状態は
チームの状態としては良かったんですけど、連敗が続いていて、そこに関しては雰囲気とかがちょっと落ちてきているのかなって思います。
――次戦までに修正して行きたいところは
修正していくところというか、自分たちの力が出せれば、今日の3セット目、4セット目のようなプレーができると思うので、まずはそこの準備というか、どうしたら自分たちのやりたいことが出せるのかということをもう一回考えてやるところ。あとは、勝負所での決めきり方など、今日学んだと思うので、そこは活かしてやっていければいいかなと思います。
――次戦へ向けて
4連敗していてここで勝ちが欲しいので、相手をよく分析しながら、こっちとしても闘志を出しながら勝てればいいなと思います。
マルキナシム(総3・川越東)
――今日の試合を振り返って
今日は2、3セット目から自分たちの流れが出来てきて、正直勝てる試合だったと思います。
――チーム全体として勝ちきれなかった要因は
相手は逃げてきた軟攻を拾っていましたが、こちら側は強攻で構えてきてるので、そういうところのつなぎの差かなと思います。
――繋ぎの面でのミスが目立ったが
もったいないお見合いだったり、2段トス(セッターの正位置以外から上がるトス)のミスだったり、そういうところですぐミスに繋がったのが負けの要因かなと思います。
――ディフェンス練習の成果がブロックに現れていた
かなりタッチも取ってきて、今日ブロックを少し変えてやってみたのがハマったりしたので、ブロックはこのまま継続して、レシーブはもう一回見直さなきゃいけないんじゃないかなと思います。
――クイックが少なかったが
相手ががっつりコミットで来てたというのもあるので、結果的にクイックが少なくなってしまったのかなと思います。
――タッチネットが多かった
序盤のタッチネットがかなり目立ちました。基本的に1部リーグで戦う相手は自分たちより上手くて、自責点が少ないチームだと思います。そういう(タッチネットのような)自責点を出していると強いチームには勝てないので、よくないと思いますね。
――宗雲監督から何かアドバイスは
タイムアウト以外では後衛で守っているときに、レシーブを何とか引っ掛けたいということで、レシーバー陣に相手選手の特徴を言ってくれました。守りやすく、守備の位置を具体的にどうしたら良いか言ってくれます。
――次の日大戦に向けて
春リーグ開幕から4連敗しているのですが、どんどん状態は良くなっていると思います。ただ勝ちきれないところがあるのでここで負け癖を付けないようにしっかり勝って勢いのあるチームに戻せたらいいなと思います。
樫村大仁(環2・茨城高専)
――今日の試合を振り返って
今日は自分たちの形は今までで一番出てたんですけど、終盤の勝負所で決め切れないところがあって、それが残念だったなと思いました。
――昨日と変えるように意識したこと
昨日は、早稲田にクイックでやられすぎてしまった部分があって。今日もクイック中心のチームだったので、いつもはチームではリードブロックなんですけど、要所要所でコミットブロックを入れて勝負したのが変えたところだと思います。
――クイックが少なかったがチームでは
僕は打つ側なので(吉田)祝太郎じゃないとわからないんですけど、相手は結構ブロック僕についてきたこともあったので、サイドに頼りがちになってしまったのかなと思います。
――ブロックアンドレシーブについて
ブロックを抜けたところ、リベロ(永田)とか祝太郎とかが上げてて、レシーブも良かったんですけど、終盤のここっていうときの戦い方だけが今日はちょっとダメだったかなと。
――第3セットは取り切ったが
やるべきことは変わってないんですけど、やっぱり自分たちのプレーが出せてたのもあって、雰囲気が一番良かったですね。
――チームで強化するところは
終盤とか勝負どころの点の取り方だけ。それ以外はいつもより良かったかなと思います。
セッター | 吉田祝太郎(政2・慶應) |
サイド | 小出捺暉(環1・駿台学園) |
センター | 樫村大仁(環2・茨城高専) |
オポジット | 富澤太凱(経3・慶應) |
サイド | マルキナシム(総3・川越東) |
センター | 清水柊吾(総2・広島城北) |
リベロ | 永田将吾(総1・高松) |
途中出場 | 片波見和輝(文3・成田) |
| 岩本龍之介(商4・仙台第二) |
| 加藤靖丈(商1・慶應) |
| 宮川郁真(総1・松本県ヶ丘) |