際立って闘魂を見せた志賀（政３）・井上（経２）ペア
９月４日に開幕した関東リーグ戦。初戦の日大をダブルスで苦戦しながらも終わってみれば８－１の圧勝で下し、スタートダッシュに成功した慶大が次に迎えた相手は明大だった。２年生ながら昨年からエースを張っている小野を筆頭に、ポテンシャルの高い選手を多く有する、油断の出来ない相手である。しかし王座に行くためには絶対に負けは許されない。慶大はダブルスからエンジン全開、全て２－０で勝利し、シングルスも真っ向から立ち向かい５－１として第１戦に引き続き８－１で快勝した。
９月６日 関東学生リーグ＠有明テニスの森公園
第二戦
慶大８－１明大
Ｄ１加藤・近藤○ ６－３，６－２ 小野・古橋
Ｄ２志賀・井上○ ６－３、６－４ 大阿久・泉田
Ｄ３谷本・渡邊○ ６－３，６－４ 片山・深田
Ｓ１志賀正人○ ６－３，７－５ 小野陽平
Ｓ２谷本真人○ ６－２、４－６、７－６ 奥田圭都
Ｓ３近藤大基○ ７－５、６－１ 伊藤勇貴
Ｓ４矢野隆志○ ６－３、６－４ 伊藤駿
Ｓ５渡邊将司● ２－６、１－６ 弓立祐生
Ｓ６高田航輝○ ６－３，６－２ 佐藤充
いつも通りのプレーを見せた加藤主将(環４)、近藤（環２）ペア
この日も前回同様灼熱の太陽の下での戦いであった。夏関やインカレでも上位に多くの選手が勝ち進んだ明大との戦い、慶大は気合十分であった。ダブルスはＤ１、Ｄ３は日大戦と同じオーダーであったが、この日はＤ２に志賀（政３＝秀明八千代高）・井上（経２＝慶応義塾高）が登場。昨年Ｄ３で王座進出に貢献したペアが定位置に戻ってきた。
Ｄ１の加藤主将（環４＝鈴鹿高）・近藤（環２＝湘南工科大付属高）の相手はインカレベスト４の小野・古橋。厳しい展開が予想されたが、それは杞憂に終わった。加藤のサーブは勿論、近藤のサーブもいつもに増してキレがあり、コーナーに突き刺さる。また、加藤は怪我の影響を微塵も感じさせずにネット前を完全に支配した。１セット目を奪うと２セット目は更に勢いを増し、両者のサーブやスマッシュで圧倒した。
ストローカーの志賀も俊敏なネットプレーを披露
Ｄ２井上・志賀は初戦に出場しなかった分の勢いもあってか、以前に増して攻撃的なテニスを見せた。昨年は攻撃の主体は井上であったが、志賀も積極的にポーチに出ては甘い球をひたすら叩き、２人で強力な攻めを見せる。拾われてもスマッシュし続け、１セット目を６－３で奪取した。２セット目は粘り追いすがる相手を、井上の渾身のリターンエース等で振り切った。
渡邉（総１）、谷本（環１）の一年生ペアも攻守に躍動
Ｄ３は渡邊（総１＝名古屋経済大学市邨高）・谷本（環１＝名古屋高）のルーキーペア。渡邊の熱いプレーと谷本のダイナミックで大胆なプレーが持ち味である。試合にもそれが良く表れていた。両者バックハンドのリターンでも積極的にエースを狙いに行く攻めの姿勢を貫き、連続でブレーク。５－０まで押しこみ、その後３ゲーム返されるものの６－３でファーストセットを取ることに成功した。２セット目は相手も攻撃を強め、均衡する場面も見られたものの、谷本のサーブや２人のリターンが光り、６－４で勝ちきった。日大戦でのダブルスの苦戦が嘘のように全ペアがセットカウント２－０のストレートで勝利し、最もいい形でシングルスにつなげることに成功した。
危なげなく試合をまとめた高田（環１）
シングルスはまずＳ４～６の矢野（環２＝出雲高）、渡邊、高田（環１＝湘南工科大付属高）が入った。Ｓ６の高田は終始落ち着いたプレーを展開し、相手が前に詰めてきても冷静に対処。６－３、６－２での快勝を収める。
惜しくも敗れた渡邉
Ｓ５の渡邊の相手の弓立は昨年のインターハイで準優勝の実績をもつ実力者。１セット目から激しい打ち合いが展開されたが、相手の強烈なストロークに苦しみ、長めのラリーの末に競り負ける展開が続き１セット落とすと、２セット目は次第に差が出てしまった。安定した相手に対し、渡邉にミスが目立ち、０－２での敗戦となった。
ガッツあふれるプレーで勝利した矢野（環２）
Ｓ４も両者共にストローカーであり、ひたすら速球でのラリーが続いた。３－３で迎えた長い第７ゲームを奪うとその次もブレークに成功、無事１セット奪ったが、２セット目に入るとミスが出始めた。１－４とされ重苦しい雰囲気が立ち込め始めたが、ここで矢野は驚異の集中力を見せる。１球１球確実に返し、一気に巻き返して６－４で逆転勝利した。
強打が冴えた近藤
Ｓ３近藤は１セット目、相手にボールを深く集められなかなか前に出さしてもらえずに苦しむ場面が見られたが、６－５からブレークに成功して１セット奪うと、２セット目は完全に試合を支配し、流れを渡さなかった。最後は強烈なサービスを相手にお見舞いして締めくくった。
重圧をはね返しＳ２の大仕事を果たした谷本
Ｓ２は初戦同様期待の１年生谷本が出場。相手は夏関シングルスでは主将の加藤や早大の大城を倒してベスト４に入った奥田。１セット目は立ち上がり少しつまずいたものの、サーブから調子を乱した相手を一気に攻め立てて６－２とした。
２セット目は調子を上げてきた相手との打ち合いになった。強烈なスピンボールを左右に打ち分けて攻めるが相手もドロップを織り交ぜるなど多彩な攻めを見せる。４－６で競り落とすとファイナルセットはお互い譲らずにタイブレークにもつれ込んだ。雨で中断し翌日に続きを行い、見事タイブレークを制して価値ある１勝。
貫録の強さで春関王者を退けた志賀
Ｓ１は志賀と小野の両校エース対決となった。その名に恥じないハイレベルな試合が展開され緊張感が続く中、第８ゲームをブレークして６－３で１セット奪うと、２セット目は更に緊迫した展開になった。小野のバックにボールを集めてチャンスを待っては打ち込んでいったが、小野も激しく攻め立ててきた。猛攻に耐え抜き５－５からの第１１ゲームをブレークしたところで雨で中断、翌日最後のゲームを奪い大きな１勝を挙げた。
法大と共に、王座への大きな壁となると思われていた明大。その明大に８－１という結果で大勝出来たことで更に弾みがついたであろう。次の第３戦は王座への最大の大一番であろう法大戦である。この勢いのまま法大撃破を成し遂げ、大きく王座に近づきたいところである。
(文・松田裕也、写真・伊藤明日香)
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