一度は勝利を掴みかけるも、引き分けに終わった第5節・筑波大戦から中2日。大雨のアウェイ会場で幕を開けた第6節・明大戦は、慶大のシステムがうまくハマり“無敗記録”を更新し続ける明大相手に試合の主導権を握る。9分には、主将・田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース️)がカウンターを仕掛け、ゴール前の角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)がシュートを放つも、クロスバーに弾かれ惜しくも先制点とはならない。そして、明大が陣形変更で慶大攻撃に適応すると、一気に明大へと流れが傾き始める。26分にはCKからこぼれ球を押し込まれ、先制点を献上。それでも、前節に続きスタメン出場のGK・渡辺快(政3・慶應)が明大の猛攻を凌ぎ、1点ビハインドで前半を終える。後半は一進一退の攻防を繰り広げ、試合は膠着。慶大はMF2枚とFW1枚を替えて攻撃の糸口を探るが、ゴールネットを揺らすことはできない。90+3分には、明大に痛恨の2点目を許し、程なくして試合終了。0ー2で明大に敗れ、開幕戦ぶりの勝利とはならなかった。
2025/5/6(火)14:00キックオフ@明治大八幡山グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学0―2明治大学
【得点者】
24分 明大 真鍋隼虎
90+3分 明大 前澤拓城(高足善)
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 12 渡辺快(政3・慶應) |
DF | 2 三浦成貴(商3・浜松開誠館) |
| 3 五十嵐宥哉(商4・清水東) |
| 4 田形昂生(政3・慶應) |
| 5 齋藤大斗(総2・日大三 / FC町田ゼルビアユース) |
MF | 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
| 14 村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U-18) |
| → 53分 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| → 77分 13 三浦大其(経2・慶應) |
| 19 朔浩太朗(理3・学習院高等科) → 53分 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園) |
| 20 松下伊吹(経3・渋谷教育学園幕張/ジェフユナイテッド市原・千葉 U-18) |
| → 69分 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
FW | 18 梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U–18) |
| → 53分 9 柳瀬文矢(法4・駒大高) |
開幕戦勝利から3連敗1分と勝ちが遠い慶大は、明大に勝利して良い流れを掴みたいところ。大雨のアウェイ会場で幕を開けた試合は、慶大のシステムがうまくハマり“無敗記録”を更新し続ける明大相手に試合の主導権を握る。開始3分には、GK・渡辺快(政3・慶應)のビルドアップから、主将・田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース️)がサイドチェンジ。パスを受けた左サイドのMF・村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬Uー18)は、明大の厳しいプレスに遭いながらもテンポよくパスを繋ぎ、ボールはゴール正面で待つエース・角田惠風のもとへ。角田が前を向こうとすると、ダブルチームでボールを奪われシュートを放つことはできない。

久々のスタメン出場となった村井
その後は最終ライン高めでボールを回し、攻撃の機会を伺う。明大に一度はボールを奪われるも開始9分、主将・田中が自陣で華麗にボールを奪い返すと、縦パスを受けた角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)がそのまま敵陣へと駆け上がる。一度左サイドの村井にボールを託し、角田がエリア内に滑り込みながら足で合わせるも、ボールはクロスバーに弾かれ惜しくも先制点とはならず。

角田や朔を中心に攻撃を仕掛ける
慶大は、田中を軸にロングパスを多用しながら明大ゴールへと迫るが、なかなかゴールネットを揺らすことができない。それでも、ゴール前に攻め込まれた場面では三浦成貴(商3・浜松開誠館)や齋藤大斗(総2・日大三 / FC町田ゼルビアユース)などを中心に厳しいマッチアップで牽制し、明大選手にシュートを打たせない。しかし、明大が陣形変更で慶大攻撃に適応すると、一気に明大へと流れが傾き始める。24分にはCKからこぼれ球を押し込まれ、先制点を献上してしまう。

2年生ながらスタメン出場の齋藤大
明大へと主導権が移譲するとともに、次第に雨足も強くなっていく。グラウンドに水が溜まり始め、40分にはGK・渡辺のパスが想定外に短く止まってしまう。自陣左でボールを奪われた慶大はエリア内からシュートを放たれてしまうが、ここはGK・渡辺がファインセーブで自らこのピンチを凌ぐ。その後も明大攻勢で試合が展開され、セットプレーやCKのチャンスを与えてしまうが、相手のシュートが枠を捉えることはなく。0ー1の1点ビハインドで試合を折り返す。

好セーブを見せた渡辺
1点ビハインドで折り返し、反撃に転じたい慶大だったが48分、明大の高精度のコーナーキックから連続でシュートを打たれピンチを迎える。しかし、ここはGK・渡辺のセーブで難を逃れた。その後も明大に自陣に押し込まれる時間が続いた慶大は53分に梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U-18)に代え背番号9番・柳瀬文矢(法4・駒大高)、村井に代え齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)、朔浩太郎(理3・学習院高等科)に代え立石宗吾(法4・桐蔭学園)の4年生フォワードトリオを投入した。

初スタメンの梅野
後半の慶大は、大雨の影響でパスが止まりやすいコンディションを踏まえ、チームの特徴であるショートパスを繋ぐ形に加え、相手の背後を突くロングボールも織り交ぜながら、柳瀬のフィジカル、齋藤のドリブル、立石のコンビネーション力を活かし、徐々に敵陣でプレーする時間を増やした。

立石のチャンスメイクが光る
更に攻勢を強めたい慶大はボランチ松下伊吹(経3・渋谷教育学園幕張/ジェフユナイテッド市原・千葉 U-18)に代え辻野悠河(商4・暁星国際)を投入し、ここでシステムを4-2-3-1から4-1-4-1に変更、明大のマンツーマンプレスの基準をズラすことを試みる。この成果もあり、直後に右サイドの連携からCKを獲得するが、ショートコーナーは不発に終わり、敵陣に到達しても決定的なシュートを打つ所まで至らない。

ここでフォーメーションを変更
さらなる勢いをもたらしたい慶大は76分、LWG・齋藤真に代わって三浦大其(経2・慶應)を右ウィングに投入し、立石を左ウィングに配置する。1点リードの明大は慶大のシステム変更に対して配置上の処置を施すことはなく、深追いせずにコンパクトな陣形を保ち、奪ったら前がかりになった慶大の背後をカウンターで突くという形で追加点を狙っていたが、2トップを交代したタイミングから前からボールを奪いに行く姿勢を再び強めため、終盤は両チームにビッグチャンスが訪れるオープンな展開となった。

急遽出場となった三浦大
81分、慶大は敵陣深く入り込みファーサイドへのクロスを上げるが、逆に明大のロングカウンターを受け、混戦の中からゴールを割られる。しかしこれはオフサイドとなり、同点、逆転への希望を残す。一方、慶大のチャンスは82分、相手のプレスを受けない位置でボールを受けた角田が柳瀬にロングスルーパスを狙うが、惜しくもこのボールは明大GKにカットされ、同点ゴールを決めることはできない。

柳瀬の猛攻も、惜しくも得点には繋がらず
続いて85分、明大ボールのCKを守り切り、カウンターに転じた慶大だったが、水浸しのピッチでパスが減速し、明大の帰陣が間に合ったことで、ここもゴールに結びつけることができない。更に88分には左サイドから明大を押し込み、角田の敵陣中枢への斜めのパスからペナルティエリアに侵入した柳瀬、立石が連続でシュートを放つも、あと一歩ゴールには届かなかった。攻勢を強めながらゴールが遠い展開が続いた試合終了間際の93分、明大に右サイドからの突破を許し、鋭いグラウンダークロスをファーサイドで合わされ、痛恨の2失点目を献上。無情にも、この失点の直後に試合終了を告げるホイッスルが鳴った。

終盤にまたもや失点を許す
大雨の影響でボールが滑らないピッチでも、自分たちの持ち味である相手のプレスをギリギリまで引き付けるダイナミックなビルドアップに挑戦し、一方でコンディションや相手の出方を見ながら、システムの噛み合わせをズラしたり、時にはロングボールで背後を狙うなどの試行錯誤もみられた。しかし前年度王者である明大の壁は高く、セットプレーとロングカウンターから二失点を喫し、慶大はこれで5試合勝ちなしとなった。流れを切りたい慶大は、中3日で国士舘大学戦に挑む。
(記事:長掛真依、髙木謙 取材:愛宕百華、長掛真依、塩田隆貴、髙木謙)
【選手インタビュー】
◇三浦成貴(商3・浜松開誠館)
ーー今日の試合を振り返って
2失点の内容は、セットプレーでの僕のマークのところで競り負けたものと、カウンターから奪われたもので、冷静に対応していれば特に問題ないシーンだったので、率直に勿体なかったという印象があります。ほとんど危険なシーンは作らせず、自分たちのやりたいサッカーを表現できていたと思います。
ーーピッチコンディションが良くない中で、後半にロングボールの割合を増やすなどの試行錯誤が見られたが、全体としてどのような狙いを持ってこの試合に臨んだのか
むしろ雨でボールが滑りやすいピッチとなり、コンディションが自分たちに味方するという認識で、自分たちのサッカーを表現することを前提としていました。ダイナミックに動いて敵陣でボールを握り、フォワード陣のダイナミックな動きでゴールを目指すという、いつも通りの形を狙っていました。その中で、ピッチ上の水たまりなどを考慮して、背後へのボールを選択するシーンもありました。

明大相手に屈しなかった三浦成
ーー昇格の際に戦いたい相手として挙げていた明大との試合、感触は
個人的には、フィジカルバトルには手ごたえを感じましたし、球際の部分では圧倒できていた感覚がありました。一方、個人でデュエル、1対1を制すことはできまても、チームとして勝たないと何も意味がないので、非常に悔しい試合となりました。
ーー次節・国士館大戦への意気込み
勝つしかないです。今日のゲームは下を向くような内容ではなかったように感じていますし、然るべきところを修正して、中3日の連戦を万全のコンディションで臨めるよう、勝てる準備をしたいと思っています。