慶大が全勝で迎えた秋季リーグ第6戦の相手は、宿敵・早大。今季は中大・筑波大・東海大などの上位陣を次々と倒してきた、非常に手強い相手だ。試合は予想通りの大熱戦。しかし、最後はサーブで勝負を仕掛けてきた早大の前に屈し、悔しい敗戦となってしまった。
9月29日(土)秋季関東大学男子1部バレーボーリーグ第6戦 慶大×早大 @日吉記念館
第1セット、慶大は順調な滑り出しを見せる。柳田(環2)のスパイクなど、着実に得点を重ね、序盤から5点のリードをつける。ところが、15-10から早大の吉村のサーブに苦しめられ、5連続失点で一気に追いつかれてしまう。このセットはその後、星谷(理3)のクイックや間宮(政4)のバックアタックが随所に決まり、27-25でなんとか取ることができた。だがしかし、今季これまで戦ってきたどのチームよりも、早大には勢いがあることは明らかであった。徐々に押され始め、第2セットは早大に23-25で取られてしまう。
第3セット。1-1とセットカウントで追いつかれてしまった慶大。重い雰囲気そのままに、このセット立ち上がりにつまずき、いきなり大量失点を喫してしまう。「何かしら変わるきっかけを考えていた」(宗雲監督)という慶大ベンチは、ここでリベロ中出(環4)を投入。中出は今秋に学生コーチから選手へと復帰してから、初めての試合出場となった。するとこの采配が早大に傾きかけていた流れを一変させる。岡田(商3)の2本のサービスエース、「どこかでチームに貢献したいなと思っていた」という中出の完璧なアンダーハンドトスからの柳田のスパイクなど、一挙6連続得点で逆転に成功。その後も攻め続けた慶大はこのセットを25-19で取る。
慶大の勝利まであと1セット。しかし、今季大躍進を遂げている早大は、気持ちを切らすことなく向かってきた。第4セットはサイドアウトの奪い合い。慶大が20-18と勝利まであと5点としたが、ここから早大はエース七里が強烈なサーブで攻め切って逆転。このセットだけで7本のサーブミスを犯しながらも、サーブで勝負を仕掛けてきたのは見事であった。デュースの末、慶大はこのセットを25-27で落とし、勝負の行方は最終セットへ。
「今までやってきたことをやろうという気持ちで臨んだ」(星谷)という第5セットは、一進一退の攻防。しかし、サーブレシーブの乱れ、そして「攻撃のオプションが春より多くなった」(宗雲監督)という早大のコンビにブロックが機能しきれなかったことが響いた。あと一歩及ばず、13-15でこのセットを落とし、リーグ6試合目で初黒星となってしまった。
優勝を目指していく中で、宿敵・早大を相手にした重要な一戦を落としてしまった選手のショックは計り知れない。だが、まだ一敗。依然首位キープは続けている。これから残り3試合の目標は明確だ。今リーグを笑顔で終えるために。慶大に残された道はひとつ、「攻めるしかない」(宗雲監督)。
(文・古尾谷拓真、写真・並松康弘)
宗雲監督
(今日の試合の敗因は)負けた原因というのを考えれば、もちろんたくさんあるんです。ただウチが悪いというよりも、早稲田の攻撃のオプションが春より多くなったので、ウチのブロックが機能しなかった。振り回されていたので、そこがボディーブローのように効いたのではないですかね。(相手のサーブも良かったですね)早稲田はこの秋、思い切って3人がジャンプサーブを打ってくるんですよね。確か春までは専田君はロングフローターだったのを、ジャンプサーブに変えてきたんですよ。確かに、セットごとの好不調の波はあるんです。専田君も今日の前半は天井に(感覚が)あっていなくて、七里くんも良くなくて。ところが吉村君がはまっちゃったんですよね。そこから七里君がはまって。彼らは5セット中、3セット調子が良ければよいという感じなんです。だからフルセット、フルセットで勝ってくる。ジャンプサーブが入らなくて落とすセットがあっても仕方ないというぐらい、サーブで攻めていましたね。早稲田のサーブと、攻撃のオプションが多かったというのは、ウチより一枚上手でしたね。(中出選手がプレーヤー復帰後、初出場となりました)2セット目にちょっと押されて、3セット目序盤に大量失点をして雰囲気が悪かったので、何かしら変わるきっかけを考えていて、山本選手のところに稲田選手を入れるか。もしくは、野瀬選手は全然悪くなかったんですが、それでもあえて、中出選手のレシーブ力を買って出て、あのセットはそれが功を奏しましたね。(次の東海大戦にむけて)今日みたいに負けることもあるので、いかに切り替えて、明日の東海大戦をきっちり勝てるか。攻めるしかないですね、残り3試合。
間宮秀太 主将
(今日の試合を振り返って)自分が集中できてなかったところで失点して、負けてしまったので、自分のせいだと思います。(以前と比べて早稲田の印象は)もちろん早稲田は強くなっていて、こっちもそれなりに強くなったはずなのですけど、精神的に弱かったかなと思います。(サーブに苦しめられました)ジャンプサーブの対策はしっかりしようという話はしていて、けっこう練習してきたのですけど、簡単にやられてしまって、そこは残念に思います。(ホームでの試合はいかがでしたか)たくさん応援に来てくれたのですけど、それに応えられなくて残念です。(東海大戦にむけて)いま見ていたらけっこう強いので、負けは負けで切り替えていきたいと思います。
中出祥平
(試合を終えた今の気持ちは)悔しいですね…勝ち切れなかったです。(交代で入ってから流れが変わったが)そうですね。流れとしては良かったと思うんですけど、僕自身は特に何もしていなくて岡田のサーブが走って。あんまり関係ないですけど、僕が入ってから流れが変わったっていうのは嬉しかったです。(監督からは)特に指示はなくて、思い切ってやってこいと言われました。(優勝争いをしている早大との試合だったが、意識はしたか)特に優勝争い、早稲田だからという意識はあんまりなかったです。それは僕だけじゃなくて、チーム全体として意識はなかったと思います。(学生コーチから復帰後の初出場だったが)せっかく復帰したんですけど、ずっと試合出れなくて、どこかでチームに貢献したいなと思っていたので、試合には負けましたけど、自分的に試合に出場できたっていうのはすごい嬉しかったですし、次出たら絶対勝てるように頑張ります。(あすの東海大戦にどう気持ちを切り替えるか)東海は春優勝という強い相手なので、負けは負けでしっかり気持ちを切り替えて明日に挑みたいと思います。
星谷健太朗
(今日の試合を振り返って)相手も強いチームなので、そう簡単に勝てるとは思っていなかったんですけど、最後勝ちきれず、そこが自分たちの弱いところなのかなと思います。(自身のプレーを振り返って)僕はあまり仕事ができなくて、それで相手も攻撃ができていたので、それも敗因だったと思います。(重要な一戦であるという意識は強かったか)それは、チームみんなが思っていたと思います。(接戦の中での5セット目への意気込みはどうであったか)全部出し切るつもりで、今までやってきたことをやろうという気持ちで臨みました。(明日の東海大戦に向けて)気持ちを切り替えるということだけ考えて、勝ちを目指して頑張ります。
柳田将洋
(今日の試合への意気込みは)早稲田には簡単に勝てたことがなかったので、厳しい戦いになることを予想してその中でもしっかり勝とうと思っていました。でも負けてしまって悔しいですが、明日があるので切り替えていきたいです。(試合を振り返って)自分たちのやりたいバレーができなくて最後までもやもやした気持ちで終わってしまったので、それを明日に引きずらないように修正していきたいと思います。(5セット目はどのような気持ちで臨んだか)あまり難しいことは考えずにとにかく勝ちたいという一心で、ボールを落とさないように頑張っていたんですけど、もっと気持ちの面で勝てるようにしていきたいです。(自身の出来は)正直よくないんですけど、よくないからと言って抱え込んで悪いほうに行かないようにしたいです。(次戦に向けて)リーグ戦で初めて負けたんですけど、あまり考え込まないようにして、明日は明日でみんなで勝ちという一つの目標を目指して頑張りたいと思います。
野口剛志郎
(今日の試合の総括)内容どうこうよりも負けたことが悔しいの一言です。 (最後第5セットまでもつれ込んだが、どのような心掛けで臨んだか)最後は気持ちだと思うんで、プレー云々じゃなくて気持ちで負けないよ うに臨んだんですけどあと一歩及びませんでした。(早稲田は春の早慶戦では勝ってた相手だが)相手を舐めていたとか、そういう訳じゃな いんですけど、自分達の実力というか、詰めの甘さが最後に出て負けたのかな、と思います。(明日の東海大戦に向けて)今日の負けは結果 として出ちゃったんでしょうがないですけど、明日は切り替えてまたチャレンジャー精神の気持ちで勝ちにいきたいです。
得点 | ||
慶大 | セット | 早大 |
27 | 1 | 25 |
23 | 2 | 25 |
25 | 3 | 19 |
25 | 4 | 27 |
13 | 5 | 15 |
サイド | 柳田将洋(環2・東洋高) |
セッター | 野口剛志郎(環2・東福岡高) |
センター | 星谷健太朗(理3・渋谷幕張高) |
サイド | 岡田拓巳(商3・熊谷高) |
サイド | 間宮秀太(政4・慶應高) |
センター | 山本悠登(環4・東亜学園高) |
リベロ | 野瀬将平(環1・東福岡高) |
中出祥平(環4・駿台学園高) | |
途中出場 | 前田優介(環4・日向学院高) |
川村昌平(環4・春日部共栄高) | |
村上拓也(法4・慶應高) | |
稲田聡典(環2・日向学院高) | |
吉田純(環1・東亜学園高) |
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