【バレーボール】不完全燃焼で敗戦・・・入替戦で一枚岩になれるか/春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦 最終戦 vs専大

バレー戦評

久しぶりのフル出場となった樫村

 

前週の敗戦で入替戦進出が決まった慶大。勝利を収め、良い流れをつかむきっかけとしたい最終戦だったが、最後まで不完全燃焼となってしまった。セットカウント1-3で敗戦し、リーグ戦通算成績1勝10敗、1部リーグ最下位という結果で今リーグ戦を終えた。慶大は、次週5月25日(土)、1部残留をかけ、入替戦に臨む。

 

 

2019年5月18日(土)

春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦

最終戦 慶大×専大

@浦安市運動公園総合体育館

 

得点

慶大

セット

専大

25

22

21

25

20

25

19

25

 

出場選手(サーブ順)

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

WS

23

小出捺暉(環2・駿台学園)

MB

12

清水柊吾(総3・広島城北)

OP

21

富澤太凱(経4・慶應)

WS

宮川郁真(総2・松本県ヶ丘)

MB

19

樫村大仁(環3・茨城高専)

吉田祝太郎(政3・慶應)

Li

永田将吾(総2・高松)

Li

17

加藤真(商3・慶應)

途中出場

マルキナシム(総4・川越東)

 

 

スパイクを決めた宮川

第1セット序盤、相手のブロックを利用するスパイクなどでいいように攻撃され、連続得点を許すも、先週の試合から復帰した樫村大仁(環3・茨城高専)のクイックや宮川郁真(総2・松本県ヶ丘)のバックアタックが決まり、試合を振り出しに戻す。中盤以降、慶大のサーブが効果的に決まる場面が増えるも、相手も譲らず、サイドアウトの応酬が続く。20-18と一歩リードした状況のなか迎えた終盤、富澤太凱副将(経4・慶應)にボールを集め、確実に得点を重ね、このリードを守り切り第1セットを先取する。

 

 

得点を量産した富澤副将

第2セットの立ち上がりは大荒れとなった。慶大は、「トスの先に誰もいない」など、もったいないミスを重ね、いきなり4連続失点。しかし直後から、エース富澤がスパイクにブロックにと大活躍。7連続得点で一気に逆転する。その後、自陣ミスなどでじわりじわりと点差を詰められ、20点台を目前に同点まで追いつかれる。20-20から、相手ブロックポイントなどで3連続失点。最後もスパイクがアウトになり、慶大は21-25でこのセットを落とした。

 

 

控えの選手たちが盛り上げる

悪い流れを断ち切りたい第3セット。清水柊吾(総3・広島城北)のブロックや富澤・小出捺暉(環2・駿台学園)のサービスエースなどで中盤までに小さなリードを奪う。だが、このセットも自分たちの力を発揮し切ることができなかった。15-11の場面からは、スパイクミスや相手サービスエースなどでまさかの7連続失点。その後も相手のフローターサーブにコートをかき乱され、このセットだけで計4本のサービスエースを許してしまう。最後も相手のサービスエースで20-25、慶大は第3セットも落としてしまった。

 

 

マルキ主将の完全復帰が期待される

第4セットも立ち上がりに相手のサービスエース。なかなか流れに乗れない慶大は、5-9の場面からマルキナシム主将(総4・川越東)を投入した。その後も、ダブルコンタクト(ドリブル)やスパイクミスなどが相次ぎ、慶大は中盤までに6点差をつけられてしまう。Wエースのマルキ・富澤のスパイクでなんとか得点していく慶大だったが、相手ミス以外にほとんどブレイクを奪うことができなかった。中盤までに生まれた6点のリードを詰めることができず、19-25で第4セットも落として試合終了。セットカウント1-3で敗れ、リーグ通算1勝10敗、最下位での入替戦進出が決定した。

 

 

 

「不完全燃焼」、その言葉が現在の慶大を表しているだろう。自分たちの持っている力を出し切ることができず、もったいないミス、失点、そして敗戦が続いた。その原因は何だろうか。「(慶大は)相手と勝負していなくて」。試合後、樫村はこう語った。相手に向かっていく以前に、自分たちの中で足並みがそろっていない。だから、「チームとして良い雰囲気で戦い続けることができない」(マルキ)のだろう。それでは勝てる試合も勝てない。もう一度、コート内の選手だけでなく、控え、スタッフ、応援席…すべての人がチームを見つめ直し、スクラムを組むことが必要だ。

 

 

一枚岩になることが最重要課題だ

1週間後の入替戦、対戦するのは2部リーグで全勝優勝を果たした青学大だ。11勝0敗の勢いそのままに挑んでくる相手に対し、それを跳ね返すだけの力を慶大は発揮しなければならない。そのためには、「一枚岩になること」(宗雲監督)が何よりも大事だ。慶大らしいバレーとは何だろう。慶大の強さとは何だろう――「そこ(入替戦)に向けて全力でパフォーマンスを出すしかない」(マルキ主将)。今度こそ自分たちの中に封じ込められている力をすべて出し切り、そしてもう一度、1部残留をつかみとってほしい。Team Malkiの正念場だ。

 

 

(記事・写真:藤澤薫・持丸嘉昭)

 

 

以下、コメント

 

 

宗雲健司監督

 

――第1セットは先取しました

こっちのブロックの動きも良かったですし、まああとは相手のミスもたくさんあって、それにも助けられて、点差がああいうふうに出たんだと思いますね。うちの動きとしてはまずまずの動きだったと思います。

 

――第2セット以降、力を出し切れていなかったように感じます

終盤まで競り合っていたんだけど、最後にこっちの失点が20点前後のところで出て。2セット目も取れたはずなのに、ちょっと惜しかったですね。

 

――サービスエースを何度も許してしまいました

やっぱりポジショニングの問題とかが。試合のあと、サーブレシーブの選手たちにそれを少し考えてほしいということは投げかけていますので、彼らがどう改善するかだと思います。

 

――サイドアウトとブレイクについて

トータルとしては、サイドアウトも、ブレイクもまずまずだったですね。どうしても、攻撃の引き出しが少ない分、途中から富澤がマークされて決定率が下がってしまって。じゃあ富澤を補える、楽にしてあげられる逆のサイドがいるかといったら、それはコマ不足だったり、なんとかパイプ(バックアタック)に上げても決まらなかったり。その辺が今マルキが抜けている分、課題なんですよね。マルキが富澤を楽にしてあげなきゃいけないんだけれども、ちょっと存在感をまだまだ示しきれていないというか。期待はしています。

 

――マルキ主将についてどう考えていらっしゃいますか

やっぱり、本人も悶々としていると思うんですよ。今日はサーブレシーブも良かったですよね。ちょっと自信をもってもらって、あとはスパイクを決めてくれたらいいなと思います。力もあるんだし。まあやっぱりマルキが出なきゃだめだと思うので、頑張ってくれると期待しています。

 

――今リーグの総括を

力を全く発揮できなかったリーグですね。全く。試合をしている以前にチームの中でうまくまとまらなかった。それまでのプロセスで、とくに2~3月のチームを作らなければいけないときに、私がちゃんとまとめあげられなかったっていうのが、最大の責任、原因であると思います。

 

――入替戦で勝利するために

まずは、しっかりまとまること。去年そういう良い経験を1週間して。まあ今からでも遅くないので、一日一日しっかりとチーム全体で積み上げて、一枚岩になるということがまず大事だと思うので、これからの過ごし方、準備をしっかりしてもらいたいと思います。

 

 

 

マルキナシム主将(総4・川越東)

 

――今日の試合を振り返って

2セット目からは内容はよかったのですが、入替戦があるということもあり、チームとして意思の疎通ができず、良い雰囲気を作り出すことができなかったゲームだったと思います。

 

――第4セット、途中出場したときの心境は

1セット目の途中からブロックで交代すると言われていたので、気持ちの準備はできていたので、入ったら4年生としてではないですが、富澤と良い雰囲気を作っていこうという感じでした。そこを改善すれば、今のチームの良くない状況を打開できるかなと思っていたのですが、できないまま終わってしまいました。

 

――先週の試合で入替戦が決まったなかでの試合でした

コーチの方からも、そこ(モチベーション)がうまくできていないと指摘してもらいました。ここで気持ちを作るのは難しい一週間ではあったんですが、みんなで雰囲気上げて頑張っていこうと練習でもやってきて。でも今日、チーム一丸となれず、やろうとしていたことができなかったです。

 

――春季リーグ戦の総括を

(優勝した)早稲田さんは11戦やって3セットしか落としていないんですけど、(その3セット中に)うちの1セットがあるので、そういった意味では、上位のチームからもセットを取る力がある。でも下位に勝ち切れない現実もあって。チームとして良い雰囲気で戦い続けることができない、それが課題として出たリーグでした。技術的に他の大学より劣っているところもあって、そこはリーグ中も練習で上げていくというのは継続してやっていって、勝ちに向かってどのように試合を通して雰囲気を出し続けられるのか、まぁ本来できるはずなんですけど、そこがうちの足りてない部分で、そこをしっかり改善していこうかと思っています。

 

――今のチームに必要なものは何でしょうか

やっぱり試合を通して折れない気持ちだと思います。一人一人の、コートに出る人だったり、ベンチに入っている人だったり、ちゃんと何で自分がそこに入っているのかということをもう一度考え直して。気持ちの部分じゃないですかね。

 

――入替戦に向けて

来週の入替戦が決まってしまったことは、もうしょうがないので、そこに向けてもう一回全力で。入替戦は正直、下(2部)のチームは上がってきて、こっちは落ちていって当たるわけなので、こっちの方が雰囲気的にはやりにくい部分もあるんですけど、一回頭切り替えて、そこに向けて全力でパフォーマンスを出すしかないんじゃないかと思います。

 

 

 

富澤太凱副将(経4・慶應)

 

――今日の試合を振り返って

状況も状況なので、雰囲気が難しかったなかで、今季勢いのある相手と対戦したのですが、自分たちのことをやり切れずに負けてしまいました。

 

――モチベーションについて

僕に関しては、試合である以上勝負事なので、負けるという考えはよぎらなかったですし、手を抜くもありませんし、やっぱりそこのところをチームに伝えられなかったところは反省すべき点かなと思います。

 

――春季リーグ戦の総括を

勝負事はやはり難しいなと感じたシーズンでしたし、チームとして一つにまとまることもそうですが、技術と精神面のバランスといいますか、そこを組み立てることを最上級生として強く感じたシーズンでした。

 

――入替戦に向けて

ここから頑張る姿を見てもらえればと思います。

 

 

 

樫村大仁(環3・茨城高専)

 

――今日の試合を振り返って

やっぱりモチベーションが…僕ら入替戦が決まっていたので、ちょっと難しくて、なんかぐだぐだしちゃって。勝てたのを落としたのがもったいなかったなと思いました。

 

――第1セットは取りました

第1セットは、(富澤)太凱さんとかが決まっていたから、楽な展開でいけましたね。終盤、太凱さん決まらなくなると、やっぱり僕らきついのかなというふうに感じました。

 

――慶大の今日の「つなぎ」はいかがでしたか

難しいですね。良いときは本当に良いんですけどね。…1回ブレイクされたあとに一気にだだだって行っちゃう(失点が続く)感じが結構多いんですよね。それが本当につらいです。

 

―――そういった失点後のコート内の雰囲気は

今日は、やっぱり事前に(入替戦が)決まっていて。モチベーションも…上げなきゃいけないんですけど、そういった中だったんで、ちょっと難しくて。印象としては、あんまり(声が)出ていない感じでした。

 

――ご自身、久しぶりのフル出場でした

自分のプレーは…とくに目立つこともなかったので、何とも言えないです。

 

――ここまで1ヶ月半近く、応援席から慶大の試合を見てきて

今日と同じですね。(雰囲気が)良いときはやっぱり強いんですけど、だめなときに、たとえ点数で勝っていても、なんかもう雰囲気的にもう負けている。めちゃめちゃそういう場面が多くて。本当にどうすればいいんだろうなっていうのはすごく感じました。…こう、相手と勝負していなくて。こっち側の問題、自分たちでミスしちゃうっていうのが多くて。それが今季すごく目立ったなっていうふうに僕は思います。

 

――力が出し切れていない?

あ、そんな感じですね。

 

――勝利のために、慶大に今必要なことは

やっぱり、(自分たちの力を)出せたら強いっていうことで、気持ちを作ることがすごく大事だと思います。この1週間は、練習からそういうことに対してこだわって、強いメンタルをもってやって行きたいと思います。

 

――入替戦に向けて一言

勝ちます。

 

 

最終順位

順位

大学

勝利数

セット率

1位

早大

11

11.0000

2位

東海大

10

3.3333

3位

明大

1.3158

4位

中大

1.2778

5位

筑波大

1.1579

6位

専大

0.8636

7位

日体大

0.8696

8位

駒大

0.8182

9位

順大

0.8333

10位

日大

0.7037

11位

学芸大

0.3438

12位

慶大

0.2667

 

◇順位の決め方◇

勝利数が同じ場合、セット率(得セット数/失セット数)の高い方が上位となる。

セット率も同じ場合、得点率(総得点/総失点)の高い方が上位となる。

なお、下位2チームは1・2部入替戦に回る。

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