【バスケ】早慶定期戦展望

昨年の早慶戦試合終了直後

【バスケ】早慶定期戦展望

62日(土)。第70回早慶バスケットボール定期戦が遂に開催される。春シーズンにおいて最も重要と言えるこの早慶戦。昨年は大敗を喫してしまったが、未だに両校の実力は伯仲している。激しいライバル意識を燃やし、火花を散らし合う両チームは、今年はどの様な試合を見せてくれるのか。注目が集まっている。

 

・春シーズンここまでの早慶両校の戦い振り

・直近の公式戦の結果 61回関東大学バスケットボール選手権大会
慶大→ ベスト16敗退
○慶大117(23-13,26-23,36-16,32-22)74山梨学院大● 戦評
●慶大79(18-26,23-22,15-26,23-20)94筑波大○ 戦評
早大→ ベスト16敗退
○早大74(12-14 15-19 24-17 23-15)65駒大●
●早大69(14-21 18-21 19-27 20-18)89法大○
・直接対決 320日 六大学リーグ戦
●慶大82(12-25,23-25,21-32,26-15)97早大○ 戦評
 

ここまでの春シーズンは、両校共に思ったような結果を残せてはいない。関東トーナメントでは、慶大は筑波大に、早大は二部の法大に敗北し、共にベスト16で姿を消している。結果の出ないもどかしいシーズンを送る両チームだが、この早慶戦は別だ。「前を向いてやって行くしかない」(伊藤良太・環2)、「この1ヶ月間、死に物狂いで頑張りたい」(本橋祐典・環3)という言葉通り、彼らは後ろを振り向いたりはせず、ただがむしゃらに勝利を求める。この勝利が持つ意味を知っているからだ。共に昨季の大黒柱が抜けはしたが、メンバー自体はほぼ変わってはいない。早慶戦で勝利した方が、秋シーズンに弾みを付けられると言っても過言ではないだろう。

さて、3月の六大学リーグ戦の直接対戦では82-97で慶大が敗れている。「(早大の)1、2、3番が相当いいので、やられたのも額面通り」(佐々木HC)との言葉通り、アウトサイドのディフェンスで苦戦を強いられた慶大が、常に先行される形で完敗を喫している。ただ、この試合は多くの怪我人やファウルトラブルに悩まされた試合という見方も出来る。怪我人が戻ってくれば、この試合とはまた違った試合展開となるだろう。

 

・選手、HCのコメントから見る早慶戦の展望

【オフェンス面】

「オフェンスの決定力がないです。重心が後ろにかかってしまっていて、相手としては全然怖くない。あとは相手が負けているわけだから、ファール気味に来るのが当たり前なのにそれを嫌がっちゃっている。それだから審判の笛も鳴らないし、もっと前かがみに向かっていけば、笛も鳴るはずです。」(佐々木HC、慶関定期戦2日目)

「点数を取れなくなってしまっています。本来ならば、練習でも多くやっているハイローの中に、矢嶋のアウトサイドだったり伊藤のプレーを入れるという形を頭に置いているんですけど、矢嶋の怪我で御破算になってしまいました。」(佐々木HC、京王電鉄杯最終日)

本橋祐典(環3・佼成学園高)はチームの得点源となれるか

「得点をどう取るかということになると思うんですけど、僕としては伊藤ぐらいしかいないのかなと思ってます。伊藤が点を取るようになるとセーフティーがいないとか、そういう問題はありますけど、セーフティーの前に得点を取らないといけないので、伊藤を得点源にして、バックアップの子達にディフェンスを頑張ってもらうということでやっていくつもりです。」(佐々木HC、京王電鉄杯最終日)

「チームの攻め手が伊藤しかない」(中島祥平、トーナメント・筑波大戦後)

ポイントゲッターの矢嶋瞭(総3)を怪我で欠くという苦しい状況に立たされている慶大。彼の負傷は慶大にとっては大きな痛手だ。ただ、2年生になって得点面でも頭角を現してきた伊藤を中心に、トーナメント筑波大戦で15得点9リバウンドと今年に入って更に安定感の増してきた本橋。復帰した中島祥平(総3)、外角のシュートを得意とする大元孝文(環1)と得点源は揃ってきている。ただ、ハーフコートオフェンスになると得点が思うように伸びず、プラン通りの試合運びが出来ていないのが現状だ。「僕が点を取ることも必要かなと思っていた」(中島)という中島の意識からも見られるように、伊藤以外の選手が怪我で離脱している選手の穴をどれだけ埋めていくことが出来るかが鍵となるだろう。

鍵となる伊藤良太(環2・洛南高)のディフェンス

【ディフェンス面】

「切り替えの所でピックがルーズになってやられているのが10点分ぐらいあると思うんです。だからそれを抑えないといけません。そうすれば失点も60点台だと思うので、意識的にやらせないといけませんね。」(佐々木HC・トーナメント 山梨学院戦後)

「もう一度慶應の伝統であるオールコートマンツーから速攻というところを徹底して早慶戦に臨みたい」(伊藤、トーナメント・山梨学院大戦後)

ディフェンスでのキーとなるのは、互いのガードポジションの選手、すなわち伊藤と早大#6大塚勇人の両選手だろう。互いに好ディフェンスが光るプレイヤーであり、チームの司令塔、核となる選手だ。その相手に対し、どちらがディフェンスでプレッシャーを掛けて相手の持ち味を封じることが出来るかが鍵となる。オフェンスよりも、ディフェンスでリズムを掴めたチームに流れが傾いて行く。そんな試合になるのではないだろうか。

 

【リバウンド】

インサイドでの活躍が期待される黒木亮(環1・延岡学園高)

「やっぱりリバウンドなんですよ。やられているようだけど相手も結構落としていて、それを拾われてるのが10点以上あります。」(佐々木HC、京王電鉄杯2日目)

「身体接触をしながら、ボックスアウトをして自分の空間を確保した上で取らないといけないんだけど、飛ばないで押すことばかりに意識が向いてしまっています。リバウンドに対する考え方がマズイですね。」(佐々木HC、トーナメント筑波大戦後)

この春シーズンは、「リバウンドの差」(佐々木HC)で煮え湯を飲まされた電鉄杯や「リバウンドの連携が出来ていなかった」(本橋)トーナメント筑波大戦など、まだまだリバウンドに関しては納得の行く結果を残すことが出来ていない慶大。しかし裏を返せば、リバウンドの出来次第では展開をひっくり返すことも可能だといえるのだ。やはりリバウンドにおいて柱となるのは、慶大のインサイドを支える本橋と、「彼がリバウンドを取らないと試合にならない」(佐々木HC)と指揮官からの期待も高い黒木亮(環1)の2人だろう。また蛯名涼(法3)と中島祥の3年生コンビにも期待がかかる。トーナメントに間に合わずにコンディションが不安視される蛯名だが、昨年のリーグ戦で33個ものオフェンスリバウンドを奪っており、早慶戦でも要所でリバウンドに絡んでくるだろう。主に4番起用が多かった昨季に比べて3番起用が目立つ今季の中島には、リバウンドという仕事も求められて来る。「3番起用はどちらかというとリバウンドを重視していると思う」(中島)と本人も意識している通り、本橋、黒木が相手インサイド陣を抑え、中島がリバウンドを拾うという一つの流れが出来上がれば、慶大としては昨季の課題の一つが解消されることとなる。この2人のリバウンド数が、早大とのリバウンド数の差になることだろう。

 

【早大の印象と対策について】

「早稲田はインサイドに去年の様な大黒柱がいないと思うので、二宮君とかも出来てることには出来てるとは思うんだけど、うちと比べてもそう遜色ないと思うんです。ただ、(早大の)1、2、3番が相当いいので、今日やられたのもある意味額面通りですよ。」(佐々木HC、六大学リーグ戦・早大戦後)

「早稲田も背が小さいとはいえ、ディフェンスを頑張ってくるし、中距離のシュートも入るので、今日みたいな受けて立つようなディフェンスでは戦えません。」(佐々木HC、トーナメント・筑波大戦後)

「アウトサイドをしっかり守って、シュートが落ち始めれば、後はリバウンドの問題なので、アウトサイドのディフェンスですね」(佐々木HC、トーナメント・筑波大戦後)

怪我からの復帰が待たれる蛯名涼(法3・洛南高)

慶大としては、早稲田のディフェンスが落ち着いてしまう前に持ち味である堅守速攻で得点を重ねて行きたいところだろう。スコアラーが不足し得点力に欠ける中で、早大に対してどのようにしてアドバンテージを取りに行くのかには、注目が集まる。昨年からの課題である立ち上がりの部分と、「追いついた所で逆転できなかった」り「粘りきれず離されて」(本橋)しまう部分をどのようにしていくかが、ワンマッチの早慶戦では非常に大切になって行くはずだ。

現在は慶大が二部で早大が一部という状況だが、そんなことでは勝敗が決まらないのがこの早慶戦。「魔物が住む」とまで言われるこの戦いでは、前評判が覆されることも度々起きてきた。2009年には、充実の戦力を誇り、のちにその年のインカレで準優勝を果たす慶大が、当時2部だった早大に敗れるという大波乱も起きた。70回という節目の年を迎えた今年はどんな戦いとなるのか――。今から楽しみでならない。

(記事・大地一輝、岡田洋介)

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