【Last Message】荒鷲軍団を束ねた主将 “慶應らしさ”を追求した先にあった答えとは/4年生特集「Last message〜4年間の軌跡〜」 No.33・山口紘生(ソッカー部男子)

ソッカー男子

24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第33回となる今回は、ソッカー部男子の山口紘生(商4・國學院久我山)。ラストシーズンでは念願の「2部優勝、1部昇格」を成し遂げ、有終の美を飾った慶大ソッカー部。主将として十人十色の荒鷲軍団をまとめ上げ、“慶應らしさ“を追求し続けた先には、”1部昇格“というこれ以上ない最高の結果が待ち受けていた

 

昨シーズン、2部参入プレーオフで勝利を収め2部昇格を果たした慶大。2部昇格が決まった試合終了後、当時の4年生たちは「来年は絶対に1部に昇格してほしい」と口を揃えた。そして1部昇格へ大きな期待がかかる今シーズン、チームの絶対的司令塔・山本献(令6商卒・國學院久我山)から主将のバトンを受け取ったのは、チーム随一のキャプテンシーを誇る山口紘生(商國學院久我山だった山口のキャプテンシーや発言力、サッカー取り組む姿勢はチームメイトからも高く評価されており、自身の立候補、チームメイトからの推薦もあり、ラストシーズンは主将として荒鷲軍団を束ねることとなった。

主将として迎えたラストイヤー

下級生の頃から慶大のDFラインを任され、常にスタメンに名を連ねてきた山口早慶戦で1年次から4年連続スタメン出場、2年次以降リーグ戦でキャプテンマークを任される試合も多々あり、チームメイトや監督・コーチ陣からの信頼は確かなものであった。しかし、そんな経験豊富な山口であっても主将として感じるプレッシャーは大きかった。「自分がソッカー部の手本となるし、自分の言動がスタンダードになるいう意識があった」、「自分はソッカー部を背負って立つ位置にいたと語るように、ソッカー部内での言動、部外での言動全てにおいてリスペクトされること、細心の注意を払うことが求められた。さらには、前年度に“2部昇格”という置き土産を残した先輩たちへの恩返しのためにも恥じない成績を残さなければという重圧、責任感もあっただろう。

その背中に重圧を背負った

そうして幕を開けた今シーズン、チームの目標は2部優勝1部昇格慶大は開幕戦から拓殖大との乱打戦を制し白星スタートを切ると、第2節以降も攻撃陣が得点を量産し、それに呼応するように山口を中心とした守備陣も堅い守りで慶大ゴールを死守した。リーグ戦前期終了時点で13戦を7勝2敗4分けとし、順調に勝ち点を積み重ねた。しかし、11年ぶりの国立開催となった第75回早慶サッカー定期戦では宿敵・ワセダに0-4の大敗大学4年間で最後の早慶戦は苦い思いをすることとなった。しかし早慶戦の黒星を引きずることなく、再び“2部優勝&1部昇格”に焦点を当てリーグ戦後期に臨むと、9戦を5勝2敗2分けとし、総勝ち点42で2部優勝&1部昇格”を成し遂げた。山口は常にプレッシャーがかかり続ける中、チーム全体を統率しながら今シーズンのスローガンである“慶應らしさ”を追求し続け、その“慶應らしさ”を見事に結果で示した。山口は、慶大ソッカー部躍進の要因を「自分のためじゃなくてチームのために頑張る、やらなきゃいけないことを誰かがやる、という気持ちを一人一人が持った集合体だったから」と分析する。このようにチーム全員が同じ目標に向かい、同じモチベーションサッカーに真摯に取り組み、一枚岩となってリーグ戦に臨んだからこそ2部優勝を成し遂げられたのだろう。そして、この“慶應らしさ”を体現できたのは、チーム全員の努力はもちろんのことだが、その根底に山口の圧倒的なキャプテンシーあったことを忘れてはならない

慶應らしさを体現した

ただ、山口もチームを一人で背負っていたのではなく、相棒である副将・茅野優希・慶應)の存在も大きく、二人三脚でチームをまとめてきた山口は茅野を「お互いキャラクターが正反対というところもあって、お互い凸凹の五角形を重ね合わせたら綺麗になる関係と語る。実際、キャラクター、ポジション(DFとFW)、キャリア、思考など互いに異なる部分が多かった。だからこそ二人で意見をすり合わせる時間が必然的に増え、それが結果的にチームにプラスの影響をもたらした。山口茅野が絶対にやるべきだって思っていることに対して、自分は心の底から絶対に違うよなって思うことがあった。だからこそ、一回立ち止まって2人で話し合える、考え合えることがかったことだと思っていて、考えた時にしっかり話し合うと一つの意見でまとまることが多かったと当時を振り返る。また、人で話し合い、まとまった考えをチームメイトに話す際も内容状況に応じてどちらが前に出て話すべきなのかを決めていた。「茅野が言った方がいい時、自分が言った方がキャラクター的に響く時、主将が出た方がいい時、副将が出た方がいい時とか様々あったと思うので、そういうところでうまく使い分けお互いの色を出せた相棒が茅野であったからこそ為すことができた二人ならではの協力プレーだった。

茅野との協力が鍵となった

4年間の大学サッカー生活で2部降格、3部降格、2部昇格、1部昇格を経験した山口。これ以上に苦しい思い、うれしい思いの双方をチームスポーツで経験した大学生はなかなかいない。さらに山口は最終学年主将というプレッシャーがかけ続けられる立場の中で、1部昇格という最高のプレゼントを後輩たちに残した。このキャプテンシーはまさに感服の一言に尽きる。山口は最後「すごく充実した1年間になりました」と満足気に大学サッカー生活を振り返った。

充実した1年間だった

来シーズンは関東の強豪大学がひしめく1部リーグで戦う慶大。狙うは”1部優勝&全国制覇“。山口は「自分と茅野は大学サッカーの先を見据えてやっていたわけではなくて、今のラスト1年間ソッカー部で2部優勝する、全国優勝する、早慶戦勝つということに全力を注いでいた。ソッカー部での活動に全てを注ぐという気持ちでやってきた。一個下の主将もそこは変わらないと思う、その先を見据えての今になると思うので、サッカーの組織の主将としてはその思いを持べき自分が上を目指すというところを真摯に目指していれば周りはついてくると思いますし、過程だったりとか、チームの上に立つ感覚だったりを噛み締めながら全力で謳歌してほしい」と次期主将となる田中雄大(商成城学園高/三菱養和SCユースに熱いエールを送った。田中自身も下級生の頃から試合に出続け、十人十色の荒鷲軍団をまとめあげた山口の背中を見続けてきた来シーズンは田中のキャプテンシーでチームを頂きに導いてくれることだろう。2025年のシーズンが終わる時、”1部優勝”の文字が見られることを楽しみにしたい。

克己心を大切に

(記事:金子拓登)

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