東海大戦から中2日、ホームで迎えたのは、前期リーグで4-4と激闘を繰り広げた強敵・筑波大学。霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース)やオノノジュ慶吏(政1・前橋育英)をスタメンで起用するなどフレッシュなメンバーで試合に臨んだ。なかなか決定的なチャンスを生み出せないでいる慶大は、59分に小野翔大(経2・慶應)を、77分には梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U-18)を投入するなど、下級生を積極的に送り込むも戦況は大きく動かず。88分には金鶴航輝(政4・成城学園/FCトリプレッタユース)が今季初出場と遂げるが、90分に試合を決定づける3点目を奪われ、0-3で試合終了。首位・筑波大相手に1点も取れないまま、第15節を終えた。
2025/10/6(火)18:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学0-3筑波大学
【得点者】
42分 筑波大 清水大翔(池田春汰)
62分 筑波大 山下景司
90分 筑波大 山崎太新
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 2 大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース) |
| → 45+3分 3 三浦成貴(商3・浜松開誠館) |
| 4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
| 27 霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| → 88分 15 金鶴航輝(政4・成城学園/FCトリプレッタユース) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
| 14 村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U-18) |
| → 69分 19 朔浩太朗(理3・学習院高等科) |
| 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
| → 59分 25 小野翔大(経2・慶應) |
FW | 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英) |
→ 77分 22 梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U-18) |
残留争いのライバル相手に3点ビハインドと追い込まれながら、驚異的な巻き返しを見せ勝ち点1を持ち帰った東海大戦から中2日、慶大はホーム下田で首位・筑波大との一戦を迎えた。1部残留・インカレ出場に向けて勝ち点3が欲しい中、中町公祐監督は右WGに村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬 U-18)、トップ下に辻野悠河(商4・暁星国際)と後期得点を挙げている4年生を、更にCFにオノノジュ慶吏(政1・前橋育英)、右SBに霜田晟那(理1・都立八王子東/FC 町田ゼルビアユース)と期待の1年生を起用。チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するため、積極的にメンバーを入れ替えて強敵に挑む。

好調の続く辻野
慶大最初のチャンスは4分。スタメンに抜擢された村井、霜田のコンビネーションで敵陣に迫りコーナーキックを獲得すると、ショートコーナーでサインプレーを発動。ペナルティーエリアの外から村井がファーサイドに巻くシュートを放つが、これはわずかに右に逸れ、先制点を挙げることはできない。

村井のドリブルでゴールに迫る
オノノジュ、辻野が2トップを形成する慶大の守備に対し、筑波大はビルドアップの局面でGK、SB、ボランチの一人がCBと共に3バックを形成して数的優位を確保。丁寧なパスワークでポゼッションを握り、サイドから慶大陣地に侵入を図った。一方、慶大のビルドアップでは、前進の鍵を握るダブルボランチの田中雄大(商 4・成城学園/三菱養和 SC ユース)と角田惠風(商4・慶應/横浜 F・マリノスユース)が徹底的にマークされる。どちらかがディフェンスラインに落ちてボールを受けると、前線の選手との距離が離れてしまい、クリーンなビルドアップを阻害される。この影響で、慶大は筑波大にボールを持たれる時間が長くなった。

存在感で相手を威圧した田中
それでもゴール前では高い集中力を発揮し、無失点のまま時間が経過すると、徐々に慶大がペースを取り戻していく。32分、中盤でボールを回収してビルドアップを開始すると、素早いパスワークで筑波大のスライドが間に合わないうちに左WG齋藤真之介(経4・桜修館/FC 町田ゼルビアユース)までボールを回す。齋藤真が相手と正対し、サポートに回った左SB永澤昂大(政4・國學院久我山)へパスを出すと、永澤がボランチ田中のワンツーからミドルシュートを放つ。しかしこれは相手GKの正面に飛ぶ。

スタメン起用の続く永澤
更に35分、CB斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガ F.C.U-18)からの楔のパスを受けたオノノジュが、相手を背負いながら右サイドにドリブルし、自慢のフィジカルとスピードでDFを振り切ってファーサイドへクロスを上げる。しかしこれも筑波大ディフェンスにクリアされ、どちらのチャンスも先制点には繋がらない。スコアレスでハーフタイムを迎えるかに思われた42分、遂に試合の均衡が破れる。慶大2トップの脇から慶大の守備陣形の内側にボールを通され、目線を中央に集められたところで右サイドに大きく展開されると、逆サイドへのクロスを折り返されてボックス内でシュートを打たれ、失点を許してしまう。

惜しくも失点を許した
なんとか追いつきたい慶大だったが、45分に試練が訪れる。自陣の守備で大下が負傷し、三浦成貴(商3・浜松開誠館)が投入された。三浦成は総理大臣杯以来1か月ぶりのCBとしての出場となった。そのまま前半はタイムアップとなり、善戦しながらビハインドで試合を折り返した。前半を1点ビハインドで折り返し、なんとか同点に追いつきたい慶大だが、相手にボールを握られる時間が続く。そんな中、52分、ボックス内で角田からのパスを受けた齋藤真がシュート。相手DFにブロックされたこぼれ球にすぐさま反応し、再びシュートを放つも、ボールは枠を大きく外れバーの上を越えてしまう。

初スタメンの霜田
59分、辻野に代えて小野翔大(経2・慶應)を投入。中盤でのテンポを変え、攻撃のリズムを生み出そうと試みる。しかし、その直後の62分、バイタルエリアでボールを受けた相手FWにうまく体を入れ替えられ前を向かれる。そこから鋭くポケットへ侵入され、ペナルティアーク付近にいた味方へとパス。受けた選手がダイレクトで放ったシュートをGK洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)が一度は弾いたものの、こぼれ球を押し込まれ、痛恨の追加点を許してしまう。

期待のかかる小野
68分、村井に代えて朔浩太朗(理3・学習院高等科)を投入。右サイドの攻撃に勢いをつけようとする。ビルドアップから丁寧に中盤をつなぎ、ボランチ陣が的確にサイドへとボールを散らす。サイドからはクロスを起点に何度もゴール前へ攻め込むが、筑波大DF陣の統率の取れた堅い守備に阻まれ、決定的な場面を作り出すことができない。

存在感を示したオノノジュ
77分、この日2試合目のスタメン出場となったオノノジュに代えて、梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U-18)を投入。前線に新たなエネルギーを注ぎ込み、攻撃の活性化を狙う。さらに88分には、齋藤真に代えて金鶴航輝(政4・成城学園/FCトリプレッタユース)を投入し、終盤にかけて一層の攻勢を強める。しかし90分、スローインの流れから右サイドをドリブルで突破され、最後はゴール前で押し込まれ痛恨の3失点目。あと一歩及ばず、試合の行方を決定づけられてしまった。

異色の経験を持つ梅野
試合はそのまま終了し、0−3で痛い敗戦を喫した。これで3試合連続の3失点となり、守備面での課題が改めて浮き彫りとなった。一方で、この日初スタメン出場を果たした霜田が攻守にわたり存在感を示すなど、新たな収穫も見られた。次節は、今節対戦した筑波大と首位を争う国士舘大学とのアウェイ戦。降格圏を抜け出すためにも、なんとか勝ち点3を掴んで帰りたいところだ。
(記事:髙木謙、小野寺叶翔 取材:愛宕百華、塩田隆貴、柄澤晃希、髙木謙、小野寺叶翔)
【試合後インタビュー】
♢金鶴航輝(政4・成城学園/FCトリプレッタユース)

リーグ戦初出場の金鶴
ーービハインドの場面での関東リーグ初出場、個人として試合を振り返って
初出場という場面で、途中交代の選手という立場なので何としてもチームに流れを持っていきたいなという一心で出場しました。
ーーベンチにいるときの選手たちへの声掛けは
自分自身ベンチ入りが今回で5回目なので、ベンチワークというところは常に意識しています。たとえ出ない選手でも、声をかけという部分は日頃から意識しているので、今日の試合もずっと声を出していました。
ーー中町監督から何か言われたことは
試合終了間際の交代だったので多くは言われていないんですけど、やっぱり僕が思っていた通り、何としても勢いを、技一点というところを手短に言われていました。
――次節、国士舘大戦への意気込みをお願いします
3連戦の最後の試合ということで、何としても後期の初勝利というものを掴みたいので、またチーム一丸となって準備していきたいと思います。
◇霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース)

リーグ戦初スタメンの霜田
ーー初スタメン・フル出場を振り返って
後期リーグが始まってからずっとベンチで先輩方の試合を見ていて、強度の高さに驚いていました。今まで終盤からの出場が続いていて、相手の体力が落ちてきている状態でギリギリ自分の思うようなプレーが出来ていたという感覚があったので、スタートから出て、相手がフルパワーで向かってくる中で自分のプレーができるかという心配がありました。ただ、プレー中は特に意識することなく自分らしさを出せたのではないかと思います。
ーー特に感触が良かったプレーは
積極的に攻撃参加をする部分だったり、1対1で相手に抜かれないという部分は上手くやれたと思います。
ーー首位・筑波大との対戦を振り返って
スカウティングの段階から個の能力が高いチームだという情報がありましたが、そういう相手こそ、自分の対人守備の強さであったり、数的優位を作って攻撃で崩すプレーが活きるのではないかと思っていました。首位だから、という部分は特に考えていませんでした。
ーー次戦・国士館大戦に向けて
国士館さんも2位につけていて、今日より更に強度の高い相手だと思うので、自分たちも明日の練習からもう一段階強度を高めて、フルパワーで試合に臨みたいと考えています。
◇オノノジュ慶吏(政1・前橋育英)

2連続でスタメンのオノノジュ
ーー2戦連続でスタメン起用されましたが、そのことについての受け止めは
今はチームに怪我人が多いという状況もあって、自分にチャンスが回ってきたという感覚です。
ーー前節はトップ下、今節は本職のCFでの起用となり、持ち味を発揮する場面も多く見られましたが、手応えはいかがですか
CFという自分の一番やりたいポジションを任されている以上、役割である点を取るという部分は絶対に果たさなければいけないと感じています。その中で結果としてゴールを決められなかったのは、自分として大きな課題だと感じています。
ーー関東大学選抜で韓国遠征を経験されました。そこで得られたものはありますか
大学サッカーのリーグ戦ではあまり出場機会のない1年生を中心に集められたメンバーだったんですけど、その中にも「この選手すごいな」と思う選手がたくさんいました。そうしたレベルの高い選手たちでも関東リーグに出られていない現実を目の当たりにして、自分ももっと力をつけないとやっていけないなと強く感じました。
ーー次節、国士舘大戦に向けて意気込みをお願いします
筑波大に続いて、上位のチームとやれるというところで、残留や上位を狙っていく中で絶対倒さないといけない相手だと思っているので‥ 今日の負けは切り替えて次に向けて頑張りたいです。