スポーツを通して国際交流をしていくことの大切さは、第3章でお話してきた。ただスポーツをするだけでなく、スポーツをしながら親交を深めていくことで、相手の文化について知る。スポーツが果たすことのできる役割は大きいものだ。
国際交流の中で、最たるものは留学だろう。単身海外へ渡り半年、ないしは1年間生活をする。留学の中で得られる経験は、日本にいるだけでは決して得ることができないに違いない。そして、留学の中でもスポーツ留学について櫻井祥平さんはこう語る。
「留学の中でもさらに、スポーツ留学することを僕は勧めたい。ラクロスに限らず、スポーツを介せば異文化間の壁も取れやすい。何より、チームメイト同士での親交も深まりやすいので。もちろん、あわせて留学先の専門分野の単位も取得し、慶応の卒業単位に組み込む。グローバルな文武両道が目標です。」
彼自身イギリスでの、ラクロス留学の経験があるそうだが、そこでの経験は今でも役立っているという。どうやったら勝てるのか、戦術はどうするのか、こういったことを話し合いながら、親交が深まっていく。単なる語学留学や交換留学にはないことであろう。
櫻井さんは現在、留学の経験を生かし、JLA国際部に籍を置き活動をしている。国際部は、留学先の手配、前述のHOFSTRA大戦のような、国際親善試合の企画・運営などを主に取り扱っている部署だ。慶大からも、毎年平均して2選手が1年間の欧米有力大学へのラクロス正規留学をしているというが、他大ではほとんど無い。留学者は増えてはいるものの、まだ少ないのが現状だ。こうした現状に対して櫻井さんは、
「日本からやはりもっと出ていかないといけないと思います。国内に閉じこもってたら、内向的になってしまいますから。留学を通じて、海外へ出ていく人が増えていけばいいなと思います。」
スポーツ留学は何もラクロスに限ったことではない。サッカー、野球、ラグビー。様々なスポーツで留学するする人は毎年いるが、競技人口に対して圧倒的に少ない。そうした環境が、日本ではまだまだ整っていないのだ。留学をする。グローバルな文武両道を貫く。そして、その経験を自国に持ち帰り、自国に貢献できるような人材を育成する。そのシステムがラクロスという競技には整っている。そして、そうした人材こそ日本が世界へと輩出していかなければいけない人材なのだ。
ただプレーをするのではない。その先に見える、「世界」との対話のツールとしてスポーツを使ってみる。そうした選択肢もあるということを理解してもらえたら幸いである。(記事:石塚大樹)
コメント