3季連続5位と低迷が続いていた慶大。しかし今季は勝ち点4を挙げ、8勝2敗で現在単独首位につけている。東京六大学野球春季リーグ戦も残すは5月30日、31日に行われる伝統の早慶戦のみとなった。対するワセダは現在勝ち点1、3勝6敗。宿敵との大一番が目前に迫る。
第7週の明法戦で明大が法大に2連勝したことで、慶大の優勝の行方は早慶戦での勝ち点獲得に委ねられた。5季ぶりの頂点、そしてワセダ撃破へ。そこでケイスポは“優勝の懸かった早慶戦”に挑む選手たちにインタビューを行った。今回は吉野太陽(法4・慶應)です!(このインタビューは5月20日に対面で実施しました。)
――オープン戦も含めてここまで個人として、またチームとしての手応えは
個人として、シーズン前は結構良かったんですけどね(笑)。今は、何とかギリギリ持ちこたえているという感じです。チームとしては、(3月29日に行われた)社会人対抗戦でとんでもない試合をして、そこで良くないところが全部わかって、チーム全体がいい方向に向かっている感じがしました。社会人対抗戦時点では、一気にエラーが出てしまうとか、ビックイニングを作られる回があり、それがあればあるほど負ける確率が高くなるので。逆に自分たちはビックイニングを作れていなかったので、リーグ戦でそれをしっかり作れているというのは勝てるようになった要因かなと思います。
――昨季は打撃が不振に。不調の間に学んだことは
技術というより、やっぱりみんなに支えてもらっているなということですね。あれだけ打てていなかったですけど、みんなの応援や支えを一番感じられた期間でもありました。また、打撃面での不調を守備や他のことに引きずらないようにできたことが成長かなと思います。
――慶應の複数の選手が今季一番印象に残っているプレーとして、吉野選手の明大3回戦での今季初安打を挙げていた
まさかあそこまで打てないとは思っていなくて。技術的に何か改善したというヒットではなかったので、本当に一生懸命やった結果でした。みんなが「本当によかったね」とか「ここからだね」と言ってくれました。
いつも室内で練習している木下啓吾(経2・米子東)が「ホッとした」と言っていたのを聞いて、それが一番心に残っています。「あいつらのためにも打ててよかったな」と思いました。あの試合も社会人対抗戦みたいな入りをしてしまって、最初は「やばい」という空気はあったのですが、それを引きずる感じもなく「絶対やり返せるぞ」という雰囲気を作れていたので、あの試合で勝てたのは大きかったなと今振り返っても思います。
――明大3回戦から一気に安打数が増えたように思うが、好調の要因は
やっぱり一本出て、気持ち的にも楽になりました。あの試合で技術的にも良いところを見つけることができて、見直すべきところは修正して、東大戦でいい感じに稼げたのでよかったです。
――反対に、今季一番悔しい思いをした試合は
あんまりないですね。今まで、自分の内容は良くなかったけれど勝った試合とかが多くて。今シーズンはあんまり悔しい思いはそんなにしていないかもしれません。でも、立大戦では2戦ともみんな打っていたのですけど、僕だけ打てなかったりして。チームが勝って嬉しいのですけど、自分は何もできていないなという気持ちはあったので、立教戦は辛かったですね。
ずっと堀井監督には「次のプレーだけを考えろ」と言われていて。結構ミスや打てないことを引きずるタイプというか、それがずっと課題だったのですが、今は逆にそういうのを一切考えないようになった。自分じゃなくてチームの勝ちだけを意識するようにしてからは、その辺りは改善されたと思っています。大事なことだなと思います。
――打順が固定されてきている中で、打席での意識は
打てるバッターが上位にいてくれるので、自分が決めようとは思っていません。バントで進めたり、フォアボールを取ったりすることもすごく大きいなと感じられたシーズンです。「自分で決めよう」じゃなくて、「チームの勝ちに貢献するだけでいい」というのは常に意識していることですね。
――ここまで単独首位で優勝に近づいているが、この結果はシーズンに入る前に予想していた
これだけを考えていたので、割と予想通りというか。「できる」という自信もあったので、予想通りといったら予想通りです。でも、目標はここのリーグ戦で優勝することだけじゃなくて、もっと先々を考えているからこその「予想通り」ですかね。
目標は「四冠」と言っているので、リーグ戦で一個一個取るのももちろん当たり前だと思っているし、まだ始まったばかりという気持ちがあるからこそ、ここまで順調に来ることができているのかなと思います。
――守備での強みは
やはり送球は全部絶対捕ってやろうと思っているので、そこはすごく意識して練習しています。捕ればアウトのことも結構多いですし、野手のエラーも減らせるので。その点に関しては割と及第点かなと自分では思っています。
技術も大事なのですが、ミスを引きずらない気持ちがなによりも大事だと思います。とにかく目の前のプレーに集中して、チームの勝ちだけを意識するというのを練習でもやっています。技術的には、「一回一個アウトを取る」ということをみんなで言っています。ゲッツーを取りに行って急いで一個も取れないというのは無しにしようと。「70点、80点のプレーをとにかく続けていこう」ということは練習でも意識しています。
――個人として、今季ここまでの成績はどのように捉えている
やっぱりチームの勝ちが一番なので、これだけ勝てているという点では良いのかなと思っています。ただ、一人の野球選手としては、打率や打点など記録的にはまだまだだともちろん思っています。
――リーグ戦は残り一戦となったが、そこで狙うのは
とにかく2連勝して、できれば日曜日にパレードして。今まで色々と期待していただいた人たちのために、この春は絶対優勝したいです。自分はなんでもいいので、とにかく2勝したいですね。
――ご自身では、チーム内ではどのような立場や役割だと思っていますか?
幹部でもないですし、割と自由にやらせてもらっています。僕としては立場はいらないと思っていますが、勝つために必要なことがあれば言うというスタンスで自由にやらせてもらっています。
練習の中では、さきほどの「70点、80点のプレー」という点を声掛けたりはします。
「練習の質を上げよう」とかは他の奴が言ってくれるので、もちろん自分がやるのは前提ですが、思ったことがあったら言う感じです。
――今年のチームの強みは
チームとしての選手の一体感というか、スタンドもスタッフも含めての一体感が強みです。打ち出したら繋がったりとか、大事なところでアウトを取り切ったりして勝ち切れているのは強みかなと思います。
――「結果を出して恩返ししたい」と思う人は
もちろん親とおじいちゃんおばあちゃんもですが、外丸(外丸東眞=令8環卒)さんですね。ずっと仲良くさせてもらっています。今でもご飯に行ったりしますね。アドバイスも色々もらったりしています。野球との向き合い方みたいな話をたくさんします。これまで、外丸さんがあれだけ投げてくれている中で全然勝てないシーズンも多かったです。「何回も助けられているのに、助けてあげたことがないな」とずっと思いながらやっていましたが、去年は自分も思うようにいかなくて。
もう直接助けてあげることはできないですが、勝って喜んでほしい人ではありますね。外丸さんからは、「練習することが正義じゃない」という考え方を学びました。結局結果の世界なので、「練習していることが、自分にプレッシャーをかけて自分の結果を出すことを妨害しているんだったら、もうちょっと考えたほうがいいよ」ということや、「もっと楽な気持ちでやれたほうがいいんじゃないか」とか。そのおかげでちょっと楽になってきました。
――早慶戦へのチームの雰囲気は
早慶戦で優勝を決められることは嬉しく思っています。今まで何回も悔しい思いをしてきた相手なので、それは逆にいいなという雰囲気はあります。
――個人としては、ワセダをどのように攻略する
大事なところで一本出るか、という試合になると思うので、その一本を自分が打てれば一番良いですけど、そうじゃなくても誰かが打てるような声掛けとか雰囲気作りとかを意識したいです。
――仮に優勝となれば、全日本選手権への出場も見えてくる
四冠と言っている以上は、リーグ戦と同じ扱いとしてとらえています。この大会でも一個一個とれるように頑張ります。
(取材:片山春佳)


