【バレーボール】第82回早慶バレーボール定期戦 熱き魂燃やし尽くすも惜敗 男子戦/終盤追い上げるも及ばず敗戦 女子戦

バレー戦評

男子戦

初得点を挙げた加藤(28番)と高校からの先輩・吉田

「今日は本当に選手を褒めたい」――覇者の背中をとらえかけた。今回で82回目を数える早慶バレー定期戦。昨季、今季と2季連続でリーグ戦無傷の絶対王者早大相手に1セット目から互角以上の戦いを続け、第2、3セットを連取する。だが勢いのままいきたい第4セットにアクシデントが続発してしまう。それでも最後まで追いすがったが、リーグ覇者の意地に後一歩及ばず。悔しい敗戦となったが、これからに向けて一層自信を深める結果になった。

 

6月10日(日) 第82回早慶バレーボール定期戦 @とどろきアリーナ

 

得点

 

 

慶大

セット

早大

28

30

27

25

25

22

25

27

11

15

 

今季のリーグ戦を無敗で終えた早大。一方、好不調の波が目立ち上位進出とはならなかった慶大。だが、早慶戦では何が起こるかわからない。伊藤祥樹主将(総4・清風)を中心に入念な早大対策を取って、大一番を迎えた。

 

永田に声を掛ける岩本副将(3番)

吉田祝太郎(政2・慶應)のサーブから始まった第1セット。相手の噛みあわない攻撃に対して、序盤から富澤太凱(経3・慶應)、樫村大仁(環2・茨城高専)のブロックで得点すると、マルキナシム(総3・川越東)が相手を吹き飛ばすかのようなサーブを放ち、これがサービスエースとなり先手を取る。永田将吾(総1・高松)や小出捺暉(環1・駿台学園)を中心にレシーブも冴え、サイドアウトもきっちり取っていく。中盤には富澤がスパイクやブロックで3連続得点を挙げ、試合の主導権を握ったかに思われた。しかし、早大のタイムアウト明けから徐々にサーブレシーブが乱れていく。ここでマルキに替えて岩本龍之介副将(商4・仙台第二)を起用して守備を強化し、一つ立ち直った。すると吉田が相手の間を突いたサービスエース。一歩リードしたが、直後にあと少しのところで相手にサービスエースを許し、デュースに持ち込まれる。サイドアウトをきっちり取った慶大がブレイクのチャンスを作れば、早大が鉄壁の守備力、高い決定力を見せつけてブレイクを許さない。そんな息詰まるサイドアウトの応酬が続いたが、最後はフローターサーブで崩され、樫村の懸命のクイックもブロックに阻まれて、激戦の第1セットを落とした。

 

ブロックポイントを決めた富澤

第2セットの序盤は早大ペースだった。慶大の連携ミスや相手の巧みなサーブによって5連続失点。このセットは悪いままにいってしまうのか、とよぎったがこの日の慶大は違った。富澤が気迫の一枚ブロックを見せて嫌な流れを断ち切ると、樫村のサーブ時には、小出がスパイクレシーブをきっちり返しマルキがスパイクを決めるなどして4連続得点。一気に1点差まで詰め寄ると、清水柊吾(総2・広島城北)がサービスエースを決めるなど、3連続得点でついに追いついた。その後はまたもサイドアウトの応酬となった。そして2セット連続でデュースに入った矢先、富澤がブロックポイントを決めて先手を取る。次のプレーで、相手とマルキがネット際でボールを押し合った後、ボールがラインの外に出る結果となった。リーグ戦のマッチアップではストレート負けを喫した相手から1セットを奪い返す。第1セットの攻防は偶然ではないと証明してみせた。

 

慶大の司令塔・吉田

先に王手をかけたい第3セット。早大はこのセットから、温存していたサイド藤中優斗主将(スポ4・宇部商)・セッター小林光輝副将(スポ4・創造学園(現・松本国際))をコートに送り込んできた。このセットも相手のブロックが冴えて先行を許してしまう。しかし、中盤に富澤のサーブが相手をなぎ倒し、サービスエースを含む4連続得点で逆転に成功する。だが束の間、相手のサーブに対応できず再逆転を許してしまう。それでも立ち直れるのがこの日の慶大。清水の巧みなサーブがまたもエースとなって同点に追いつくと、相手のミスに乗じてまたも逆転に成功した。相手セッターの交代によりブロックシステムを修正した慶大。苦しめられていたライトからのスパイクを清水がブロックしてリードを広げると、最後は富澤がブロックポイントを決め、第3セットを取った。ついに4年ぶりの覇者撃破が現実のものになろうとしていた。

 

サーブ、クイックともに好調だった清水

だが第4セットに試練が襲う。たびたびスパイクレシーブで存在感を見せていた小出が、足をつり無念の交代を余儀なくされた。しかし替わって入った岩本が小出に負けじと安定感のあるレシーブで魅せる。清水のクイックを中心に攻撃を組み立てていき、樫村もクイック、ブロックで得点を積み重ね、序盤の主導権を握った。3点リードで折り返しにさしかかろうか、というところでまたも相手の巧みなサーブを前にレシーブを崩されて4連続失点と同点に追いつかれる。ここでさらに樫村にもアクシデントが発生。ついに逆転されると、悪夢は続き、富澤も負傷退場してしまう。徐々にペースが早大に傾きかけていく。ここでコートに残ったエース・マルキが魅せた。「僕が決めるしかない」と、スパイク・バックアタックで連続得点して詰め寄ると、吉田も気迫のスパイクを見せて流れを引き寄せようとする。このレギュラー陣の姿に負けじと奮闘したのがスクランブル出場したオポジットの加藤靖丈(商1・慶應)。高校からの先輩である吉田から、大学になってから初めて上がったトスを見事に打ち切り、初得点を挙げてみせた。慶大はこの日3回目となるデュースまで粘ったものの、最後はマルキの必死のスパイクがブロックに屈し、第4セットを落としてしまう。

 

激闘のラリーを制し喜びをあらわにする

3人の主力を欠き、苦しい状況となった最終セット。実力の差か、連携の不足か、やはり攻撃が上手く組み立てられず、相手に拾われ、強烈なスパイクを叩きこまれる。開始から3連続失点を喫し、15点勝負の最終セットに重いビハインドがのしかかった。第4セットから入った片波見和輝(文3・成田)がクイックに、ブロックに、と活躍を見せて差を詰めようとするが、ビハインドから追いつく糸口を見つけられない。それでも選手たちは諦めなかった。中盤には選手全員が相手攻撃を必死にしのいで繋いでみせ、最後は大黒柱マルキが強烈なスパイクでこの長いラリーに終止符を打つと、会場中に割れんばかりの歓声が響いた。11-13とどうしてもブレイクが必要な場面でピンチサーバーとして富澤が帰ってきた。エースとしての意地が見えたプレーではあったが、惜しくもサーブはラインの外へ落ち、ゲームポイントを握られる。だが、まだ終わりではない。サイドアウトをしっかりとって攻めに転じたい。しかし、加藤のスパイクが高いブロックの前に止められて万事休す。慶大の誇りを見せ、覇者を相手に一歩も譲らない試合を展開したが、わずかにその牙城を崩すには至らなかった。

 

慶大の躍動に多くの人が惹きつけられた

絶対王者相手にフルセットまで持ち込んだことはこれからの戦いに向けて大きな自信になっただろう。たくさんの人々の声援を背に、いつも以上に「慶大らしいプレー」を100%発揮することができていた。そして、主力を欠いた第4セット中盤以降も、早大相手に互角の戦いを見せた。慶大の層の厚さ、そしてチーム一丸という姿勢が表れた試合だったのではないだろうか。この試合で一時離脱した選手たちも来週末には間に合いそうだ。頂は見えている。もう負けから得るものはない。次に掴み取るのは勝利ただ一つだ。

 

 

(記事:尾崎崚登 写真:津田侑奈・藤澤薫)

 

 

宗雲監督

――今日の試合の感想は

とても内容がいい試合で、一瞬崩れるところもあったけど、そこから盛り返したり、よく頑張ったなと思います。今日は本当に選手をほめたいと思います。

 

――サーブレシーブは安定していたが

マルキが後ろに回った時にちょっと崩れるところがあるので、フォーメーションを2枚や2.5枚にしたり、岩本を入れたりしました。あそこを回ってくれれば、連続失点が少ないのですし、そのポジションもなんとか我慢できていたので、成長していると思います。

 

――小出選手が守備で存在感を見せた

1年とは思えない献身的なプレーで頑張っています。とても助かりましたね。

 

――清水選手のクイックも効いていた

昨日の練習の最後の最後に「もっと早く打とう」と調整をしたので、彼のいいところが良く出ていたと思います。あのまま行って、もっと伸びてくれるんじゃないかなと思います。

 

――主力選手が離脱した中でも互角の勝負が出来たが

まず離脱した選手がいたのにもかかわらず、それまでスタメンで入った子たちの気持ちが落ちなかったこと。そして入った選手たちが仕事をしてくれたこと。すごく彼らが全員で頑張るぞと普段から伊藤主将が言っていることを体現してくれたので、素晴らしいなと思いました。

 

――マルキ選手はその中で孤軍奮闘した

マルキが最後まで打ちまくってくれました。マルキも伸びたんじゃないかなと思います。

 

――今日ここまで出来た要因は

いろいろなブロックの対策などをしてきたので、それが最初にはまってくれたのもあります。あと、早稲田さんに事情があってスタメンが数名出てなかったこともありました。そういう意味ではセットを取れたことで、向こうのスタメンが戻ってきても余裕があったと思います。今まで準備したことがうまく回ったことと、スタメンの要因が重なったことだと思います。相手は崩れないチームで、軸もあって攻撃のパターンも多彩ということはわかっていたので、それよりも自分たちが崩れなければいい、そうすれば負けないとサーブレシーブからの切り返しだけをしっかりやろうとブレイクと切り離してやろうと学生はやっていたので、それはすごくできていて、あとは相手に対するディフェンスをブロックも今日は頑張っていて、ちょっとは自信になったんじゃないかなと思います。

 

――東日本インカレも迫っている

早稲田さんも気持ちを入れ替えてくると思うので、そんな簡単じゃないと思います。でも秋もありますし、少なくとも選手たちが気持ちで負けないというか、早稲田さんに名前で負けないようなところまでは準備できたと思うので、東日本インカレ、リーグ戦に繋がればいいなと思います。簡単なことではないけど、ちょっと背中が見えかけているので、本人たちの練習のモチベーションも上がると思います。まずは東日本ですけど、中期的に考えて、頑張ってもらいます。

 

――最後に意気込みを

誰が見ても伊藤主将が引っ張っているので、また伊藤主将が視野を広くしてまたチームを力強く引っ張ってくれると思います。私は伊藤主将が潰れないようにサポートをできることをさせてもらおうと思います。

 

 

伊藤祥樹(総4・清風)

 

――今日の試合を振り返って

試合前に、声援送ってくれる人とかサポートしてくれている人とか、色々な支えがあってこの試合ができているから、その人たちに自分の思いを表現できるようにしよう、というのを言って戦っていたんですけど、それはものすごくできていたし、見てくださる人にも届けられたんじゃないかなと思います。プレーの内容とかについては、細かいプレー、5セット目はやっぱりプレーの質は落ちていたし、そういうところは悪いところではあるんですけど、その他の部分がすごい良かったし、今回のコンセプトは貫けたかなって思っているので、そこは良かったかなと思います。

 

――早大対策のブロックを練習したということだが

ブロックははまったと思います。途中相手のセッターが変わったところで、ブロックのシステムを変えたんですけど、ブロックもレシーブも上手い関係ができていたので、良かったかなと思います。アナリストに感謝ですね。

 

――デュースが何度もあった

やっぱり気持ちですね、最後は。デュースになったところとかは気持ちで決めていた部分とかそういうところが多かったので、まあ相手よりも気持ちの部分では勝っていたのかなとは思います。

 

――アクシデントによる交代も多かった

いつも以上のパフォーマンスを出したっていうところが一番大きい。あとは天気ですね。今日は雨降っているし、ちょっと水分補給とか足りなかったのかなと思うところもあります。あとはトレーニング。下半身のトレーニングとか、今ちょうど始めたくらいで、これからどんどん強くなっていくと思うので、そこに関しては不安はなくせるように頑張ります。交代選手も自分のパフォーマンス以上のパフォーマンスをしていて、組織力ってやってきていたのが、まあ狙った形ではなかったんですけど、出て、良かったかなと思いますね。

 

――早大までのあと一歩はどういったところに

そこはやっぱり技術力でしょう、やっぱり。早稲田はミスをしないチーム。そういうチームが一番強いんですけど、そういうところ詰めていきたいなと思っていて。僕らが掲げている目標が「日本一」。大きい目標を掲げているので、まだまだそういうところは直せるし、直していかないと日本一は厳しいと分かった試合でしたね。

 

――ご自身にとって最後の早慶戦となりました

良い思い出というか、山田(山田大智副務=政3・慶應)、加松(加松陽主務=経4・慶應湘南藤沢)、井出口(井出口はるな渉外副務=政2・慶應湘南藤沢)とか、色々な人が作り上げてくれて。僕自身感動したというのもありますし、プレー面でもみんなその思いを表現してくれたっていうのは、自分はすごく嬉しいですね。

 

――今後に向けて

今後は東日本インカレがあって、秋リーグがあって、全日本インカレ。今チーム作りがきっちりできてきていて、組織としてのチカラも発揮できるようになったのかなと今日感じていたので、あとはその詰める部分であったり、下の育成であったり。さらに上を目指していけるように、まだまだチーム伸びしろがあると思うので、そこをやって、全日本インカレで日本一を取ります。

 

 

マルキナシム(総3・川越東)

 

――試合を振り返って

早稲田は1・2セット目が違うメンバーでしたが、それで来ることもわかっていました。そこに対策はできませんでしたが、サイドアウトをしっかりしようと臨みました。1セット目は落としてしまいましたが、2セット目を取って3セット目からは早稲田もフルメンバーで来ました。そこからミーティングでやってきたことをちゃんとブレイクとサイドアウトを切り分けて慶應の力を出そうと臨みました。いつもよりはチーム全体で慶應の力を出すことができたんじゃないかなと思います。

 

――サイドアウト面は

そこができている時は勝てていて、できていない時は負けているのがよくわかった試合だなと思っています。

 

――最後は孤軍奮闘する形だったが

ケイスポさんのインタビューにも答えましたが、(富澤)太凱に頼ってしまうというか、(トスが)集まってしまうので、僕はキャッチをまず頑張っていれば太凱が決めてくれると思っていました。でも実際(太凱が)いなくなって、メンバー見たら、「僕が決めるしかない」と思ったので、そこから調子も上がっていきました。逆に太凱がいなくなったことで、これから僕もああいう気持ちでやればああいう風にスパイクを打てるとわかったので、太凱がいるときにあれが出せればもっと強くなるんじゃないかなと思っています。その中でも1年の加藤靖丈だったりも活躍していたので、そこは褒めたいと思います(笑)。

 

――接戦を演じたことに対しては

個人的に早稲田と試合をしたときに2セット以上取れたのが初めてでした。この試合を良い意味で忘れずに自信にしていきたいと思います。

 

――東日本インカレに向けて

東日本インカレも結局また早稲田と当る山ですが、その前に駒澤とかに勝たないと辿り着けないので、そこまで今日の反省点を踏まえて2週間練習をしっかりして、また早稲田に挑みたいと思います。

 

清水柊吾(総2・広島城北)

――今日の試合を振り返って

最初は緊張していて自分のプレーができていなかったんですけど、1セット目の後半くらいから自分のやりたいことができていたので、試合内容としてはよかったです。でも結果には繋がらなかったので悔しかったです。

 

――早大対策は

祥樹さんやアナリストの先輩方が徹底的に早大を分析してくださって、それをもとにここ数週間練習してきたのでその成果が出たんじゃないかなと思います。

 

――具体的にどのようなところで成果が出たか

たとえばブロックは春リーグではずっとリードだったんですけど、コミットを使ったり、その使い所を祥樹さんが指示出してくれて。あとはサーブをしっかり狙えるように練習してきたのでそれがうまく繋がったと思います。

 

――サーブ、クイックが好調だった

サーブは個人的にミスが多かったんですけど、クイックは早大のブロックが徹底リードなので速いクイックをずっと練習してきて、それがうまくいったので良かったと思います。

 

――東日本インカレへ向けて

今日の試合でも課題が、たとえばレシーブだったりブロックだったり、まだまだあると思うので、そこを修正しつつ、うちはどちらかというと相手によって作戦立ててやるチームなので、そこを詰めていければいいかなと思います。

 

加藤靖丈(商1・慶應)

 

――ご自身にとって初めての早慶戦だったが

前から先輩方と準備していたので特別なもので絶対勝ちたいと思っていました。しかし負けてしまったのでとても悔しいです。

 

――初得点を挙げた感想は

突然(出場すること)を言われて、正直よく覚えていないのですが4セット目の劣勢の時だったので、とにかく次どうしようかと考えていました。

 

――今日のチームの雰囲気は

多分一番良い状態だったと思うのですが、最後足をつった方が多くて、最後の最後まで戦い抜けなかったのが残念なところです。

 

――早大の強いところは

ミスが少なく、レシーブでボールを落とさないところが強いと思います。

 

――今日見つけたご自身の課題は

今日は良い部分としてスパイクとか決められたのですが、サーブで悪い部分が出てしまいました。リーグ戦は主に控えで入るのですが、その時に自分がいかに仕事できるかというところで、気持ちに準備をできるかが大事だと思いました。

 

――今後どう練習に取り組みますか

いつ試合に出ても、同じレベルで試合ができるように自分としても役割を考えて準備していきたいです。

 

出場選手

セッター

吉田祝太郎(政2・慶應)

サイド

小出捺暉(環1・駿台学園)

センター

樫村大仁(環2・茨城高専)

オポジット

富澤太凱(経3・慶應)

サイド

マルキナシム(総3・川越東)

センター

清水柊吾(総2・広島城北)

リベロ

永田将吾(総1・高松)

途中出場

岩本龍之介(商4・仙台第二)

 

宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)

 

片波見和輝(文3・成田)

 

加藤靖丈(商1・慶應)

 

 

女子戦

大歓声の中で選手たちの笑顔が輝いた

 

宿敵ワセダの背中が見えた。過去30年以上勝利を譲ってきた格上相手ながら、強気なプレーを繰り広げた慶大。最終セットで一時同点にまで追い上げるなど粘りを見せたものの、最後は格の違いを見せつけられストレート負けを喫した。

 

 

 

得点

 

 

慶大

セット

早大

14

25

11

25

21

25

 

 

今春に降格したとはいえ依然2部の早大は、春季リーグを3部9位に終えた慶大にとって格上の存在。大きく実力差があることは百も承知だが、それでも早慶戦という大きな舞台で慶大が意地を見せつけ、下克上する姿を見届けたかった。

 

トスを上げる小寺

第1セットは開始から相手に流れを明け渡してしまう。隙を突いた相手攻撃に翻弄され失点を繰り返し点差はどんどん広がる。村井来路(商3・新宿)がスパイクで応戦するほかは相手ミスでの得点に止まり、早大が大幅なリードを保った。しかし6−18の場面で小高淑乃(経3・女子学院)と吉田佳純(環3・八女学院)がブロックポイントを挙げ、立て直しはじめた慶大。10—24と相手のセットポイントの場面では、友成真由美(商2・城南)が4連続スパイクを決め追いすがった。しかし1点を返されこのセットを落としてしまう。

 

 

ブロックに跳ぶ小高(5番)と吉田(12番)

平泉優奈主将(文4・緑ヶ丘)が「いつも通りのプレーが出来るようになった」と振り返った2セット目は、1セット目よりも充実した試合を繰り広げる。多彩な攻撃を浴びながらも、ブロックやレシーブでしっかり返す場面が多く見られた。ところが相手はやはり早大。クイックやスパイクのスピード、コース、タイミング、どれもが圧倒的だった。一度返してもその後の相手攻撃を取りこぼす流れが続き、相手得点を何度も許してしまう。平泉主将がクイック、村井がスパイクを計5本決めるなど攻めの姿勢も見せたが点差は縮まらず、このセットも献上した。

 

 

今後の活躍に期待だ

もう後がない第3セットは、序盤、相手に主導権を握られてしまう。コースを攻めた相手スパイクをレシーブしようとしても追いつかず、またも点差をつけられてしまう。しかし3−7の場面で慶大が取ったタイムアウトを明けると、小寺彩貴(商3・慶應女子)がついにブロックポイントを獲得する。これが転換機となり、慶大は村井や友成らが攻撃の糸口を見つけると次々と得点を挙げた。そして21−21と同点にまで追いついた慶大であったが、その後相手の鋭い攻撃を食い止めることができず4連続失点し、惜しくも早大に勝利を献上した。

 

 

青木監督曰く、早慶戦に初めて出るメンバーが多く浮き足立っていたという慶大は、エンジンがかかるのに時間がかかってしまった。そのため第1セット、第2セットを大差で落とした後、第3セットの戦いぶりは目を見張るものがあった。実力差はもちろんあるが、慶大は最後まで戦い抜く気持ちの強さを持っている。「後輩たちにはこれからもっと勝っていって欲しいなと思います」(平泉主将)と来年の早慶戦に打倒ワセダの夢は託された。

 

 

(記事:津田侑奈 写真:尾崎崚登・内田貴啓堀口綾乃)

 

 

以下、コメント

 

 

青木監督

 

——今日の試合を振り返って

基本的なところは出来ていたと思いますが、最初の1セット目と2セット目に少し浮き足立ってしまいましたが、最終セットは(うちの特徴を)見ていただけたと思います。

 

——3セット目で追いつきましたが

早慶戦はこれだけの応援の皆さんがいるということでリーグ戦とは違います。特にうちは去年とレギュラーが3人入れ替わっているので早慶戦に初めて出るメンバーが多かったんです。そういう意味で少し浮き足立ってしまいましたが、3セット目でそこを調整できたのかなと思います。

 

——今日のチームの雰囲気は

春のリーグ戦が終わって一旦悪くなった時もあったのですが、3年生と4年生が中心になってミーティングを何回も繰り返して自分たちの思いをぶつけながらやってくれたので、その状態でここに来て良かったなと思います。

 

——今日の試合に出た選手でMVPを選ぶとしたら

負けちゃったのでMVPはちょっとあれですが、村井ですかね。村井はとてもよく決めてくれたので。

 

——今月末の東日本インカレに向けてどのような取り組みをしますか

拾って繋いで両サイドで決めるというのがうちの基本なので、それを徹底的に貫いてやるしかないかなと思いますね。そのあと夏にもう一回センターラインを強化して秋に向かって行きたいなと思います。

 

 

平泉優奈主将文4・県立緑ヶ丘

 

——今日の試合を振り返って

惜しかったといえば惜しくて楽しかったですけど、楽しかっただけで終わって欲しくは無いと思います。後輩たちにはこれからもっと勝っていって欲しいなと思います。

 

——1セット目から振り返っていかがですか

1セット目は向こうが早いバレーですし、普段やっているリーグとは全然違う相手なのでついていけませんでした。1セット目後半からようやくスイッチが入った感じでした。2セット目からはいつも通りのプレーが出来るようになったかなと思います。3セット目は本当に惜しかったですね。昨年も一昨年も同じような、惜しいところまできて勝てないので…本当に悔しいです。

 

——今日見つかった課題は

やはり基本の部分で、サーブキャッチだったりつなぎだったり、もっともっと基本を強化していく余地があるなと思いました。これから夏に向けて猛特訓しようと思いました。

 

——ご自身も出場されてスパイクも決められましたが最後の早慶戦いかがでしたか

自分自信この早慶戦が初めてセンターで出た試合で、もうほぼ何も分からない状態で周りに頼りっきりでした。私がこの部に入ったのは早慶戦で早稲田にやられっぱなしの慶應をなんとかしたいという思いで入った部分が大きかったので、最後惜しいところまでいって勝てなかったというのは本当に悔しいですし、この想いで後輩たちには勝てるチームになってほしいと思います。

 

——東日本インカレに向けて意気込みを

勝ち進むと青学とか強いチームとできるので、今日早稲田さんと試合して見つかった課題をしっかり潰して行けるところまで行きたいと思います。

 

 

友成真由美(商2・都立新宿)

 

——今日の試合振り返って

1セット、2セット目は悔しい点が多くて、得点通りの結果でしたが、その中で何本かチームとして良いプレーが出たことは収穫だと思います。

 

——第3セットは惜しかったですね

そうですね。あと一歩まで追い詰めて、点差を離さないようにしていたのですが、23点目に自分のミスで落としてしまったので悔しい思いです。

 

——多くの得点を取りました

去年は何もできなかったですが、今年は点を決められたというよりは、思い返してあそこ決められたらなという後悔の方が大きいです。

 

——昨年と比べて

 

去年は何も分からず先輩に引っ張ってもらっていただけでしたが、今年は自分から周りに声を掛けたり、プレーで引っ張ろうとできたのは良かったです。

 

——早慶戦の雰囲気は

応援もたくさん来てくださって、最後追い上げているときに周りの応援がすごく力になりました。

 

——早大の印象は

ただただ強かったです。強いし速いし、格上という感じでした。

 

——早大の対策は

アタッカーの枚数がそんなに多くないと聞いていたので、エースとキャプテンの方をしっかり抑えようという作戦でした。それが最後上手くいったのは良かったと思います。

 

——今後に向けて

簡単に勝てる相手ではないですが、通用した部分もあって自信につながりました。大きい会場でみんながドキドキしてる中、チームワークが強くなったと思います。来年も私たちのチームのメンバーはあまり変わらないので、来年こそは1セット取りたいと思います。

 

 

サイド

友成真由美(商2・城南)

センター

小高淑乃(経3・女子学院)

オポジット

吉田佳純(環3・八女学院)

サイド

村井来路(商3・新宿)

センター

平泉優奈(文4・緑ヶ丘)

セッター

小寺彩貴(商3・慶應女子)

リベロ

石川かほ(法3・慶應湘南藤沢)

途中出場

白土恵(経3・慶應湘南藤沢)

 

菊池葵(法4・浦和明の星女子)

 

野見山育実(経3・慶應湘南藤沢)

 

タイトルとURLをコピーしました