慶大が3回戦に迎えた相手は、東北王者・みちのくの雄として名を馳せる仙台大学。昨年の全日本インカレでの対戦時には、第1セットにデュースの末40-38までもつれるなど、慶大が苦しめられた相手である。また仙台大も慶大に対し、昨年のリベンジの気持ちを持って挑んできた一戦であった。
得点 | ||
慶大 | セット | 仙台大 |
25 | 1 | 17 |
25 | 2 | 17 |
25 | 3 | 19 |
だが今年の慶大は相手に隙を見せない。星谷(理3)・山本(環4)のセンター陣が躍動し、クイックをここぞという場面で決めていく。「このチームの課題」(野口・環2)というクイックが効果的に機能することでチームにとっての攻め手が増え、相手ブロッカーに的をしぼらせない。第1セットを25-17で幸先良く奪うと、第2セットも勢いそのままに慶大バレーを展開する。セット序盤は競り合うものの、岡田(商3)のスパイク・ブロックの活躍で中盤以降は相手に流れを与えず、このセットを25-17で取る。
第3セットも序盤は一進一退の攻防となるが、星谷の連続ブロックを皮切りに10-9の場面から4連続得点。このまま着実に得点を重ねると、終盤には途中出場した丸谷(環2)のスパイクも決まり、25-19。格下相手ながら、「しっかりと気持ちを持って行けた」(前田優・環4)との言葉通り、相手に付け入る隙を与えず、セットカウント3-0の圧勝で準々決勝へと駒を進めた。
準々決勝の相手は春季関東2部で全勝優勝し、秋季からは慶大と同じ1部に昇格することが決まっている専大。3回戦で強豪・日体大をストレートで撃破し、勢いに乗っているだけに難しい展開となった。しかし「優勝を目指している」選手たちは決して粘り負けることなく、自分たちのバレーを貫く。自慢の攻撃陣が機能し、3-1で勝利。2年連続のベスト4に進出し、東海大との準決勝に挑む。
得点 | ||
慶大 | セット | 専大 |
25 | 1 | 12 |
23 | 2 | 25 |
25 | 3 | 22 |
25 | 4 | 23 |
第1セットは序盤から慶大が主導権を握る。柳田(環2)の強烈なスパイクで先手を取ると、山本(環4)の好ブロックなどでリードを守っていく。中盤には野口(環2)のサーブで相手レシーブを崩すと、岡田(商3)が目の覚めるようなスパイク。選手がそれぞれの役割を果たし、徐々に点差を広げていく。すると最後は面白いようにアタック、ブロックが決まり7連続ポイントで専大を寄せつけず。結局、25-12の大差で第1セットをものにした。
このまま慶大が優位に進めると思われた第2セット。しかし、うって変わって一進一退のシーソーゲームとなる。粘り強いレシーブでボールをつないでくる専大も本領を発揮。それでも慶大も決して負けない。前田優(環4)が好レシーブでボールをつなぐと、最後は難しい体勢ながらも柳田が冷静に決め、壮絶なラリーを制す。リーグ戦から絶好調を維持する柳田の活躍で食らいつくと間宮主将(政4)が1枚ブロックでついに逆転。再び逆転されるも、ピンチサーバー棚橋(経3)の投入で流れを離さず。結局23-25で落としてしまうが、専大にも負けない粘りを慶大も見せる。
これが活きたのが第3セット。序盤から柳田がサービスエース、強力なスパイク、フェイントなど幅広い活躍を見せる。要所では星谷(理3)のブロックやクイックが効果的に決まり、流れをつかんでいく。一時は18-12と最大6点のリードを奪う展開に。しかし、少しずつ慶大にミスが目立ち始め、差を縮められるとついに21-21の同点とされる。しかし、ここで底力を見せたのは柳田と並びエースに君臨する岡田。勝ち越しポイントを奪うなど後半に得点を重ね、チームをけん引した。途中投入された村上も高いブロックで相手スパイカーに自由に打たせず。最後は間宮が決め、25-22で第3セットを制する。
第4セットになると、この日2試合目をこなす選手たちに疲れが見え始めたのか、両チームにサーブミスが目立ち始める。勝負どころでサーブが決まらないシーンが続いてしまう。それでも慶大は自分たちのバレーを見失うことなく着実にポイントを積み重ねていく。そして得点が決まる度に大きくなる声とガッツポーズ。まさに全員バレーで、取って取られての展開を戦っていく。そして最後は相手のサーブミスで25点目を挙げた慶大が勝利を収める結果となった。
これで2年連続東日本インカレベスト4となった慶大男子バレー部。昨季とは違い、シードとして臨んだ大会ということもあり、多少のプレッシャーがあった中で順調に勝ち進んだことは称賛に値する。しかし選手たちが口を揃えて話すのは「優勝を目指してやっている」ということ。決して満足はしていない。
30日(土)に行われる準決勝の相手は東海大に決まった。今季リーグ戦ではフルセットの激闘の末、慶大が劇的勝利を収めた大学男子バレーボール界の雄である。当時はケガで欠場していた東海大エース星野が復帰しているため、前回より厳しい戦いとなるのは必至。しかし北海道の地であの歓喜をもう一度――。慶大バレー部の春の快進撃はまだまだ終わらない。
(記事 並松 康弘・古尾谷 拓真)
仙台大・専大戦出場選手
サイド | 柳田将洋(環2・東洋高) |
セッター | 野口剛志郎(環2・東福岡高) |
センター | 星谷健太朗(理3・渋谷幕張高) |
サイド | 岡田拓巳(商3・熊谷高) |
サイド | 間宮秀太(政4・慶應高) |
センター | 山本悠登(環4・東亜学園高) |
リベロ | 前田優介(環4・日向学院高) |
リベロ | 野瀬将平(環1・東福岡高) |
途中出場 | 村上拓也(法4・慶應高) |
川村昌平(環4・春日部共栄高) | |
棚橋真之(経3・慶應志木高) | |
丸谷将大(環2・東筑高) |
間宮 秀太 主将
(ベスト4に進出した今の気持ちは)チームとしては優勝目指そうという話をしていました。でも専修の実力がどんなものなのかというのが不安だったんですけど、優勝への途中の段階ですけど勝てて良かったと思います。(専修には勢いがあったか)そうですね。思ったよりも結構うまくて、繋いできましたし(実力は)2部のチームではない、1部のチームだなという気がしました。(2試合こなす難しさは)僕らはリーグ戦の結果でシードに入ることができて、2試合目を空けられて休息取れたので、そこは専修に比べて優位だったんじゃないかなと思います。(攻撃陣の出来は)自分はまだまだミスが多いんですけど、今の時点ではある程度いい形で出来ているんじゃないかなと思います。(サーブレシーブに関しては)今日少し乱される部分があったんですけど、明日もサーブが強いと思うので、明日はサーブレシーブは特に注意して頑張っていきたいなと思います。(明日への意気込みは)とにかく優勝したいというのがあるので、そこに向けて頑張っていきたいと思います。
前田 優介 副将
(今日の試合を振り返って)専修は来季から1部に昇格してくるチームということで、見たことは無かったのですけどすごい強いと聞いていたので、最初から気を引き締めて行けたのが良かったのかなと思います。(戦ってみて、専修大はどのようなチームでしたか)強かったです。まるで昔の僕たちを見ているようで、これからすごく伸びしろのあるチームだなと思いました。(初戦の仙台大戦はいかがでしたか)気持ちが少し日体大や専修大に傾きつつある中でも、仙台大と戦っている時はしっかりとそちらに気持ちを持って行けたのが良かったです。(東海大戦に向けて)そうですね、この前勝ったこととかは無しにして、しっかり結果にこだわってやっていきたいです。
山本 悠登
(ベスト4に進出した気持ちは)自分たちが今回タイトル取るっていう気持ちでやってましたけど、日体が来ようが専修が来ようが強いということを認識していたので、そういうチームに対してしっかり勝てたことはすごい嬉しいです。今は本当にホッとしています。(専大には勢いがあったと思うが)ビデオで見た通りの高さもありますし、サイドもそれぞれが力を持った選手が揃ったチームだったので、本当に乗ったら怖いチームだなと思いました。(今日は2試合を戦ったが)難しいと思いました。リーグ戦ではそういうことはなかったですし、中学とか高校の時はよくあったんですけど、どっちも強いチームとの連戦だったので、自分としては疲れたから無理とかそういうのはなかったんですけど、体的には疲れていたと思います。(今日はクイックを使う場面が多かったが、狙っていたか)あまりそういうのはなかったですね。専修にはバックと中に切り込む攻撃が利くんじゃないかと話していたので、それに自分とか星谷とかがうまく切り込めたらいい配分になるんじゃないかということは(セッターの)野口自身も思っていたんじゃないかなと思っていました。(明日への意気込みは)リーグ戦の東海戦は、自分は出ていないんですけど、向こうもいなかった選手も戻ってきていますし、前回よりも慶應を倒してやるという気持ちは強いと思うので、こっちもそれに負けないように優勝目指しているのでしっかり戦っていきたいと思います。
岡田 拓巳
(今日の試合を振り返って)最終目標はベスト4ではなくタイトル獲得ということで、今日の試合は絶対に負けられなかったので、しっかり勝って明日、明後日につなげることができたのは、良い結果だったなと思います。(専修大の印象は)そうですね、去年やったときは問題なく勝てたのですが、向こうにも良い1年生が入って、どんどん力をつけて今年1部に上がってきたということで、また顔を合わせなければいけないので。正直やっていて、「強いな」というのは感じました。でもそこで僕らが負けるわけにはいかないので、意地を見せられたのかなと思います。(岡田選手は調子が良いように見えますが)いやー、僕は東日本インカレでは調子が良くないと思っているのですけど・・・(笑)。結果が全てなので、チームが勝てたのは良かったですけど、明日、明後日は僕がもっと調子を上げて臨まなければいけないと思っているので、しっかりと気合を入れていきたいです。(東海大戦に向け)そうですね、東海大が絶対王者というのは今年も変わらずなので、チャレンジャーとして思いっきりぶつかって、その結果がどうなるかというだけです。とにかく自分たちの全力を出せるように頑張ります。
星谷 健太朗
(ベスト4に進出した今の気持ちは)やっとここまで来て、あと2試合頑張ればやっと優勝が見えるのかなと思います。やっと来たなという感じです。(前半からクイックを使う場面が目立った)それはいつも意識していることなんですけど、最初うまく合わなかったりしたのが課題です。そこをもっと使っていかないと勝てないと思うので、意識してやっています。(2試合という難しさもあったか)少しはありますね。雰囲気が変わるので、1試合あった後の切り替えがすごく大事だと思うんですけど、その切り替えのところで大変さはありました。(専大には勢いもあったと思うが)相手の勢いよりも自分たちのことをすれば、最低でも五分五分っていうふうに僕らは考えてミーティングでも話していたので、難しいということはなかったと思います。(明日への意気込みは)ここまで来たので優勝だけを目標に精一杯やっていきたいと思います。
野口 剛志郎
(今日の試合を振り返って)とりあえず、試合前は専修が強そうということで、緊張感がありました。この大会で優勝したいですし、これからリーグ戦で当たるというのもあったので、絶対に勝とうという気持ちで臨みました。(専修大と戦い終えての感想は)戦う前も、戦った後も、結局「強い」という印象ですね。2部から上がってきたとはいえ、結構安定しているチームだと思います。(仙台大戦ではクイックが多かったように思いましたが)クイックはこのチームの課題だと思うので、多めに使うようにしています。(次戦に向けて)前回勝ったとか、強い相手とかは関係なしにして、とりあえず「勝とう」という気持ちで挑みたいと思います。
柳田 将洋
(ベスト4に進出した今の気持ちは)僕らの目標は常に優勝ということで、ベスト4に進出したのは今の時点ではすごい嬉しいですけど、この結果で満足しないでもっと上を目指せるように頑張っていきたいです。(2試合こなすという難しさはあったか)僕は普通にやっていただけなんですけど、セッターの野口が2試合分を考えて配分してくれたと思うので、そういう部分ではしっかり戦いきれたかなと思います。(ご自身の出来は)サーブミスがちょっと多かったので、そういうところを勝ったのは嬉しいですけど、課題にあげられるところはしっかり甘くならないようにして次の試合でしっかり修正していきたいと思います。(効果的にスパイクが決まっていたが)僕だけが決めているわけじゃないですし、周りに他にも決めてくれる人がいるから、僕がブロック振り切ってちゃんと打てるわけなので、僕は僕でベストに近い状態を作っていければいいと思っています。(明日への意気込みは)明日は東海大ということで大学で一番強い相手なんですけど、気持ちでは負けないように頑張っていきたいと思います。
野瀬 将平
(ベスト4を決めた今の気持ちは)素直に嬉しいです。(ご自身にとって初めての東日本インカレだが、意識したことは)負けたらそこで終わりなので、絶対に負けられないというプレッシャーがリーグ戦以上にあるのと、場所が北海道なので家から来るという形ではないので、コンディションの作り方が難しいですけど、けっこう楽しんでやっています。(2試合こなす難しさはあったか)リベロで半分しか出てないので、そんなにないですけど先輩方は疲れていると思うので、その分声出して頑張っていきたいと思います。(2試合目は勢いのある専大が相手だったが)こっちが崩れないようにすれば、こっちの方が強いと思っていたのでやることをきっちりやろうと思っていました。(明日への意気込みは)目標は優勝なのでここで満足せず、東海を食って優勝したいです。