慶應スポーツ新聞会

【男子テニス】慶大の”伯楽”、坂井監督インタビュー 男子テニス新チーム特集①

 昨季、王座準優勝を果たし、全国2位にまで上りつめた慶大庭球部。しかし悲願であった全国制覇は王者早大を前に崩れ去った。今年こそ大学テニスの頂点へ。強豪・慶大再建の立役者である坂井監督率いる新チームが反撃の狼煙をあげた。 今回はその坂井監督に、慶大庭球部の持ち味から大学テニス界の行く末までを余す所なく語っていただいた。

慶大から世界まで、熱く語る坂井監督

男子テニス新チーム特集②加藤主将インタビューはこちらから

男子テニス新チーム特集③新戦力インタビューはこちらから

〈受け継がれる日本一への意志〉

―王座準優勝という昨年の結果を振り返って

やっぱり優勝したかったですね。チャンピオンじゃないと悔しさが残ります。

―王座の後には選手たちにどんな話をされましたか

去年2011年は決勝にいって、その前の年2010年は王座に出られなくて、2009年は王座に出て決勝だったので、まずは王座に出続けることが必要。去年は決勝の舞台に出て緊張して力を全部出し切れなかった部分があったので、毎年全国に出ることによって場慣れして、いいパフォーマンスができるようにするために、まずは毎年出られるようにしようという話を試合の後に選手にしました。

―去年チームを王座決勝に導いた卒業生について

去年の4年生は前の年に王座にいけなかったが、すごく必死に戦ってくれて本当によく頑張ってくれたという思いです。優勝できなかったですけど、今も去年の4年生の気持ちを引き継いで頑張ろうと思っていて、彼らの残してくれたものはすごく大きいと思います。

―現在の新チームの雰囲気は

新一年生も生きが良い一年生が入ってきて、チームの中の競争力が出て、前より層が厚くなってきていますね。早稲田と法政、明治はうちの2倍選手がいるので自然に競争力ができるけど、うちもだんだん選手が増えてきてお互いの競争力も出てきたので、そういった意味では楽しみですね。

成長が期待される権

―特に期待している選手は

新二年生の近藤(環2)と権(総2)、この二人が早稲田の選手から勝ちを取れるかが鍵となると思う。ただ競争力が高まってきているので彼らもうかうかしていられないし、誰にでもチャンスがあります。だから今のところみんなに競ってもらっているので、特別期待する選手というのはそんなにいないですね。

―主将を務める加藤選手(環4)については

彼もぐいぐい引っ張っていくリーダーシップがあるので、そこにはすごく期待しています。チームの「やってやろう」という気持ちを彼が引き出してくれているので頼もしいですね。

―新一年生の顔ぶれについては

渡邉(総1)、谷本(環1)、高田(環1)の3人の選手は全国のトップの選手ではなかったんですが、ものすごくガッツがあって、上級生に対して引いた気持ちもないですし、どんどんチームの中で刺激になってやってくれると思います。

注目の新入生、左から高田、渡邉、谷本

―3人それぞれの個性は

高田は勝負強いですね。まあ3人とも勝負強いですが、高田は相手に何を考えているかわからせないポーカーフェイスで冷静にプレーを進めていくので、相手としてはすごくやりにくいタイプの選手です。渡邉はすごくガッツを出して相手に向かっていく。相手にとっては闘志に気圧されやすい嫌な選手ですよね。谷本はフィジカルがものすごく強くて体力的に自信を持っているので、3人ともそれぞれ違う面で相手を嫌がらせることができるプレーヤーです。

〈慶大のチームカラー〉

―今年チームとして取り組むことは

やはりダブルスの強化をしたい。ダブルスから試合が始まるので、ダブルスで良いスタートを切れるようにということ。あとシングルスの下位のNo.4、No.5、No.6の選手がしぶとく戦ってくれることが必要ですね。

―それを実現するための秘策は

やっぱり体力の強化と、一ポイントに対する集中力の持続。テニスって一回一回ポイントが終わるので、一回終わったときにまた気持ちを盛り上げて、また次のポイントに向かっていく。すごくメンタルの持続性が大切です。またコート上で、演技をしろと選手達には言っています。不安になるのは当然だし、ミスも絶対にするけれども、自分の不安を相手には絶対に見せない、内面の動揺を外に見せない。そういう演技をするくらいの気持ちでやってくれとメンタル面では話しています。

―そういったメンタル面で手本となる選手は

やっぱり志賀(政3)ですよね。志賀はそういったメンタルが強いし、さっき話があった鍵となる選手はやっぱり志賀ですね。今年は個人戦、インカレのタイトルを取ってほしいし、団体戦でもNo.1として軸となって戦ってもらいたいです。

昨年の王座決定試合では悔し涙を呑んだ(左から志賀、井上・経2)

―今年も王座出場をかけて早大、法大と対戦しますが、どういったことに注意が必要ですか

チームの力が年々上がってきているので、相手がどうのこうのというのはもちろんありますけど、力をしっかり出してくれれば。今まで早稲田と戦うときにちょっと萎縮しちゃうというか、自分達の中で厳しいかなというような気持ちを持ってしまって、いつものパフォーマンスが出せなかったりするので、自分達のパフォーマンスを出してほしいですね。

―特に注意すべき相手チームの強みは

早稲田も法政も強いが、明治、日大、亜細亜もみんなしぶとい。どの相手に対してもしっかりパフォーマンスを出せるようにしてほしくて、今たくさん対抗戦をやっています。1部校、2部校、3部校とレベルに関係なく、どんな相手に対しても実力を出せるように試合経験を積んでいます。相手が誰であろうと高いパフォーマンスを常に出せるようなメンタルの強いチームになってほしいですね。

―昨年の個人戦では一部校以外からも駒大のユウシャンホン選手など、ダークホースの選手が勝ち上がりましたが、対戦経験のない未知の選手への対策は

まさにユウ選手なんてみんななかなかマークしていなかったと思うし、でもああいう選手が各校にいるのでね。まあびっくりしないことが大事です。(2011年インカレの)あの時彼が特別何かをしてきたかというと、攻撃がすごく強くてやられたとか、そういうわけではなくて、どちらかと言うとこちらが焦って自滅だったんですよね。そういう、どんな相手に対しても焦らないで、いつもやっているプレーをできるようにしてほしいです。

不動のシングルス1志賀

―それでは慶大の強みというのはチーム力の他にどんなところがあるでしょうか

チーム力もそうですし、あとはさっき言った演技をすることなどのメンタルの強さをすごく大事にしているし、うちは個人戦でも今年は志賀にインカレを取ってほしいし、団体戦だけではなくて個人戦でも結果を出してほしいということ。あと根本にあるのは、やっぱり勉強とテニスの両立。勝つためのマシーンにはなってほしくないですね。将来、学生時代にテニスをやっていたことを生かして、応援される人間になってほしいです。

―他大学と戦う上で、今のチームには足りなくてこれから伸ばしていく部分は

やっぱり層の厚さを作っていきたい。あとはやっぱり体力をもっと鍛えたいですね。体力強化は今後一つの鍵になると思います。

〈大学テニスから世界に羽ばたく選手たちへ〉

―今の大学テニスからはプロにいく選手はあまりいませんが、そうした大学テニス界の状況についてはどのようにお考えですか

 今月号(3月)のテニスクラシックに僕が原稿を書いたので、それを読んでもらえればいいんですけど、そこでも大学テニスの今後の方向性について話しました。要はサッカーだと今結構プロにいくじゃないですか。Jリーグとかね。あれって日本のテニスの場合Jリーグに当たるものが日本リーグといってあるんですけど、みんなほとんど働きながらやっているのでアマチュアに近いんですよね。

 日本のトップであったら大学を卒業してもなれるが、やっぱり世界に通用するということではないと生計を立てていけない。だからサッカーなどの他のスポーツと違って、どうしてもプロになりにくい環境がある。ただ、そうはいっても今錦織圭選手が出てきて、その後に続く選手も出てきているんです。だから次は大学の番なので、自分はできるんだっていうイメージさえ持てれば、自分でしっかり計画を立ててプロでもできると思うんですよね。多分志賀なんかはそういうことも視野に入れてやっています。そういう意味でも志賀には注目していただきたい。

慶大から世界を目指す近藤(右)と加藤主将(左)

―志賀選手、近藤選手など、慶大からプロを目指す選手について、どんなサポートを考えていますか

 遠征に出ないとできないことと、遠征に出なくても意識を変えるだけでできることが二つあると思っていて、やっぱりプロの選手は日本にあまりいなくてどんどん海外の試合に行くんですが、海外の試合に出たからと言って強くなるわけではないと思うので、この蝮谷の環境にいても例えば体力は絶対必要になってくるから体力作りは必ずやらないといけないし、メンタルでも、世界に通用する自分の武器となるものを磨く練習を日頃からやってほしい。

 あとはできればOB会のサポートを受けながら海外遠征に行く。行けるときはそういう機会に行くと。韓国の大学と対抗戦をやることも考えています。だから、そういう遠征に出なくてもできることと、遠征にでるための努力を平行してやっていくことが重要だと思っています。

〈躍進の誓い〉

―慶大の今季の目標は

高校も含めて、今蝮谷では大学の男子と女子、慶應高校のテニス部という3つの団体が一緒に練習をしています。それで今度慶應高校が全国大会に出るんですよね。で、大学男子も去年全国大会に出た。なので女子もまず全国大会に出られるようにしていく。3つの団体が全国の常連校になれるようなシステムを作るのが目標です。

―それを実現させるためには

以外と小さなことが大事なので、やっぱり小さなことに目を向けていけること。勝負にこだわる意識、ちょっと抽象的ですが。例えばコート上で自分の弱気なところを見せないとか、しっかり体力を鍛えるということもそうだし、あとは相手が嫌がるプレーをするということですね。そういうことを是非意識してやってもらいたい。

―今季躍進に向けて意気込みをお願いします

今年は男子女子では男子のほうが先行していて、女子が全国大会にでる機会はなかなか無かったけれど、女子も今年新戦力となるすごくいい選手が入ってきたんですよ。だから男子と女子、ほんとにお互い刺激し合って、全国に行くすごくいい機会だと思うので楽しみですね。男女で優勝したい。優勝してケイスポの一面を飾りたいですね!

(取材・伊藤明日香)

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