8月29日18時からアミノバイタルフィールドで行われる明治大学との関東学生アメリカンフットボール連盟秋季リーグ初戦を目前に控える慶應義塾大学UNICORNS。秋季リーグ開幕直前企画第1弾では、今後さらなる成長が期待されるLB・井口知治(政2・慶應)、DB・西田悠真(政2・慶應)、DB・三田晃暉(商2・慶應)の3選手に焦点を当てる。互いのプレースタイルや強みを語り合ってもらうとともに、普段の関わりや夏の取り組み、秋季リーグに向けた意気込みについて、対談形式で話を聞いた。
ーー他己紹介
三田→西田
三田:西田はやっぱりストイック、自分に甘えることなく、どんな面倒くさいメニューでもちゃんと取り組みます。プレースタイルは派手ではないけど、自分の仕事を全うするプレーヤーで、日常は結構ケロッとしてるけど、アメフトに入るとビシッとちゃんとやる、スイッチの入るタイプです。
井口→西田
井口:西田は高校の時も高2の春から試合に出ていて、大学でも2年の春からバリバリスタメンで出ています。コーナーバックというポジションに愛されているということを僕は言いたい。
西田:なるほどね
井口:もちろん彼の努力がベースになっているけど、コーナーバックの神様に好かれていると思います。
ーーどんなところからそれを感じるか
井口:体とかも、ここ3人そうですけど恵まれているわけじゃないけど、西田は基礎的なところがちゃんとしているし、特にコーナーバックはヒットがあまり強くない人が多いけど西田は体重もあって、基礎にこだわって練習しているからそこを生かせていると思います。

西田→井口
西田:井口は高校からアメフトしてきて、基本井口はすごく幼稚なんですけど、高3くらいからすごく落ち着いてきて、アメフトへの愛がすごいです。いっしょに飯行くときもHudl(スポーツの映像・データ分析ツール)で自分のプレーを見返したりしていて、アメフトに懸ける想いがすごく強いと思います。アメフトに対してはめちゃくちゃ真面目、私生活とかでは不真面目さがちょっとあるけど(苦笑)、アメフトには本気です。成長度合いも外から見ていて感じていて、春も活躍していたと思いますし、これからもっと成長していく選手だと思います。
三田→井口
三田:井口はたしかに自分に甘いし、幼稚だけど(苦笑)、スイッチが入るとヒットも強いし、相手を奥に倒すことしか考えていない。一心不乱にボールキャリアーに向かって走っていくタックラーですし、ディフェンスだけじゃなくキックも良いし、春も何回もいいタックルしていいカットもしていたので、秋も期待したいです。
西田:井口はディフェンスだけじゃなくキックでの貢献度も高くて、いろんなキックで出ていて、そこもすごい選手だと思います。

井口→三田
井口:ここ全員塾高ユニコーンズ出身なんですけど、三田は高校時代はオフェンスをやっていて、大学になってからディフェンスバックに転向した形です。もちろんオフェンスとディフェンスは全然違うポジションで、そもそもワイドレシーバーというのは縦に真っ直ぐ走るけどディフェンスバックは後ろ向きに走って相手をカバーしなきゃいけないので、体の使い方が真逆なんですけど、ディフェンスバックでも特にマンツーマンとかにセンスがあって、春も最後の方試合に出ていて、DB歴は1年半も経っていないけど、すごく頑張っている印象です。何よりも印象が大きいのが三田くんのパントリターンが得点につながる、エースみたいなプレーヤーで、三田は体の大きさや足の速さに恵まれているわけじゃないけどスルスル抜けていって春もタッチダウン取っていたので、リターナーのスペシャリストとして欠かせない一人です。秋、オフェンスが苦しいときもパントリターンでタッチダウン取って慶應に流れを持ってきてくれると思います。
西田→三田
西田:レシーバーからディフェンスバックにスムーズにコンバートできたのは、根底に戦術理解度の高さがあると思います。しっかり考えながらプレーしているところが、同じディフェンスバックとして尊敬できます。リターナーとしても、ブロッカーを使ってリターンするのがうまくて、三田くんは幼稚舎のフラッグフットボールからやっているのでそこから培われている戦術理解度が彼の強みだと思います。

ーープライベートの関わり
西田:グラウンドでも練習終わった後にDBは仲良くてポジションでまとまっていることが多いです。
三田:井口はよく映画観に行くよね
井口:塾高ユニコーンズに入った時に最初に仲良くなったのが三田だったので、よく遊んでました。あと三田はゲーム仲間で、高校の時はオーバーウォッチとVALORANTというゲームを週何回もずっと夜やっていました。
西田:井口くんとは、練習後井口くんの家に行ってくつろいでます。
井口:日吉にあるから人がいっぱい来ちゃいます。
ーー2年生はどんな学年か
三田:1個下の代はみんなワイワイしていて、ずっといっしょにいる代ですけど、ぼくらの代は割と大人しいやつが多いです。グラウンドでめちゃくちゃ声を出すわけではないけど、淡々と自分のやることをこなすタイプで、自分の仕事をやる面でポジション単位で仲の良い代だと思います。
井口:1個下とか1個上は幼稚舎出身が多くて、ぼくらの代は選手だったら三田だけで、4学年でたぶん一番少ないので、高校時代も他とは違う雰囲気の代でした。個人個人仲良くて、意外と真面目な代だと思っています。
ーー西田選手、「コーナーバックに愛されている」と井口選手から紹介があったが、自信を持っているところ
西田:正直に言うと自分が自信を持っているところや長所はあまりなくて、体も小さいし、スピードもトップレベルにあるわけではないし、その中で自分がなんとか試合に出ることができていた理由としては、与えられた役割をしっかりやることを意識してきたからだと思っています。コーナーバックの役割をとにかく全うすることと、全うするために何をすべきかということを常に考えることを意識しています。

着実なプレーが持ち味の西田
ーーやるべきこととしてはどんなことを意識しているか
西田:ディフェンスバックは最後の砦で、自分が仕留めないとタッチダウンまでつながってしまうので、最後の砦として相手を食い止める意識はあります。
ーー三田選手、高校時代のレシーバーから大学でのディフェンスバックへのポジション変更に至った経緯と意識したこと
三田:幼稚舎、普通部では、フラッグフットボールをやっていて、小中ではずっとディフェンスバックでレシーバーはやったことがなくて、フラッグ時代にDBをやっていたからDBをやりたい気持ちが高校時代もどこかありました。大学では好きなポジションをやっていいと言われていて、レシーバーは10何人いて、DBになっても迷惑をかけないと思ったので、DBを志願しました。西田とか塾高出身のDBたちは基礎が成っていてちゃんとできるので、自分もとにかく基礎を刷り込むことを意識していました。オフェンスの止め方はビデオを見ながら役割を勉強してきました。
ーーパントリターンと戦術理解度に特長があると西田選手から紹介があったが、自身ではどう考えているか
三田:パントリターンはさっき西くん(西田)も言ってくれたようにブロッカーを使うのが得意だと思っています。すごく足が速いわけでもないし、キレキレのカットを踏めるわけでもないからこそ、チームメイトを利用して走ることを高校時代から意識していたので、それが大学になって出ていると思います。戦術理解度については、レシーバーやっていたからこそ「レシーバーがこう走ったらこっち行くだろう」というのが染み付いていて、プレー中に考えることを自分の中で意識しています。学生コーチのようなプレーの理解度というより、動きの理解度が高いと思っています。だからこそ井口が言っていたけどマンツーマンでもたまにパスコースが分かることがあって、1on1の強さが出ていると思います。

青学大戦でパントリターンTDを決めた三田
ーー井口選手、タックルに加えキックも得意だとふたりから紹介があったが、自身ではどんなところが強みだと考えているか
井口:僕のやっているLBは、簡単に言うとスイスのアーミーナイフみたいで、鍵開けられたり、ドライバーとかカッターとかがついているマルチ機能のナイフがあって、要はLBってそういうポジションなんですけど。
西田、三田:(笑)
井口:たとえばディフェンスバックだったらランプレーの貢献度があまり高くないけど、LBはランプレーだったらランニングバックにタックルしなきゃいけないし、パスだったらしっかり下がってゾーンを守らなきゃいけないし、あとブリッツというのもあって、DLがパスのときにパスラッシュするのと同じようにLBもパスラッシュしなきゃいけないときがあって、求められることが多いポジションだと思います。ぼくは一つの能力が突出しているとは思わないですけど、パスカバー、マンツーマン、ブリッツ、ランを止めるという4つがバランスよくできているのが強みだと思っています。それと素のスピードがめちゃくちゃ速いわけではないけど意外とスピードが強みだと思っていて、感覚を活かして相手のプレーを読んで体を動かすのは得意です。

鋭いタックルと安定したプレーが持ち味の井口
ーー参考にしている先輩
西田:ぼくは3年の同じポジション、コーナーバックの新井田(=丈郎(商3・慶應))さんです。新井田さんはアメフト面でも性格的な面でも尊敬していて、アメフト面ではぼくと新井田さんのプレースタイルが似ているので、高校の時からお手本にしていて、大学でも引き続きお手本にしています。性格面では周りを巻き込んで楽しい雰囲気をつくるところが尊敬できるところで、自分は周りを見られていないことが結構あるので、周りを巻き込めるところは見習いたいです。
三田:自分は去年引退した小島陽生(令8経卒)さんです。陽生さんもレシーバー出身で、ぼくと似ているところがあって、嗅覚とか感覚派だし、それに加えてアメフトの理解度も高いので、小さい体ながらヒットも強かったですし、自分と背景が似ていることもあって尊敬していました。
井口:やっぱり去年の主将の横手謙太朗さん。まずアメフト以前にマインドの話をしたいんですけど、大1、大2の頃はちょけキャラ(お調子者)だったらしいんですけど、大2の途中から変わって、大3でディフェンスリーダーになって、大4で主将になりました。自分との向き合い方がうまいと思っていて、ぼくはできてないんですけどメンタル面は本当に大事だと思うので尊敬していて、プレー面はオールラウンダーなところはぼくも目指したいですし、タックルはぼくの課題なので見習いたいと思います。

西田が参考にしていると語った新井田
ーー夏の期間、ポジションごと、個人でどんなテーマを持って取り組んでいるか
西田:DBとしては、秋シーズンに向けていろいろな大学の対策をしていて、どの大学も色や個性があって、レシーバーの特徴や戦術も違う中で、それぞれに合わせた練習メニューや必要なテクニックに取り組んでいます。個人としては、自分が春に試合に出た時にマンツーマン能力の課題を感じて、ステップだとか目線だとか手の使い方だとか、本当に細かいところから見直す必要があると思っています。シーズンに入っちゃうと細かいところに目を向ける時間が無くて、対戦相手に合わせた練習になるので、マンツーマンのテクニックを意識して練習しています。
三田:DBとして西田とは違う視点で話すと、DBは30人以上いる中で4年生が1人しかいなくて、3年生だけじゃなくて2年生も1年生も全員がリーダーシップを取らなきゃまとめられないからこそ、1人がサボってそのマイナスの空気が30人全体に広がっちゃったらDBで負けてしまうので、一人ひとりが危機感を持ちながらやっています。30人全員で練習するのではなくて、3分割して練習することが多くて、2年生も上級生に対して指摘しながら、当事者意識を持ってリーダーシップを取っています。あとは、春はDBで勝った試合がほとんどなかったので、DBで勝つことを目標にやっていきたいです。個人としては、春試合に出てフィジカルが足りないと感じていて、ヒットする瞬間にビビっちゃう自分がいるので、今はとにかく自分からヒットしにいくことを意識しています。あとは試合になると緊張して視野が狭くなるように感じたので、練習から視野を広くプレーできるようにも意識しています。自分はリターナーとフィールドキックやパントキックのスナッパーもやっていて、責任の重い仕事をやらせてもらっているので、緊張しちゃうけど緊張に負けないように、練習から試合だと思ってやることも課題としています。
井口:LBとして取り組んでいるのは、まずはファンダメンタルにこだわることです。ヒット、タックル、シャッフルという3つの大きな基礎があるんですけど、シーズンに入っちゃうと毎週対戦相手に向けて練習するので、夏休みの最後に基礎の再構築にこだわっています。ぼくはマイクLBというポジションで、1個上は2人で2個上は1人しかいなくて、ぼくらの代だけ5人いるんですけど、少数精鋭にするために一人ひとりのファンダメンタルをもう一度つくり直してレベルを高くすることに取り組んでいます。個人としては、アメフト面では結局LBはタックルが大事で、春シーズンはタックル能力に納得できないことが多かったので、タックルの能力を上げて1on1にこだわっています。グラウンド外では、ぼくは体が弱いのでちゃんとケアをすることを夏は大事にしています。熱中症対策で家に帰ったらすぐにコールドシャワーを浴びて、扇風機の前で15分座ることと、整骨院や鍼にも行っています。アメフトはけがしちゃうと何もできなくてもったいないので、そこは意識しています。
ーー最後に、お互いにリーグ戦で期待すること
井口:三田は、全試合パントリターンでビッグプレーを起こしてほしいと思っていて、オフェンスとディフェンスが注目されがちだと思うんですけどキッキングは本当に大事で、流れでメンタルも持ってこられるので、毎試合パントリターンでビッグプレーを起こしてもらいたいと思っています。西くんは秋もコーナーバックで出場すると思うので、1on1全部ロックダウンしてもらいたいです。「パスについては西田がいるから警戒しなくていいな」という気持ちを持てるくらい、相手のレシーバーを鎮めてもらいたいです。
三田:井口に期待するのは、2列目を超えさせない、DBまで到達させないくらいのタックルです。すべてのタックルを一発で止められるくらい強いヒットをしてほしい。井口は頭脳派というわけじゃないからこそ、自分を信じて突っ込んで、サードダウンショートを止めるタックルだったり、フォースダウンで止めるだったり、ゴール前で行かせないような一回が重いタックルに期待したいと思います。西田は仕事人なので、派手なプレーヤーじゃないからこそ、相手のQBに常にストレスをかけ続けられると思うので、目立たないところで1対1を勝ち切ってほしいと思います。
西田:井口は、さっき言い忘れちゃったけどパスカバーもうまいので、パスカバーもできて機動力もあるので、井口がどのプレーにも顔を出すみたいな、そういうプレーを期待しています。三田くんは、春リターンチームでいっしょにタッチダウン取った時(青学大戦)にめちゃくちゃ嬉しかったので、いっしょにタッチダウン取って喜び合いたいです。
(取材、記事:柄澤晃希)

