大学テニスの頂点、王座優勝を目指す慶大庭球部の新体制が整った。今季主将を務めるのは昨季のチームで主力の一角を担い、慶大を全国準優勝に導いた加藤(環4)だ。破壊力抜群のサーブと多彩なネットプレーを武器に、悲願の全国制覇を狙う。栄光の頂で加藤主将の咆哮がとどろく日は近い。
―昨年は副将を務めて王座準優勝という結果でしたが、振り返ると
昨年は昨年でいろんなことに取り組んで、手応えはありましたが、それでも全国制覇には届かなかったので、やっぱり例年と同じことをしていては日本一にはなれないということで、今はいろいろな取り組みを考えていっています。でも去年掴んだ手応えはそのまま継続してやっていきたいです。
―具体的にはどんな手応えがありましたか
具体的にというか、やっぱり早稲田と距離が縮まっているという感覚ですね。実際に試合をやってみて、そういったものがあったので、それを大切にすれば今年はいけると思う。やっぱりいけると思わないといけないので、その感覚を大切にしていきたいと思います。
―今季主将を務めるに至った経緯は
経緯?そうですね、自分がチームを引っ張っていけると監督や前キャプテンに推されて、主将になりました。本当にそこは自信を持って、主将になったからには自分がチームを作るという気持ちを持ってやっています。
―井上悠冴前主将(総卒)と加藤主将の違いは
自分は悠冴さんよりかは熱いキャラなので、情熱を燃やして、プレーで引っ張ったり、普段の行動からもしっかりチームを引っ張っていきたいと考えています。
―選手に激を飛ばすことは
そうですね、違うと思うことがあればその場で言っていますし、かといって自分で気付かせることも大切なので、そういったアプローチもしています。
―今年のチームは主将から見てどんなチームですか
去年からですが、若い力があるので、勢いをチームの力にして、さらに一二年に頼らず、三四年の今までやってきた経験を基にして、勢いのあるチームにしたいです。
―昨年のチームから受け継いでいる部分は
取り組みとしては「部門」というものがあって、例えば栄養部門やトレーニング部門を設けて、その部分のプロフェッショナルとしての役割を全員につけるということは継続してやっています。あとは、本当に一球一球に魂を込めて、無駄にしない気持ちで練習するところは変わっていません。
―逆に昨年と大きく違う点は
具体的になってしまうんですけど、昨年は春の大会で結果が出ていなかったので、今年は冬の時期に多く対抗戦を取り入れたり、試合を多く行うことを意識しています。
―今のところ対抗戦での手応えは
一応勝っているので悪くはないですが、やっぱり常にもっと上を目指してやっていかないといけないと思います。
―主将としても選手としてもチームを支えるにあたり、両立の大変さは
やっぱり今まで考えなくてもよかった部分を自分が考えていかなくてはいけないということで、最初は結構戸惑うこともありましたが、でも自分ができることを一生懸命やるので、選手たちにはその姿を見てついて来てほしいと思っています。なので、今はもちろんチームのことも考えているんですが、自分にできることを精一杯やって伝わればいいなと思います。
―ライバル校に関して、同年代で意識する選手は
やっぱり早稲田は意識してやっています。
―昨年の関東リーグでは法大と競りましたが、法大に関しては
法政に対しては去年5-4と競ったスコアになってしまったので、今年は圧倒的に勝てるところまでもっていかないと、やっぱり日本一にはなれないと思います。試合というのは今までやってきたことが出ると思うので、本当に、これだけ時間を割いて練習しているだけでは意味がなく、この時間の中で自分の限界の先を目指して常にやっていくことが鍵になるので、それをどれだけ徹底してやっていけるかということだと思います。
―その早大や法大から学ぶことは
やっぱり早稲田はプロを目指している選手が多いので、うちは今までも大学でテニスは終わりという人が多いのですが、大学でテニスをしている間はプロと同じ基準、それ以上でテニスに取り組まないといけないと思います。
―逆に他の大学にはない慶大の強みは
やっぱりチーム力はすごくあると思います。一番下から一番上まで、日本一になろうという強く熱い気持ちや泥臭さは他大学に比べて強いと思います。
―主将から見て特に成長を感じる選手は
今回、というか昨日なんですけど、ATPポイントを取った志賀(政3)ですね。志賀は本当にプロを目指しているし、すごく信頼を置ける 選手になってきたと感じます。
―具体的にはどんな変化がありましたか
練習に取り組む姿勢であったり、テニスに関係ない普段の行動も勝ちに繋がる行動をしはじめていて、本当にプロになることを考えて行動 していると思います。
―では今年の新入生の中で期待する選手は
結構みんなには期待しているんですけど、中でも高田(総1)、渡邉(総1)、谷本(総1)の3人は今まで全国大会も経験してきた選手なので、のびしろがあると思い、期待しています。高田は粘り強さがあり、渡邉は攻撃力があり、谷本はバランスがいいので、本当に彼らの良さを伸ばし、弱点を埋めていけたらすごい選手になるのではないかと思います。
―新一年生も早くから練習に参加していましたが、彼らの様子は
結構僕もそれは意識していて、やりやすい環境というか強くなれる環境を作っていきたいと考えているんですけど、今のところ硬くなったりはしていないので、どんどんのめり込んでやっていってほしいです。
一年生の加入によってチームに変化は
今まで一年生だった選手が二年生になって、二年生は一年生に今まで自分がやってきたことを伝えます。教える、ではなくて伝えるということは、その選手にとってもいい影響が出るので、そういう流れができはじめているのはチームとしてはいいことだと思います。
―今年、主将としては後輩達にどんなことを伝えていきたいですか
今チームで掲げている、勝ちにこだわるというテーマがあるんですけど、今やっていることが本当に正しいのか、これでいいのかということを常に考えて、そして自己否定をして、違う、もっとできるというように、限界の一歩先に突き進んでほしいということですね。
―選手として、また主将として、今年の目標は
もちろんチームでは王座優勝、全国制覇という目標があります。個人では本当に全国制覇を目指せる選手になっていきたいです。
―最後に、今年というラストシーズンをどんな年にしたいですか
本当に悔いの残らない一年にしたいと思います。今までの努力、積み重ねてきたものを置いてきて、団体個人ともに全国制覇できるように、とにかく熱くやっていきたいと思います。
加藤 大地
鈴鹿高等学校を経て現在環境情報学部4年。182㎝の身長と鍛え抜かれた体格から繰り出されるサーブでエースを量産する。ネット際での鮮やかなボールさばきもダブルスでは大きな武器の一つ。昨年はシングルスでも安定した強さを見せており、個人戦、団体戦両方での活躍が期待される。
(取材・伊藤明日香)
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