【ラグビー】慶同定期戦 100周年の気迫の前に慶大屈す

 まるで真夏のような暑さの中、同大との一戦が宝が池公園球技場にて行われた。関西のラグビーファンに格の違いを見せつけたかった慶大であったが、まさかの逆転負け。またこの試合中負傷者も数人出てしまい、慶大にとっては文字通り「痛い」敗戦となってしまった。

試合前、両チーム混ざって記念撮影

 5月5日 ラグビー定期戦 慶大VS同志社大@宝が池
得点
慶大   同大
前半 後半   前半 後半
1 0 T 0 1
0 0 G 0 1
0 0 PG 1 0
0 0 DG 0 0
5 0 3 7
5 合計 10
 

【得点】慶大のみ

T=立石

慶大選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 古田 哲也(環3)  →17.小田 基貴(商2)
2.HO 金子 大介(総4)  →16.濱野 大(経4)
3.PR 高橋 浩平(経3)  
4.LO 伊藤 悠(商3)  
5.LO 熊倉 悠太(政3)  →18.三輪谷 悟士(総3)
6.FL 柴田 翼(環4)  
7.FL 佐藤 大朗(総2)  →19.明本 大樹(総3)
8.NO8 立石 真也(総4)  
9.SH 小斉平 聖人(商4)  →20.古岡 承勲(経4)
10.SO 竹本 竜太郎(環4)  →22.児玉 健太郎(環1)
11.WTB 三木 貴史(経4)  
12.CTB 仲宗根 健太(環3)  
13.CTB 落合 陽輔(経4)  →21.甲斐 鑑(理2)
14.WTB 原田 大輔(総4)  
15.FB 小川 優輔(環3)  
 前半立ち上がり、出足の鋭い同大は開始わずか5分、慶大のオーバーザトップでPGを選択。そしてこれをしっかり決め同大が先制する。先制を許した慶大はその後もパスミスやキャッチミスなど基本的なミスが目立ちチャンスをつくれない。しかし一方の同大も先制後、ミスが目立つようになる。そんなミスの応酬となり試合が締まらない中迎えた17分、CTB落合(経4)の突破でできたラックからSH小斉平(商4)、SO竹本(環4)のHBコンビを経由し、No8立石(総4)が抜け出して右隅にトライ。慶大が逆転する。その後、モールで押せるようになり、リズムをつかみ始めた慶大であったが、30分に竹本主将が負傷交代。控えにスタンドオフが入っていない慶大はFB小川(環3)をSOに入れる苦しい布陣に。慶大にとっては予想外の展開となったがなんとか2点のリードを保って前半を折り返す。

突破を図る立石

 後半、一気にたたみかけたい慶大であったが9分、HO金子(総4)が脳しんとうでピッチを去り、重い空気に包まれる。そんな中迎えた13分、慶大のオーバーザトップから同大は再びPGを選択。同大にとっては逆転のチャンスであったが、これを決めきれない。一方の慶大は16分、同大のダイレクトタッチからチャンスを作る。しかし同大の気迫あふれるタックルを前にまさかのノックオン。同大を突き放す決定的チャンスを逸してしまう。その後、23分にもチャンスをつかんだ慶大であったが今度はノットリリースザボールでチャンスを潰してしまう。そんなチャンスを決め切れない嫌な流れの中迎えた32分、慶大は一瞬の隙にディフェンスラインを突破され、痛恨のトライを許してしまう。そしてその後のゴールも決められ5-10。慶大は残り7分で5点を追う苦しい展開に。そうした中、なんとか1トライ決めて意地を見せたい慶大であったが、直後にLO熊倉(政3)、SH古岡(経4)が負傷交代。予想外の交代で連携がうまくいかない慶大は万事休す。そのまま5-10でノーサイドを迎える。ホーム同大の勝利に沸くスタジアム、慶大フィフティーンはただうなだれるしかなかった。

ラインブレイクする柴田

 「同志社のディフェンスを覆すだけの能力が今日のメンバーに無かった」と林監督が言うようにLO村田(環4)やFB和田(政4)が欠場したこの試合、慶大にとっては選手層の厚さが問われる試合となったが、残念ながら内容、結果とも満足なものだったとは言えない試合となってしまった。しかし裏を返せば普段スタメンで出ていない選手が経験を積むことができたと言える。そしてこの経験は秋に向けて大きな収穫と言えるのではないだろうか。次戦の相手はトップイースト11の釜石シーウェイブス。苦戦が予想されるが格上の相手と対戦できる絶好の機会であり、慶大にとっては新たな「経験」を積むことのできるチャンスである。すべては対抗戦優勝、そして大学選手権優勝のために。相手に怯むことなく、熱のこもった試合を期待したい。

By Daiki Yamamoto

 

監督・選手のコメント

林監督

(試合を振り返って)同志社の熱のある良いプレーにこちらが力を存分に出せなかったという感じです。(敗因は)点差通りの力だと思いますね。アタックしてもなかなか大きなゲインができない、同志社のディフェンスを覆すだけの能力が今日のメンバーに無かったということですし、同志社の攻撃を止めるディフェンスもタックルの出来もあまり良くなかったので、アタック・ディフェンス共に5点差ずつ上回れていたといました。(メンバー選考について)怪我人が出ている中でベストメンバーを組んだので、現実的にはベストメンバーとは言えず去年までは3軍くらいの選手が出ている状況でしたがそんなことを言ってもキリがないので、今の中でベストメンバーで臨みました。(敗戦で得たものは)160人という大所帯なので誰が出ても、誰が突然壊れてもチーム力が下がらないのが大切だと思うので、去年は金子や増田がいなくなると急にチーム力が下がるということがあって対抗戦でも大学選手権でもあと1歩のところでタイトルを取れないというのを経験しましたから。1本目で出る選手が怪我をした時に出る2本目3本目の選手が経験を積むことで、キープレイヤーが怪我をした時にチーム力が下がらないという経験を負けましたけど1試合分積んだので、必ず明日へつながると思いますので今日できなかったことを日吉で練習するでしょうし、黒黄のジャージでプレーしたというのは次のステージでは動じなくなっているでしょうし、そういう意味でも良い経験になったと思います。(今後のチーム作りの課題は)上30人の強化をしっかりやっていきたいです。誰が抜けても2セットくらいは遜色ないメンバーを作っていけなければいけないと思いますし、スキルにフォーカスすればもう1段タックルの精度を上げたいのと、ブレイクダウンのボール出しをもっともっと精度を上げていかないと東海や帝京といったフィジカルが強いチームが相手になるとボール出しがしっかりできなくなることがあるので。要するにアタックとディフェンスの接点のところの強化を見直しておこうと思います。(次戦に向けて)相手が社会人でフィジカルも強い相手でたまたま試合が組めたので学生らしくコンタクトやフィジカルで劣っていてもひた向きにディフェンスではタックルして、アタックでは一生懸命走っていきたいと思います。ボールを動かせば、15対15なら勝負になると思っているので、チャレンジャーとして清々しい、学生らしいラグビーをしたいと思います。

竹本主将

 (今日の試合を振り返って)気持ちがこもってなかったです。東海大戦で負けてから修正出来ずに今日はタックルも決まっていなかったですし、技術うんぬんよりも気持ちの部分でだめだったと思います(約2週間で3試合というタイトなスケジュールだったが)そうですね、そういった中でもタフさを身につけておくべきだと思います。今日僕も怪我をしてしまいましたが、チーム状況が良くないのでまた持ち直していかないといけないと思います(ベンチから見ていて今慶大に足りない部分は)タックルですね。去年と比べて成功率が低く、タックルは譲れない部分なのでしっかり取り組まなければならないと思っています(去年と今年の同志社の違い)慶大のタックルがうまく決まらなかったために、相手にずるずるといかれてしまったので、タックルの部分で違いがあったと思います(次の試合に向けて)春は技術よりも1つ1つ勝っていくことが重要であり、またそこから秋に向けてチーム作りを積み上げていくものだと思っているので、まずは一人一人がしっかり自覚して練習に臨んでいかなければならないと思っています

 立石

 今日は気持ちで負けました(前半を振り返って)僕がハイパントを落としたりいつも練習していることができなかったりして自分たちのプレーが出来なくて首を絞めた感じでしたね(後半は攻めるシーンもあったが)ただ形がバラバラで横に繋いでいるだけでした。形をしっかりと持てない攻めだったので攻めているうちに入らなかったと思います(ペナルティも多かったが)東海大戦からブレイクダウンを課題でやっていたのですが、全然成果が出ずに相手にやられてしまいました(約2週間で3試合という厳しいスケジュールだったが)期間が狭くてその分修正するチャンスもあったがその機会を逃してしまったのでこれからしっかり練習をしたいと思います(次戦に向けて)もうやるしかないので、練習でだめなところを修正します

 小川

 (今日の試合を振り返って)途中からSOに入ったんですがあんまりゲームメイクが出来てなかったですね。攻めるポイントがうまく作れなかったですね(慣れないSOというポジションですが)何をすべきかよくわからなかったんですが、とりあえず周りを活かしていこうかなと思いました(今日の敗因は)攻め切れなかったところとディフェンスの刺さられていたところが結構あったのでその部分で劣っていたのかなと思います(次の試合に向けて)怪我人が多いのですが、それをちゃんと補えるように1人1人がしっかりプレーしていければいいと思います

三木(経4)

(試合を振り返って)メンバーが揃っていないというのもあるが、そういった中でも勝たないといけないという状況で自分たちのラグビーができなかった。(自身のプレーについて)今日のゲームをするにあたって、ブレイクダウンの部分をこだわっていこうと思ったが、相手の方が気持ちのこもった激しいプレーをしてて、なかなか満足のいくプレーができなかった。(修正点は)2つあって、1つはブレイクダウンの激しさをもっと強くすればゲームを有利に進められるという点と、もう1つは自陣でプレーすることが多かったので、キックとか使ってうまく敵陣に行くという点ですね。その2点がうまくいけばもう少しいい形になると思う。(今後に向けて)個人的にはウイングのポジションを取りたくて、今シーズンまだトライを取っていないのでトライを取っていきたい。

児玉(環1)

(試合を振り返って)すごく緊張していたが、積極的にオフェンスに参加できた部分はよかったと思う。(Aチームでの手応えは)まだまだ自分はいっぱい課題があるので、一日一日先輩方についていけるように練習を頑張って、通用する選手になりたい。(具体的な課題は)体重が軽くて線が細いので、ウェートなどをしっかりして、当たり負けしない体づくりをしていきたい。(今季の目標は)今季、慶應は日本一になれるチームだと思うので、それに貢献できるように毎日頑張っていきたい。 

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