1部リーグ2年目の今年は、システムを大きく変更。魅力であるサイド攻撃を活かし、さらに縦に速いサッカーを。昇格チームながら5位と、鮮烈な返り咲きを見せた昨季から引き継ぐ期待は小さくない。だが、目標は「まずは4位以内」、昨季越えだ。新生慶大ソッカー部の今季布陣の意図に迫る!
――中町選手(アビスパ福岡)が開幕戦でスタメンデビューを飾られましたね
そうですね、試合自体を見れてはいないんですけれど。
――そういうタレントが卒業した今年、ボランチ2枚の穴をどう埋めるのかが気になります
今年はマチやオリのように特徴を持っている選手というのはいない。だから、一人がゲームをコントロールできるということはないし、そういうチームでもないと思うので、全員で穴を埋めながら、やらないといけない。そういうことで、今年は中盤を3枚に。
――ボランチを3枚ということですか
ボランチというポジションを3枚というよりは、局面によってはボランチの位置にいるのは2枚、または1枚ってこともあるかもしれない。結局はそれぞれが運動量を増やしながら、中盤をカバーしていく。ただスタートの地点では3枚ですね。4-3-1-2です。
――真ん中の1は河井選手で固定ですか
そうですね、河井です。
――では、中盤の3枚はフラットに並んで、その前に河井選手というスタイル…
そうなると思います。
――具体的に、今3枚いるボランチの真ん中の候補として考えてらっしゃるのは
今探しているところなんですけれど、大塚とか。イブ(藤田)、加美、あと山浦、1年の岩田。そういうメンバーですね。
――いずれにせよ、両ハーフがなくなるということは、去年の慶大の強みだったサイド攻撃がよりサイドバックに求められるとも思うのですが…
そうですね、ハーフがなくなる分はやっぱり、黄と田中の特徴を活かしたい。
――それだけ両サイドバックのオーバーラップは強みになる部分だと考えてらっしゃる…
そうです、なるべく彼らの特徴を活かしたい。あと、なぜそうなったかというと、前の2人は、フォワードに上背はないけれど速い選手がいるので。その2人を活かすためにサイドの高い位置はサイドバックに任せたい、というか。
――オーバーラップが増えて、かつボランチも攻撃参加するとなるとポジションチェンジも増えますね
そうですね、個々の運動量は増えると思う。やっぱり黄と田中っていうのは縦が強いんだから。上がってクロスとか。守備が特に良いから使っているわけではなくて、攻撃して、それでどこまで引っ張れるかということを考えているので。上がることができれば流れは作れるし、逆に言ってしまうと上がれなかったときがまずい。相手のペースになる危険がある。そういうときに加美なり息吹なりという守備ができる、運動量もある選手に任せたい。例えば、田中が出たとき、その後ろで加美も出る。でも残りの二人が中盤をしっかり見る。
――速いフォワードというと深澤選手がぱっと思いつきますね
そうですね、深澤。あと風間。
――李監督は1年生時から風間選手を起用するなど、期待している選手なのかなと思うのですが、監督の考える風間選手の魅力というのは
ポストプレーができる。バイタルエリアにばーんと引いて、ボールを受けて、そこからシュートまで持っていける。
――では速い深澤選手が振り回して、懐が深い風間選手がどちらかといえばポストを務めるということですか
そうですね、ただ基本は裏を取る動き。速さなりを活かして、どんどん狙っていって欲しい。
――例えばの話なんですけれど。相手のバックにすごく上背があって、ポスト任せのサッカーではないとはいえ、タメを作ることも厳しいという状況になったときは…
そういうときはおさまらないというのはわかっている。風間はいるけれど、甲斐悠みたいにどーんと体でというわけにはいかないですから、そこまでポストを求めているわけではないので。風間にはたまにはポストも期待したいけれど、どちらかというと今年はフォワード二人が裏を取っていくというかんじ。
――ただ風間選手には、ゴール前でボールを受けてからシュートに持っていく一連の型みたいなものもありますよね
うん、一回止めて、なんかやるというタイプではあるんだけど。でも、裏が狙えないわけじゃない。むしろ今年は裏を狙っていかなければいけない。そういう動きをして、サイドの高い位置でボールをおさめて、というのを、河井が中盤でサイドチェンジをするのをスタートにやってほしい。今年のチームは、去年みたいに、綺麗にビルドアップしてつないでいってという力はない。他大と比べても、そこがうちより優れている大学はあるので。うちはうちの選手の特徴を活かしていかなければいけない。それしかないですからね。
――ここまで練習試合の結果はどうですか
1回関東学院には4-2くらいで負けて、その後亜細亜と桐蔭には3-1くらいで勝ち。
――だんだん良くなってきている感覚はありますか
良くなっているときもあるし…延世のときなんかもスコアでは負けているけれどチャンスを活かせていれば、という部分もあるので。あと、ソウルFCの2軍とやって、これは4-5でした。
――伺っていると、負けるにしても点は取れているというか
取れるときは…変な形のもあるので(笑)変なところにばーんと打ったら入った!っていうこともね(笑)そういうのもたまにあるからなぁ。あと今週2試合やって、福岡遠征に行って…福岡で追い込んで、というか毎日レベルの高い試合ばかりなので、必然的に追い込めるかと。
――ちなみに福岡ではどんな大学と対戦がありますか
関東だと、うち、早稲田、流経、法政。関西では。阪南大、立命館、そのあたり。あと地元と全日本選抜。あと韓国から2、3チーム。
――そうしたらもうリーグ戦に向けてあげていって…というかんじですよね
そうですね、福岡から帰ってきて、その次の一週間までは引き続き追い込んで、そこから2週間あるので、そこから徐々に落として、メンバーを固定してというイメージ。
――1年生で開幕からという可能性はどうでしょう
可能性があるのは、岩田、松下、金、あとはGKの福本、そのあたり。あ、鳥山。
――今年は、去年の5位という結果を見て相手も用意してくると思うのですが、ここまで行きたい、そのためにこうしていこうというビジョンがあればお聞かせください
まずは去年より上に。そうなると必然的に4位以内という目標ですね。それで、4位以内に入る力があるのであれば、自然と優勝を目指すべきだという風になると思うので。まずは4位以内。ただ今年は、去年のように絶対的に軸になる選手がいないので、4年生に頑張ってほしい。三上、加美、フカ、あと大森。そのあたりが絡んでくると思うんですけれど。中町、オリ、ヤスみたいなタイプではないから。だからみんなで、本当に全員でまとまってやらないと。
――昨年どうしても、放り込んでくるチームには苦戦した印象があるのですが、今年はそういうチームに対してどう戦って行こうという確認はされましたか
そういうチームに対してはまず、いいボールを蹴らせないこと。ボールを蹴らせて、競り合って勝つという発想はあまりない。それは得意とするところではないと思うから。いいロングボールを相手が蹴ることができないように、プレッシングの段階で詰めていく。そういうことになると思う。
――ただ、セットプレーなどでは絶対に競り合いは避けられないですよね。そういうところでは上背のある大塚選手らに期待するところでしょうか
もちろん。ただセットプレーでは相手の背にあわせてマークを変えられるのもあるし。ポジショニングなんかの工夫をすれば、失点されないしさせない。基本的にセットプレーでは点取られちゃいけないですし。
――今の地点で監督が見て体がキレている選手はずばり!
今の地点では…全体的に体重いですね(笑)
――では、前期はこのくらいで折り返したいなという目標は
やってみないとわからない。下との対戦もあるから、一個一個クリアしていかないと。それで、できることなら4位以内をめざすことができるような順位まであげたいですね。
――ありがとうございました
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