怒涛の秋リーグ戦ラッシュを終え、ついに迎えた早慶戦。第1Qで早速2点を献上し苦しい状況を強いられるも、第2Q終了間際、FW大久保遼(政4・慶應)がシュートを決め、1点を追う形で前半を終える。追いつこうと第3Q開始7分でFW永野裕太(政4・慶應)が受けたパスからタッチシュートし同点に。あと一点が欲しかった最終Qでは、最後の1秒まで攻め続けるも両校追加点なく試合は終了。格上に食らいつき予想を上回る白熱ぶりを見せたこの試合で、2018チームは幕を閉じた。
第92回早慶ホッケー定期戦
11月24日(土) 14:50試合開始 @駒沢オリンピック公園総合運動場第一球技場
| 第1Q | 第2Q | 第3Q | 第4Q | 合計 |
慶大 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 |
早大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
スタメン
GK 小川修平(政4・慶應)
DF 河本倫太郎(法4・慶應)、吉川大地(政3・慶應)、片岡賢治朗(経2・慶應)、望月慎之介(経2・慶應)
MF 金田翼(経4・慶應)、安田武大(政2・慶應)、中山正暉(経1・慶應)
FW 大久保遼(政4・慶應)、大橋俊介(政4・慶應)、永野裕太(政4・慶應)
今季の早大は1部4位で終え、1部7位の慶大から見ると格上、少数精鋭でテクニックのあるプレーヤーが揃う強敵だ。駒沢の客席は、2018チームの集大成を見届けようと駆けつけた観客で溢れかえり、大いに盛り上がりを見せた。
第1Qは、開始わずか2分に相手にPCを許し危機に。1回目はGK小川修平(政4・慶應)がセーブするも、2回目は正面からのシュートを止めきれずあえなく先制を許す。取り戻したい慶大は長時間ポゼッションを譲らないものの、11分、奪われたボールを相手プレーヤーがサークル外から味方にパス、そのままタッチシュートを決められ2点をリードされる。残り1分でPCを獲得するも相手の強固なディフェンスに阻まれ得点とならなかった。
2点を先行されて臨んだ第2Q。ロングパスを放ち合い、プレーの陣地が何度も切り替わる。2度のPCではこれを得点とできず悔しい時間が続いた。しかし11分、自陣プレーからMF金田翼(経4・慶應)がカウンターで駆け上がると、FW大久保が右サイドからシュート。これは相手GKに捕らえられたが、14分、MF安田武大(政2・慶應)のドリブルからFW大橋俊介(政4・慶應)へ、そしてFW大久保へと繋ぎ再びシュートするとしっかりとゴールに収まり見事得点に。なんとか1点ビハインドで後半を迎える。
差を詰めたい第3Q。前半はなかなか得点チャンスを見出せない。しかし7分、DF望月慎之介(経2・慶應)のサークル外からのパスをFW永野がタッチシュートしついに横並びとなる。追加得点が欲しい慶大は、とにかく攻め続ける。ラスト1分でフリーの相手選手に正面からシュートさせてしまったが、GK小川がセーブしドローのまま最終Qへと進んだ。
あと1点を渇望していた。最終Qは序盤からFW前多亮佑(経2・慶應)やFW大橋が猛攻を繰り広げ、とにかく追加点を挙げようともがく。11分に、自陣からMF中山正暉(経1・慶應)がカウンターで敵陣にボールを送ると、サークル内でFW大久保が粘り、PCを奪う。DF吉川大地(政3・慶應)がシュートを任されるも、やはり相手GKの守備は堅牢、敵わなかった。終盤は互いにチャンスを作らせまいとボールを奪い合い、最後の1秒まで激しく攻防を繰り返したが、奮闘むなしくここで試合は終了し、両校同点で今年の早慶戦は終幕した。
今年はこの試合をもって、4年生はホッケー部を引退する。「一年の集大成としては満足できる試合」(河本)と、今回の早慶戦は内容を取ってもこの1年で最も濃い試合となった。引き分けに終わり悔しい部分もあるが、「みんなの気持ちが一つになれた」(小川)ことで、2点を先制されてからも取り戻すことができると証明した試合だった。
ここからは新体制となるホッケー部男子。「泥臭く1点をもぎ取りにいくチーム」(望月)へ、ひたむきな努力の先に迎える春には、一体どんなプレーを見せてくれるのだろうか。
(記事:津田侑奈/写真:新池航平、川下侑美)
以下、コメント
金田翼(政4・慶應)
——今日の試合を振り返って
この1年間やってきてよかったなと思える試合でした。
——引き分けという結果を受けてどういう気持ちですか
悔しいなという思いはあるんですけど、みんなよくやってくれたし、1年間みんなでやってこれてよかったなと思います。
——昨日の入替戦から今日の試合にかけての心境は
リーグで下位が決まった時点で、早慶戦しか自分たちが目指す目標ってなくて、ここで勝ってみんなで笑顔で終わろうというのはありました。
——主将としてのこの1年間は
あまり自分は(主将に)向いてないなと思いながら1年間やってきた中で、着いて来てくれた後輩、同期、OB、監督方に支えられてやってこれたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
——ホッケー生活を振り返って
サッカーをやめてホッケーをやってきて、この7年間でひとつの形として打ち込むことができてホッケーには感謝しています。
——これからホッケー部を引っ張る後輩たちに向けて
まずなによりもひたむきに取り組むことかなと。結果がついてくる、ついてこないというより、体育会として自分が決めた目標に向けてひたむきに全力で向かっていって欲しいです。
河本倫太郎(法4・慶應)
——今日の試合を振り返って
第1Qで先制されて正直きついかなと思ったのですが、第2Qでだいぶチャンスは作れたので、3点目を取れればよかったかなと思いましたけど良いゲームができたと思います。
——引き分けという結果をどう捉えますか
4年間やって来て早慶戦は一度も勝てていなくて、最後の1年だったので勝って終わりたかったのは一番ありますけど、内容として今年で一番良いゲームができたので、一年の集大成としては満足できる試合かなと思います。
——4年生として過ごしたこの1年間はいかがでしたか
苦しいことしかなかったかなというのはあって、個人的にも今年から新しいポジションを始めて、後輩が多いポジションでそういう意味でもディフェンスの実力が足りていないという風に言われたりもしたので、実力の底上げをしていかないといけないなというのはありました。あと個人的に怪我があって、試合に出られなかったり練習に参加できなかったりしたので、個人としてもポジションとしても苦しかったなと思います。そういう中で下級生が試合に出て良いプレーをしてくれたので助けてもらったなと思います。
——これまでのホッケー生活を振り返って
高校から始めて7年間やってきて、最後まで満足できる、求めていた結果は得られなかったのですが、いろんなチームメイトに助けられたり、勝ったり負けたりいろんな経験ができて楽しい7年間だったかなと思います。
——後輩に向けてメッセージをお願いします
今まで一緒にやってきてもちろん下級生で頼りないところもあったんですけど、個人的には最後は下級生に助けてもらったところがあるので、来年3年生、2年生中心にやっていくと思うんですけど、信頼して任せられるメンバーだと思います。
小川修平(政4・慶應)
——失点2つをそれぞれ振り返っていただけますか
PCに関しては、知っていたパターンであったので、そこをもう少しディフェンスと話して、ケアできたかなと思います。2点目のところは、完全にチームとしても個人的にも、隙を突かれた一点だったので、そこは少しもったいなかったかなと思っています。
——2失点目以降は得点を許しませんでしたが、修正などはされていましたか
チームとしては具体的な話などはありませんでした。おそらく2失点してから点を取るしかないと、気持ちがチーム1つになって、そこからチームが団結して前に進めました。少し遅かったですが、みんなの気持ちが一つになれたかなと思います。
——これで引退だと思いますが、どういったお気持ちですか
1週間前から引退が近いというふうに思っていましたが、今になっても正直あまり実感がありません。これから選手からは離れますが、ホッケーは好きなのでこれからもグラウンドにたまに行ったりなど、社会人になっても後輩のプレーを見たりして、いろいろな形で慶應ホッケー部に貢献できればなと思います。
——4年間を振り返って
僕自身がGKで4年生の時しか試合に出れなくて、3年間基本ベンチでチームを応援している側でしたが、正直そこで結構積み上げられたかなと思っています。4年生で結果的にその積み上げたものが、最後まで成果になって出てきてくれたので、そこは非常に充実した4年間だったかなと思います。
——後輩に向けてコメントを
チームで試合に出ているのが半分4年生なので、来年もしかしたら厳しいスタートになるかもしれません。でも、間違いなく力のある選手がいっぱい揃っているので、自分たちのホッケーを見つけて、僕たちが果たせなかった関東優勝やインカレベスト4を達成して欲しいです。
大橋俊介(政4・慶應)
——今日の試合を振り返って
最初は早稲田に2点先制されて厳しい状況だったんですけど、みんなで最後まで諦めず戦って同点まで持って行けたのでいいゲームができたと思います。
——どのような気持ちで今日の試合を迎えましたか
引退試合だったので、どうなってもいいから倒れるまで走ろうという気持ちでやりました。
——引き分けという結果については
決定機もあってペナルティコーナーもたくさんとって、勝つチャンスはあったんですけど、最初の0ー2の状況を考えたら、みんなよく頑張ったなと思います。
——4年間を振り返って
本当にあっという間だったと思っていて、特に最後の一年間は自分的にもプレーの仕方に苦しんで、なかなか楽しんでホッケーをやることができなかったんですけど、周りに支えられて続けることができて、いいホッケー人生だったなと思います。
——後輩たちに伝えたいことは
僕たちの代では結果をあまり残してあげられなかったことが本当に申し訳ないんですけど、ポテンシャルのある子たちが何人もいるので、僕らよりもさらに上を目指して頑張ってほしいと思います。
永野裕太(政4・慶應)
——早慶戦をどのような気持ちで迎えたか
公式戦というわけではないので、勝ち負けで何かわかるわけではないんですけども、せめて後輩に何か、今シーズンいい結果ではなかったので、何か残したいという思いで絶対に勝ちたいという思いで臨んでいました。
——今日の試合を振り返って
0−2から最後2−2までもってこれたのはすごくいい試合だったかなと思います。ただ、最後勝ちきれないところが1つ課題かなとも思ったので、そこは来年の後輩たちに託していきたいと思います。
——ゴールを決めた感想は
本当に最後の試合で最高の形でゴールを決めることができてとても嬉しかったです。
——4年間を振り返って
なかなか苦しいこともたくさんあったと思うんですけど、とてもいい形で本当にたくさんの方々に支えていただきましたので、本当に非常に感謝して最後は終われたかなと思います。
——後輩に伝えたいこと
本当に常に努力し続けて、目標をもって頑張り続けてほしいと思うので、引退した身なのであとは応援するだけですけど、活躍を期待しています。
大久保遼(政4・慶應)
——今日の試合を振り返って
勝ちたかった試合で引き分けたのは悔しいです。ただ、2−0から2−2まで行ったっていうのは良かったです。
——個人として振り返っていかがでしたか
最初のQでキーパーとの一対一決め切れなかったのが残念なところですね。
——得点シーンを振り返って
OB戦でOBの方々がグランドに滑ってまで点を決めていたところを見ていたので、自分もそれくらいの気持ちでやらないといけないんだなと思って滑ったらたまたなそこにボールが来たので、うまく決めることができました。
——これで引退ですけど
後輩たちの代ではしっかり早慶戦で勝ってほしいなと思います。
——4年生の1年間を振り返って
今年は結果が出なかったので、後輩たちや同期、OBの方々に申し訳ないなと思います。
——4年間を振り返っていかがでしたか
高校からホッケーを続けててよかったなと思います。
吉川大地(政3・慶應)
——今日の試合を終えての率直な感想
勝ちたかったなということです。
——早稲田と試合をして感じたことはありますか
相手も気合は十分に入っていて、いつもの試合とは違った雰囲気だと思いました。
——それは早慶戦だからということですか
そうですね。これだけ観客も熱が入っていて、全体で応援している試合はなかなかないのでやっぱり違いましたね。
——引き分けとなりましたが、そのことについてはどうですか
僕自身がこのチームに入ってから毎年負けていたので、勝ちたかったですけど一歩進んだのかなと結果としてはとれますね。
——今後、チームをどうしていきたいか
これから最高学年になるので、チームをしっかりと組み立てていくために、まずは信頼されるように練習からしっかりやっていきたいと思います。
——これからに向けての意気込みをお願いします
来年こそは結果を出して、先輩方にも応援してくださってる方々にも恩返しができるように頑張りたいと思います。
望月慎之介(経2・慶應)
——引き分けで終わって今思うことは
やはり勝ちたかったです。1Qで2失点してしまった時に、心の隅で「またダメか」と思っていて、チームとしても今まではそこから盛り返せるようなこともなかったので、2点取って並ぶことができたという点では、4年生を負けさせなかったということで少しは恩返しできたと思いますし、自分たちでも2点差を追いつける可能性があると証明できたと思うので良かったです。
——得点に絡むシーンもありました。自身のプレーを振り返って
あまり狙って打ったものではなかったですが、めちゃくちゃ嬉しかったですし、打ってみるものだなと思いました。確実なプレーを追い求めがちなのですが、五分のところをいかにものにするかを、永野さんのワンタッチに見せられた気がしました。
——応援などはいかがでしたか
圧倒的に慶應の方が声援が大きくて、すごく勇気づけられましたし、声援のおかげで2点差も追いつけたと思います。
——引き分けという結果はどのように捉えていますか
なかなか簡単に早稲田は勝たせてくれないなというように思います。あと2回しか早慶戦がないのですが、日々厳しい練習をして、なんとかあと2回勝てるようにしたいです。早慶戦を意識してやっていけば、いいチームになると思いますし、来年から上級生にもなるので、そういった意識を持っていきたいと思いました。
——4年生の姿はいかがでしたか
すごくお世話になって、色々な戦術を教えていただきました。これからは自分がレクチャーする側になると思うので、自分で考えて自分の中の論理みたいなものをアップデートしていくとともに、ディフェンダーにしっかりとそれを伝えて、よりよいボール回しをしていかなければならないと思うので、自分がおんぶしていかなければならないという身が引き締まる思いでいます。
——来年以降に向けて
来年も厳しい1年になっていくとは思うのですが、勝てそうなチームに勝つだけではなくて、五分のチームにも勝ち切れるように、泥臭く1点をもぎ取りにいくチームを目指して頑張りたいと思います。