【バスケ】プロチームに敗れるも、最後は笑顔で4年生を送り出す vs兵庫ストークス

伊藤主将をはじめ、4年生にとっては、この試合が慶大でのラストマッチとなった

インカレでベスト8に入り、4年ぶりのオールジャパン出場を果たした慶大は、前日の1回戦で社会人王者の九州電力に勝利。続くこの日、2回戦で、NBLの兵庫ストークスと対戦した。試合は、外国人選手を2人擁するプロチームに力の差を見せ付けられる結果となったが、慶大も最後まで気持ちを切らすことなく戦い抜き、シーズンを締めくくった。

2015/1/2(金)@代々木第二体育館
第90回天皇杯 オールジャパン2回戦 vs兵庫ストークス
  1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 11 13 21 10 55
兵庫 25 25 31 16 97
◆慶大スターティングメンバー◆
PG #4 伊藤良太(環4・洛南高)
SG #19 西戸良(総2・洛南高)
SF #10 大元孝文(環3・洛南高)
PF #6 権田隆人(政4・慶應高)
#22 トカチョフ・サワ(環1・國學院久我山高)
 

慶大は、昨年のインカレで負傷した福元と黒木を欠く中、九電戦に引き続き西戸とサワが代役を務める。一方の兵庫は、昨季慶大と共に2部リーグを戦った#12松島良豪(国士館大)がスタメン出場。伊藤との1年ぶりのマッチアップが実現した。

自分よりも15cm以上も大きい相手とマッチアップしたサワ

自分よりも15cm以上も大きい相手とマッチアップしたサワ

試合序盤、身長と体格で上回る相手に対し、慶大はサワのスリーポイント、西戸のミドルシュートなど、外中心のオフェンスで対抗。だが、徐々にシュートが落ち始めると、リバウンドが拾えず苦しい展開に。ディフェンスでも、208cm・133kgの兵庫#32バッツにダブルチームを仕掛けるも、1人がハイポストに逃げて1対1の状況を作られ」(サワ)、上手く交わされて外のシュートを立て続けに決められてしまう。すると、5-25と点差は早くも20点にまで開く。だが終盤、サワの好ディフェンスから慶大にいい流れが生まれ、ブレイクからサワ、真木の連続得点が決まる。ラストプレーではサワの豪快なブロックショットで相手に得点を許さず、11-25で1Qを終える。

2Q、序盤に大元のジャンプシュートが決まるが、その後はディフェンスの圧力を強める相手に対し、シュートがことごとくリングに嫌われてしまう。ようやく真木のスリーポイントが決まるが、流れは変わらず。ターンオーバーからブレイクを許し、再び点差が20点まで開いた所で慶大がタイムアウトを取る。すると、直後に西戸がスティールから連続得点し、意地を見せる。さらに、ラストプレーで吉川のブザービーターが決まり、24-50で試合を折り返す。

得意のディフェンスだけでなく、得点面でもチームに貢献した西戸

得意のディフェンスだけでなく、得点面でもチームに貢献した西戸

3Q序盤は慶大ペースとなる。相手インサイドを複数人で封じると、オフェンスでも西戸、権田が連続得点。西戸のスティールから権田に長いパスが通り、速攻が決まる。続けて、西戸がバスケットカウントを決め、36-55となった所で兵庫がタイムアウトを請求。すると、流れは一変、そこから今度は兵庫に連続得点を許してしまい、36-66とこの試合最大の30点ビハインドとなる。だが終盤、伊藤がこの日初得点となるスリーポイントを決めると、そこから3連続得点を決め、45-81と何とか点差を縮めて3Qを終える。

4Q、慶大は伊藤、吉川、中村、権田、山崎哲の5人でスタート。メンバーの4年生4人が出揃う形となった。その4年生がこれまでの集大成を見せるべく奮闘を見せる。伊藤が得意のスリーポイントを決めると、吉川も24秒ギリギリの所でジャンプシュートを決める。中村は外国人選手相手に好ディフェンスを見せ、権田もリバウンドに飛び込み、フリースローで得点。各々が持ち味を発揮し、会場を沸かせた。その後、中島一、後藤、桑原も出場を果たし、怪我人を除くメンバー全員がオールジャパンの舞台に立った。終盤には、サワが兵庫#33ナイトと1on1のような形でやり合う場面もあり、バスケットカウントを含む連続得点を決めるなど、来季に繋がるプレーも見せた。試合は55-97と大差での敗北となったが、終了のブザーが鳴るまで戦い続けた慶大に、会場からは惜しみない拍手が送られた。

この1年、慶大は今年から新たに就任した阪口HCの下、選手主体のチーム作りを行ってきた。阪口HCは新チーム始動当初から、チーム全体でのコミュニケーションの必要性を説き、それを浸透させるべく、夏合宿では1週間携帯使用禁止という荒療治も行った。その甲斐あってか、チームは、今年の目標である「早慶戦の勝利、1部残留、オールジャパン出場」(阪口HC)を全て成し遂げることが出来た。そして、シーズン最終戦となったこの試合も、プロチームの強さをメンバー全員が感じることが出来、チームにとっては大きな財産となったに違いない。来年は、「学生スポーツを引っ張っていく」(阪口HC)存在となるべく、学生主体をより深く追求し、チームとしてさらなる成熟を図る。

また、この試合をもって、4年生は引退となった。その目には涙はなく、最後までやり切った充実感が感じられた。今年の4年生は、下級生の時にリーグ戦2部降格、3部との入れ替え戦を経験し、3年目に悲願の1部昇格、そして4年目にして初の早慶戦勝利とオールジャパン出場を果たすなど、まさに激動の4年間を過ごした代である。中でも今年は、「チームが右から左に大きく変わり」(阪口HC)、まとめる立場の4年生にとっては、チームを1から作り上げなければならず、大変な苦労があったに違いない。しかし、そんな中でも、「バスケットを楽しむ」(松村学生コーチ)姿には今の4年生らしさが溢れていた。その姿勢はきっと、後輩達にも受け継がれていくことだろう。

◆試合後コメント

阪口裕昭HC

みんな納得出来た試合なんじゃないかなと。タラタラと試合をやって負けるんじゃなく、もう大人と子供の試合だったので。それはプレーしてた彼らが一番分かったと思います。いい経験になったと思います。(インサイドへの指示は)あんなに大きな相手とやる機会は滅多にないので、守り方だけはちょっと言ったんですが、後はもうね。やっぱりバスケットボールって点数を入れ合うスポーツなんで、守りよりも攻めなんですよね。向こうの方がシュートも入るし、プレーもやはりきちっとしてますから。ただ一番感謝しているのは、彼らが本当に一生懸命プレーしてくれていたんで、本当に有り難かったですね。(こういったタイミングでプロと戦えたことは、下級生にとって大きいか)大きいですね。だからこそ、向こうには申し訳ないけど全員出させてもらいましたし。やはり当たりも全然違いますし、いい経験になったんじゃないかなと思います。(就任1年目のシーズンを振り返って)4年生には、この前インカレが終わった時に感謝の意を述べたんですが、今年の目標が早慶戦の勝利、1部残留、オールジャパン出場だったんで、全部叶ってるんですよね。なので、インカレが終わってオールジャパンに向かう時、どうやって過ごそうとみんな思ってしまって(笑)。みんな経験のないことなので、練習を間引いたりしながら…ただ延世大との定期戦があったんで、そこだけはしっかりやろうという話をして。結局延世にも勝てましたし。彼らも面白かったんじゃないかなと思ってます。(就任当初から、選手の自主性という話をされていたが)4年生は、本当に大変だったろうと思います。チームが右から左に大きく変わったんで、彼らも色々悩んだりしたんでしょうが、本当にうまくやってくれたと思います。よく冷静にチームを率いてくれたなと。100点満点ですよね。(1年を通して、伊藤主将や吉川副将に言ったことは)やはり今年は去年までのチームスタイルとは全然違うので、チーム全員で、って部分をどう彼らがやるかですよね。今までは、バスケットボールが上手な選手が大将だったんですが、それは僕の哲学とは違うんですよね。そこをこのチームでどう落とし込むかっていうことを1年間言い続けてきたんですが、それをバスケットボールで実現しようと。みんながどう思ってるかは知りませんが、こちらは大真面目なので。だいぶ伝わったんじゃないかと思いますね。それと、今年はこれまで顔を出してなかったようなOBが見に来てくれるようになったんですよね。それはすごく嬉しいことですし、何より学生が一番喜んでるんですよ。そういうことが段々浸透してくると、面白くなるんじゃないですかね。メンバー見てもらっても分かりますが、ウチが1部に残るのは命懸けですから。なので、勝ち負けもそうですけど、それにプラスして応援されるチームを作らないといけないなと。学生スポーツはやはり、勉強や生活や就活なんかもしっかりやらなければならないですからね。(今年でその考えもある程度浸透したと思うが、来年のことは考えているか)来年再来年は、やっぱり上げていかないといけないですよね。やはり哲学をスポーツの世界に落とし込むのはやはり難しいですが、それをやらないと良くならないですし、みんなに応援してもらえるようにはならないので。我々は学生スポーツを引っ張っていかなければならないと大真面目に思っているので、まだまだ時間はかかるでしょうが、命続く限り頑張って行きたいなと思います。

※選手のコメントは、別途後日アップ致します。

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