慶應スポーツ新聞会

【競走】特集 フィールドのパートの大黒柱 秋本壯樹

競走部特集第2弾では、新チームの副将兼フィールドパートチーフとして競走部を盛り立てていく秋本壯樹選手(総3)にお話を伺いました。今シーズンは東京六大学対校で15m76を叩き出しての二連覇から始まったものの、その後の関東インカレではまさかの予選落ち。しかし6月の個人選手権では3位、9月の全日本インカレでは6位入賞を果たすなど、ここ一番での勝負強さが光った。今回のインタビューではその強さの秘密を探るべく秋本選手の砲丸投げに懸ける思いや、勝負への強い執着心を語っていただきました!

来年度は副将とパートチーフの二つの重責を担う秋本選手

――先日行われた早慶戦をもって4年生が引退し、新たなチームとしての活動が始まったわけですが、部の雰囲気はどうですか

僕は新チームになってから副将とフィールドパートチーフという役職を与えられました。最高学年になってチーム全体をまとめていかなきゃならないということで、チームとしての方針として、早慶戦の勝利、関東インカレを全員で目指す、人間として成長する、という三つの柱を主将の本橋と立てています。その中でも僕は副将でありフィールドパートチーフでもあるので、副将としてチーム全体を見るという点と、フィールドパートチーフとしてフィールドパートの選手をいかにその三つの目標に導けるかという二つの点を意識しています。全体を見ながらも細かいところも見る、という難しい役職を頂きました。まだ任命されて二週間くらい(10月8日時点)ですけど、チームの雰囲気として僕がまとめている中では、みんなそういう意識の中でやっていこうとしてくれているな、という感じはあります。

――秋本選手ご自身の今の状況は?

11月4日、5日に同志社との対校戦があるんですけど、それ以外の試合はもう出る予定はないです。同志社との対校戦は砲丸投げがなく円盤投げしかないので、今は円盤投げの練習もしつつという感じですが、基本的にはもうシーズンアウトして来期に向けて練習を積む時期にあるので、調子として良い悪いってのは特にないですね。

――今回は、秋本選手の過去についてのお話も聞かせていただけたらと考えているのですが

恥ずかしいですね(笑)

――秋本選手が砲丸投げを始めたきっかけを教えていただいてもよろしいでしょうか

小学校六年間は野球をやっていたので中学に入っても野球を続けようと思っていました。実際野球部に入って9月くらいまで活動していたんですけど、9月にあった試合中に小指を骨折してしまって、今でも少し曲がったままなんですけど、バットを握れなくなってしまったんですね。で、どうしようかなと考えていたときに陸上部の顧問の先生から、お前体もでかいし、足も速いほうだったので、砲丸投げっていうのに向いていると思うんだけどやってみないかと言われまして。その先生には骨折する前からも誘われていたんですけど、ちょうど重なったというか、何かの縁がありまして始めたのがきっかけですね。

――砲丸投げを慶大に入って続けようと思った理由はなんですか

そうして中学三年間砲丸投げをやって、高校でも続けたんですけど、まず高校でも続けようと思った理由は、中学のときに砲丸投げで出た全日本中学で9位という結果で入賞も出来ずに悔しい思いをしたからです。このままじゃ終われないなと思って高校でも続けたっていう経緯があるんですけど、高校でも日本ジュニアユース(高校二年生までの大会)という大会で、高校二年生のときに優勝して全国1位になったんですけど、インターハイでは2位で負けてしまって、やっぱりこのままじゃ終われないなという思いがあって、大学でも続けようと思いました。

――1位を取りたい強い気持ちからということですね

そうですね。常に一番を目指してやっています。

――高校時代のお話がありましたが、高校では陸上部専用の練習場がなく、野球部など他の部活もいる中で練習されていたそうですが、慶大に入ってみて、環境としてはいかがですか

高校時代は、平日はこっちでは野球やっていて、あっちではサッカーやっていて、このレーン一本分だけ陸上部、みたいな環境でやっていたんですけど、朝練とか日曜日は一日陸上部だけ使える日もありましたし、投擲のサークルもちゃんとありました。土のグラウンドでしたけど、そういう環境の中で投げられないということもなくて、しっかり投げられてはいましたね。でも日吉の陸上競技場は試合も出来ますし、常にどんな練習でも出来ますね。たとえば、雨でも走れる、雨でもぐちゃぐちゃにならないで砲丸投げが出来る、ウエイトも出来る。何でも出来る良い環境だと思います。

――周りの部員、仲間という面での環境はどうでしょう

僕はすごく仲間には恵まれているなと思っています。陸上って、砲丸投げがあって、短距離があって、幅跳びがあってというように、競技種目はみんなそれぞれなんですけど、お互いに切磋琢磨しながらやれるものだと思います。たとえば本橋とかも強くなっていって、ちょっと今年は怪我でだめですけど横田とかも強くて、横田と同じ800mだと櫛田もいて、幅跳びだったら長尾もいて、400mHには古賀もいて、マイルで大野がいてというように、みんながみんな結果を残すようになってきているっていう環境でやれているのは僕にとってすごく刺激になるんですよね。僕は同期に負けるのが一番悔しくて、後輩に負けるのはもちろん論外ですけど、同じ種目じゃなくても同期には負けたくないですね。良い意味での対抗心を芽生えさせてくれているので、同期には感謝しています。別に仲は悪くないんですよ(笑)良い雰囲気でやれています。

――慶大は設備的にも部の雰囲気的にもとっても良い環境ということですね

そうですね。

――好きな言葉はありますか

“為せば成る”っていう言葉が好きです。上杉鷹山という人の言葉で“やれば出来るんだよ”という意味なんですけど、やれば出来るっていうのは、自分が努力すれば出来るっていうこともあると思うんですけど、自分が考えてやっていけば、良い方向か悪い方向かは分からないけど、やっていること自体にものすごく意味があるんだよって言葉だと思うんですよね。しっかりやることが大事だよ、って。結果を出すのももちろん大事で、結果も出したいですけど、今こうやって何かをやっているってことが自分にとって良いんじゃないかな。

――ではここからは今シーズンのお話を伺いたいと思います。今シーズンは4月の東京六大学対校での二連覇という結果からスタートしましたが、振り返ってみていかがでしたか

今シーズンのベストはその4月に出した15m76という記録になってしまったので、今シーズンは全体的には満足してないです。日本選手権標準っていうのがあって、僕は二年生のときに日本選手権で入賞しているんですけど、やっぱり毎年出て毎年入賞したいじゃないですか。標準記録が15m80に上がって、それさえ投げられていれば日本選手権に出られたので、それを意識してやっていたんですけど、意識しすぎて空回りしてしまったシーズンだったかなと感じています。

――不本意なシーズンだったということですか

そうですね。日本選手権には出られなかったですけど、個人選手権では3位、関東インカレはちょっとだめでしたけど、全日本インカレでは6位という結果を残すことは出来ました。これらは最低限のことですけど。目標としていた全日本選手権入賞が出来なかったのが一番不本意でしたね。

――ご自身で点数を付けるとしたら何点くらいでしょうか

日本選手権に出られなかったので、もう0点なんですけど、その中でも大学の主要選手権、関東インカレはだめでしたけど、個人選手権、全日本インカレという三大大会のうち二つでしっかり入賞出来たってことと、早慶戦などでしっかり点は取れたっていうのがあったので、まあ…70点、それくらいですかね。もし日本選手権に出られていたら90点くらいですけど、まあ出られなかったので減点は大きいですね(笑)

――冬のトレーニングの時期も迫ってきた頃ですが、今年はどういうところに重点を置いてやりたいですか

今はグライド投法という、いつも投げている投げ方をやっているんですけど、回転投げという投げ方をやっていきたいなと思っていて。僕は中学校のときから円盤投げもやっていて、回転投げは、動きは厳密には違うんですけど、円盤投げのターンのような感じで回るので、それを取り入れられればいいかな、と。回転投げで最近結果を出している選手が多くて、世界のトップも回転投げの方が多いので、回転投げの練習をしたいなというのが冬季練のテーマですね。しっかり練習して投げられるようにする、でもそのためには基礎体力も必要なので、今まで継続してやっているウエイトトレーニングはもちろん、走ることや基本的な体幹トレーニングなど、去年もやっていたことを今年もしっかりやりたいなと思っています。去年の春先にベストを出せたのは冬のトレーニングがちゃんと出来たからだと思っていて、そのやり方自体は間違っていなかったかなという感じがします。

――焦点を合わせている大会などはありますか

5月の関東インカレが春までの一番大きな目標です。4月の初めに行われる東京六大学対校はチームとしては関カレまでの通過点という位置付けですけど、個人的には初めて回転投げをする公式戦になるので、そこでしっかり記録を残したいと思います。16mもそこで投げたいなと思っています。

――東京六大学対校での三連覇というのは意識していますか

あー!そうですね。僕、二連覇したんだっていうのを今言われて気付いたくらいなんですけど(笑)あんまりそこは意識してないですね。まあでも常に何でも一番っていうのは気持ち良いものなので、来年も一番を取って三連覇出来ればそれ以上のものはないかなと思います。

――目標の記録を教えてください

回転投げの練習を始めてまだ2日、3日くらいなので、その現状でどれくらい投げられるかっていうのは分からないんですけど、最低16mは投げられるだろうって見込みで始めたので、いろんな人のアドバイスを聞いてやっています。16mは確実に投げられると思うんですけど、それが16m50なのか17mに近い16m台なのかっていうのはちょっと分からないんですよね。しっかり嵌まれば16m後半も行くとは思うんですけど。16m後半投げられれば優勝争いに絡めると思いますし、16m前半だったら表彰台争いになると思うんですけど、目標としてはやっぱり最低でも表彰台には乗りたいですね。今年も目標にしていたんですけど、ちょっと振るわなかったので、そこは同じ目標でやっていきたいなと思っています。

――今後に向けての展望や意気込みなどを教えてください

もう来年はラストシーズンですから、結果を意識してやりたいというのはもちろんですけど、最初にも言ったように、僕は一選手としてじゃなくて副将兼フィールドパートチーフという立場なので、チームとして戦えるチームにしていったり、そういう意識付けをしていったりっていうのをやっていきたいです。今まで早慶戦では、負けて当たり前でしょ、勝とう勝とうとは言っていたけど、まあ負けるよね、みたいな雰囲気があったので。やる前からそういう雰囲気になるのは僕は嫌なので、勝てるようにみんなを導いていくというか、意識付けをして、勝てるチームにしていくっていうのをやっていきたいなと思っています。

――最後になりますが、秋本選手にとって砲丸投げの魅力とは

簡単に記録が出ないっていうのが魅力かなと思っています。簡単に出来たら楽しくないかなと思って。僕、ゲームとかもやるんですけど、あんまり同じものに嵌まらないんですよね。クリア出来てしまうものは飽きちゃうんです。完成しないからこそ面白い。どんどん突き詰めていけるものだからこそ楽しいのかなって。砲丸投げっていうのはそういうものなのかなと思いますね、僕にとって。

明るく誠実な方で、今回の取材ではたくさんのお話を聞かせていただきました。来シーズンでの更なる活躍を期待しています。秋本選手、お忙しい中ありがとうございました!

By Kiyoaki Onuki

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