【野球】 早慶戦直前! 早慶戦のみどころ

ケイスポ野球記者が送る!早慶戦みどころ!

慶大、11季ぶりの優勝へ

早慶両大学の六大学野球ファンにとってこれ以上、しびれる展開はないだろう。早慶相星決戦、すなわち勝ち点をとった方が優勝である。激戦必至、大混戦の今季リーグ戦のトリを飾るにふさわしい激闘の幕が今、開けようとしている。

投手陣:経験の早大、勢いの慶大

早大の投手陣の充実ぶりが際立つ。合計で早慶戦通算8勝という斎藤・福井優・大石の4年生トリオがそろっている。特に、ここまで防御率1位につける福井、2位につける斎藤の安定感は抜群。明大戦ではまさかの大乱調となった大石も、法大戦では完ぺきなリリーフを見せるなど、調子は上向き。他に、4年生の池下や3年生左腕の大野健、1年生の横山・小山田らも控えるが、早慶戦でも1回戦の先発が斎藤、2回戦の先発が福井、そして抑えに大石、という経験豊かな3人を中心とした布陣で臨むのはほぼ間違えない。

1回戦の先発 が予想される竹内大

一方の慶大。開幕前は未知数と言われた中、竹内大・福谷の両2年生が奮起。竹内大は東大1回戦で慶大では21年ぶりとなるノーヒットノーランを達成するなど、ここまでリーグトップの4勝を挙げている。他方、福谷も法大2回戦で完封勝利をあげたのをはじめ、明大戦では抑えに回るなどこちらも大車輪の働きを見せる。さらに、1年生ながらリリーフエース的役割を担う山形、4年生田中宏らを含め、投手陣は今、まさに勢いに乗っていると言えるだろう。とはいえ、早慶戦での登板経験のない竹内大・福谷の2人が初めての早慶戦のプレッシャーをはねのけ、自分の力を出し切れるかが気がかりなところだ。

野手陣守備力は互角、攻撃力で慶大有利か

まず注目したいのが守備力。失策数は慶大が2、対する早大も3、と両チームとも堅実な守備が光る。この失策数は他の4大学と比較してほぼ半分以下の数字であり、両チームの守備力の堅さこそが、優勝戦線に残ってきた大きな要因と言えるだろう。

打撃力の関しては今季も慶大の方が上か。早大より2試合多いとはいえ、ここまで長打の数は早大のほぼ2倍、加えてチーム打率も早大より2分ほど高い。さらに、早大打線が2安打に抑えられた明大・野村を見事に打ち崩したのも、また、法大・三嶋から唯一の得点を挙げたのも慶大打線である。以上の点から打撃力においては慶大に一日の長がある。裏を返すと、この打線こそが慶大の生命線となってくるだろう。

早大で特筆すべきなのが、選球眼の良さと足の速さ。選んだ四死球の数は慶大より2試合少ないにも関わらず、慶大とほぼ同じ数であり、盗塁に至っては慶大の3倍にあたる15を記録している。法大2回戦でも相手の失策に乗じた1点のみに終わり、打線の調子が上がってこない早大としては、粘って四死球を選び、足でかき回して行きたいところだろう。

ケイスポ的勝負のポイント見せろ四年生の意地!

今や六大学最強と言っても過言ではない早大投手陣。これを打ち崩すのは強力慶大打線と言えど容易なことではないだろう。だが、慶大にも有利な点はある。まずは、打線が好調なことだ。先日の試合ではエース野村を筆頭とする明大投手陣を長打攻勢でねじ伏せた。また、昨季の早慶戦では斎藤・福井優・大石のいずれも打ち崩している。そのため、3人に対するやりづらさはあまり感じてはいないだろう。そしてなにより、慶大打線には下級生から試合に出場してきた4年生が多くを占める。斎藤を筆頭とするハンカチ世代と同学年に当たるこの4年生こそ、宿敵・斎藤の前に最も苦渋を飲んできた学年と言える。過去数年で慶大が最も優勝に近付いている今回、最も悔しさを味わってきた4年生が、またも立ちはだかる宿敵の前に黙っているはずがない。

そこでキーマンとなってきそうなのが髙尾康。リーグ戦後半になって調子をあげてきた4番の伊藤、明大戦で大活躍の6番・松尾のマークが厳しくなるのは避けられず、そうするとその間を打つ髙尾康での勝負を早大投手陣が選択する可能性も高くなる。チャンスの場面で髙尾康が期待に応えられるか、これが慶大勝利へのカギとなってくるだろう。

一方、早大でキーマンに挙げられるのは土生だ。打率はそこまで高くないものの、ここまでチームトップの7打点、勝負強さが光っている。首位打者の1番・渡邊侑が出塁、その渡邊侑を得点圏に置いた状態で土生を迎えるようなことになると、慶大投手陣はやっかいだ。この土生を前に走者を置かないこと、これが早大打線封じのポイントとなる。

そして、接戦になることが確実視される早慶戦、終盤のベンチワークも大きな見どころである。今年で6年目、早慶戦を幾度となく制してきた早大・應武監督、就任1年目ながらプロでも長年、コーチを務めてきた百戦錬磨の慶大・江藤監督がそれぞれどのような采配を振るうかにも注目だ。

1回戦は5月29日(土)13:00、プレイボールとなっている。

by Michio Ikezawa

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