【バレーボール】宿敵相手に雪辱果たせず、ベスト8で大会を終える/第37回東日本バレーボール大学選手権大会 準々決勝vs早大

バレー戦評

綺麗に揃ったブロックで立ち向かう

 

フルセットの死闘を繰り広げた早慶定期戦から約2週間。今年3度目の早大との対戦となった今試合は、第1セットこそ自分たちの強さを出せたが、第2セット以降は相手の高い対応力に苦戦を強いられ、失点を重ねてしまった。セットカウント1-3で敗れ、準々決勝敗退となった。

 

 

6月23日(土)第37回東日本バレーボール大学選手権大会 準々決勝 慶大×早大

@墨田区総合体育館

 

得点表

慶大

セット

早大

25

23

21

25

15

25

19

25

 

力強いガッツポーズを見せる樫村

第1セット。樫村大仁(環2・茨城高専)と清水柊吾(総2・広島城北)のクイックが効果的に決まり、順調に得点を重ねた。8-10の場面からは、吉田祝太郎(政2・慶應)のサーブで相手を崩し、3度のブロックポイントを含む6連続得点。攻撃枚数を減らして得意のブロックで囲い込む理想的な展開に持ち込んだ。その後も、ブロックとレシーブで相手のスパイクを何度もつなぎ、クイックやバックアタックなど多彩な攻撃を仕掛けた慶大。終盤にはサーブレシーブの乱れなどから同点に追いつかれてしまうが、樫村の冷静なクイックなどですぐに立て直した。最後は富澤太凱(経3・慶應)が強烈なスパイクを決め、25-23で第1セットを先取した。

 

サーブを打つ小出

良い流れのままいきたい第2セットだったが、序盤からサーブレシーブが乱れて3連続失点。その後は3枚で相手エースをブロックする慶大、こちらのスパイクを拾って攻撃につなげる早大、と激しい点の取り合いに。13-17の場面からは小出捺暉(環1・駿台学園)のフローターサーブで相手を崩して相手のミスを誘い4連続得点、同点に追いついた。このまま得点を重ねたい慶大だったが、終盤にスパイクやつなぎでミスを続けてしまい、21-25でこのセットを落とした。

 

第3セットは試練のセットだった。スパイクがなかなか決まらず、立ち上がりから4連続失点。差を詰めたいところだったが、相手の安定したサーブレシーブを背景にした多彩な攻撃に苦しみ、ブレイクのきっかけを作れない。サイドアウト面でも、セット途中からサーブレシーブが乱れ始めたことでクイックの選択肢が使いづらくなり、サイドにボールが集まるように。終盤には岩本龍之介副将(商4・仙台第二)をレシーバーとして送り込むなどして安定化を目指した慶大だったが、結局このセットで奪えたブレイクは2回のみ。10点の大差をつけられてこのセットも落としてしまう。

 

サービスエースを決めた赤川

早大が王手をかけた第4セット。2-3の場面から、スパイクを拾われるなどして4連続失点。このセットも序盤に崩されてしまった。立て直しを図りたい慶大だったが、安定した決定率を誇る清水のクイックをはじめとして、自陣の攻撃が決まらなくなってしまう。流れを変えたい慶大は7-13の場面で赤川拓(理2・横手)をピンチサーバーとして投入。強烈なサーブで見事なサービスエースを奪ってみせた。直後にマルキナシム(総3・川越東)と清水が2枚でブロックポイントを決めるなど復調の兆しも見られたが、点差はなかなか埋まらなかった。相手にマッチポイントを握られてから清水のクイック、清水と小出のブロックポイントなどで詰め寄るも、及ばず。1-3で敗戦となった。

 

サーブレシーブの乱れ、攻撃パターンの減少、決定力の低下…この負の連鎖を止めたいが、それができなかった。選手たちも再三課題に挙げているが、まずはサーブレシーブを安定させること。そして持ち味である高い攻撃力を存分に発揮してもらいたい。

しかし、悲観するだけではない。伊藤祥樹主将(総4・清風)が「春季リーグが開幕した時よりも確実に強くなっている」と語るように、ブロックで相手の攻撃を封じる慶大の得意パターンはこの試合でも随所に見られた。

 

今大会が1年の折り返し地点。次は9月に開幕する秋季リーグ戦だ。「可能性は感じるチームだなと思う」。宗雲監督はそう期待を寄せている。自分たちの可能性をどこまで現実のものにできるか。この夏、チーム全体で克服すべき課題を乗り越え、慶大はさらに強くなって戻ってくるだろう。2018年シーズン後半戦の彼らの戦いが楽しみだ。

 

 

(記事:藤澤薫 写真:尾崎崚登)

 

 

以下、コメント

 

宗雲監督

 

――今日の試合を振り返って

やっぱりトータルの力の差はありますね。

 

――第1セットは先取したが

思いっきりプレーできたのと、ブロックの狙いが功を奏して。それは先日の早慶定期戦と同じだと思うんですけどね。だったので、向こうは慌てたというか、こっちのいいところもたくさん出たというのかね。

 

――サーブが好調だったが

最初1セット目も2セット目も結構崩していて良かったですけど、どうしてもあれがずっと入るわけではないのでね、まあ逆にこっちが窮屈に追いかける展開になると、その1本のサーブミスとかすごく大きいので、だんだんこう消極的に打たなくてはいけない状況になってしまう。まあしょうがないですね、サーブは水物だから。

 

――クイックの本数も減ってしまったが

サーブレシーブが返らなくなってきてから、クイックが全然通らなくなってね、今日は清水も全然目立たなかったですね。最初こそ樫村も良かったけど。やっぱりパスがネット際に集まらないと苦しいですよね。

 

――早慶定期戦のときよりもブロックが攻略されていたが

向こうはAパスが入ってそこから展開するので、1セット目、2セット目は結構クイックを潰せたんだけど、3セット目ぐらいかな?(早大が)村山くん(村山豪=スポ2・駿台学園)をちょっと使いだしてから、こっちのブロックが当たらなくなって。今度は余裕をもって武藤くん(武藤鉄也=スポ3・東亜学園)も使われて。相手の好きなようにされてしまったので、まあ仕方ないですね。向こうは常に4枚で攻撃を仕掛けようとしてくるので、それがこっちの狙いが外れてしまって、ああいう風になってしまったんだと思います。

 

――前期を振り返って

可能性は感じるチームだなとは思います。それをね、可能性のままで終わらせるのか。これからどういう風に良いところを引き伸ばすための最初のパス、第一パスをどうやってよくするか。夏の課題ではないかなと思います。

 

――秋リーグに向けて

まずはちょっと休んで、学生も私も。色々な決断をしなくてはいけないと思うので、学生とも相談しながら夏へ向けて色々なことを決断して、また準備したいと思います。

 

 

伊藤祥樹主将(総4・清風)

 

――試合を終えて感想は

サイドアウトが切れなくて、苦しい展開でした。

 

――試合を振り返ると

相手はきっちりやってきたという感じで、こっちはサイドアウトが取れなかったです。こっちの方が実力的にも技術的にもまだまだ課題が多かったかなと思います。

 

――ここ数試合序盤の連続失点が目立っているが

序盤崩れる原因がやはりサイドアウトです。サイドアウトを取り続けていれば点が積み重なっていきますが、そこができていない。サーブレシーブが良くないというところです。

 

――今後に向けて直す点はまずサーブレシーブか

サーブレシーブを含めたサイドアウトですね。

 

――攻撃の面はどうだったか

1セット目はなんとか頑張ったと思います。やっぱりクイック中心に4枚のコンビがきっちり使えないと相手も対応してくるので、そこは今後、崩れた中でもコンビが組み立てられるようにしていきたいです。

 

――春のシーズンを終えての反省

リーグが開幕した時よりも確実に強くなっているというのはみんな実感していると思いますし、試合を重ねて成長できているのは良かったところだと思います。日本一の早稲田を相手にセットを普通に取れるようになってきているところから、全然日本一は狙えると思います。試合を見ていても強いな、勝てないなと感じる相手ではないです。秋リーグはきっちり他のチームよりも高い成長度で日本一を目指していきたいと思います。

 

――秋のシーズンに向けて意気込み

課題は明確になったので、それを克服していきたいです。本当に、勝てない相手ではないと思うので、頑張っていきたいと思います。

 

 

マルキナシム(総3・川越東)

 

――今日の試合振り返って

第1セットは僕らの良いところが出て、サイドアウトの取り合いに僅差で勝てました。しかし、それ以降はクイックを使っていこうと話していましたが、そのクイックが拾われたり、サイドからの僕や富澤の打ち方が甘かったりしたところで相手に切り替えされて、それが敗因かなと思います。

 

――第2セット以降はなかなか流れを掴めなかったが

第2セット以降はサイドアウトが徹底していなくて、そこから相手に攻撃につなげられて決定打を打たれてしまいました。単純にスパイク技術の差かなと思います。

 

――第1セットはスパイクが上手く決まっていたが

早慶戦の時は、Aパスから相手ブロックが1枚しか来ないケースが多くて、それで(スパイクを)決めることができていたのですが、2段トスに対して相手が3枚ブロックで来た時の打ち方がまだまだ甘く、これからの課題だと思いました。

 

――サーブについては

監督には、しっかり跳べていなかったと言われました。昨日計9セット戦ったので体力がなくて跳べていなかったのか、それとも技術不足なのか。最後の方に入るようになったので、最初から入れられるようにしっかり練習していきたいです。

 

――先日の早慶定期戦と比べて

第1セットの内容は、早慶戦と比較しても良い内容だったと思いますが、第2セット以降は良くない慶應が出てしまったかなと思います。つなぎが甘かったり、スパイクの徹底ができていなかったり、そういう慶應が良くないときのレベルを上げていかないと、ダメかなと思いました。

 

――秋に向けて

良いときをいつでも出せるわけではないので、悪いときをいかに良くするか、良いときに近づけるというのを夏の間頑張って、秋リーグ勝って全日本インカレにつなげられるように頑張ります。

 

 

吉田祝太郎(政2)

 

――今日の試合を振り返って

向こうの攻撃に対してのブロックは効果的だったんですけど、こっちの攻撃が向こうに対応されていて、向こうのレシーブが良くて、守備で負けた感じかなっていう総評です。

 

――サーブが効果的だったが

基本的にはレフトの人に打とうとしていたんですけど、1番と3番だと3番の方がレシーブちょっと苦手な人だから、3番を狙っていこうと。いつもは思いっきり打っているんですけど、今日はちょっとコントロールして弱めにして打って、3番の人がちょっと崩れてくれたので、結果的に良いサーブになったなと思います。

 

――クイックが減ってしまったが

最初のセットは結構カット(サーブレシーブ)も返っていたし、こっちのクイックに向こうのブロックもあまり対応できてなかったんですけど、2、3セット目ぐらいからはちょっと対応され始めて。こっちのクイックもちょっと合わなくなってきちゃってて。こっちとしても、クイック上げるふりしてサイドで攻撃しようってなって、サイドにしたんだけどサイドも捕まり始めちゃって。向こうのブロックがすごかったです。

 

――各セット、序盤に失点が重なったが

うちもずっと序盤が課題になっていて、最初やっぱり入りが遅くてスロースターターで、そういうのが課題だから直していかないとねって言っていて、今日はこっちも結構アップも十分時間とったんですけど。まあ実力的にっていうのはありますね。こっちの攻撃がそもそも通らなくて、相手の攻撃にはめられちゃってる。中盤、終盤もこっちのサーブもあまり入らなくて。強いサーブが入るとまたそこで追いつけたりするんですけど、今日もそこちょっとあんまり…入ってたは入ってたんですけど、いつもみたいにガンガン入らなくて、そのままいかれてしまいました。強かったですね、早稲田。

 

――今日見えた課題は

さっきのクイックがあんまり使えなくなっちゃったっていうのもそうなんですけど、なんで向こうに対応されたかって言うと、僕のトスの上げ方で結構ばれちゃってたのかなと。カットはまあまあみんな頑張って返していたし、もうちょっと僕がどこに上げるかわからないような上げ方をしていかないと、きついかなって。そこが課題だなって思いました。

 

――秋リーグに向けて

昨日の駒澤戦とか今日の早稲田の1セット目とか、ブロックがすごい良くなっている。とくにうちのセンターの樫村とか、清水くんとか。1部相手にもちゃんと通用する。今日早稲田に負けたけど、向こうのスパイクを何本も止めるシーンがあって、(手応えを)すごく感じているので、春よりはもう少しブロックで戦えて、上を目指せるのかなっていう風には思っています。今日出た課題も克服していって、秋リーグではもっといい結果を出せたらなって思います。

 

 

永田将吾(総1・高松)

 

――今日の試合を振り返って

相手が強かったなと率直に思いました。

 

――今日の試合での組み立ては

自分たちはサイドアウトに重きを置いて練習してきたので、パスを入れてクイック主体で攻撃しようと考えながらやっていました。

 

――第1セットを取れた要因は

試合を通してサーブレシーブ自体は今までの試合に比べると入っていたと思います。そこからの攻撃を相手にほとんど全部拾われていたので、そこは秋に向けて改善しないといけないところかなと思います。

 

――早稲田の守備は堅かったか

相手の守備の方が一枚も二枚も上手だったなと思います。

 

――春のシーズンを振り返って

だいぶ(小出)捺暉とか(吉田)祝太郎さんに助けられている部分もあるので、あまり納得行く感じではなかったかなと思います。

 

――秋に向けての修正点は

自分たちのやることはサイドアウトの精度を高めるということと、自分としてはサーブレシーブの確率を上げていくことに重きを置いていくと思うので、春やってきたことというのを夏でもっともっと精度を高くして秋リーグに入っていければいいなと思います。

 

 

出場選手

セッター

吉田祝太郎(政2・慶應)

サイド

小出捺暉(環1・駿台学園)

センター

樫村大仁(環2・茨城高専)

オポジット

富澤太凱(経3・慶應)

サイド

マルキナシム(総3・川越東)

センター

清水柊吾(総2・広島城北)

リベロ

永田将吾(総1・高松)

途中出場

赤川拓(理2・横手)

 

岩本龍之介(商4・仙台第二)



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