【バレーボール】王者に屈し、ベスト8で散る 近大戦 東海大戦

 ベスト4の壁はやはり厚かった。全日本インカレ準々決勝。直前の近大戦をフルセットの末なんとか勝利した慶大は大学バレー界の王者東海大とのベスト4をかけた戦いに臨んだ。しかし縮んだと思っていたその差は依然として大きなものであることを見せ付けられた。一度もリードを奪うことが出来ずセットカウント0-3での完敗。慶大の全日本インカレはベスト8でその幕を閉じた。

12月9日(金) 全日本インカレ @川崎市体育館

・近大戦

得点
慶大 セット 近大
25 21
24 26
22 25
25 18
15
 

得点を量産した岡田

 トーナメント4回戦の慶大の相手は近大。8月に行われた合同夏合宿では苦戦した、慶大にとってはやりにくい相手であった。迎えた第1セット、やはり両者譲らない展開となる。慶大はエース岡田(商2)が獅子奮迅の活躍を見せ着実に点を重ねていくのに対し、近大はクイックを多用したコンビバレーでブロックアウトを狙うといった構図で、序盤から互いにサイドアウトの奪い合いとなる。緊迫した試合展開の中、終盤の21-21の場面で流れが変わる。柳田(環1)の二段トスから岡田がバックアタック打ちきりリードを奪うと、ここでピンチサーバーの川村(環3)を投入。確実かつ効果的なサーブで流れを呼び込み、ここから3連続得点を挙げ、1セットを先取する。

 第2セットも序盤から競り合う展開。慶大はセッターの野口(環1)がトス回しで相手を翻弄し、早い攻撃で相手ミドルブロッカーを置き去りにする。山本(環3)との息の合ったクイックも連続で決まりだし、一進一退の攻防が続く。しかし、19-18と1点をリードした状況から近大にディグで粘られ、3連続得点を許し19-21と逆転されてしまう。慶大も前田優(環3)が再三の好レシーブを見せたものの、21-24と先にセットポイントを握られ、その後なんとか追いつくが結局このセットを24-26で落としてしまう。

 第3セット、慶大は2-4とリードされた場面で、山本が連続ブロックを決めるなど6-4と逆転に成功する。その後も岡田・柳田の両サイドで得点を重ねるものの、なかなか相手を突き放すことができず、逆に慶大にミスが目立ち始める。そして22-22の同点で迎えた終盤、慶大は柳田が相手の強烈なジャンプサーブに苦しめられ、2本のサービスエースを含む3連続得点を許してしまい、22-25で第2セットに続きこのセットも落とす。

気持ちの入った第5セット

もう後がなくなった第4セット。準々決勝に進み東海大への挑戦権を得るためにも、そしてなにより支え続けてくれた4年生とバレーをする時間を少しでも伸ばすためにも、ここからコート上の6人が奮起する。幸先よく1点目を柳田のスパイクで奪うと、ここから柳田は前のセットのお返しとばかりにスパイクを決め続けていく。間宮(政3)のサーブで近大レセプションを崩し、また星谷(理2)がこれまで手こずっていた相手の速攻をシャットアウト。このセットは慶大のメンバー全員が躍動して相手に付け入る隙を与えず25-18で取り、フルセットへと持ち込む。

 運命の最終第5セット。流れは最初から慶大だった。間宮・岡田のブロックが冴え、いきなりの5連続得点。この時点で近大ベンチは2回のタイムアウトを使い切ったため、その後の慶大の勢いを遮るものはもはや無かった。野口の的確なトス回しの下、慶大はこのまま一気に突っ走り、このセットを15-8で掴み、セットカウント3-2でこの試合を制した。仙台大戦に続き、まさに激闘であった。

・東海大戦

得点
慶大 セット 東海大
19 25
19 25
15 25

ベスト4の椅子をかけた一戦

 秋季リーグを制した東海大との一戦。第1セットは序盤から東海大にサーブで攻め込まれ苦しいスタート。ドリブルやホールディングなどのミスも出て5-10とダブルスコアとなってしまう。しかしここからレセプションこそ乱されるもBカットからの攻撃を岡田、柳田らサイドが打ち切りサイドアウトを重ね、相手に連続得点を与えない。逆に柳田のサービスエース、星谷のブロックなどで小刻みに連続得点を奪い、15-16と一時は1点差までつめよる。しかし簡単に逆転できる相手ではない。ここからすぐに切り返されると、慶大はスパイクミス、また星谷のクイックがディグされ3連続失点。直後にサービスエースを含む5連続失点をきっするなど終盤で突き放され、19-25。このセットを落としてしまう。

 第2セットも序盤から終始東海大にリードを許すかたち。岡田のスパイクミス、間宮がシャットされ1-3とリードを許す。序盤こそ相手ミスにも助けられこのまま2点差でついていくが、中盤は地力で勝る相手にゲームを支配される。特にこのセットは柳田のクロススパイクに相手リベロが完全にコースに入り、6本のスパイク全てディグされ、完全に攻撃を封じられる。ローテをリズムよくまわすことが出来ず19-25。このセットも落とし後が無くなってしまう。

星谷と野口のコンビ

 第3セットは4-4からスパイクミス、サーブミスで4連続失点をきっし、流れを完全に失ってしまう。その後も良いかたちで得点を奪ってもサーブミスで流れを断ち切ってしまい、リズムを作ることが出来ず。終盤に2度の4連続失点をきっするなどし、15-25。セットカウント0-3でストレートでの敗戦となった。

 この試合通してリードらしいリードは一度も奪うことが出来ず、まさに王者らしいバレーを展開され、完敗となった。秋季リーグでの同カードでの反省から、速いジャンプフローターサーブに対してのレセプションを練習し、一定の成果は得られたが、サーブで押される展開を変えることは出来なかった。この敗戦により慶大の全日本インカレの最終結果はベスト8。これで今年度のチームは解体し、新チームへ移行することとなる。レギュラーメンバーが全て残るということで、来年度のチームへの期待が大きいだけに、逆にプレッシャーのかかる代ともなる。そのプレッシャーをはねのけ、来年さらに上へ行くために。超えなければいけない相手として、ここで王者と対戦して得た経験を、3年生以下の選手達には今後の糧にしてもらいたい。1年後のインカレで、この日の敗戦の経験がチームの中で確実に活きているように。1年後にそう感じることが出来れば―。

By Takuma Furuoya, Hideki Tsubonuma

コメント

宗雲監督

(今日の試合を振り返って)まず近大戦はよく粘ってね。昨日の仙台大との試合もそうでしたけど、最後ひっくり返したので、ああいう試合を負けなくなったのは本当に力がついてきた、秋よりも力がついてきたなと思います。でもかたや東海大戦はもうサーブから全然質が違って、見ての通りサーブで押されて、Aキャッチが全然返らない中でサイド陣がつかまるっていうパターンだった。東海大なんかはコンビも含めてVリーグ並みの精度を持っているなっていうのは思いましたね。(慶大が東海大に対して通用した点は)うーん。ブロックはずっと秋からの課題だったんですけど、1対1での跳び方を変えて、アレンジして最近やってきていたので、そうしたことをゲームの途中で修正する力は付いてきている。まあ東海大より勝っているっていう点では無いですけどね。まあそうした修正能力っていうのは付いてきたので、相手のサイド、特にキャプテンの小澤選手に対してはかなり効果的なブロックの仕方が出来たので、それは少し通用したのかな。あとは岡田は東海大相手にも堂々と上からも打っていたし、個人的には十分通用していたと思いますね。(インカレ全体を総括していただいてベスト8という結果でしたが)まあトーナメントなので組み合わせにもよりますけど、足元もすくわれずに、木曜日から試合っていうこの新しいやり方で最初の広島大との試合から気持ちも乗っていたので、そうした意味では非常に波が少なくなった。結果はしょうがないですね。(来年以降のチームに期待することは)今日のように東海大とやって、東海大と良いゲームが出来れば良い、ようするに格上のチームに良いゲームが出来れば良い、それで満足感や達成感を持っているようなチームにはなってほしくない。そこにどうやって勝つかっていうことをこれから考えてやっていってほしいなと思います。

渋谷主将

(全日本インカレを振り返って)今回の全日本インカレは学生生活最後の大会だったから、振り返ると学生生活を全て振り返っちゃうくらい思いが強かった。運命的にも東亜学園時代の主将の小澤翔とできるというのは、こんな巡り合わせないと思うからうきうきしてたし、1回ブロックのチャンスがあったから、決められちゃったけど楽しかった時間かなというのはあるかな。振り返ると、本当に感謝の気持ちでいっぱい。出てたメンバー、応援してくれたメンバー、家族、先生方、監督、OBの方たち・・・とにかくいろんな人たちに支えてもらって、「ありがとうございました」っていう言葉に尽きるかな。とにかく「ありがとうございました」って一人ひとりに言いたい。(今大会はチームから絶対に負けないという気迫が伝わってきましたね)仙台大も近大も4年生が出てるし、相手の4年生の思いがすごい強いから、相手の粘りが上回ってたこともあった。慶應も後輩はどう思っているのかわかんないけど、3年生がすこしでも4年生のためを思ってプレーをしてくれていたということを信じたいと思う。マネージャー、スタッフ、上で応援している4年生のためを思って、ここは負けられないという気持ちで戦ってくれたと信じているし、だからこそここまで勝ったんだと思う。もちろん4年生への思いだけでなく、リーグ戦後からぐんぐんと成長してきているということも勝因だと思うけど。(東海大戦はいかがでしたか)まあ、一言でいうと力負けだね。そんな人生甘くないっていうのもそうだけど、スポーツも甘くないね(笑)本当に強かった。リーグ戦でも強かったけど、よりチームを固めて、サーブでもスパイクでもすべての面においてうちよりも1枚も2枚も上手だったね。後輩たちにはこういうチームを目指してほしい。こうやって身をもって体感できた訳だから、これを忘れずに。すべての面において、こういうやつらに勝たなければいけないんだということを常に頭に入れてこれからの練習、生活に臨んで欲しいな。(4年間を振り返って最も印象に残っていることは)ありすぎるからなあ・・・俺の場合はいっぱいあるんだよね。問題児から始まり、いろんな迷惑を俺より上の代の方たちにかけてきて。4年生で主将になって、たくさんの人に支えられてありがとうと言いたいね。いっぱいありすぎるけど、しいて言うなら、1番印象に残ったのは自分自身が出て活躍した今年の早慶戦。自分の代で勝利を掴み取った瞬間は、春高優勝をした瞬間とそっくりで、そういう面ではあの時応援してくれていたみんなで止めたブロックだったと思う。今振り返ると、すごい思い出のある試合だし、思い出のある1本だったと思う。(同学年の4年生にいま伝えたいことは)もう、「本当にありがとう」。いろんなところで傲慢にやってきたし、こんな主将をよくね、文句も言わずに(笑)しっかりと見守っててくれたな、と思う。やりたい放題やらしていただいたのに、みんながしっかりとついてきてくれたことは本当にありがとうと言いたい。今の若いチームがあるのは、4年生の周りの人間が見えないところで、本当にいろんなケアや陰の努力をしていてくれたからだし。だから後輩からも、そして俺からも全部含めて今の4年生にありがとうと言いたい。(最後に、後輩に期待することは)来年はぜひとも、そろそろタイトルを獲って欲しいなっていうのはあるし。でも、ちょっと意地悪だけど、男心としては、あんまりタイトルも獲って欲しくないというのもあるんだけど(笑)まあOBとして、引退した主将として見てもいいメンバーだから、ぜひとも優勝して欲しいかな。最後に、繰り返しになるけど、本当に今まで支えてくれてきたすべての人たちにお礼を言いたいです。ありがとうございました。

間宮

(全日本インカレを振り返って)できればもうちょっと上に行きたかったんですけど、やっぱりベスト4の壁は厚いなと感じました。(仙台大との試合は激闘でしたね)いやあ・・・ああいう試合を激闘にするのではなくて、普通にさらっと勝てるようなチームにならないと、やっぱり東海大とかの上のチームには対抗できないので。来季頑張っていきたいと思います。(東海大との試合は)全体的に違いを見せつけられたというか・・・付け入る隙はあるんじゃないかと思っていたんですけど、実際は無かったです。自分らもそういうチームにやっぱりならないと。(今年を振り返って)自分たちの力が通用するっていうことを感じた一方で、上位との差を埋めるためには考えて練習しなければならないっていうことがわかりました。来年は上位のチームに勝つためにはどういう練習をすればいいかを考えていく必要があると思います。(来年の目標は)タイトルを獲るということが目標なんですけど、今のままでは厳しいと思うので、頑張っていきたいです。

近大戦出場選手

セッター 野口剛志郎(環1)
レフト 柳田将洋(環1)
センター 星谷健太朗(理2)
レフト 岡田拓巳(商2)
ライト 間宮秀太(政3)
センター 山本悠登(環3)
リベロ 前田優介(環3)
途中出場 渋谷隆太(環4)
川村昌平(環3)
前田滉介(環2)
 東海大戦出場選手
セッター 野口剛志郎(環1)
レフト 柳田将洋(環1)
センター 星谷健太朗(理2)
レフト 岡田拓巳(商2)
ライト 間宮秀太(政3)
センター 山本悠登(環3)
リベロ 前田優介(環3)
途中出場 渋谷隆太(環4)
川村昌平(環3)
前田滉介(環2)

コメント

タイトルとURLをコピーしました