【テニス】両エースが大車輪の活躍!宿敵に散るも記憶に残る大会に 早慶対抗庭球試合

咆哮する志賀主将

咆哮する志賀主将

 

慶大にとって、大学テニス界にとって特別な二日間が今年もやってきた。男子は第176回、女子は第90回を数える早慶対抗庭球試合だ。今年その舞台となったのは早稲田大学東伏見キャンパス。両校のOB、OGはもちろん、将来その門戸を叩くだろう高校選手たちから、他大学の選手たちまで多くの観客が熱い視線を送る中、両校の意地とプライドをかけた伝統の一戦が幕を開けた。

 

 

2013/05/18,19 男子第176回、女子第90回早慶対抗庭球試合

@早稲田大学東伏見キャンパステニスコート

 

 

試合結果

〈男子〉

D1●志賀・近藤4-6,2-6,2-6田川・遠藤

D2●矢野・高田2-6,4-6,6-3,6-4,2-6古田・今井

D3●谷本・渡邉1-6,6-0,2-6,3-6大城・小堀

S1○志賀4-6,0-6,6-3,6-4,6-4田川

S2●近藤4-6,0-6,5-7遠藤

S3●渡邉1-6,1-6,2-6今井

S4●矢野2-6,2-6,0-6古田

S5○高田6-4,6-1,6-1岡村

S6●谷本3-6,3-6,3-6大城

〈女子〉

D1○池田・西本3-6,6-4,6-4長谷川・吉冨

D2●藤岡・安形2-6,6-4,3-6梶谷・宮地

S1○西本6-0,6-1馬場

S2●藤岡4-6,4-6吉冨

S3●安形0-6,4-6宮地

S4●秋元5-7,6-2,2-6山崎

S5●小林3-6,2-6梶谷

初日となる18日、快晴のもと男子ダブルス3試合が行われた。春関ではベスト8に3組が残り「ダブルスの慶大」のイメージが定着している慶大としてはここでリードしておきたい。その注目すべきダブルス1、志賀正人主将(政4=秀明八千代高)・近藤大基(環3=湘南工科大附属高)ペアは春関優勝ペアの田川・遠藤と対戦。奇しくも春関準決勝と同じカードとなった。早めに自分たちの流れを作りたい第一セット、「春関のときよりもっと研究してきていた」(志賀)という相手に主導権を握られ、先制を許してしまう。完全にペースを崩された慶大ペアは第二セットでも志賀のストロークを狙われ、サービスキープもままならない。結局攻勢に出られないまま4-6,2-6,2-6のストレートで破れてしまった。またダブルス3に登場した谷本真人(環2=名古屋高)・渡邉将司(総2=名古屋経済大学市邨高)は大城・小堀ペアからセカンドセットを6-0の大差で奪うも、波を掴みきれずセットカウント1-3で破れた。残るは矢野隆志(環3=八雲高)・高田航輝(環2=湘南工科大附属高)のダブルス2。立ち上がりこそ失敗し2-6,4-6と差をつけられるも、ここから昨年度インカレベスト4の意地を見せる。パワーヒットが武器の今井にラリーでくらいつき、タイミングのいいポーチボレーでポイントを重ねると、流れが慶大に傾き、第三、第四セットを奪い返すことに成功する。しかしゲームが振り出しに戻ったファイナルセット、疲れの見え始めた慶大とは対照的にミスをリセットした早大ペアに主導権を握られ、逆転勝利とはならなかった。

勝利が期待されたダブルスでまさかの三敗を喫し、窮地に立たされた慶大。だがまだ負けが決まったわけではない。このままでは負けられない。そんな思いを抱え、翌日19日のシングルス6試合が始まった。先陣を切って登場したのはシングルス6の谷本、5の高田、4の矢野だ。早大はシングルス6に2011年夏の関東学生選手権優勝の大城を投入し、確実な勝利を狙う。タフなフィジカルでラリーを展開したい谷本だったが、2011年度夏関チャンピオンのスタミナとパワーを前に押しきれずストレート負けを喫した。S4の矢野はダイナミックなサーブが武器の古田に厳しい戦いを強いられる。こちらも粘りのラリーを展開したいところであったが、要所でミスが早くなり、一矢報いることはできなかった。そしてS5の高田は、4月の筑波大学テニストーナメントで準優勝し一躍シンデレラボーイとなった岡村と対戦。第一セットを競り合いの末6-4で先取すると、そこから波に乗る。小柄な体格からは想像できないハードヒットを左右に散らし、リードを広げることに成功。後半は1ゲームずつしか相手に譲らない完封勝ちで大いに観客を湧かせた。

テイクバックする近藤

テイクバックする近藤 

ここまでで既に5敗し早大の勝利が決定したものの、一つでも勝利が欲しい慶大は期待を込めてシングルス1・志賀主将、シングルス2・近藤、シングルス3・渡邉将を送り出す。まず二年生ながらシングルス3に抜擢された渡邉将は春関ベスト4の今井に挑む。アグレッシブなプレーとひたむきな闘志を見せた渡邉将だったが、ゲームポイントを握る度に決め手を欠き、チャンスをものにすることができない。第三セットはなんとか二度のサービスキープに成功するも、悔しいストレート負けとなった。シングルス2の近藤は早大主将・遠藤と対戦。第一セットでは得意のパワーショットが炸裂し、幸先良く3-1とリードを作る。しかしここで緩急を自在に操る遠藤のストロークが近藤に牙を向いた。あっという間に差を縮められると、連続5ゲーム連取を許し、一気に逆境に立たされてしまう。形成逆転を期したセカンドセットでも相手の勢いは止まらず、0-6とされて迎えた第三セット。なんとか序盤の自分らしいプレーを取り戻した近藤は壮絶なラリー戦へと持ち込み粘るが、時すでに遅し。5-7と惜しいところで逃げ切られ、ストレート負けとなってしまった。

コートを駆け回り球をつなぐ志賀

コートを駆け回り球をつなぐ志賀

いよいよ残るは志賀主将のシングルス1のみ。相手はこれまで悔し涙を呑んできた積年のライバルで大学王者の田川だ。最初のポイントから両者一歩も譲らず、大学テニスの頂点を象徴するような激しいラリー戦を繰り広げる。しかしそこにはまだ大学王者の本領は現れていなかった。互いにワンブレークして迎えた4-4の第九ゲーム、田川が波に乗り始める。威勢のいい叫び声と切り裂くようなストロークに追随できず第一セットを落とすと、続く第二セットで田川の勢いは手が付けられないものとなった。負けじと志賀もネットを取るもスマッシュ後の一瞬の隙を突かれリカバリーのパスショットを取られるなど、正に手も足も出ない状態でこのセットも落としてしまう。志賀にとって最後の早慶戦も、万事休すか――。そんな諦念が誰しもの脳裏をよぎっただろう。しかし志賀は諦めていなかった。どんな鋭い角度に打ち込まれようと、何度でも身を投げ出し、ラケットを伸ばし、一球でも多く打ち返そうと走る。その一つ一つのプレーが志賀に道を拓いていった。5-3のサービスゲームでチャンスを掴むと予測不能のサービスで田川を翻弄。ついに一セットを奪い取る。続く第四セットでは1-4までリードを許し逆境に立つが、攻めの姿勢を崩さず5ゲーム連取で挽回に成功。勝負の行方はファイナルセットへと持ち込まれた。その序盤ワンブレークアップで3-1とリードを築くが、そこで田川のフラット気味のファーストサーブが火を吹く。ラブゲームキープを許すと、続く志賀のサービスゲームでもリターンエースを浴び、ついに追いつかれてしまった。だがやはり鍵となったのは4-4で迎えた緊迫の第九ゲーム。「相手のプレーが少し落ちたのでその一瞬の隙をついて自分のリズムを作っていけた」(志賀)と、得意のラリーでプレッシャーをかけて再びブレーク成功。そして様々な思いを孕んだ静寂がコートを包む中、その瞬間が訪れた。最後まで相手の裏を掻いた志賀のファーストサーブはネットのこちら側に返ってはこない。因縁の相手を初めて退けた主将は拳を突き上げ喜びを爆発させた。

二日間の勝敗を合わせると計2-7で慶大は敗北した。シングルス2勝という点で早大との差は縮まっているようにも見えるが、ダブルスで勝ち星がないというのはなんともさみしいところだ。次に早大と対峙するのは晩夏のリーグ戦。そのときまでにこの差はどのくらい縮まるだろうか。今日勝利したものはそれを自信に、敗北したものはそれをバネにして、次こそは宿敵から大きな金星を挙げることに期待したい。

 

一方の女子は、初日のダブルスで池田玲(環2=富士見丘高)・西本恵(総2=岡山学芸館高)が春関決勝と同じ対戦相手である長谷川・吉冨ペアと対戦。第一セットこそ譲るも、そこから安定のプレーで二つセットを取り、まず一勝を挙げる。ダブルス2では昨年宇田川前副将(政卒)と組んで活躍した藤岡莉子(総3=徳島市立高)がルーキーの安形玲耶(環1=城南学園高)と登場したが、梶山・宮地ペアから第二セットを奪うもセットカウント1-2で敗れた。勝利の可能性を大いに残して迎えた二日目、シングルス下位三本には三人のルーキーが登場した。シングルス5の小林夏実(環1=秀明八千代高)は梶谷に3-6,2-6で敗れ、4の秋元玲乃(環1=浦和学院高)は山崎と対戦し第二セットを奪う好ゲームを見せるが最後突き放され5-7,6-2,2-6で敗れる。後がないシングルス3、プレッシャーのかかる試合にはダブルスでも登場した安形が出場。第一セット0-6と圧倒されると第二セットではくらいつき接戦に持ち込むも4-6で力尽きた。ここで早大の優勝が決まったということもあり、ルーキーたちにとっては少し苦い早慶戦デビューとなってしまった。しかしこの後シングルス1には慶大のエース西本が登場。たとえ慶大の負けが決まってしまっていても、「シングルス1としてチームに勝利を持っていきたいという気持ちは変わらなかった」(西本)と、宣言通り二勝目を慶大にもたらした。そしてこの日女子のラストゲームとなったのは藤岡のシングルス2。持ち味のファイト溢れるプレーを見せ、吉冨を苦しめたが4-6,4-6と決め切ることはできなかった。

男子同様、こちらも2勝を挙げて2-5という結果で幕を閉じた第90回早慶戦。エース西本の絶対的な存在感とフレッシュな新星たちのプレーが印象に残る大会となった。若いメンバーからなるチームだけに、今後の成長は楽しみである。成長段階にある若いチームはどのように変容していくのか。躍進著しい慶大女子庭球部がいつの日か早大の牙城を突き崩す日はそう遠くないかもしれない。

(記事・写真 伊藤明日香)

◆選手コメント

志賀主将

(今日の試合を振り返って)序盤セットカウント0-2になって、相手もかなり乗っててかなり厳しい展開だったんですけど、自分で何か変えたというよりかは相手のプレーが少し落ちたのでその一瞬の隙をついて自分のリズムを作っていけたという感じです。まあ諦めず諦めず必死になってやったことが最後に報われたんだと思います。(大学最後の年に大学王者の田川選手を破ったことについて)あまり実感はないというか、大学王者だからというより、僕はプロになるが彼はならないということで、そういう意識が違いますね。相手が大学王者だからこっちが引けちゃうということはなかったです。彼に勝ったのは初めてですけど、そんなに大きなことではないです。(ダブルスでは春関準決勝と同じ対戦となりましたが、前回と比べると)春関のときよりもっともっと研究されてたというか、こちらももちろん研究していきましたけれども、それ以上に相手の戦略が上回っていたと思います。まだまだ僕らにできることはありましたけど、これからもっと突き詰めていかないといけないと思いました。(具体的には相手のどういった戦略に苦戦しましたか)やっぱりサーブのコースをよく考えてきていて、そこからの展開だったりとか、あとは僕のストロークに球を集めてきて浮いたら大基(近藤)を狙うという展開ですね。そういったところに勉強されているなと感じました。(次の大会に臨む上で課題は)僕は多分夏関は出ないので、次は多分インカレになると思うんですけど、まだ少し時間があるので、お互いのサービスキープをもっと堅くして、僕らが強いときはリターンかいいときなのでリターンの質にこだわってやっていけば負けないと思うので、そこだけ意識していきたいです。(主将として今回の早慶戦を振り返ると)例年は「早慶戦だ!わーっ!」って言ってみんな力んで入るんですけど、今年は自然体でいつも通りやってきたことを出そうとにフォーカスしてやって、それが良かった部分もあるし良くなかった部分もありました。出だしがそれで遅れちゃったということもあるので、もっと準備していけばよかったと思う部分もあります。あとは自分のダブルスで引っ張りきれなかったという悔いはあります。もちろん主将として緊張してガチガチだったんですけど、そこで周りのコートまで引っ張ることができるようにならないとダブルスで3-0つけて早稲田に勝つということは難しいと思うので、まずは自分のダブルスをリードしてチームに勢いをつける。そういったダブルスをできるようになりたいです。(慶大が団体戦で次に臨む上での課題は)テニス以前に、慶応の部内でのシングルスやダブルスの起用というポジション争いをするのではなくて、やっぱり対早稲田だとか早稲田より上の連中だとか、そういうところに全員が向かっていかなくてはいけないし、そういう組織じゃないといけないと思います。そういった、もっと基準の高い部にしていきたいと思います。

西本選手

(今日の試合を振り返って)今日は自分の試合までに勝敗は決まっていたんですけど、やっぱりシングルス1としてチームに勝利を持っていきたいという気持ちは変わらなかったので、自分のプレーをするだけだと思って臨みました。(相手は早大のルーキーでしたが、勝利の鍵は)自分のプレーをするっていうのは前提としてあったんですけど、相手も作戦があったとは思うけどそれに惑わされないで自分のプレーを貫けたことだと思います。(ダブルスは春関決勝の再戦でしたが、注意した点は)春関のときは最初に相手の勢いに押されたので、そこは団体戦ですし自分たちも強気な姿勢を見せるということを意識して臨みました。(試合前の宣言通り二勝を達成されましたが、去年から勝ち星をのばした要因は)去年は一年生でチャレンジャーだったということはあったんですけど今年は二年でシングルス1として絶対二本とってくるという意識があって、そういう部分での責任が強くなったと思います。(次はリーグで早大と戦いますが、勝利に必要なものは)これから早稲田もどんどん練習してきてレベルを上げてくると思いますが、もちろん自分たちもレベルアップしていきますし、リーグになるとやっぱり気持ちの勝負だとおもうので、自分を信じチームを信じて強気でプレーしていくだけだと思います。

池田選手

(ダブルスを振り返って)春関の決勝で当たった相手で、戦略とかしっかり立ててやってきて、勢いもあって最初は取られちゃったんですけど、まずはしっかり勝ちきる事ができたっていうことは、さらに自分の自信にもなったし、勝負どころで自分の持っている力を出せたことはすごく良かったです。でもやっぱりまだもたついて6-4,6-4っていうスコアだったのでそこをもっとしっかり取れるときに取りきるということを今後の課題としてしきたいです。(シングルスでは一年生に枠を譲る形になりましたが、後輩の戦いぶりはどうでしたか)もちろん3人とも一生懸命頑張ってくれたんですけど、まだ初めての団体戦、早慶戦でまだ経験もないので、これからもっと成長してほしいという気持ちもありますし、次は自分が出るっていう気持ちもあるので頑張りたいです。(昨年に比べ進歩して点は)今年は西本とのダブルスと、西本がS1でとったんですけど、去年もダブルスは取れそうで取れなかったので、変わったというよりは、むしろあんまり変化がないという感じです。ダブルス一本取ったということはもちろん大きいことですけど、他のシングルスの下位とかで取れないとやっぱり厳しいので。(次の早慶戦はリーグですが、改善点は)やっぱりポイントを握った時にいかに1ポイント2ポイントで取りきるかということだと思います。(次の大会に向けて意気込みを)夏関のシングルスは去年は本戦にも上がってないので、本選に上がる事はもちろんですがインカレ予選も控えているので上を目指して戦っていきたいと思います。

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